アイドル修行もラクじゃない!【第三話】 [戻る]
[前へ] [次へ]



初めての体験ばかりだった第1日目がおわり、あてがわれた自分の部屋へ戻った僕はぐったりとベッド端に腰をおろします。自分だけが自由に使えるプライベートな部屋。好きに過ごすことが許されているのに、僕はまだカエデのまま。着用者の興奮状態を持続させるための機能は今もしっかり動いていて、イキそうでイケないという天国のような地獄が続いています。

着ぐるみスーツなんかさっさと脱いで自分自身をなぐさめれば、あっという間にすっきりするでしょう。けれどなぜだか、そんな男性的な欲望よりもカエデという存在のままでいたい気持ちの方が上回っているのです。ベッドの近くにある大きな姿見には、可憐なアイドルのたまごが映っています。それを彼女と同じ目線で眺めている僕は、おちんちんを下品に膨らませたヘンタイです。

そんな僕が手をふると鏡の中のカエデも同じように手をふってくれます。小ぶりでツンと通った、洋人形を思わせる鼻筋。唇は薄くも厚くもない、つくりものならではのちょうど良いバランスで、軽く微笑むように閉じられています。彼女は小首をかしげポーズをとります。とてもとても可愛いらしいこの子は、いやらしいことばかり想像している僕の思う通りに動くのです。

だらしなく快楽を味わっている僕という男は、同時に女の子のカエデなのです。なんだか何を言いたいのか分からないかもしれませんね。だけどごめんなさい、メロメロになっている頭ではこんな考えでいっぱいになるのを止められないのです。スーツのこの特別な機能は体温による発電なんかじゃなく、僕の心を別人につくりかえてしまうためのものなんじゃないか…そんな気もしてくるのでした。

しばらくのあいだ立ったり座ったり、鏡の前で色んなポーズをして過ごします。そのあいだずっと、射精できない切なさが体の奥から熱を発し続けています。もう出してしまいたいという気持ちと、この気持ちよさがずっと続いていて欲しい気持ち、あい反するふたつがグルグル回って混ざりあい、お腹かから出て天井や壁の近くをただよっているようです。


ふと、そばにある机を見るとノートパソコンが置いてありました。僕ったら、こんな目立つものに気がつかないほどカエデに夢中になっていたようです。

ふーっと息をついてからPC開いてみると「ドールアイズコミュニケーションサイト」というタイトルのWEBページが表示されます。いくつかの項目の中に「チャット」の文字が。何やら面白そうだとクリックすると、切り替わったページにはこんなことが書かれています。

『メンバーたちが交流を深めるためのチャットルームです。ここではドールアイズの一員として発言しなければいけません』

『理解しました』のボタンを押すと、まさしくチャットするために用意された画面が現れました。書き込まれたメッセージがならぶスペースがあり、その下の方には各メンバーをあらわす3つのアイコンが等間隔に並んでいます。

カエデと書かれたアイコンの色が灰色から鮮やかなグリーンに変化しました。これがルームに入ったことを表すしるしのようです。あらためてチェックしてみると、僕の他にちびっこヒナちゃんもアクセスしているのが分かります。履歴にはただひとつ「だれもいないなー」の発言だけ。どうやら彼女が一番のりだったようです。

ヒ:だれもいないなー
カ:わたしも入室したよ
ヒ:いらっしゃ~。だれも来ないかと思った
カ:パソコンに気がつかなくて(汗)
ヒ:こんな大きなもの気づかない~?ふむー
カ:忙しかったの!
ヒ:ボクってオトナだから詮索しないよん

ヒナちゃんは自分のこと「ボク」って言うんですね。なんだか男のコみたい。それにしてもヒナちゃんてば、まるで僕がイケナイことに夢中だったみたいに勘違いしてる。まあ、そりゃあ、そんな気分にもなってたけどサ。ちゃんとまだカエデのままだし、変なことしてないよって証明できないかなあ。

うむむ…と悩んでいると、チャット画面の隅にカメラのマークがあるのを発見しました。ビデオチャットをオンにするボタンだ!ポチッとするとスクリーンの真ん中に『着用確認中…』と表示されます。変身しているときしか動かないようになっているんですね。まさかここまで徹底しているなんておどろきです。『確認完了』のメッセージとともに、カエデのアイコンが生中継の動画にかわります。僕は得意げに、パソコンに組み込まれた小型レンズへ向かって手を振ります。

カ:どうだ!
ヒ:んー?なにが~?
カ:まだ着たままだよ。変なことしてないよ
ヒ:着たままとか、おかしなこと言うねー
ヒ:ボクたち、お人形のアイドルなんだから

うう、それもそうです。つい「着る」なんて書いちゃったけど、今のこの姿がドールアイズの自然な状態なのであって、スーツとかそういう裏事情は他の誰にもナイショにしないといけませんよね。

カ:そうだよね。ごめんね…
ヒ:冗談だよー。メンバーどうしなら平気平気
ヒ:それに、着たままでも気持ちよくなれるし
カ:えっっ、そうなの?
ヒ:わあ、お姉ちゃん興味しんしん?
カ:そんなことないよ!

