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由佳里の中にいる友達は、毎回この、大きな熊のぬいぐるみを抱きしめるシーンになると、熊を抱きながら目を閉じ続けると言う事実と向き合うことになります。
中の人の事情に関係なく、目の前で男の子に用意して貰ったぬいぐるみを、本当に大事そうに、目を閉じて抱きしめなければいけないのですから。
それを思うと、感動と同時に、もの凄く切ないシーンにも見えてきます。
感動のシーンが終わると、由佳里は用意されている席に座り、その後は、テーブル毎に時間を割り当てて、由佳里をフリーに撮影する時間になります。
全テーブルに時間の割り振りを行って、順番に該当するテーブルに座っているお客さんが前に出てきて、座っている由佳里を自由に撮影できます。
トータル約30分の撮影タイムとなっています。
一テーブル毎に順番に呼ばれると、お客さんは持ってきたカメラを片手に、由佳里達の座る席の周りに集まります。
カウント開始から一斉にフラッシュが光り、さながらイベントコンパニオンの撮影と言ったところ。
この手の撮影には、ホビー21の着ぐるみの操演者は慣れているはずなので、その事はそれ程問題ではないのでしょうが、なにしろ座った状態で、上半身のみでポージングを続ける由佳里の切なさを思うと、それはそれは僕の息子は熱くなって行きました。
ただ、当然ですが、由佳里の中は、僕の息子とは比較にならないぐらいに熱くなっているはずなのですげとね。
何しろ、由佳里は直前までダンスを踊り、大きな熊を抱いてポーズを取り、さらに今、こうしてみんなの前でじっと座ってポーズを取っているんです。
由佳里の中の友達が、ダンス中に出せていたとしたら、今は回復の時間帯かも知れませんが、あの瞬きのことを思うと、ダンス中に出せているとは思えないんですよね。
そして本当にダンス中我慢していたとしたら、その後にこうしてじっと椅子に座ってのポージングは、本当に切ない寸止めが繰り返される世界になっているはず。
自らの固くなった物が疼いているのに、座った状態では派手な動きは出来ませんから、きっとコンピュータの制御で寸止めを繰り返すことになります。
しかも、瞬きは恐らくまだ手動モードです。
と言う事は何処かで落ち着いて自動モードに切り替えたいはずです。
椅子に座ってじっとしているだけなら、その隙に自動モードへの切り替えは出来る気がするのですが、由佳里はああして上半身を動かし、その度に中の友達は切ない快感を由佳里から与えられているはずです。
実際、時折瞬きが身体の動きにシンクロしてしまっている様子も見えます。
胸にテンションがかかるようなポーズの時に、凄く切なそうに瞬きを繰り返したり、瞬きするつもりでは無かったタイミングで、つい反応してしまったからなのか、瞼が半分だけ閉じて開くシーンも見えました。
可愛らしいポーズを決める由佳里にしか見えませんが、その裏側で、友達がどれ程出したいと願っているのかは、外から見ていても全く分りません。
苦しくて息をしたくても、スカートをお客さんの前で捲ることなど、由佳里がするはずはありません。
スカートの中で、いったい何が起こっているのか、それを知るのは由佳里の中にいる友達だけと言うことになります。
羨ましいほどに暑く苦しく切ない世界が、あの由佳里の中には存在しているはずなのに、お客さんのカメラには、ゲームに出てくる由佳里が飛び出して来たかのような画像が収っているはずです。
その画像の中に、由佳里の真実が写る事はありませんが、本当はその写真の中には、知ってしまったら本当に嫉妬してしまう様な羨ましい世界が存在しているのです。
撮影会は、30分を少しオーバーする程度で終わりました。
