バスツアー(7話) [戻る]
[前へ] [次へ]


椅子の下からアヤメをイタズラする僕。
そんな中、ふと足元を見ると、アヤメ用の私物のバッグが目にとまります。
バッグの口は、元々完全に締まるタイプではなく、開いているので、上から見ると何が入っているかが丸見えなのです。
そんなバッグにはハンドミラーやヘアピン、ツインテールを結ぶゴム、等が入れられ、他にも、着ぐるみには必要なさそうな手帳とか携帯電話であるとかが入っているようです。手帳は可愛らしいものですし、携帯についても北野の物とは違うようです。
もしかすると北野は、普段使い用以外にも、もう一個女の子が使っていても違和感が無いような携帯として、わざわざピンク色のスリムな携帯を選んで持っているのかもしれませんね。実際、このバッグに入っていても違和感は全くない携帯電話です。
アヤメの中が北野であることは分っているのに、こうやってアヤメのバッグに携帯が入ってると、この携帯を北野が選んで買っている事が想像出来て、また色々悔しくなってしまいます。だって、自分が入る着ぐるみが使う事を想定しているって事ですから。
そして、いくつかの小物に隠れて、携帯のピンクよりさらに鮮やかなピンクの物体がちょっとだけ見えていました。

僕はそのピンクの物体があまりに鮮やかなピンク色をしていたので、気になってバッグから取り出してみました。
すると、なんと驚くべき物が出てきたのです。

ピンクの物体は、いわゆるピンクローター。それもリモコン式の物でした。
確かに着ぐるみに入る役者は、最後に楽屋に戻った後は、色々自分で楽しむ、と言う話は聞いたことがあります。
恐らくこれはその時に利用している物なんでしょう。毎回こいつの振動で、どんな世界を楽しんでいるかを想像するだけで、とても羨ましく思いました。
僕は思わずこのローターを手にとって、軽くスイッチを入れてみると、その振動は見た目に比べてかなり激しく、しかも意外と音は静かです。最新式のローターなのでしょうか?携帯のバイブレーターの20%ぐらいの音量で、振動は携帯のバイブレーターの倍以上の強さです。

このローターを手に、僕は凄いことを思い付いてしまいました。
シートの生地に安全ピンでリボンを固定する場所を作り、手近にあった細い棒を、アヤメのお尻の割れ目に沿うように、リボンを使って固定し、その棒に、テープでローターを固定するんです。工作時間は僅か3分。でも、これでローターが動くと、お尻の割れ目に沿ってローターの振動が伝わる事になります。
試しに軽くスイッチを入れてみると、シートのクッションがいい感じに音を吸収してくれて、殆ど音はしないのに、アヤメのお尻がこれまでにないぐらい切なそうにヒクヒクと反応し、次の瞬間、椅子から腰を浮かすように、シート裏から見えるお尻の形が小さくなりました。
直ぐにスイッチを切り、リモコンはポケットに隠して、何事もなかったように楽屋を出て行く僕。

10分ぐらい楽屋でリボンを探していた事になっているため、お客さん達にもねぎらいの言葉をかけてもらいます。
僕はお客さん達の目の前で、アヤメのリボンを外し、新しい物に付け替えます。
幸いにも胸の穴ではなく、リボン側の穴が壊れただけなので、彼女の身体に巻き付いているヒモは取れていませんから、リボンの固定は直ぐに終わります。
ですが、お客さんの目の前で、ヒモをギュッと引っ張って胸を締め付け、その状態でリボンを固定する行為は非常に悔しい物でした。
しかも、今のアヤメは、先程まで僕が何をしていたかを知っていながら、まるで何も知らないようにあどけない態度で接して来ます。さっきまでの可愛らしいアヤメは何一つ変わることなく、僕にリボンを固定して貰ってとても喜んでいる様子。そのまま椅子に座れば、あの棒がお尻に食い込み、その後は僕がポケットにしまったスイッチがいつ入れられるのか分らないまま、可愛いアヤメとしてお客さんの前に存在し続ける事になるのです。
裏側にいる北野にとって、それがどれ程苦しい世界なのか、想像できてしまうだけに、何も気にしていない様子のアヤメに、これまでに無いぐらい激しい嫉妬を覚えたのも事実でした。

