由佳里のバースデー -inside-(10話) [戻る]
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≪ 加藤side ≫

 ビンゴ大会が始まると、みんな大盛り上がりです。
 商品の殆どは、ゲーム会社のオフィシャルが用意したグッズ類ですが、どれも既に市場では完売しているようなレアな物ばかりだったようで、ビンゴで当選する人が現れる度にお客さんはみんな大歓声をあげているようです。
 私も、羨ましそうに演じたり、おめでとうって演じたり、とにかく可愛い由佳里を存在させるように頑張っていました。
 ただ、やっぱりあの箱が気になります。
 箱が運び込まれて二十分、ビンゴが始まって十分ぐらいですが、ある程度時間が経過すると、徐々に当選者が増えてくるんです。
 それでも、ちょっと暇な時間帯には、ついつい、箱を見たり、箱に近づいてみたりします。
 とっても苦しそうで、とっても蒸し暑そうで、そしてとっても羨ましい箱。
 私も、イリュージョンの後はもう一つの箱に入って、イベントが終わるまで待機することになるんですが、今既にこうして箱に入り続けている由佳里とその中の北野先輩が、凄く羨ましくて仕方有りませんでした。
 先輩。今何してますか?
 先輩。そんなに小さい箱に入って、もう二十分以上になりますよね?
 先輩。この蒸した空気の中、そんなに小さい箱の中は、どれだけ素敵な空気で満たされているんですか?
 先輩。私はこの姿で、箱に入りますけど、あのゴージャスなドレスで入るってどんな気持ですか?
 同じ由佳里に入る私にだけ、こっそり教えて欲しいです。
 でも、そこは、私にも教えて貰えない、先輩だけの秘密の場所なんですよね?
 どれだけ望んでも知ることの出来ない場所。
 凄く羨ましくて、凄く嫉妬もしますが、それでも、成田先輩みたいに、見てるだけの人よりはずっといいんですよね。
 成田先輩はまだこのタネを知らないから、平気な顔をしていますが、きっと真実を知ったらとても複雑な顔になりそうです。
 そんなことを考えていたら、不意に後ろから成田先輩に声をかけられます。

「なにか気になる?」

 突然だったことと、ちょうど成田先輩のことを思っていたから、ちょっとだけビックリしたのですが直ぐに気を取り直して、内緒、のポーズを作ってあげます。
 成田先輩。
 知らない方が幸せってこともあるんで、ここは内緒にしておきますね。
 ホントは、先輩の目の前の箱には、とっても羨ましい状態の北野先輩がいるんです。
 でも、成田先輩、全然気付いてないみたいだから、内緒にしておきますね?
 こうして直ぐにビンゴに戻った私は、ビンゴ大会が終わるまで、約三十分の間、みんなと盛り上がって過ごしました。
 でも、一瞬たりとも箱のことは忘れられなかったんですけどね。
 ビンゴが終わるといよいよ、本日最後のショーとなる、イリュージョンショーの開演です。
 お客さん達に見える広いスペースをステージに見立てて、私がアシスタントとなって、主人公の男の子役の人がイリュージョンを披露するのですが、その腕前はなかなかの物。
 さすがにプロに付いてしばらく修行しただけアリ、タネを知っている私でも、驚くような腕です。
 イリュージョンて、タネを知ってると、ちょっと優越感を感じるじゃないですか?
 みんなが知らずに不思議がっているのに、私だけ、その仕掛けを知ってる感じが、ちょっと嬉しいんですよね。
 それって、まるで私たちのような着ぐるみに入る役者さん達の気持とそっくりかもしれません。
 私たちの中で何が起こっているかは秘密の世界。
 みんなは可愛らしい表から見た私たちしか知らないんですから。
 ちょっとした優越感を感じますよね?
 成田先輩も、あのイリュージョンのタネは殆ど知らないはずですから、それだけでも優越感を感じますが、になより先輩は、由佳里の中が気になって仕方がないはずなので、そんな先輩の気になる場所を独り占め出来てる自分にも凄く優越感を感じるんですよ。
 ショーの間、少し暇になったタイミングで成田先輩が、少しだけ休憩したらどうかと提案してくれます。
 私も、ちょっと興奮し続けて疲れてるので、息を整えるために椅子に座って休憩しようと思いました。
 ただ、成田先輩は不思議なことに、また、肩を貸すから身体を預けて来いってアピールするんです。
 そこまでして貰うのは悪いし、私は由佳里ですから、みんなの前で先輩と仲良しをアピールし過ぎるのは良くないと思って遠慮しました。
 でも、何故か先輩は不思議そうな顔をしてるんですよね。
 まるで、私が肩を借りることを当たり前だと思っているみたいに。
 理由が良く分らないので不思議そうに反応してみると、成田先輩も、無理強いするつもりは無い様子で、そのまま少し座って休憩できました。
 そして、その後もアシスタントとしての由佳里の仕事は続き、ショー開始から二十分。
 いよいよ、あの箱を使ったイリュージョンが開始されます。
 スタッフによって運ばれる二組の箱のペア。
 運ばれている時に既に組み立てられいたので、みんなの前に並んだときには、台の底からの高さが二メートルぐらいの、縦長のファンシーケースみたいな感じの箱が二組、十メートル間隔で並べられます。
 私は、ゆっくりとその箱の一つに入り込み、みんなに存在をアピールした後、箱の蓋が閉じられると、合図と共に、一番下の箱の中に身を埋めて、足下にあるリモコンを手に取り、天板を自分で閉じます。
 パチンとロックがかかると、もう中からも外からも、普通には開かないので、あとは手に持ったリモコンで操作することになります。
 直ぐにリモコンの青のボタンの有る位置を押して、そのままリモコンのサイドに付いているファンのスタートスイッチを入れます。
 手順を間違えると箱の外に付いているランプが点灯してしまうので、まずは青いボタンを押して、その後で、ファンのスイッチを押すんです。
 ファンが回り始めると空気が箱の中に送られると同時に、このリモコンが機能を始めるので、青いボタンを押しっぱなしにする必要があるんです。
 真っ暗なのと、既に小さくうずくまっているので何も見えませんが、リモコンのボタンの位置は記憶してますので、その操作は簡単にできるようになっています。
 それにしても、そのうずくまって蓋を閉じてスイッチを入れるまでの時間は、ほんの数秒しかありませんから、忙しくてあんまり気付かないのですが、少し落ち着くと、この姿勢は、猛烈に感じやすいことを思い出すのです。