撮影会が終わったら、いよいよこの会はクライマックス。
お客さんを前に、感動的なスピーチと共に、再び主人公の男の子のキスで締めくくられます。
主人公の男の子や、会場に来ているお客さんへの、感謝と愛の溢れる感動のスピーチは、かなり涙を誘う素敵なもので、こうしてライトアップと音楽による演出の中で聞くと、内容を知っている僕でも少し感動してしまいます。
実はゲームでも同様のスピーチがあるのですが、ここもかなりの名シーンとして有名で、そのシナリオを書いたライターさんが、ゲーム中のスピーチをベースに、より感動的な内容に書き換えてくれた物なので、そのセリフの一つ一つが凄く涙を誘う物でした。
そして、そのセリフに合わせて、感動の演技をする由佳里の姿もまた、涙を誘う物で、実際にお客さんは、これが演劇なのだと分っていても目を潤ませています。
その愛おしそうな演技に、タイミングよく瞬きが加わることで、非常に切ないシーンとなっています。
セリフと演出の力があるとは言え、由佳里はその演技で、お客さんの涙を誘うほどの感動のシーンを演じているんです。
僕ですら、少しウルッと来る程の感動ですからね。
でも、そうやって僕の目を潤ませる程の演技をしている由佳里を見ていると、その一方で、やはり羨ましい気持ちは強くなってしまいます。
あの身体の中にいる事で、僕の友達は、僕らファンの感情を演技によって操作できる立場にあるのですから。
中が友達と分っていても、あの姿で、ああやって感動シーンを再現されると、僕のファンとしての気持ちが、色々なゲーム中の由佳里の言動をフラッシュバックさせて、それが涙に繋がるんです。
ずるいですよね。
僕だって、もしあの由佳里の中に入っていられる立場なら、僕の演技で由佳里を自在に動かして、ファン達の心を手玉に取るような事だって出来るはずなのに、僕は由佳里を外から見ることしか出来ないし、友達の演技で心が動かされてしまっているんですから。
そして、そんなずるい立場の友達は、由佳里の中の羨ましい環境をも、ずーっとずーっと独占し続けているんですから。
ああやって涙をぬぐう演技だって、由佳里の中にいる友達にとっては楽ではないはずですし、ああやって瞬きをするという事は、中の友達は立派な固さを保っていると言うこと。
そんな固さを保った友達が、由佳里を纏ってみんなを泣かせているんです。
僕がそんな由佳里の裏側を羨ましいと思うのは、おかしな話じゃないと思うんですよ。
由佳里の感動のスピーチは、約3分。
拍手喝采のまま終わります。
もちろん主人公の男の子のセリフもありましたが、それは本当に余興であり、今回の主役は由佳里ですから、由佳里のスピーチの方が何倍も多く拍手も集まり、感動もありました。
こうして、いよいよバースデーパーティー第一部は最終段階になり、由佳里がお客さんを見送ると言う場面になります。
由佳里が準備をするまでの間、お客さんは各席で待機し、案内を待っています。
僕は由佳里を誘導して部屋の外に出て、ホールの前で由佳里を待たせることになります。
メイドさん達も由佳里の横でお客さん達を見送る事になりますが、そのメイドさん達の横にもスタッフを配置し、僕は担当となる由佳里の横で待機となります。
全員の準備が整った事をホールのスタッフが確認しに来ると、僕の横では由佳里も元気よくウンと頷いています。
相変わらず素敵なシャンプーの香りを漂わせながら、真横にいる、キラキラ光るドレスを纏った由佳里が、とても可愛くて眩しく感じました。
先程はこの女の子が場内を感動させていた事を思い返すと、そして、真横で、可憐に広がっているスカートの裏側を想像すると、本当に複雑な気持ちになります。
この子の中で、友達は既に何回か出しているのでしょうか?