アヤメは席に着くと、一瞬だけ、お尻がピクリと反応したようでした。まるで棒が食い込んだことに対して、とても切なそうな気持ちをぐっと堪えているかのように。
でもお客さん達はその反応に特別に気づく事は無い様子ですね。

その後もカードゲームを続けるアヤメ。
僕は10分くらいは何もしないでアヤメの様子を眺めていました。恐らくい、アヤメの中では、いつスイッチが入るのかを想像し、とても切ない感情と戦っているはずですが、アヤメがそう言う態度を取ることはありませんでした。

10分ぐらい経過して、アヤメが椅子に座って他のプレイヤーのプレイを眺めている時、不意にスイッチを入れてみました。

カチッ

その瞬間、アヤメの腰がぐいっと切なそうに動き、何かから逃れたいのに不自然な動きを出来ない自分の立場と必死に戦っているような仕草をします。
もちろんそんな仕草は僕にしか分らないのですが、不意に入れられたスイッチだった事と、自分はプレイの順番ではないので椅子から動くのは不自然と言うこともあり、アヤメには何も出来ないのです。

最初のスイッチはほんの10秒ほどで切りました。

ですが、あの反応は、僕を十分に嫉妬させると共に、悔しさから、さらにアヤメを虐めてみたくなっていました。
先程椅子の裏からアヤメを弄った時と同様、アヤメの裏側を自分に置き換えて想像していると言う部分もあったかもしれません。
あんなに羨ましい状況が、もし自分だったら、、、それを想像したら、本当に堪らない気持ちになるのです。

そんな状況にあっても、アヤメは、アヤメとして存在し続けます。
例えば、椅子に座りたくないのであれば、そこを立ってお客さんにじゃれて回るフリでもして、他の席の横にちょこんと座ってしまうことだって出来るはずです。実際、朝のバスの中では、短時間でしたがそう言うシーンも何度かあったのです。
ですが、アヤメは特に席を立つこともせず、これまでと変わらず、椅子に座りながらゲームを続けているんですね。

スイッチを入れたり切ったり、お客さんの視線が外れている時も、お客さんとコミュニケーション中も、色んな状況でアヤメの反応を観察していますが、その殆どは、まるで何も感じていないような、至って普通のアヤメでした。
スイッチが壊れてて、ローターが動かないんじゃないか、と思うような時もありました。

ただ、アヤメが時々見せる、本当に切なそうな足や腰の動きが、間違いなく椅子の下に仕込んだローターが動いて、しかもアヤメに伝わっている事を僕に知らせていました。
アヤメの中にいる北野は、あのローターの責めをどのように受け止め続けているのでしょうね。
僕がいつスイッチを入れ、いつ切るかも分らないまま、他のお客さんには全く分らないようにアヤメとして存在し続けています。
通常は、着ぐるみが持つ快感の制御機能によって、感じ過ぎる状態になると感度がかなり落ちて、演者が落ち着くまで待つので、それはそれでイキたくてもイケず、焦れったくて苦しいのですが、女性が本当に感じるような行為をされた場合には、その感度制御が余り働かなくなると言う機能も含まれているので、ああやって敏感な場所に振動を与えられれば、恐らくアヤメの持つ感度制御は、殆ど機能をしていないはずなのです。
となると、そこから先は、中にいる演者が我慢するしかなく、あの身体の中で、あの快感システムの与える刺激を、逃れることなく受け続ける事は、どれだけ慣れた演者であっても、快感地獄と言っていいと思うのです。

恐らく僕なら、最初の10秒で果ててしまっていた気がします。そのぐらい激しい興奮が襲うのです。

もちろん、今のアヤメの中で、北野が我慢を続けている保証は何処にもありません。もしかしたらこの瞬間にも、彼女の下半身には白い体液が放出されているのかもしれません。演者は、イク時に、イク事を周りに悟られないように振る舞う訓練はたくさんしているので、外から見ている僕らが、明確に中の人間が果てている瞬間を知ることは、殆ど不可能ですから。
ただ、まだバスは終点にも着いていませんし、朝から着ぐるみを着続けている事を考えても、北野がイク事の出来る回数は、もうそんなに多くはないはずなのです。イケなくなると、途端に着ぐるみ内の環境は、羨ましくて耐え難い気持ちの良い苦しさから、単なる蒸し風呂の世界へと変化し、ベテラン演者であっても1時間その状態にいると、もうギブアップと言う人が殆どです。
残りの時間を考えても、今その状態になると言うことは、途中で演技を中止して、着ぐるみから出てくる必要がある状況もあり得ます。
そんな事は演者にとっては絶対に避けたい状態です。ですから、演者は残り回数と時間を計算し、どんなにイキたくなっても理性を振り絞って我慢する事になるのです。

