やっぱり、お姉さま「夢からさめたら、陽だまりのねがい」 [戻る]
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走馬灯って、こんな感じなんだ。
わたしが、着ぐるみから、人間に転生?してから出会った、人たちの顔が、現れては、消え、現れては、消えていった。 でも、不思議と、着ぐるみだった頃の事は、何一つ思い出されなかった。



そろそろ、起きてくんねぇかな?

そうね、ホント起きてくれないと、あぶないのよねぇ。

なにが?

多少、時間がかかるかもしらんが、一気呵成に、やってみるのも、一つの手だな。

なんなのこの声?

どうやら、その必要は無いようでござるな。

あぁ、目覚めるな。

とっつぁん、もう少し、静かにしてくれよ。急に起きるとあぶねぇんだから!

あぁ、わりぃ、わりぃ。






・・・・・・ここは?
やっと、おめざめかい?お姫様。
あなたは、誰?
あぁ、俺かい?俺は・・・・・だよ。
る・・・・
おっと、それ以上は、言わない方が、身のためだぜ。(著作権の問題がね)
著作権?
なんだ、聞こえちまったか。そう、著作権。つまり、今お姫様が体験してるこの世界は・・・・、
わたしが体験してる?
そう、君――つまり、真秀ちゃん――が、体験してる世界は、全部夢。
夢!
あぁ、夢さ。
この世界全部が?!
そうなるな。
あなたは、じ・・。
だから、それ以上喋ると、頭に・・・っと、いけねぇいけねぇ。
夢・・・。ん?ちょっと待って、今わたしの事を美紗都じゃなくって、真秀ちゃん、て呼ばなかった?
あぁ、呼んだぜ。それがなにか?
だって、わたしは、葛城美紗都・・・マホなんて名前なんかじゃないし・・・。違うわよ、貴女はエンジェル国のプリンセス、ラッフェルド・イン・マフォ・オルバーラ。つまり、一国のお姫様なの。
う、ウソ、でしょう・・・。わたしが、一国のお姫様なんて・・・。
ところが、ウソでも拡張でもなく、紛れもない事実なんだ。
ぜに、
お姫様、著作権。
もう、そんなことなんかどうだっていいわよ!ちゃんと答えて、ルパンさん!
あぁ~言っちゃったぁ。
仕方ないでごさるよ。急に、今まで信じて来たものが、夢もしくは、つくりものだとしたら・・・。
あら~、五右ェ門ちゃん結構理解力あるじゃない?
・・・拙者でさえも昔・・・。
あぁ、お前さんの師匠の事か・・・。
つまらん戯れ言でごさるよ。しかし、その師匠のおかげで、今の拙者の剣の腕があるのもまた、事実。
なぁ五右ェ門、しんみりしすぎだぜ、お前らしくもない。
それより、本当なの?今までの事が、全部夢だなんて・・・。
あぁ、本当だ。この銭形ウソは、言わん。
そうよ、マフォ様。
お前さんは、趣味のとんでもない、着ぐるみを着て、遊んでる最中に、暗殺されかかたんだ。
あ、暗殺?またぁ、そんな夢みたいな事・・・
今君がいるここが、夢の世界なんだけどな。
まぁ、正確には夢でもあり、現実でもある世界なんだけっても、がなぁ。
それって、どういう、意味なの?
簡単な事でござるよ、今は、まだ意識だけの存在であり、宿るべき肉体が無い状態。
よけいに、わかんないんだけど。
つまりは、幽霊、とでも言った方が、正確かな。
・・・ゆ、幽霊・・・・・・。
お、おい、ルパン!なにも、そんなにはっきり、言わなくても・・・。
バ~カ!こういうことは、ハッキリしといた方が、いいんだよ!
あぁ、泣いちゃったじゃないの!どう責任取る気?
い、いやぁ、そ、そのぅ、ど、どぅしよ?
わしは、知らんぞ。
俺もだ。
拙者も同じく。