いじわるなこのスーツ、絶対イケないようにつくられていると思っていましたが、キモチイイこともできちゃうんですね。

カ:…あの、どうしたらいいの?
ヒ:カンタンだよ。ごはんを思い出してみて

ごはん…というより変な味のゼリーを、恥ずかしいところに挿入した器具から吸って飲んだことを思い浮かべます。プラスチックでできた張型を押し込まれるときの、きゅうと締めつけられるような感覚。ゼリーを全部飲んだあと、引き抜く瞬間の強い刺激。着たまま気持ちよくなる方法は単純明解、女の子としてオナニーをすればいいのです。

カ:そういうことね。なんか恥ずかしいな
ヒ:ガマンしてるとおかしくなっちゃうよ~
カ:そっか…あとで試してみる
ヒ:いまやりなよー。見せてよー
カ:だめに決まってるでしょ!
ヒ:むつかしいから、ひとりじゃ無理だよ
カ:そうなの?
ヒ:そうだよー。ホントだよー

なんだかすっごくウソっぽいんですけど。でも僕が知らない秘密の仕組みがあるのかもしれません。それを教えてもらえないままなら、このままガマンし続けなければいけません。恥ずかしいけど、ここは素直にしたがう方が良い気がしてきました。

カ:ヒナちゃん、教えてもらえる?
ヒ:もちろん!じゃあボクの部屋へおいで!
カ:えっ、チャットじゃダメなの?
ヒ:ダメダメ!むつかしいんだから
ヒ:ボクの部屋はこの建物の端っこだからね
ヒ:机の中にある白い箱を持ってきてね~

ヒナちゃんはそれだけ書くと、チャットルームから出ていってしまいました。別に直接会わなくたって…と反論するヒマもありません。一方的な約束だけど、かといってこのまま放っておくのも気が引けます。僕は仕方なく机の引き出しを開けて、ヒナちゃんの言うとおりそこに入っている白い箱を取り出します。

箱にはなんにも書かれていなくて、何が入っているのか分かりません。このまま持っていくのは格好がつかないので入れ物を探しましょうか。ベッドの脇へ置いてある可愛いスーツケースを開けると、女の子の服がたくさんある中にちょうどよいポーチがありました。箱をそのポーチにしまって部屋を出ます。

ここは建物を正面にした右端なのでヒナちゃんの部屋は正反対にあるはず。それにしても、僕が持ってきて部屋に置いたはずのバッグはどこへいってしまったのでしょうか。女の子が泊まっている部屋のように見せかけるための荷物が持ち込まれたときに、入れ替えでどこかへ移動したのでしょうが、あれがないと生身での生活ができません。

おちんちんが気持ちよすぎて腰に力が入らない僕は、壁に手をついてゆっくりゆっくり廊下を歩いていきます。等間隔にある同じ形のドア、あの内のどれかから突然誰か、例えば僕らのサポートを任されているスタッフさんなんかが出てきやしないか気になって仕方ありません。なぜって、僕はこれからイケナイ遊びをしに行くのですから、そんなところを目撃されるのは恥ずかしいじゃないですか。


ときどき立ち止まってぶるぶると震えながら、やっと一番奥にあるドアのところまでたどり着きました。ノックすると、そーっと少しだけドアが開いてヒナちゃんがのぞきます。もしかしたら「脱いだ」状態のヒナちゃんの顔を見られるかなって期待していましたが、彼もスーツをつけたままだったようです。残念。

手招きされて部屋へ入ると、中のつくりは僕の部屋とほとんど同じ。僕らは無言のまま、靴を脱いでいっしょにベッドへと上がります。ベッドはクイーンサイズくらいなので、広さはじゅうぶんに余裕があります。静かに向かいあって見つめあうふたり。すぐ目の前に他の着ぐるみ少女がいるというのは、鏡で自分の姿を見るのとは違ったドキドキがあります。