≪ 北野side ≫

 箱の中で待機する事数分。
 既にいつ出してもおかしくないぐらいに気持ちよくなっている僕ですが、箱の中に小さくうずくまっている由佳里は、相変わらず可愛らしく微笑んでいるはずです。
 ファンの送風が、僕の股間に触れているパニエの布をヒラヒラと揺らせて、僕の固くなっているモノの裏スジをチロチロと刺激し続けています。
 気持ちよくて興奮して、一生懸命息をすると、お腹周りの締め付けが変化し、それがまた、僕のモノを締め付ける。
 余りに気持ちよくて、もっと快感が欲しくなってしまうのですが、自ら折りたたんでいる身体を、今以上にギュッと小さく締め付けるようにすると、股間が更にピチピチに突っ張り、大きな胸が身体と膝に挟まれて、トロけるように気持ちよくなるのですが、それをしてしまうと確実に出てしまうので、必死に理性を総動員して、自分でいつでも指せるトドメを堪え続けています。
 太ももを抱えている腕を動かして股間のチロチロ揺れる布を押さえようとしたら、むしろ中でフワフワに詰まっているパニエが擦れて余計に気持ち良くなり、指で股間の布を押さえることは出来ても、座り込んで挟まっている布をズラすことまでは出来ず、結局事態を悪化させるだけでした。
 指で布を押さえ続けるとチロチロするその布は押さえられても、他のパニエの布が揺れんですね。
 つまりどっちかを我慢するしかなく、僕は元々抱えていたパニエを押さえる方がまだ楽だと思ったので、結局チロチロの布は我慢する事にしました。
 それと、そこまで手が届くと言うことは、敏感な部分を自分で弄ることも出来ると言うことです。
 目の前に快楽の絶頂がぶら下がっているのに、自分で我慢するのって本当に苦しいんですが、今は、さらに誰にも見られない箱の中。
 普段なら、周りに目があるのですから、由佳里が変なことは出来ませんが、ここは僕と由佳里だけの特別な空間。
 由佳里が不自然でエッチな行為をしていたとしても誰にも見られない空間。
 由佳里の中で僕が気持ち良くなっていても、態度に出さなければ誰にも分らないように、今なら、由佳里が少々普段と違う行動を取っても、由佳里を覆う箱が、由佳里を隠してくれているんです。
 箱の外から聞こえる音で、周りには数人のスタッフが移動の準備を始めているのが分かります。
 彼らはランプの点灯状態を見て、箱の中の緊急度をチェックすることはあっても、それ意外に箱の中を気にすることはありません。
 何しろ、由佳里が、その内側に入ってる僕を、こんなにも嫌らしく締め付け、目の前に快楽をぶら下げながら、僕にじっと我慢させているなんて、誰も知らないんですから。
 少々蒸し暑くて窮屈な箱の中に、しばらく入って貰って、タイミング良く箱から出てくればイリュージョン成功。
 もし万が一の時はランプの状態でスタッフが対処するし、最悪の場合、箱から由佳里は自らの操作で脱出できることを知っています。
 つまり、彼らは、由佳里がなんの反応もせずじっと箱の中にいる限り、箱の中は、環境は良くなくても我慢出来ない程では無いと思っているんです。
 実際、何も知らなければ、僕だってそう思うでしょう。
