maiちゃんの秘密「第二話」 [戻る]
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探偵タイトスクープの放映は続く。

しむら探偵はカメラに向き直り小声で呟いた。

探偵「えー、思ってたよりだいぶ手強そうです。
しかしどんなご依頼も必ず達成するのが私のモットー、どうかご期待ください!」

(場面転換)

探偵「えー、昼食時間になりました。
朝に高木君が言ってた通りmaiちゃんは部室で充電タイムに入るようです。
流石にこの時は我々も同行を断られました。

しかし中の人は朝から今まで全く休憩なしでmaiちゃんというキャラクター演じ続けてました。
季節は夏、蒸し暑い体育館での創作ダンスの授業もあったというのにホンマ凄い体力だと思います。

ではクラスメートの皆さんにもmaiちゃんについてインタビューしてみましょう」

女子生徒「同じクラスって知ったときはマジびっくりしたよねー!
でもフツ―におしゃべりできるし今ではフツ―に友達って感じ?」

女子生徒「なんか毎日テーマパークに遊びに来てるみたいな気分で楽しいです。
高校って漫画なんかと違ってホントはもっとつまらない場所だと思ってました」

男子生徒「動きがかわいいよなー、ふとした仕草っての?
クラスの女子の誰よりも一番女性らしいってかさー」

女子生徒「特長的だけといい声してるのよねー。私最初てっきりプロの声優さんが入ってるんだって思ってた」

男子生徒「首につなぎ目ないし一体どうやって入ってるのか気になります素材もラバーかウェットスーツっぽいですしあとみんな気づいてないけど顔に空気穴空いてなくて一体どうやって呼吸が

(場面転換)

探偵「えー、放課後になりました。
maiちゃんはこの後どこに向かうのでしょうか?
引き続き追っていきたいと思います」

家庭科室。

ハイネックレオタードに着替えたmaiちゃんはその上から複数の女子生徒によりフリフリの衣装を着つけさせられている。
maiちゃんの体に合わせて寸法詰めが終わると、今度はハンガーにかけられた別の衣装へと次々に着せ替えられていった。
maiちゃんの白い肌を人形に見立ててか、どの衣装もドール風のガーリーでメルヘンチックなデザインをしている。
その光景ははまさに等身大の着せ替え人形遊びそのものだった。

ハイネックレオタードに着替えたことによりmaiちゃんのプロポーションがより良く観察できる。
その身体にはやはりどこにも継ぎ目やファスナーの類は見当たらない、ファスナーが無いと脱ぐことができないため恐らくはレオタードの裏に巧妙に隠されているのだろう。

探偵「これは何やっとるんや?」

高木「今度、服飾部の活動報告会があるんです。
そこでmaiちゃんがゲストとしてモデルに呼ばれてまして、今日はその為のフィッティングです」

探偵「ほう、でもmaiちゃんの中の人そろそろ限界なんちゃうか?
よく見たらさっきからプルプル細かく震えとるで」

見るとフリフリの衣装がこすれるたびにmaiちゃんは腰が引けたように小さくビクビクと動いてしまい、仮縫いがやりにくいと服飾部員に叱られていた。

mai「maiちゃんは機械族だからツカレシラズです!それにナカノヒトなんていません!」

フィッティング中のせいなのか、maiちゃんは今までのようにアクションは付けずに声だけで反論した。

mai「maiちゃんのツカレシラズなところ、この次行くところで見せてあげます!」

フィッティングを終えてやって来たのは先程蒸し暑い体育時間を過ごした体育館だった。
チアリーディング部が練習中らしく、館内の湿度や熱気は先ほどよりも高まり最早サウナに等しい状態だった。

探偵「おー、高校のチアってのもかなり本格的なんやな。
俺なんか立ってるだけで汗ダラダラやのによく頑張っとるで。
おー、高い高い。すごい跳びよるやん!
ところで、maiちゃんはどこ行ったんかな?・・・・んっ!?」

と、そこにお揃いのチア衣装に着替えたmaiちゃんがやってくるとチアリーディング部の皆からポンポンのシャワーで出迎えられた。

そしてあっけに取られるしむら探偵を他所にアップテンポな音楽が流れだし、maiちゃんを含めた全員でのチアダンスが始まった。

maiちゃんは時に他のメンバーと肩を組んでラインダンスを踊り、両足を持たれて抱え上げられ、空中で回転し受け止められる。
そのダンスはmaiちゃんをメインに構成されていた。