ボーイッシュですこし小柄な、フリフリのロリータを着た女の子。息づかいすら感じられそうなほど近くにそんな素敵な子がいるのです。まじまじと彼女を眺めて、これまで気にかける余裕がなかった肌の質感や、リアルとアニメの絶妙なバランスで作られている瞳の造形を楽しみます。まさしく「生きている人形」である事実に、自分自身もこんな素敵な状態なんだなあということが実感できて、よけいムラムラとしてきます。

愛しさにたまらず頭をなでると、元気よく抱きついてくるヒナちゃん。僕のおっぱいが彼女の控えめな胸にぶつかって、ムギュッとなるのが感じられます。お姉さんのカエデと甘えん坊のヒナちゃん、2体のお人形さんが抱きあっている…こんな愛らしいようすを見て、実はおちんちんを固くした男の子たちが演じているなんて誰が気づくでしょうか。

僕はポーチから例の白い箱を取り出します。箱を開けると中にはピンク色でツルッとした、バイブレーターのようなものが入っていました。ヒナちゃんはどこからかローションの容器を持ってきて、テラテラと光を反射する透明の液体を丁寧に塗ります。僕はスカートを持ち上げ、下着をずらします。さらけ出された割れ目にプラスチックのものが挿入され、それと呼応するように僕のアソコがぐぐっと締めつけられます。

奥まで達したら…といっても、スーツに細工された穴なのでそんなに深くは入らないのですが、今度は引いたり押したりクチュクチュと動かされます。ヒナちゃんが僕の顔を見ながら艶かしく手を動かして、ローションがいやらしい音をたてるたび、上下にこするような波が駆けぬけます。アソコへ与えられる刺激はプラスチック製の、ニセ物のおちんちんに起きたことが、そのまま転送されているみたいです。

それはつまり、僕はカエデという自分自身を犯しているようなもの。何時間も前からずっとスーツの機能にもてあそばれていたので、すぐに限界が近づいてきます。体の奥の方から熱いものがこみ上げてくる感じがして、腰がびくびく震え出し、腕に力が入らず体を支えられなくなってベッドの上に転んでしまいました。それでもなお、体ぜんたいが意思と無関係に痙攣するのです。

そうしてついに果ててしまうかというとき、僕のアソコが強く強く握られているような感覚が襲います。こんなにギュッとされたら、とても出すことなんかできません。行き場のないエネルギーが頭の中ではじけてチカチカ光ります。

僕はびっくりして起き上がり自分の体を確認します。特別に変化はありませんが、ヒナちゃんはクスクス笑っているようなポーズをしています。僕が混乱していると彼女はノートパソコンをベッドの上で広げ、あるページを見せてくれました。取り扱い説明書というタイトルのそこには、こんなことが書かれています。

『着用者の興奮状態をたもつことは、バッテリーを維持するためにもっとも大切なことです。そのため、射精の兆候をセンサーが感知すると局部の神経へ電気的な刺激をあたえます。これは緊急の対処で、射精を強制的に中断します』

気持ちよくなるための道具としてバイブレータみたいなものがわざわざ用意されているというのに、最後まで楽しむことができないようになっているなんて。とってもイジワルだと思いませんか。それにヒナちゃんだってこのことを知っているのに部屋へ呼び出したりなんかして、ひどいったらひどいよ。

なんだか悲しくなってシクシク泣くまねをします。ううん。まねだけじゃなくて本当に涙が出ちゃう。こんなようすを見かねたのか、ヒナちゃんは僕を抱き寄せてポンポンと優しく頭をたたきます。そうだ…きっとヒナちゃんも同じように苦しんでいて、偶然チャットに現れたカエデをちょっとからかってみようなんて思っちゃっただけだよね。僕はうなずきながらハグしかえします。もう大丈夫だよってこと、ちゃんと伝わったかな?


後片付けをして、ヒナちゃんにバイバイして、僕は自分の部屋へと帰ります。泣いているときも、ヒナちゃんと仲直りしているときも、自分の部屋へ大人しく戻っているときも、僕のものはビンビンなままでした。まったく、カエデという子は本当にエッチですね。

すっかり疲れてしまった僕は、部屋に着いてすぐにワンピースを脱ぐと、あらかじめ用意されていた女の子向けのパジャマに着替えてふらふらとベッドへ倒れこみます。このままじゃおかしくなっちゃいそう…なんて思う間もなく眠りの世界へ沈んでいきます。おやすみなさい、僕のカエデ。


[前へ] [戻る] [次へ]