 着ぐるみの演者が蒸し暑くて息苦しいことぐらいは想像出来ますが、これだけ長時間の演技を続けて、しかも態度が特に変化していない着ぐるみを見たら、大変だけどまだ頑張れる範囲だと思うのが普通でしょう。
 テーマパークのキャラクターに触れ合う人が、中の苦悩を気にすることなんてまずないのと同じで、スタッフですら、僕や加藤君が演じる由佳里の完璧な操演に、あの着ぐるみ達は大丈夫、と思わせているんです。
 本当は、彼らの目の前にある箱の中には、アダルトビデオで見る嫌らしい映像なんかよりも、遙かに凄い興奮の快楽を与えられながら、じっと箱の中に留まる選択を続ける僕がいることなんて気にもしてないんです。
 そんな彼らの目の前で、少しだけ由佳里がエッチなことをすれば、由佳里の中にいる僕は、想像するだけでトロけそうな快楽を、由佳里から得られるはずです。
 つい、我慢しきれず、膝ではなく太ももを抱えている僕の腕をギュッと引き寄せると、太ももと腕に挟まっているフワフワのパニエが、少し身体に擦れ、特に股間周りのパニエの揺れている動きが変化して、更に気持ち良くなってしまいます。
 イリュージョンのクライマックスに、僕がこの箱から出たら、後はもうイベントは殆ど終了に近くなります。
 つまり、今日はまだ二度しか出していない僕にとっては、残り時間を考えると、普通ならそろそろ快楽に身を任せて楽しみ初めてもいい頃合いとも言えるんです。
 僕の今日の朝からの調子を考えると、出せて七回。安全を見るなら六回が限度です。
 そう考えるとまだ四回以上余力は持っているので、ここで少し楽になってもいいかな、と言う衝動に駆られてしまうんです。
 ですが、今日はこの後、僕は、成田君に対してとある計画を実行するつもりでいます。
 それは、成田君にとっても辛いはずですが、実際に実行する僕は、相当に苦しいことが想像出来るんです。
 ですから、欲望に任せて、ここで気持ち良くなってしまうと、後が辛くなるので、僕は込み上げる衝動を必死に押さえて、箱の中でじっとし続けています。

(苦しぃよぉ……ハァハァ…た…たすけて……気持ち良すぎる……ってば……)

 猛烈な葛藤の中で、ただじっと時間が来るのを待つ僕ですが、いよいよイリュージョンショーに向けて、箱が搬出されるタイミングが来ます。
 スタッフのかけ声によって箱がゴロゴロとキャスターを使って移動しているのが分ります。
 僕はタダはこの中に入っているだけですから、今、何処を通って移動しているのかは全く分りませんが、この移動の振動もまた、僕を悩ましくしてしまいます。
 タダでさえファンの低周波振動や、送風される風が揺らすパニエの布が、僕のカチカチになっているモノを刺激し続けているのに、そこに移動することで生じる振動まで伝わって来るんですから、それはもう我慢するのは地獄と言っていいぐらいでした。
 ただ箱に入っているだけであれだけ気持ち良かったのですから、移動時の振動がどれ程僕の苦しさを増幅しているかは想像出来ますよね?
 小さな箱の中で、綺麗なドレスに身を包んだ由佳里というヒロインに密閉されながら、殆ど身動きできない状態で、襲ってくる快感を受け止め続けて、でも出しちゃダメ、って、相当苦しいって言うことが分ると思います。