予想外の光景を前にあっけに取られられつつ、しむら探偵は呟いた。

探偵「す、凄いやん。
maiちゃんってチア部もやっとったんか・・」

高木「正確にはmaiちゃん部はmaiちゃんをサポートするメンバーなのでmaiちゃん自身は参加してません。
maiちゃん自身はチアリーディング部の他に、吹奏楽部や新体操部にも所属しています。
そちらもここと変わらず本格的にやってますよ。
他にも先ほどのように服飾部や軽音楽部、ミュージカル同好会や奇術研究会の公演にゲストで呼ばれたりもします。
maiちゃんが参加してると集客力も上がるそうですし、maiちゃんとしてもPR活動の機会が広がるのでお互いにWin-Winなんですよ」

チアダンスはフィナーレを迎え、メンバー全員の掛け声とともに最後の決めポーズも決まった。
皆笑顔を称えたまま肩を大きく上下させている、それはmaiちゃんも例外ではなかった。

その様子を見てしむら探偵は何かを思いついたのかニヤリと悪い笑顔を浮かべた。


下校後も取材は続いた。
しむら探偵は事あるごとにmaiちゃんの中身を暴こうと仕掛けるが一向に成果は得られない。
そうこうしてるうちにボランティアのゴミ拾い活動も終わり、ボランティア事務所の控室で取材の終わりの時間を迎えていた。

探偵「いやー、最初は正直どうなるかと思ってたけど凄いな君!」

mai「ありがとうございます!maiちゃんの魅力、分かって頂けましたか?」

探偵「うん、君が凄いのはよーーーーく理解した。ただ俺も探偵の使命があってな、依頼をおろそかには出来ひんのや。
そこでや・・ここは勝負といかへんか?」

mai「・・?」

maiちゃんはいきなりの提案に首をかしげる。

探偵「maiちゃんは機械族で、確か息はしてないんやったな?」

mai「・・はい」

しむら探偵は部屋にあった新品のごみ袋を取り出すと。

探偵「ここにビニールの袋がある、ほんまに呼吸しとらへんのやったらこれを頭に被って三分間耐えてみい。
それで無事に耐えられたら俺の負けや、maiちゃんは着ぐるみやないて認めたるわ!
ただし耐えられへんかったら・・」

mai「それじゃダメです!」

maiの反応を見てしむら探偵は勝ち誇った表情を一瞬見せるが。

mai「それだけじゃ隙間が多かったとか実は穴が開いていたとか後から何とでもイイガカリつけられます!
しむらさんシツコイですもん・・!

・・しむらさん、私が袋を被ったらそこのガムテープで頭をグルグル巻きにしてください。
大丈夫です、maiちゃん空気必要ないですから5分でも10分でもぜんぜん平気です。
じゃあ・・行きます!」

言うとmaiちゃんは袋を被ってしまい、しむら探偵に首を突き出して催促する。

探偵は戸惑いつつも「ど、どうなっても知らんで!?」と叫んで首に一周ガムテープを巻きつけた。
「ギブアップするんなら早めにせえや!」と言い放つ探偵に対し
「全然弱いです、貸してください!」と言うとmaiちゃんはガムテープを奪い自分の頭に巻き始めた。
流石に戸惑った探偵は不安そうな表情を見せるがMaiちゃんの手は止まらない。

画面は早送りになりmaiちゃんの頭はどんどん隙間なくガムテープに覆われていく。
丸々一本使いきった頃にはmaiちゃんの頭はガムテープのボールに変わっていた。
正確な時間は分からないが、既に巻き始めから5分以上は経ってることは間違いない。

探偵「あかん・・・もおええもおええ、俺の完敗や。俺はもうこれ以上追及せえへんわ」

しむら探偵はがくりと崩れ落ちた。

mai「・・・・・、・・・・-!」
ガムテープボールの中からmaiちゃんの声が聞こえるが、くぐもっていて何を言ってるのかはうまく聞き取れなかった。。
そしてそのシュールな格好のまま決めポーズを取るが、前が完全に見えないらしく、それはカメラからは明後日の方向を向いていた。

(ジングル音とともにスタジオに場面転換)

探偵「えーということで、maiちゃんは本物のアンドロイドでした!
ご納得いただけたでしょうか皆さん?」

(オーディエンスのブーイング)

局長「んー、ボクはそれでも夢があっていいと思うんですけど、はたして依頼者さんには納得して頂けるかどうか・・・」

探偵「わかりました!」

局長「ん?」

探偵「皆さんがそうおっしゃると思って、密かに取材の裏でスタッフが同級生に聞き込みを行っておりました。
そこでmaiちゃんの中の人と思われる人物に目星がついたのでmaiちゃんには悪いですがここで発表させてもらおうと思います!」

局長「おお!」

探偵「maiちゃんを演じている人物・・・その方のお名前は烏丸ちゆりさんといいます!
当然、この学校にに籍を置く女生徒です。
写真は流石に出しませんがかなりの美少女ですよ、そしてなんと某有名ホビーデパートの経営一族でもあり同校の理事長のご息女でもあります!」


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