ただ、わたしの泣きじゃくる声だけが、むなしくこの空間に、響き消えていった。



・・・・・・・・・ひとつだけ、方法が、在るには、在るんだ。
そ、それは!
つまり、夢と、現実を入れかえ・・・・・・
出来るの!!
出来なくは、ないけど・・・・・・。
ハッキリして!
出来るわよ。ただし、この夢の世界で、死ぬか、現実の世界で、死ぬかの違いだけだけど。


死ぬ事。

静寂。

無音。

・・・・・・・・・つまり、幽霊のわたしに、成仏しろってこと?
誰が、そんな事言った?
・・・・・・わたしには、そう言ってるように聞こえたけど・・・・・・。
カタチは、日本人なんだから、日本語ぐらいは、しっかり理解しろよな!
だいたいオメェ~が、ちゃんと説明しねぇから、ややこしくなるんだろうが。つまりな、今この世界で、死ぬ事は、眠る事。
眠る事?
あぁ、この世界じゃぁ眠る事と、死ぬ事は、同じ事だからな。
もっとも現実だと、そうはいかないみたいだかな。元からして、死の定義なんてあぁ、曖昧なものだしな。ったって、俺も、ハッキリと、わかって言ってるわけじゃないかな。





決まったかい?
えぇ、わたしは……で、生きていきたいわ。
・・・・・・そうかい、俺たちの出番は、終わったな。
そのようでござるな。
じゃぁ、わたしは、一足お先に失礼するわ。
また、男引っ掛けんのも、ほどほどにな。
それじゃぁ、本官はこれにて失礼。
気をつけろよ、とっつぁん歳なんだから。
うるさいわい!首洗って待ってろ!
おぉ、コワー!
拙者も修行があるので、これにて失礼する。
じゃぁ、俺は、マグナムの手入れでもしてくるわ。
あぁ、行っち待ったよ。さてと、始めるかい?
えぇ、お願いします。
じゃぁ、行くぜ!!



ルパンに抱かれてわたしは、一歩前に踏み出した。


墜ちていく感覚なんかは、なくて、消滅?するような、感覚がわたしを、やさしく包み込んだ。


白い闇。


薄暗い闇。



闇。


どのぐらい、時間が経ったんだろう?

微かに感じる風。
体の下に感じるやわらかな布団の感触。
でも、わたしは、目を開ける事が出来ない。
もし、目を開けても、何もなかったら。たとえ、病室の天井が、見えたとしても。そこが、本当にわたしが、望んだ“あの世界”なのか、到底すぐには、判断出来ないから…。
でも、わたしは、思いきって、ゆっくりと、目を開けた。
少し、ぼんやりしてるけど、病室の天井とは違う、木製の天井が、飛び込んで来た。
「・・・ここは・・・」
見知らぬ天井。
見知らぬ・・・。

ゆっくりと、体を起こしていくと、次第に・・・

「やっと、お目覚めかい?お姫さま?」
その声に、わたしは、嬉しさのあまりに、ずっこけた。
「おいおい、寝ぼけるのもたいがいにしとけよな・・・よ」
・・・のあきれた、声を聞きながらわたしは、「よかった・・・に、逢えた」ポツリと、つぶやいた。
「ったく、ほら、つかまりな」
そう言って、手を差し出した。
「おいおい、何も泣くこたぁネェだろ。たかだかベッドから、落っこったぐらいで」
「・・・・・・・・・んもう、しょうがないでしょ!痛かったんだから!!」
わたしは、涙を軽く拭きながら、・・・の手を取って立ち上がった。


・・・に抱かれるように、わたしは、テラスへと、出た。
そこには、抜けるような青空が、広がっていた。


夢かもしれないし、現実かもしれない。でも、確かな事は、わたしが、ちゃんと生きてること。
たとえ、今わたしがいる“この世界”が夢と現実を入れかえて、出来た“世界”だとしても、この先わたしは、もう迷わずにこの世界を生き抜いていく。




THE END


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