(出しちゃダメだ……ここだ出しちゃ……我慢……我慢して……あっ…でもダメ…出ちゃう…っくっ……出しちゃうって……ん……)

 由佳里の中の快楽地獄と、箱の中でうずくまる由佳里の笑顔、そして、外から見たらなんの反応も示すことなくただ静かに存在している箱、のそれぞれのギャップを想像したら、それだけでも相当に興奮できてしまう程です。
 数分かけて、箱が野外に運び出されたようで、ようやく移動が止まります。
 外ではざわざわとした人々の声も聞こえ、凄く楽しい会が続いているみたいです。
 そんな会の片隅に置かれた箱の中で、僕は息を潜めてじっと苦悩と戦い続けているのですが、ここは野外。
 ファンの送風によってじわじわと野外の熱気が箱の中に送り込まれ、あっという間に箱の中が野外の空気で満たされてしまうことになりました。
 快楽によって興奮した僕にとって、この湿気を含んだ空気は、かなりの苦しさでした。
 苦しくて、一生懸命に息をすると、お腹が伸縮して、それが締め付けを変化させ、更に僕を興奮させてしまう。
 気持ち良くて、苦しくて、本当にツライのですが、じゃあ箱から出たいかと言われたら、僕は、絶対に出たくありませんでした。
 それはイベントを成功させたいという大義名分もあるのですが、それ以上に、こんな人も羨むような苦しい環境に身を置ける自分に、大変な喜びを感じていたからなんです。
 こんな風に、いつでも出せるぐらいまで追い込まれながら、必死に我慢を続けていると、箱の外から人の声がしました。

「なにか気になる?」

 成田君の声です。
 成田君が近くにいる。そう思ったら更に興奮が増してしまいました。
 多分、加藤君の入っている由佳里が、箱を気にしているんです。
 彼もまた、僕の状況を想像出来る数少ない人間ですから、気になって仕方がないんでしょう。
 今、箱の外に、由佳里と成田君がいて、箱を眺めている。
 由佳里は、中に加藤君がいて、きっと僕を想像している。
 成田君は、箱の中に何があるかを知らず、由佳里にどうしたのか聞いている。
 それがどれだけ僕を興奮させていることか、想像出来ますか?
 加藤君。箱の中は凄いです。由佳里は僕に今すぐにでもイクぐらい気持のいいことばかりし続けています。
 出したくて出したくて、仕方がないけど、でも我慢し続けてます。
 ドレスのパニエが、由佳里の股間を優しく撫で続けてて、それが僕をどんどん追い込んでいるんです。
 手で位置をずらしたくても、今の体勢では布が身体に挟まってて上手く動かせないし、指で押さえ続けると、他の布が揺れて気持ち良くなってしまうので、結局、僕はその快感を受け入れ続けるしかないんです。
 加藤君なら、それがどれだけ苦しいことか、分るよね?
 同じ由佳里の身体に入っているんだし、衣装は違っても、リハーサルで同じ箱に入ったんだし、想像出来るよね?

 イキたい。
 イキたいよ。
 僕、ホントに出したいんだ。

 箱の中の由佳里は、少しだけエッチなことをするかもしれないけど、加藤君からも見えないでしょ? だから許して欲しいんだ。

 そして、成田君。
 由佳里は、ここにもいるんだよ?
 成田君は気付いてないかも知れないけど、目の前にあるその箱の中には、君の大好きな由佳里が、身体を小さくして息を潜めて入ってるんだよ?
 箱の中の由佳里は、凄く苦しくて、そして凄くエッチな事を僕にしてきます。
 僕はもう、いつ出してもおかしくないぐらい気持ち良くなっちゃってるけど、じっと我慢を続けてるんだよね。
 多分成田君が本当のことを知ったら、凄く羨ましがるだろうなぁ。
 僕がこんな状態だって知ったら、由佳里の入っているこの箱を直視できないんじゃないかなぁ。
 そんな成田君が羨ましがる場所に、僕は今、こうして入り続けてるんだよね。
 由佳里の中にいるだけでも、きっと相当に羨ましいと思っているはずなのに、そんな由佳里の身体のままで、こんな豪華な衣装まで纏ったままで、こんなに小さな箱の中で、殆ど身動きも出来ない状態で、ただただ苦しさと、襲ってくる快感に耐え続けているなんて、成田君にとっては相当に羨ましいことに違いないはず。
 君の大好きな由佳里を独り占めしちゃってゴメンね。
 でも、もうダメかも知れない。

