アイドル修行もラクじゃない!【第二話】 [戻る]
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広い食堂に置かれた3つの椅子。座っている2体の着ぐるみ。もっと大勢のひとが待機していると思っていたので、静かな雰囲気にちょっとびっくり。

とりあえず空いている席へ腰かけます。会釈したら、向こうも返してくれました。本当ならここで自己紹介でもするところですが、着ぐるみはしゃべらないのがお約束です。まあどのみち口の中に呼吸器具がありますからモゴモゴと言葉にならない声を出すのが関の山なはずですけどね。

特にすることもないですから、まわりの観察でもしましょうか。まず、すぐ隣りにいるのは明るい茶髪をツーサイドアップに束ねた学生服の子。チェックのスカートは短く、ふっくらとした太ももがまぶしいです。カッターシャツの前をはだけるようにボタンをはずして胸の谷間がのぞいています。

どうやら僕よりも大きなおっぱいの持ち主のようです。ギャルっぽい雰囲気だけど、態度にそんな感じは全然なく、ピンと背すじを伸ばしてお行儀よくしています。あ、僕の視線に気づいてまた会釈してくれました。やんちゃそうな見た目とのギャップがなんだかよいですね。

それから、そのまた向こうにいる小柄な子。髪は栗色のベリーショート。ピンク色が目をひくフリルたっぷりのゴスロリ衣装を着ています。バストはかなり控えめかな。僕やギャル子ちゃんに比べて年下なのかもしれません。それを証明するかのように、彼女は足をブラブラしたり、椅子を揺すってみたり、いかにもヒマそうに落ち着きがないです。

でも、考えてみれば幼く見えるのはあくまで「外側」であって「中の人物」がそれに合わせて演技していることだって考えられますよね。僕らはいま、やっと着替えを済ませて他には何も知らない状況です。それなのにキャラクターとしての動きが出来てるのだとしたら、なかなかの芸達者ではないでしょうか。


緊張してるひと、落ち着きのないひと、それを眺めてる僕。みんな二重のスーツにくるまれて、アソコへ通じたチューブで呼吸しているなんて。なんだかとてもフェティッシュなひとときですよね。そうしてしばらく過ごしていたら、例の面接官さんが食堂へ入ってきました。彼はメンバーたちが見渡せる位置へ立ちます。

「ようこそ、未来のアイドルたち!僕はドールアイズの企画立案を担当している篠田です。君たちとは何度も会っているが、改めてよろしく。それじゃあさっそくメンバーの自己紹介といこう。まだプロフィール資料も渡していないし、そもそも話すことができないのだから、私が説明しよう。まずは君から。起立してくれるかな」

彼に指さされて、ギクシャクと立ち上がるギャル子ちゃん。背丈は僕と同じか、少し小さいくらいです。

「名前はリッコ。ちょっとヤンキーっぽいところのある子だ。普段はダルそうにしているし、ずけずけ言うこともある。だけど情に厚くて実は努力家でもある。…とこんな風だ」

ギャル子ちゃん改めリッコちゃんがぺこりと頭を下げると、篠田さんが間髪入れず指摘を入れます。

「うーん、かたいね。もっと自然体に、気だるい雰囲気を心がけてね。これから君たちはドールアイズそのものになるんだからね。じゃあ次」

しょんぼり着席するリッコちゃん。入れ替わりでベリショの子がいきおいよくピョンっと立ち上がります。やっぱり背が小さくて、仕草と相まって可愛らしいです。

「彼女はグループのムードメーカー、ヒナだ。元気いっぱいのおてんば娘。甘えん坊だから年上のふたりで可愛がってあげてね。それじゃあ君」

演技ばっちりなヒナちゃんのあとは、僕の番。

「この子はカエデ。おしとやかな性格だ。自由奔放な他のメンバーを優しく見守るお姉さん。リーダー的な存在だね」

リーダーだなんて、いきなり責任重大なことばに緊張しつつも、なるべくゆっくり、大人っぽくお辞儀します。篠田さんは満足そうな顔をしています。僕はほっと安堵しつつ座ります。