瞬きを続けている事からも、未だに中の状態は手動モードであり、この自然に見える瞬きも、固さを保ち続ける友達の物が動かしているはずです。
そんな由佳里を眺め、いろんな想像が頭を駆け巡っていると、ようやく目の前のドアが開き、順にお客さんが出てきます。
お客さんはまずはメイドさん達と握手をし、主役である由佳里から、キャンディーの入った包みを貰います。
この包みには一緒にお礼のカードも入っていて、全てのカードには由佳里のサインが入っているのも特徴でした。
このカードに入っている由佳里のサインは、印刷ではなく本当に直筆の物なのですが、問題は、いつ誰がどうやってこのカードにサインを入れたのか、です。
普通に考えれば、事前にホビー21で担当スタッフが手分けをして、それっぽい書体で書いたと考えるのが自然ですが、これはホビー21が噛んでいる企画です。
もしかすると、本当に由佳里が手書きで書いているのかもしれません。
つまり、ホビー21で、何日か前に、友達が由佳里に入り、このサインを作ったのです。
サインは今日の分だけではなく、何日も続くイベントに必要な分を用意しているはずです。
もし僕の想像が正しければ、その全枚数を、由佳里が一生懸命手書きしていた筈なのです。
あくまでもそれは想像の世界ですが、もしそれが事実なら、そのサインの文字すら僕にとっては羨ましい対象になってしまいます。
だって、それは由佳里の裏側にいる友達が、この文字を書きながら、悩ましい時間を楽しんでいたと言うことになりますから。
一人一人、順に手渡しでプレゼントを配る由佳里。お誕生日おめでとうございます、と言いながら、握手を求めるファンもいます。
由佳里はそんなファン達に可愛らしく受け答えしてあげています。
もちろん可愛らしくパチパチと瞬きもしてあげます。
それから、先程、由佳里の投げた花を手にしたお客さんには、由佳里からのキスがプレゼントされます。
ほっぺたにチュッという軽い物なのですが、それでも、由佳里にキスをされると、お客さんの中には緊張と恥ずかしさから、ガチガチになっている人もいます。
キスの瞬間は、しっかり目を閉じ、お別れの瞬間にはウインクもしてあげている様子。
この由佳里の中では、その度に固いものにギュッと力を込めたり、ヒクヒクヒクと反応させたり、と言う、想像しただけで切なそうな操作が繰り返されているはずですが、由佳里の可愛らしい様子からは、そのような裏の世界は一切もれることはありません。
それどころか、横で見ている僕も、お客さんに嫉妬するぐらい可愛らしいキスをしてあげています。
由佳里の中は僕の友達なんだ。
このウインクは、友達の男の証を反応させている、いやらしい物なんだ。
そう自分に言い聞かせても、この由佳里の姿で、他の男性にキスをする姿を見て、なんだか本当に由佳里が遠い世界の存在に感じてしまいます。
今はあくまでもお金を取って開催しているイベントであり、由佳里はその主役。
当然お客さんに愛想も振りまくでしょう。
由佳里はそう言う立場ですから、当たり前のこととして自分の仕事をこなしているだけなのですが、外から見ている僕には、お客さんと仲良くする由佳里に対して、ちょっとだけ、焼きもちに似た感情を持っていました。
もちろんその時も、由佳里の裏側には全く別の世界が存在することは忘れません。
その事実が余計に悔しく見せていたのかもしれません。
由佳里は、写真を頼まれたらツーショットでもソロでも、可愛くポーズを取って収っています。
先程プレゼントされた大きな熊のぬいぐるみも、リクエストがあればギュッと抱きしめて写真に収っています。
ですが、先程も説明したように、ああやってギュッと熊を抱きしめると、胸もギュッと押しつぶされているはず。
そして、その胸は、由佳里の裏側にいる友達に、余りにも羨ましい締め付けを与えているはずなのです。
そういうシーンではついつい由佳里の目に注目してしまうのですが、由佳里は特に態度の変化を見せることなく、楽しい時間が経過し、全てのお客さんの相手を終えるまでに約15分の時間がかかりました。
その後もしばらく撮影責めになり、ぬいぐるみをギュッと抱きしめるポーズも何度かやっていたのですがが、その間殆どその場を動くことはなかった為、僕はついついスカートの中の空気を心配してしまいました。
あれだけ気持ちの良さそうなポーズを続けながら、固くなったものは自由に反応する事を許されていない状況ですから、いくら由佳里の中にいる友達がプロの演者であるとはいえ、楽な状態にあるとは思えなかったのです。