 加藤君と、成田君のことを想像したら、ホントにもう我慢が出来なくなって来て、身体が言うことを聞かないんだよね。
 太ももを摺り合わせて、抱える腕をギュッと引き寄せて、大きな胸を身体と膝で押し潰すように締め付けて、少しだけ動く、リモコンを握っていない方の手首で、パニエの生地を引っ張ったりして、本当に頭が真っ白になって、こんなに苦しくて気持のいい箱なら、もっとずーーっと入っていたいって思うぐらいになっていました。
 そして、太ももを摺り合わせる力を更に増したその時、股間に触れているパニエが、タイミング良くその嫌らしい食い込みを見せる、敏感な場所に挟まってしまい、パニエ毎締め付けてしまうことになったんです。
 柔らかいパニエが、シワをいっぱいに作っ股間に押し当てられる快感は、今の僕には、気持が良すぎました。
 僕はリモコンを握っている方の手が、リモコンのボタンを放さないように、膝と箱で、手を押さえるようにしたまま、由佳里の中にとってもとっても気持のいい液体を放出していました。
 外にはまだ成田君がいるようでしたが、成田君は箱の中の僕が、今こうして出してしまっていることなんて全く知らないんでしょうね。
 凄く気持が良くて、なんにも力が入らないぐらいに快楽に溺れてしまっているのですが、その放出時間の流さは、今日三度目だと言うのに、全然衰えることを知りません。
 そのぐらい、箱の中が素敵な場所だと言うことですが、そのことを知っているのは、世界中で、由佳里の中にいる僕と加藤君の二人だけなんです。
 それは凄い優越感ですよね。
 それにしても、出した後の息苦しさは相当な物で、箱の中は酸素がないんじゃないかと思えるぐらいに息苦しくなっていました。
 ファンによって送り込まれた野外の空気を、一生懸命に吸っても吸っても、全然足りないんです。
 着ぐるみのシステムからすれば、酸欠はあり得ないし、実際僕は気を失うどころか、苦しくても、しっかり意識が続いています。
 そう言う意味では、生きていく上での酸素は足りているはずなんですね。
 でもこんなに苦しいと感じるのは、きっとその直前の快感が、余りにも凄かったからなんでしょう。
 凄く荒い息を、一生懸命に整えるから、どうしても苦しく感じてしまうんでしょう。
 でも、箱の中で小さくうずくまっている僕は、大きく深呼吸することなんて出来ません。