ただ、それは凄く苦しくて切ない我慢なのですが、出し尽くして着ぐるみが機能を停止した後の、本当の不快感とは異なり、演者達は皆、例え時間に余裕があって、ある程度好きなだけ果てられる操演スケジュールの時であっても、その苦しくて切ない我慢は続けているらしいんですけどね。
3時間ぐらい演技を続け、もう操演の時間が終わり、後は楽屋に戻るだけって言う段階で、まだ1度も果てて無いって言う日もあるらしいですから。
もちろんその時の楽屋に戻るまでの一歩一歩は、本当に切ない歩行になるらしいです。楽屋に戻って個室に入ったら、その場でしゃがみ込んでオイタを始めてしまう役者さんもいるぐらいらしいのですが、北野は、そう言うときこそ、最後まで演じ切って、ドレッサーに座って、おすまし顔で髪の乱れを直しながらイクのが好きみたいです。

僕も経験できるのであれば、一度で良いからそう言う状況を味わってみたいなぁと思いながら、北野の話を聞いたことがあるのですが、残念ながら今の僕の力では、僕の直ぐ目の前で北野が体験し続けている世界には、行けないんです。悔しくてもこれが現実なんですね。

今の北野は、恐らくはアヤメが伝える刺激を容赦なく受け止め続けているはずです。制御の働かない快感を受け止めながら、理性を総動員して果てる事を拒否し、そんな中でアヤメを演じているはずなのです。
僕の手に握られたスイッチ操作一つで、アヤメの中が悔しくて羨ましいぐらいの世界になっているはずなのに、僕やお客さん達から見えるアヤメは、今までと何も変わらず、可愛くあり続けているのが、僕の悔しさを更に加速させていました。

ちょっとぐらいボロを出してくれればなぁとも思うのですが、アヤメは、お客さんや僕が明確におかしいと分るようなボロは出してくれません。僕が事情を知っているからこそ分る僅かな変化は時々見られるのですが、それはそれでまた、その反応がとても悔しくて羨ましくなってしまったりもしました。

そんな状況で、最初にスイッチを操作し始めてから30分ぐらいの時間、スイッチを入れたり切ったりしながらアヤメの様子を眺めつつ、バスは一路ホビー21を目指していました。
このまま行くとあと10分か15分でバスは高速道路を降りて、そこから直ぐにホビー21の店舗に到着できると言う段階になって、急にバスが停止します。
どうやら渋滞に捕まったようです。15キロ先にある次の出口が目的地なのですが、バスはノロノロ運転を始めてしまいます。
お客さん達は、あーあ渋滞か、と言う反応をしていますが、ただ、それ程困っている様子はありません。元々このツアーは、着ぐるみの操演時間との兼ね合いもあり、あまり無茶な長時間ツアーとしては設定されていないのです。少し早めに梨狩りを切り上げるのも、渋滞に巻き込まれないで早く帰る為の工夫でもありました。
それなのにこうして渋滞に捕まってしまいました。
今の進み具合では、この後まだ1時間ぐらいはかかりそうです。お客さん達は時間に余裕がある様子なので、困っていると言うよりは、もう少しゲームを続けましょう、と前向きになっているようですが、この中で尤も困るのは、間違いなくアヤメの中にいる北野です。

我慢に我慢を重ねて、もうあと15分もすればこの我慢からも解放される、と言う状況まで来たのに、そこから更に1時間プラスなのですから。
思えば、農園を出発する直前にも、野外でバスに戻れる寸前に、農園の人達に呼び止められて、みんなでおやつをご馳走になりました。
その時ですら、相当に苦しかったはずですが、今のアヤメはその時から比べても、地獄のはず。

そもそも非常に感じやすく、がんじがらめに拘束されているような衣装を身につけているのに、その上で僕がローターを操作して、余計な刺激を与えているのです。
これで苦しくないはずがないですよね。

でもアヤメは、今までと全く変わらない態度で、僕のスイッチ操作を受け入れ続けていたのです。
悔しくて、凄く意地悪なスイッチ操作を繰り返してみても、アヤメの態度が変化することはなく、むしろ僕がさらに悔しくなってしまっていました。