こうして全ての第一部バースデーパーティーのスケジュールが終了したのが、17時15分の事でした。
イベントの開始から、2時間15分。由佳里が僕の前に現れてから、3時間弱が経過していました。
この後お客さん達は、スタッフに誘導されて第二部の会場に移動となります。
由佳里はここで一旦楽屋に戻り、今度は第二部の為のドレスに着替える事になります。
僕は由佳里を楽屋まで送り届け、着替えはまた他のスタッフに任せて、二部の会場のセッティング確認に走ることになります。
二部会場は野外のガーデンパーティー形式で、この会場の備え付けのパーティースペースを利用します。
一応全員分の席はありますが、立食形式に近くて、席も決まっていません。
このパーティーがお客さんが由佳里に最も近づける時間の長いパーティーとなるように配慮しています。
座席等の位置や、余興の道具のセッティング、更に、食べ物や飲み物の状況等を、二部の担当責任者を交えて話し合い、他のスタッフとも情報共有をしながら、確認をしていきます。
僕はこの場でも基本的には着ぐるみのサポートがメインとなるので、大きな役割はそんなに無いのですが、それでも細々とやることはあるので、その辺りの手順も確認して回りました。
最終的に、かなり急いで確認した結果17時30分には確認が完了し、17時35分ぐらいには由佳里の楽屋に辿り着きました。
僕はノックをして楽屋に入ると、既に由佳里は次の衣装を着て待機しています。
実はこの部屋は、もう一つ奥にも同じぐらいのサイズの部屋があり、そのドアが付いているのですが、そのドアが少しだけ開いていて、部屋の向こうには、次の余興で利用すると言うイリュージョン用の大きな仕掛けが待機しているようでした。
実は、このイリュージョンは、今日だけの初回限定イベントとなっていました。
今後のイベントに向けての実験的な意味合いもあり、お客さんの反応を見るために、まずは今回試してみる事になったようです。
そう言う意味では今日来たお客さんはラッキーだったのかもしれませんね。
まだ向こうではゴソゴソと作業が行われているようですが、僕自身はこのイリュージョンの仕掛けは全く知らないので、実はちょっと楽しみではあります。
いったいどんな仕掛けのイリュージョンが展開されるのか分りませんが、それは後でのお楽しみと言うことでしょうか?
その為、タネが分ってしまうと面白くないので、奥の部屋を覗くことはせず、後でゆっくりショーを楽しむことにします。
この部屋に待機する由佳里については、夕方からの会に着るドレスと言うことで少し胸元の開いたセクシーな物に着替えていました。
相変わらず着替えが早いのには驚きましたが、凄く深いブルーのサテンをベースにした、優雅なロングドレスです。
袖も襟も無く、胸元がかなり深いVの字で開いている為、胸の谷間がハッキリくっきりと見えています。
ブラの肩ひもが見えないのは、ブラを取り替えたわけではなく、元々着けていたブラは、このドレスを着る事を想定し、肩ひもが外せるタイプの物にしてたからです。
手は相変わらず二の腕が完全に隠れるぐらいに長いロンググローブで、色はドレスと同様の深いブルー。
しかも表面はベロアの生地なので凄くセクシーに大人っぽく見えます。
多分裏地はサテンなので、身に着けているとどういう感覚になるのか、凄く気になりますが、由佳里の様子からはその着け心地は分りません。
ドレスは非常にシンプルで飾り気は無い分、生地のベロア独特の艶の感じが凄く綺麗に出ています。
背中側もリボン等が付いている訳ではなく、上半身は非常にタイトで、下半身はボリュームたっぷりの床まで届くロングドレス、と言う感じになっています。
そして、この由佳里の最大の特徴は右胸。
僕自身、この件は聞いてなかったので少し驚いたのですが、右胸に可愛らしくブルーで蝶の絵が描かれているのです。
これ、要するにボディーペインティングですよね。
位置的には、右胸の上辺り。この辺りに色を塗ると言う事が、どういう事かを想像出来てしまうので、僕はこのペイントを見たときに、思わず生唾を飲み込んでしまいました。
着替えにかかる時間を想像すると、恐らく実際に描いている訳ではなく、多分タトゥーシールなんでしょうけど、シールを貼ると考えても、手で何度も擦りつけるようにして貼るはずですから、それはそれは悩ましい時間のように感じます。
幾分マシなのは、乳首を基準に、胸の上側と言うのは、中の人間の固い物で言うと、裏ではなく表側なので、裏側に刺激を受けるよりは感度が鈍ると言う事でしょうか?