 スーハー、スーハー、スーハー、スーハー。

 ストロークを短くして回数を増やして、この環境でなんとか空気を吸うために頑張るのですが、そんな苦しさが外に知られることなんてあるとは思えません。
 加藤君は、リハーサル中に箱の中で出したことはないと言っていましたし、僕も今日が初めての経験だったので、その苦しさに、出してみて気付いたぐらいなんです。
 ですから、加藤君が万が一にも、この箱の中で僕が出していると想像したとしても、この苦しさまでは想像出来ないはずなんです。
 しばらく一生懸命に呼吸を続けていたんですが、想像以上に息苦しいので、その原因を色々と考えてみたんです。
 そうしたら、ふと、あることに気付きました。
 さっきまで送風された空気によって優しく由佳里の股間を撫でていたパニエの布の感触が無くなっているのです。
 そして冷静になって思い出しました。
 そう。
 僕がイク時、太ももでパニエを挟んで、そのパニエの布が股間の隙間に滑り込むように押し当てられていたはずです。
 そして、それがそこに留まり続けていることに気付いたんです。
 パニエが呼吸口を塞いじゃってるから、こんなに苦しいんですね。
 この布が外れてくれれば、少しは呼吸が楽になるはずと言うことになります。
 僕がギブアップしない限り、まだしばらくは、この箱が開くこと無いいはずですから、そう考えると、なんとかしてパニエの布をこの隙間から取り除く方がいいと思いました。
 そこで、何とか動く方の手首や、太もも、お尻、そして身体を揺するようにして、隙間から布を引き離すように一生懸命に頑張ってみます。
 ですが、僕が動けば動く程、その布は、他の布を巻き込むようにして、余計に股間に擦り付いて来てしまいます。
 手で布を押さえれば、なんとか呼吸経路は確保できますが、今度はパニエの別の布が股間に滑り込んできて、その布が僕を虐め始めるのです。
 ボリュームたっぷりのフワフワのパニエが、僕を快楽から逃してくれないんです。
 どれ程手で避けても、次から次に布が隙間に入り込み、捉えて逃がしてくれません。
 モジモジと箱の中で僅かに動く身体を使って格闘すればする程、アリ地獄のように、股間に擦りつけられた柔らかい布が僕のモノを刺激し、身体の各所を動かすことで、ピチピチのドレスの締め付けが嫌らしい感覚を産んで、みるみるうちに元気を回復していくのが分ります。
 ここでもう回復しちゃったら、また箱の中で苦しまなければなりません。
 ですから、なんとかもうしばらく回復を先延ばししたかった。
 ですが、どんなに快感を忘れようとしても、やはりこの箱の中の快楽は、僕を引き込んで捉えて逃がしてくれません。
 固くなればなるほど、加速度的に締め付け間が増し、それがまた快楽を産み出し、由佳里のスッキリしているはずの下半身の中で、僕のモノは、あっという間に嫌らしい固さを取り戻してしまいました。
 こんなに嫌らしい戦いが続いていることに、みんな気付いてないんでしょうね。
 早くイリュージョンが始まって、箱から登場できれば楽になるのに、まだビンゴ大会がようやく終盤と言う状態。
 イリュージョンが始まっても、二十分ぐらいかかるはずなので、その先の時間を考えると、本当に頭がクラクラして来ました。
 この先を考えると、もう本当にこれ以上ここで出すわけにはいかない、と言い聞かせて必死に耐えるのですが、どうしても、さっき出したときに、その余りにも気持のいい時間が思い出されて、ついつい、目の前にぶら下がる快楽に溺れそうになるのを、本当に寸前で我慢し続けていました。
 この体勢なら、またちょっと身体に力をかけて胸を潰したり、太ももを摺り合わせて股間を締め付けたりすれば、ものの十秒で最後まで達するぐらい嫌らしい快感に溺れた状況にあります。
 本来、着ぐるみは、女の子が感じるような行為をしなければ、快感は制御されて、イク寸前で止まるはずなのですが、ここまでピチピチに締め付けられ、小さくうずくまった状態で、敏感な場所を締め付けたり擦ったりしたら、コンピュータも、女の子がエッチな行為をされていると判断してしまうんでしょう。
 実際、箱がなかったら、中途半端なエッチ行為より、よっぽど嫌らしい光景に写る気がするぐらい、箱の中の由佳里は、小さくうずくまったまま嫌らしい行為を寸前の所で思い留まっている状態でした。
 こうして長い長い戦いが箱に入った由佳里の中で続き、何とかギリギリの所で思い留まりながら、イリュージョンが開幕します。
 あとちょっと。
 あとちょっと我慢すれば、何とか耐えきれる。
 出したい感情を、必死で堪え、何度も直前まで込み上げている物を押しとどめ、目に涙を浮かべながら快感に耐え続け、ようやく、本当にようやく、最後のテレポーテーションの演目が開始されます。
 箱が再び移動し、みんなの前に並べられますが、その移動も、当然僕には最高に苦しい時間でした。

(ァ……も…もうダメだ……ホントにもう限界だ……た……たすけて…は……早く箱から出して……じゃないと僕が出しちゃう…苦しいよ…こんな狭い場所で…ずっと我慢し続けるの…ホントに苦しいよ……)

 必死の我慢の中、本当にあと少し。
 もう数十秒、我慢すればあとは蓋が開いて箱の外に可愛らしく登場するだけ、と言う所になって、最後の試練が訪れます。
 箱を空にするために、箱の四隅に儲けられた油圧リフトが、僕の入っている二重構造の内箱を持ち上げるんです。
 その油圧リフトが稼働を始めた瞬間、カクンと言う軽い振動が内箱全体を揺らしてしまい、それが決壊の第一歩でした。

(んぁっ……っくっ……)

 それでも稼働開始したその振動は、もう先っちょでジワリと滲み始めている状態のままなんとか堪えられたのですが、リフトが上まで達した時の振動が、そのせっかく堪えた物を押し出すように、由佳里の入る箱全体をカクンと揺らしてくれたんです。

(……んんんんっっんぁっ……)