「さて、これから合宿を通じて、さまざまな練習に励んでもらう。また、各自が着替えをした部屋以外では原則ドールアイズとして過ごさなければいけない。それでは生活するのに色々と困難があるだろうから、サポートの人員を用意してある」

篠田さんが目配せすると、ぞろぞろと10人ほどの若い男性が入ってきます。それぞれみんな、黒地に白で『STAFF』とプリントされたTシャツを着ています。

「今回のために臨時で集められたアルバイトだが、私がじかに面談して採用を決めた。研修でしっかり学んだし、じゅうぶん頼りになると思う。もしかしたら、彼らがドールアイズ最初のファンになるかもしれない。だからメンバーどうしだけでなく、彼らとも上手く付き合っていってほしい」

先ほどからの僕自身に負けずおとらず、サポートスタッフの方々も緊張の面持ちです。それにしても皆さんどういう基準で選ばれたんでしょう。これからアイドル候補の世話をするんだよと言われて、現れたのが僕らのような作りモノの美少女だったら、きっとがっかりするんじゃないでしょうか。何よりアイドルたちの中身について彼らは知らされているのでしょうか…。

「最初の顔合わせはこのくらいでいいだろう。細かい注意点などは部屋にある資料をに目を通してもらうとして、あと1点だけ補足しよう。内側に着ているインナースーツ、これは君たちの変装を助けるだけでなく、健康を守るという大切な役目がある。心拍数その他のモニターに、体温・湿度の調整機能を備えているんだ。それに必要な電力はバッテリーに蓄えるのだが、せいぜい2、3時間しか持たない。つまり、いまはもう動いていない」

篠田さんはタブレット端末を取り出して、画面をチェックしながらメンバーのようすを眺めています。そう言われれば確かに、さっきから座っているだけなのに猛烈に暑くて苦しいです。

「そのために、着用している最中でも発電できるようになっている。そのための燃料は何か?これは中の人物…君たち自身の発する体温なんだ。だが、いわゆる平熱だと少し足らないので、軽い運動している程度の状態をいつでも維持するしくみが組み込まれている。それをいまからオンにしよう」

篠田さんがタブレットの画面に指をすべらせ、なにかの操作をします。耳元で小さくピピっという電子音が鳴って、すぐさま変化がおとずれました。僕のアソコをしっかり固定していたパッドが、うねうねと波打ち始めたのです。僕は思わずギクリと腰を浮かせそうになります。それはやがて振動になり、こすられるような感覚も加わって、モノはどんどん固く大きくなっていきます。

絶妙な愛撫によって、やがて何かがこみ上げてきます。身体は熱く火照り、そろそろ出ちゃいそう…そんなタイミングを見計らったかのように突然引いていく波。完全に止まるのでなく、しぼんでしまわないよう小さな刺激が続いています。ようやく落ち着いてきたら再び激しく動き出し、そしてまた寸前で…。

軽い運動をしているのに近い状態、ようするに性的な興奮を強制的に繰り返すことで体温を上げているのです。まわりをうかがうと、他のメンバーはじっとしています。もしかして、こんなエッチなことが起きているのは僕のスーツだけなのでしょうか。そう思ったとき、リッコちゃんが椅子をうしろへ跳ね飛ばすかという勢いで立ち上がり、すぐにヘナヘナと座りこんでしまいました。篠田さんが苦笑いしています。

「これはドールアイズとして活動していく中で、いちばん重要なことなんだ。大変だと思うが是非とも克服して、いつでも自然に振る舞えるようになってほしい。常に体温を高めに保つ、当然それにはたくさんのカロリー消費がともなう。だから、食事も特別なものを取ってもらわなければいけない。やや早いかもしれないが、今日はこのまま夕食をとってもらおう」

2重のスーツにつつまれたままで、いったいどうやって食事するというのでしょう。篠田さんがサポートスタッフさんの方へ合図すると、3人が食堂奥の厨房らしき所へ消え、何かを持って戻ってきました。それはなんというか、プラスチックで出来た、えーと、その、女性が自分をなぐさめるときに使う張り型としか言いようがない物です。先端が丸みを帯びた張り型には、何か表面に塗られているのか照明を反射してテカテカ光っていて、根元の方には点滴のパックのような透明のビニール袋がくっついています。中には乳白色の液体がたっぷり詰まっているようです。