それでも相当に気持ちいいはずであり、それを、実際に体験しているからこそ、こうして由佳里の胸に蝶のペイントが描かれているんでしょう。
それと、胸が大きく開いたドレスも気になります。このドレスの場合、胸を支える為に肩や首から引っ張る布が無い、完全にチューブトップ状のドレスなので全ての胸の重みは、ドレスと裏に身につけたブラ、そしてそれを支える補整下着によってのみ、支えている事になります。
これだけ大きい胸ですから、当然揺れ方はこれまで以上でしょう。
シルクの布に包まれたまま、揺れる布が、由佳里の裏に何を伝えるのかが気になるところではありますが、由佳里は優しく笑っているんですよね。
そういえば気になる瞬きですが、見た感じは自動モードに戻っているようにも見えます。
ただ、先ほどから何度も経験しているように、中の友達が自動モードに見えるように、がんばって反応させている可能性もあるんですけどね。
会場にお客さんが入るまで、しばらく由佳里はここで待機となります。
着付けが終わったスタッフは、他の仕事があるので部屋から出て行き、奥で準備しているスタッフのガサゴソと言う音は聞こえますが、この部屋には僕と由佳里しかいなくなります。
僕はまたソファーに腰をかけて、待機していると、由佳里がツカツカと寄ってきて、再び僕の横に座ります。
「瞬き、自動に戻せた?」
質問すると、可愛らしくウンウンと二度ほど頷きました。
ここで嘘をついても意味はないと思うので、待機中に頑張って戻したと言うことでしょう。
「胸、凄いね」
続いて気になる胸のタトゥーについて小声でボソリと言うと、由佳里は軽くウンと頷きます。
「シール貼ったの?」
首を横に振る由佳里。
「え? まさか塗ったの?」
再び軽く頷く由佳里。
なんと、この蝶はペイントされた物だと言うのです。
シールでも苦しいはずなのに、この胸を、何度も何度も筆が行き来して、その度に由佳里の中は、それはそれは羨ましい世界になっていたはずなんです。
それが分ってしまった今、僕はこの蝶が描かれた胸が羨ましくて仕方ありませんでした。
「結構大変だった?」
ゆっくり頷く由佳里。
そして由佳里は、そのまま僕に身体をもたれかけてきました。
フワリといい臭いのする由佳里の髪の毛の香りが僕の鼻孔をくすぐります。
先程は拒絶されたのですが、今回は躊躇無く身体を預けているところを見ると、実は相当に大変な状態だったのかも知れません。
なにしろ、胸を筆先が何回も往復したのです。胸の上側は、下側よりも感度は弱い、とは言っても、何度も何度も筆先が往復するような状態は、考えただけで気持ちよさそうです。
その間、下手に感じる素振りも見せることなく、ただただその筆先の刺激に耐え続け、我慢していたものが放出された。
そう考えたら、今の由佳里の中は出した後の脱力感と、猛烈な息苦しさに襲われているはずなんですよね。
もちろん、こうして大胆に寄りかかると言うのは、周りにスタッフがいないと言うのも大きい理由だとは思うんですけどね。
こんなに可愛くてこんなにセクシーなドレスに身を包んでいるのに、その裏ではかなり大変だったのか、呼吸はだいぶ荒くなっている様子でした。
「呼吸・・・我慢してた?」
頷く由佳里。
「ゆっくり整えなよ?」
頷く由佳里。その様子は本当に可愛らしく、そしてか弱いく、本当に愛おしい。
本当に自分の彼女だったらどれ程素敵だろうと錯覚を覚える程ですが、冷静になれば残念ながら、この裏には僕の友達がいるという現実を思い出してしまうのです。
何分かして、ようやく少し呼吸が落ち着いてきた時、ドアをノックしてスタッフが部屋に入ってきました。
「じゃあ、そろそろお願いしまーす。」
僕は了解して、由佳里を連れて移動を開始します。
奥の部屋でのスタッフの準備状況も気になったのですが、イリュージョンのタネを知ってしまうことも考えられたのと、今回は僕はイリュージョン関係には全くノータッチだったので、僕には担当作業がありませんから、他の人達の作業の邪魔をしないようにする為にも、さっさと部屋を出て行くことにしました。