その上で、ここに来ての渋滞です。
僕は、渋滞の案内が出ている電光掲示板を路上に見つけ、そこから出口までのおおよその時間があと50分であると言う事をみんなに告げました。
お客さん達は納得したようにゲームに戻ります。

その後、3分ぐらいして、僕がポケットの中のスイッチを操作した直後の事でした。
タイミング的にはアヤメがお客さんにカードを取らせる為に、手持ちのカードを隠すように広げて見せた瞬間。
身体がこれまでよりも大きくピクッと反応したのです。
お客さんはその反応に、一瞬だけ、何??と不思議がりました。
アヤメは頭を恥ずかしそうにポリポリかく仕草をして誤魔化し、直ぐにまたお客さんにカードを引かせました。
そして、自分の順番が終わり、お客さんの目線が自分から外れた一瞬の合間に、アヤメは僕にふっと振り返り、何かを嘆願するように、イヤイヤと首を横に振って来たのです。

僕は、その反応に驚きつつも、何も知らないように、首をかしげて笑って見ます。

そう。まるで「どうしたの?」と質問するかのように。

するとアヤメは一瞬お客さんの方を見て、まだ自分に視線が来ていない事を確認すると、小さなジェスチャーで自分の椅子を指さし、その後、指先でバッテンを作って僕に何かを訴えかけて来ました。

僕は意地悪く、軽く笑顔をつくりながら「しーらない」と首を横に振ります。

それでももう一回、嘆願するように、アヤメが首をイヤイヤと可愛らしく振って、僕にアピールします。
そしてアヤメは直ぐに前を向いて、お客さん達に気づかれていないことを確認すると、ゲームに戻っていきました。

やはりアヤメは平気なフリをしているだけで、本当は相当に苦しいのでしょう。
いつ襲ってくるか分らない振動と、全身を覆う衣装の刺激が、アヤメの中を地獄に変えていたのです。

これは想像ですが、あと15分でバスはお店に到着できる。そう言う計算があったから最後まで我慢し続けようと必死に理性を振り絞っていたのだと思うのです。それがどんなに切なくて苦しくて気持ちの良い判断だったのかは、僕には想像しかできないのですが、そうやって我慢する時間を過ごし続け、本当に限界が近づいていたこの時間帯に、さらに渋滞で50分程の延長が決まってしまった事で、恐らくはアヤメの中で必死に戦っていた理性が、もう続かなくなってしまったと言う事なのだと思うのです。

あんなに可愛いアヤメの中では、北野の液体が出るギリギリ寸前まで追い込まれ、これ以上は無理だと言うギブアップ宣言をしてきたと言う事なのでしょう。
普通は着ぐるみの演者は、操演中は中にいる自分の気持ちは見せてはいけない事になっています。
それは、殆どのケースでは、僕のような着ぐるみのサポート係は、着ぐるみの裏事情を知らないと言う理由もあり、演者は常に、そのキャラクターとしての振る舞いを続けるルールになっているのです。
ですが、特殊な場合は、と言うよりも、今回の僕とアヤメのように、元々中の人間として知り合いで、かつ、僕の側も着ぐるみの裏事情をある程度知っているケースは、大変レアであり、だからこそアヤメが、他の人には分らないように本音を知らせているのでしょう。

僕も大人ですし、これ以上アヤメを、いや、アヤメの中にいる北野を苦しめても、本当に操演に支障を来すと、僕の立場としても困る事になるので、これ以上アヤメを責めるのは止めた方が良いのかと思い始めました。
ただ、ああやって僕に嘆願する時も、可愛らしくアヤメとしての仕草を崩すことは無く、僕の前でも、北野は本音を見せつつも、アヤメとして存在し続けています。北野の立場と状況から言えば、ごくごく当たり前なので、僕がそれに対して文句を言えるはずはないのですが、その行為が僕の嫉妬心を、更に煽っていたのもまた事実でした。

その後、バスの乗客がバスを降りる頃まで、僕は操作したくて仕方がないスイッチを握りながら、結局最後までスイッチを入れずにお店の前に辿り着きました。
その間のアヤメは、もちろん今までと全く変わることなく、あの衣装に身を包んだまま、アヤメとして存在していました。


[前へ] [戻る] [次へ]