「君たちの、正確には演者の口がどこへつながっているか気付いているだろうと思う。そして着たまま何かを口にする方法がひとつしかないことも理解できるはず。これも訓練の一環なのでしっかりと経験を積んでね。じゃあ担当者は準備して」

篠田さんの指示で、手に「ディナー」を持った面々が僕らの足もとにかがみます。食事担当ではない他のサポートスタッフさんたちはヒソヒソささやきあっています。これから起こることを想像すると、逃げたしたい衝動に駆られますが、ここまでくれば覚悟を決めなければなりません。スカートの裾をつまんで待ち上げながら、おずおずと脚を開きます。

目の前の彼の手が太ももの奥へ伸び、パンツが下ろされる感覚がします。大切な所へ器具があてがわれ、そのままぐぐっと押し込まれます。チューブを伝わって口へ、それから耳へと空気が伝わるからでしょう、生々しいクチュクチュ…という音が妙に大きくはっきり聞こえます。アソコ、はっきり言ってしまえばおちんちんへの攻めも相変わらず続いています。それどころか、ねじ込まれるたびに強く締めつけられているような気さえします。

イキたくてたまらない快感の中でこんな恥ずかしいことをされていると、僕は本物の女の子なのかな、これはいやらしい行為をしているのかな、という錯覚におちいります。当たり前ですが、僕のお股にあの張り型を受け入れるような穴なんてありません。いったいぜんたい、どんなトリックなんでしょうか。

「驚いたかな?インナースーツの股下には少し空間が空いているんだ。長さの足りないズボンを履いているのと同じ、と言ったらいいかな。いまの君たちの脚の長さは、生身の時よりわずかに短くなっているって寸法さ」

「あと、空気を取り込むチューブと食事のチューブは別々になっているから、挿入しても息がつまる心配はないからね。逆に、ただやみくもに吸っても栄養ゼリーはビクともしないよ。マウスピースの先端に、横並びに空いている小さな穴のうち、中央寄りの物が呼吸用になっている。だからそこを舌で塞ぎながら吸ってみて。サポート担当の君たちはゆっくりビニール袋を握ってゼリーを押し出してあげてくれ」

あっかんべーをするつもりでベロを前に出して、マウスピースを押しながら息を吸うと、口の中が生暖かい液体で満たされます。篠田さんはゼリーと呼んでいましたが、それよりもっとサラサラしています。ほんのり甘く、かといって特別に美味しいというほどでもない不思議な味わい。少し吸って飲み込み、少し吸って飲み込みを繰り返します。こんな格好で食事するなんて初めての体験でしたが、なんとか最後までやりきりました。

「味気ないだろうが、このゼリーは栄養バランス的にたいへん優れているんだ。その上消化の効率も良くて、ようするにほとんど大便として排出する必要がない。だから長時間にわたってスーツを着続けることが出来る。ちなみに、排尿は着たまま出来るから、あとで試してみてね。サポートの君たちもお疲れ様。後片付けに移ってくれ」

秘部に挿入された器具がぐちゅりと引きぬかれ、同時にこれまでよりもずっと強烈な波が僕のモノを襲います。それがあまりにも気持ち良くて、ガクガクと震えてしまいます。だけどやっぱり果てることはできなくて、もうどうにかなってしまいそう。あそこをいじられて腰を振る、そんなはしたない姿をすぐ近くで見られてしまっているというのに、それを気にする余裕はなくなっていました。

「第1日目はこれにて無事終了だ。あとは自室に帰って就寝時間まで自由に過ごしていいよ。あとサポートのひとへ。この子たちはとっても疲れているから、何人かは付き添って部屋まで連れていってあげて。では解散」

僕はホッとしつつ立ち上がろうとします。そのとき、またあの甘い刺激がうねうねとおちんちんにまとわりつくのです。腰に力が入らなくて、ふらついてしまう僕。すかさずスタッフの男の子が来て支えてくれました。他の子たちはどうだろうと見回すと、みんなやっぱりまともに立てないらしく、肩につかまったり、支えてもらったりしています。