廊下を歩いている由佳里を、横について見ていると、由佳里の胸が、歩く振動に合わせてプルプルと軽く揺れているのが見えます。
やはり重さを支えるにはドレスの布だけでは厳しいようで、セクシーに胸が揺れているのが分ります。
大人っぽいドレスと考えると、この胸の揺れのセクシーさもアリですが、この胸はただの胸ではなく、由佳里の胸。
つまり由佳里の中に与える影響を考えると、この揺れが凄く悩ましく思えてくるわけです。
この状態で瞬きが手動モードだったと考えたら、さぞや切ない歩みになるはずですが、少なくとも今の由佳里は自動的瞬きしている様子なのが唯一の救いです。
可愛らしく、まっすぐに前を見て歩く由佳里の中は、今頃どんな悩ましい世界になっているんでしょう。
それは僕からは全く見えないんですけどね。
二部の会場の前に辿り着くと、既にドアの前には主人公の男の子の役の人が、マスクを外して他のスタッフと談笑しながら待機しています。
僕らを発見した男の子役の男性は、その場でマスクを装着し、固定し、直ぐに主人公になって由佳里に手を振ります。
すると由佳里は嬉しそうに駆け寄って男の子の横に並ぶのです。
由佳里が嬉しそうに男の子に駆け寄るその光景に、男の子役に嫉妬も覚えますが、やはり気になるのは由佳里の胸。
軽く、短距離とは言え、走った事による影響が無いとは思えませんから。
ですが、由佳里の様子は相変わらず変化無く、男の子の横で楽しそうにモジモジしています。
男の子役がマスクを被った瞬間から、由佳里は僕がサポートする由佳里ではなく、男の子の彼女に戻ってしまった事に、凄く残念な気持ちになっていました。
全ての準備が整い、いよいよ二部の会が始まります。
ドアが開くと、拍手で二人が迎えられ、僕らも後を付いてドアの外に出て行きます。
すると、やはり野外です。
もうそろそろ日も落ち始める時間帯ですが、まだかなり蒸し暑い。
幸いなことに多少風はあるようで、参加者には多少涼しい気がしますし、男の子役の男性にとっても、この風は多少救いになる気がします。
タイツは汗を吸ってシミを作りますから見た目は暑そうですが、風が当たると気化熱で涼しくなるので、実は風がある日なら、見た目ほど苦痛ではないらしいのです。
ですが、由佳里は違います。由佳里のボディーは全く風通しがありません。
その上で重装備のドレスです。
そんな中でこの二部の会をする事は、ここまでの操演時間を考えると、相当に大変な気がします。
今はまだ、スカートの中の空気は、室内の空気が元になっているはずですが、それでも相当に蒸していると思われます。
そして、今後はその空気が、更に蒸し暑い野外の空気と徐々に入れ替わって行き、最後はスカートの中いっぱいに、この野外の空気を元にした、吐息や汗、スカートの中の布の香りが混じった空気が充満するのです。
過去にも説明しましたが、演者は、本当に演技が続行できないと判断したら、イベントを中止して操演を停止する権利を有しています。
僕らサポートはそのサインを見て、即座にイベントを中止できるように対処するのも大事な仕事であり、ホビー21の着ぐるみの演者は、そう言う意味では貴重な人材として、大事にされてることになります。
つまり、由佳里の中の友達は、いつでも苦しければ演技を止めていいのです。
ですが、目の前で、あれほど苦しそうな状況にありながら、由佳里は常に由佳里として存在し続けています。
ギブアップしてくれたら、僕は直ぐにでも会を中止し、由佳里を背負ってでも安全な場所に待避させ、直ぐに友達を着ぐるみから解放してあげる準備は出来ています。
にもかかわらず、由佳里は、由佳里であることを止める気配は全く無く、それはつまり、友達がそんな環境に留まり続ける選択を、自分でしていると言うことになります。
友達がとり続けるその選択は、僕にはとても羨ましい選択に見えて仕方ありませんでした。
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