 僕は、その瞬間、箱の中で二度目の放出をしてしまっていました。
 先程よりは放出時間は短かったような気もしますが、普段の仕事なら最初の一回目と言っても通じるぐらいたっぷりと、由佳里の下半身に放出を続け、僕はそんな中で、リフトに揺られながら、一番下の箱まで戻され、勢いよく上蓋が開いたタイミングで、立ち上がって、ポーズを作り、次の瞬間、箱の中から由佳里が登場していました。
 実は、登場している由佳里は、まだ放出を終えていない状態だったのですが、そんな放出を続けながら、小さい箱から立ち上がって、ポーズを作って箱から出て行くことは、想像以上に苦しい行為だったのは言うまでもありません。
 多分、ここにいるみんなは、僕の苦労に気付くことは全くなく、瞬間移動してドレスに早着替えをした由佳里に驚いている様子。
 僕は精一杯元気に、素敵な由佳里を演じながら、みんなの前に登場し、こうしてイリュージョンの全演目が完了しました。
 拍手喝采で、みんなかなり楽しんでくれていた様子に、ウンウンと満足そうに頷く由佳里を演じながら、チラリと僕が出てきた箱とペアになっているもう一方の箱を見ると、その箱は、ひっそりと静まりかえっています。
 まるで人気は感じられずただ存在する箱。耳を近づけるとファンの音が聞こえるはずですが、みんながそこまで近づくことは無いでしょうし、そこまで近づかなければ、この箱に誰かが潜んでいるなんて思う人はいないはずでした。
 ですが、あの箱には、確実に由佳里がいて、今頃あの空間を独り占めしているんです。
 あの空間は、入っている人にしか分らない、とても苦しくて、とても素敵な空間。
 そんな場所に、今、もう一人の由佳里が入っているんです。

≪ 加藤side ≫

 箱に入って蓋を閉じ、リモコンのスイッチを押し始めると、自分の体勢が猛烈に感じやすいことを思い出してしまいます。
 今の私は、体育座りより、さらに身体を縮めるようにうずくまって箱の中にいるんです。
股間辺りの布や、由佳里の身体が、かなりピチピチに私を締め付けています。
 そして、大きな胸が膝と身体に挟まれるようにして潰され、少しだけ膝によって持ち上げられるようになっています。顔もくの字に曲げて入ってるので、頬の辺りは胸と触れ合って、ちょっとでも身体を動かすと、感じてしまうぐらい窮屈な状態にあるんです。
 その上、この箱の送風ファンは立て付けがあんまり良くないんです。
 だから、回転の振動がブーーーンと伝わってきて、お尻の辺りをムズムズさせ続けることになります。
 それと、最悪だったのが座ったときの位置です。
 急いで座ることに集中していたら、ドレスのスカートが股の間に挟まるように形になってしまっている様子。
 股間に触れるか触れないかのギリギリの感じがもの凄くもどかしくて、ついお尻をヒクヒクさせてしまいます。
 それでも、殆ど身動きは出来ないから、ここの布が付かず離れずの感じを維持し続けるんです。
 その感触の意地悪さって言ったら、ホントに私の味わったことの無い物でした。
 練習で何度か箱に入ったときは、一応二十分間は、耐えることが出来ました。
 苦しかったし気持ち良かったけど、我慢できたのは、練習だと思って安心して、丁寧に箱に入れたから。
 本番でつい慌てて入っちゃった為に起きた悲劇ですが、今更箱の外に出て入り直すことは出来ないんです。
 ですから、私はこのムズムズするような箱の中でピチピチの身体を小さく折りたたんでうずくまり続けることになります。
 箱に入って数分。
 気持ちよさもあって箱の中の空気はもの凄く蒸しています。
 野外の空気に蒸されながら、私の呼気と興奮のが産む体温のせいで、サウナのような蒸した空間になっている箱の中で、ちょっと力を入れたら胸や股間が締め付けを感じるぐらいピチピチした身体と衣装に耐え続けています。

(き……気持ちいいよ……こんなに感じる状態で、私、いつまで我慢するんだろう…練習では二十分だけど、あの時はこんなに苦しくなかったし、感じなかった…でも今は、本番だからイベントが終了するまでこのままなの……このまま身体をギュッてしたら簡単にイケちゃうぐらい、凄く感じるのに…まだ先があるからと思うと、我慢しなきゃって……き…北野先輩…ホントにこんなに気持ちいい場所に五十分もいたんだ…私も頑張らなきゃ…)