特にリッコちゃんなんかは腰が完全に引けてしまっている上に、ヒザが笑って歩くのもつらそう。それでも見知らぬ男性に寄りかかるのに抵抗があるのか、自力でなんとかしようと必死になっています。スタッフさんはムキムキでたくましい体格というわけではないけれど、僕らよりは大きいので安心して体重をあずけることができます。彼の腕をぎゅうっと掴んで歩きながら、この光景って、飲み会のあと酔っぱらった女の子たちをカレシが介抱してるみたいだなあ…と思うのでした。

ドールアイズのメンバーは3人しかいませんから、どうしても男性陣の大半は手持ち無沙汰になってしまいます。そんな彼らが心なしかうらやましそうに僕らの方を見ています。食堂を出てエレベーターへ乗る僕、ヒナちゃん、それに付き添いの2人。リッコちゃんの姿はまだありません。まだ食堂でふんばっているのでしょうか。

スタッフさんたちが先に上がってようかと相談をはじめたとき、お姫様抱っこされたリッコちゃんが現れました。どうにも歩けないのを見かねてスタッフさんが気を利かせたのでしょう。とうのリッコちゃんは手で顔を覆って恥ずかしがっています。全然ギャルっぽくない純情さがホントに可愛くてたまりません。

2階へ着いたら僕とリッコちゃんは左へ、ヒナちゃんは右へ。この建物はエレベーターを中心に左右対称になっているので、ここでお別れです。リッコちゃんの部屋はしばらく進んだ廊下の中ほど。やっとスタッフさんの抱っこから解放されて立つものの、まだふらふらしています。そんな彼女に見送られながら、僕らは一番端っこの部屋へ到着するのでした。付き添ってくれてありがとう。じゃあここで…という気持ちを込めてスタッフさんにバイバイの身振りをする僕。ところが彼はこんなことを言うのです。

「いえっ、カエデさん。お疲れでしょうから中までお付き合いいたしますっっ!」

ベッドには着替え前に脱いでほったらかしの普段着、男物の洋服があります。それを彼に見られたらきっと夢を壊してしまいます。実際のところ、アイドルの中身が男性であることをサポートスタッフさんたちが知らされているかどうかはっきりしません。けど知らなかったらと考えると、今後も仲良く、ましてファンになってもらうなんて無理に決まっています。ダメダメダメ!と押し返そうとする僕。おちんちんが気持ちよくてちっとも力が入らない上に、彼がぐいぐい頑張るせいでまるで歯が立ちません。

あっという間にふたりとも中へ入ってしまいました。もう終わりだあ…そう確信した僕の目に飛び込んできたのは、すっかり綺麗に片付けられた部屋でした。それどころか、ベッドの上には明らかに女性用だと分かるピンク色のパジャマと、小さくキチンと折りたたまれた下着が置いてあるのです。ここへ来るのに持ってきたヨレヨレのスポーツバッグもどこかへ消えて、有名なマスコットキャラクターの絵がプリントされた、小ぶりのスーツケースに入れ替わっていました。なんとも完璧な偽装工作です。

「あのっ、すいません!見るつもりはなかったんです!」

彼の言葉にハッと我に返った僕は、慌ててベッドの上の下着にマクラをかぶせて隠します。彼は耳まで真っ赤に染め、首が取れちゃうんじゃないかと心配になるほど頭をひねって視線をよそへ向けています。僕は彼の肩をトントンとたたいて、もう大丈夫だよと合図します。

「あのう、オレ、田辺っていいます。カエデさんのこと、初めて見たときからファンになっちゃって、付き添いの指示が出たらすぐカエデさんに近寄って、それで、えっと、なんかスイマセンっっ!」

ものすごいスピードで一気にまくし立てる田辺くん。早くもファンゲットの事実に、いいえ、僕のことでこんな必死になってくれたことに有頂天になってしまいました。僕は最大限のお礼として、彼をぎゅっとハグします。田辺くんはよりいっそう顔を赤くして、ギクシャクと回れ右して部屋をあとにするのでした。


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