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・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・――。
誰かに、呼ばれた?ような気がして、わたしは、目を開けた。「・・・・・?ここ、どこ?」
見知らぬ天井が、わたしの目に飛び込んできた。
(病院?)
かすかに漂う薬品のような匂い。
少し、うるさいぐらいに聞こえる、電子音。
(まさか、夢?)
わたしは、急いで起き上がろとしたけど、指先ひとつ動かす事さえできす、あまつさえ、声も出せない。
(やっぱり、夢なんだ)
そう、思ったとたんにわたしは、いつものわたしのベッドの上で目覚めた。
「やっぱり、夢だったんだ・・・。そうだよね、いくらなんでも、あんな事ないよね」
目覚める瞬間に見えた、生命維持装置らしき物に、つながれた、わたし自身。
その周りを忙しく動きまわる、看護師さんたち。
多分、意識が、戻りかけでもしたのかもしれないし、危険な方に、傾いたのかもしれない。
ガラス越しに見える、心配顔の、家族らしき人達。
「・・・でも・・・、あまりにも、リアルすぎる夢、だったなぁ・・・」
いつものように、制服に着替えながら、いまだに、着ぐるみだった頃のクセが、抜けないのかついつい、視界の位置を調整しようと、頭を引っ張ろうとしてしまう。
「んもう、いい加減になれなさいよ!美沙都!!今の貴女は、着ぐるみの葛城美沙都じゃなくって、人間の舘田凛なんだから!!」
〈本当にそうかな?〉
〈ちょっと、静かにしてなって、前任さんは〉
「凛!早く学校行きなさい!!僚二君と、夏沙音ちゃんたちが、待ってるんだから!」
「ハァ~イ!って、ママ、夏沙音じゃなくって、沙々音でしょ!いくらなんでも、沙々音のママは、来ないって・・・」
「あぁ、そうだったわね、ちょっと、言い間違えちゃった」
照れる事もなく、平気な顔をして、ママはペロッ、って、舌を出した。
「ちょっとママ!年考えててよね、年!!」
「失礼しちゃうわね!まだ**才だから、若いわよ!!」
って、おいおい、普通自分から年喋るか?まぁ、ママならやりかねないけど・・・って、やったか。
「ほら、凛。いつまでもボサッとしてないで、さっさと行くよ!今日から期末でしょ!」
「いっけなぁい、しっかり忘れてた」
わたしも、ママみたいにペロッと、舌を出した。
「あきれた、あんた、今度赤点採ったら・・・」
「はいはい、わかったからいふよ」
トーストを口に食わえながら、わたしは、勢いよく家から飛び出して、自転車に飛び乗った。
「遅刻しちゃう!落第しちゃう!」
風を斬るようにわたしは、エンジンのないバイクを飛ばした。
いつもなら、絶対に止まる交差点。
目の前に迫った、大型車。とっさに、逃げようと、したけど、なぜか、体が硬直してしまって・・・・・・
衝撃を感じるヒマもなく、まるで木葉のように、舞い上がった、わたしの体。
反転する天と地。
みるみる近付くアスファルト。
わたしにとっては、スローモーションを、見てるみたいに感じた。
アスファルトに、叩きつけられたはずなのに、痛みもなく、ただわたしの体からは、赤い血が、河のように流れ出した。
『今朝のあれって、正夢?せっかく、人になれたのに・・・。でも、わたしには、ふさわしい最後かもしれないな・・・・・・・・・
「他人の人生を奪った、もの、の末路と、しては・・・・・・」
薄れていく、意識の中でそう思った。
そして、わたしが発した最後の言葉になった。
やっと、出番か。
長かったな。
でも、早い方では、ないか?
早く解決させて、本来の関係に、戻したほうが、いいわね。
そうで、ござるな。
わしも、お前たちを逮捕したくて、ウズウズしとるわい!
そんな、大声出すなって、とっつあん、わかってるからさ。
さて、行こうか。決着をつけに。
どこへともなく、5つのカゲは、消えていった。
暗転。
次回、最終章
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