 気を抜くと快感によってボタンを押す力が抜けそうになる所を、必死で我慢して箱に入り続ける私。
 全身ピチピチになっている今の私にとっては、ここからイクのは凄く簡単で、ちょっと膝を抱える腕に力をかけて引き寄せて、大きな胸を強く締め付けたり、顔を動かして頬で胸を押したりすると、それだけでトロけるような快感に変わってくれるはずです。
 お尻のムズムズする感覚に負けて、お尻をヒクヒクさせてしまうと、そこにあるスカートの布がソフトに股間に触れて、思わず息が止まるぐらい気持ち良くなってしまいます。
 こんな状態で、イベントが終了するまで箱に留まるだなんて、本当に涙が出そうなぐらい先が長く感じました。
 でも、箱から出る気は一切ありません。
 さっきまで北野先輩が入ってる箱を見て、あんなに羨ましかったんです。
 その箱に、ちょっと衣装は違うけど、今は私が入ってるんです。
 きっと北野先輩だって、私の入るこの箱のことを色々想像しているはずです。
 今度は私が想像される番。
 そう思ったら、こんな苦しい、こんなエッチな箱の中に、まだまだずっと留まっていたいって思うのはごくごく自然ですよね?
 こうしている間も、私の上向きに固定された息子は、由佳里の下半身によってピチピチに締め付けられ、その上チャイナドレスがウエストや胸を凄く締め付けている感覚も伝わり、それだけでも込み上げる物を堪えるのがツライのに、苦しいから一生懸命呼吸すると、ウエストの辺りの締め付けが変化して、とっても切なくなって来るんです。
 じっとしていてもこんな感じなのに、ちょっと力の入れ加減を変えると、その加減を身体が受け止めて、私を虐めることを繰り返す。
 箱の中は本当に快楽の地獄と言える程、素敵な空間に変化していました。
 さっき北野先輩が入っていた箱も、きっとこんな状態だったはずで、それでも外から見たらただの箱にしか見えなかった。
 今も私の入るこの箱は、外から見たらただの箱にしか見えないはず。
 そう言うことを想像すればするほど、余計に興奮してくるんですよね。
 外の音は聞こえてきますので、外でどんなプログラムが進行しているのかだけは分ります。
 そして、イリュージョンは終了し、スタッフが箱を撤収する為に移動するのも分りました。
 今の段階では、まだ箱は広場の端のスペースに置かれるだけですからそんなに長距離の移動ではありません。
 そしてその端でそのままイベント終了まで放置され、みんながいなくなった後で、私が箱から出て行くことになっていました。
 こうやってイベント終了まで箱を、みんなの見ている前に放置する事で、みんなからも、箱の中に誰かが入っていると言う先入観を無くすためなのだそうですが、つまり私はそう言う放置された箱の中に留まり続けなければいけなくなります。
 もちろん本当に箱の中に入っていることが苦しければいつでも中止は出来るし、今握っているリモコンのボタンから手を離して放置すれば、まずはスタッフが箱を回収して楽屋に引き上げることになっていますし、緊急時には別のボタンを押すことで、その場で箱にカバーを掛けてスタッフが救出してくれることになっています。
 最悪の場合、私自身が箱の蓋を開けて出て行く選択も用意されているので、放置されることに不安感は全く無いのですが、この蒸し風呂の中で、目の前にぶら下げられている快楽に溺れずに頑張り続けることに対する不安はちょっぴりあります。
 私はみんなの前にいて、みんなからは見えない。
 由佳里の中にいるだけでも、由佳里の中で起こっていることはみんなには秘密に出来るのですが、今や、私に快楽を与え続けているその由佳里すら、みんなからは見えないんです。
 ホビー21の楽屋で、自分の入っている着ぐるみに対してお仕事最後に悪戯をすることは良くあります。
 最後にスッキリして着ぐるみから出て仕事を終わるのは、役者の中では良くあることなんです。
 ですが、今は仕事中。
 操演途中でイクことも良くあるのですが、それはあくまでも見た目の着ぐるみは平静を装った状態で、中にいる私だけがひっそりと息を潜めて処理をするんです。
 ですが、今は仕事中なのに、まるで楽屋にでもいるかのように、みんなに隠れて由佳里を好きに出来る状態にあります。
 しかもこんな小さな箱に、こんなうずくまったスタイルで入っているので、それだけで相当に気持ち良くなってしまっています。
 これで理性を維持するのは、正直なところかなり苦しいことでした。
 もう寸前まで来ている液体を、そのまま由佳里の中に出したいと言う欲求と、でもこのまま我慢を続けて苦しむことの興奮を天秤にかけながら、ただじっと箱の中で時が過ぎるのを待ち続けていました。


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