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私立KM高校の三階にある図書館でわたしは、調べものをしていた――まぁ、特になんの問題も、起こすことなく?凛さんの記憶のおかげで、無事に、放課後を向かえたわけだけど・・・――。v
どうしても、あの“モノ”の事について、知りたいと思ったから・・・。
「・・・・・やっぱり、夢魔って“モノ”にしか当てはまらないよね」
「なんだ、凛。今度の授業のための調べものか?」
「!り、僚二ィ~おどかさないでよォ~!ちょっと昨日の夜、変な夢見ちゃってさ、気になって調べてただけ」
わたしは、ちょっとドキドキしていることを隠すかのように、パソコンの画面を見つめたまま、そう言った。
「ふぅ~ん。・・・な、なぁ凛、そ、そんな事より、き、今日さぁ、こっ、これから“あそこ”に、行かないか?」
僚二は、しどろもどろになりながらやっと?のおもいで?中学生の頃何回か通ったことのある“あそこ”にわたしを誘って行こうとしてるみたいだった。
「僚二ィ~、たまにはさぁ、ひとりで行ってくれば、いいじゃない、なんでいつもわたしを誘うわけ?」
あぁ、なんだか自分でも、意地悪してるなぁ、ってのがわかるぐらいにイヤミったらしい口調に、なってしまった。
「・・・・・しょうがないだろう!ダチにだって、簡単に教えるわけには、いかないし・・・、それに、オレは、お前と一緒に楽しみたいんだよ!」
ボッ!て、音と湯気が出るぐらいに、わたしの顔が真っ赤になってしまった。
「ちょ、ちょっと僚二、な、何を言い出すのよ、わ、わたしは、僚二に付き合って、仕方なく・・・」
「ねぇ、いったい、ふたりしてなんの話しをしてるの?わっ!ふったりとも顔、真っ赤じゃない!・・・も、もしかして、わたしって、おじゃまかしら?」
いつのまにか、わたしたちの側に来ていた紗々音は、言いたい事だけ言って、慌てて回れ右をして、この場を去ろうとしたけど、わたしはこれ幸いと紗々音を引き止めた。
「ねぇ、紗々音!この後何か予定ある?」
「んん、別にないけど・・・」
その言葉を聞いたわたしは、ここぞとばかりにまくしたてた。
「だったらさ、わたしたちと、一緒に“Doll Club”って、所に遊びに行かない?もちろん、わたしが誘ったんだからお金の事は、心配しないで、わたしが出すから。もし、興味があるならって、事なんだけど・・・。でも、別に興味ないなら無理誘ったりしないし、一回だけ、騙されたと思って、ついてきてよ、案外楽しくてはまっちゃうかもね!僚二、いいでしょう?紗々音がもしも、行きたいって、言ったら一緒に行っても、もしあなたが、嫌だって言ったらわたしは、もう、今日は絶対に“Doll Club”には、行かないからね!で、紗々音、どうする?」
よくもまぁ、こんなにペラペラと心にもない事を喋るわねぇ、わたしって。
「・・・・別にかまわないけど・・・。遅くはならないよねぇ・・・」
「だったら、決まり!さっ、行こう!」
そう言ってわたしは、さっとパソコンを終了させて、図書館を後にした。
あっけにとられるふたりを残して。
自分の下駄箱の前まで来たわたしは、鞄からケータイを取り出して、“Doll Club”に電話をかけた。
「・・・・どうも、天一エリエですけど。・・・・・今日これから、わたくしの友達ふたりを連れてうかがいます。・・・・えぇ、ひとりは、僚二ですけど、もうひとりは、まったくのビキナーですから、採寸係と、女性を待機させておいて下さい。・・・・そうです、女性です。・・・・わたくしの大切な友達ですわ。・・・・・失礼のないようにお願いしますわ・・・・コース?そうねぇ、それでは、いつものコースの用意を・・・・・それと、迎えの車、お願い出来ます?・・・・えぇ、学校で、構いませんわ。・・・・それじゃぁお願いしますわ」
わたしは、てきぱきと、用件をのべて、“Doll Club”との電話を終えた。
すると、タイミングよく、僚二と紗々音のふたりがやって来た。
「凛!お前なぁ、いくらなんでも、なんにも知らない紗々音を誘う事はないだろ!」
わたしの姿を、見付けるなり僚二は、そう言ってくってかかってきた。
「あら、大丈夫よ。紗々音には、わたしが付いてるんだから。それよりも、僚二。間違っても、“Doll Club”で紗々音の事襲わないようにね。もし、そんな事したら、本当に、二度と連れて行ってあげないし、“あの子”は、なんて言ったっけ、モア?は、処分するからね!」
わたしは、チョッチ僚二に、意地悪な事をしてみたくなって――って、言うか、さっきの図書館での、仕返しの意味を込めてだけど――、そんな事を言ってみた。
すると、効果てきめんに、「ちょっと待ってくれよ!そりゃぁないだろ!モアは・・・」って、慌てて自分の口を、押さえて周りを、見回した。
「ねぇ、モアって誰?それに、処分するって・・・、まさか、凛、その人の事を・・・」
「あぁ~、大丈夫よ、紗々音。人じゃなくて、もうひとりの僚二の事だから」
わたしは、意味ありげな笑みを、紗々音に向けた。
「?????」
「ゴメン、ゴメン、混乱させちゃって。詳しい事は、車の中で、説明してあげるから、それまで我慢して」「く、車ってお前・・・」「そう簡単に“Doll Club”の場所を洩らすわけには、いかないでしょう?たとえ大切な友達でも、成り行きでこうなっちゃったんだかし、それに、わたしは、“Doll Club”のオーナーの上司みたいなものだからね――さすがに衣装デザイン全般を、担当してるとは言えないし、それに、わたしって元々が着ぐるみだし、あのオーナーの秘密つかんでるから・・・(さすがに頭の中だけで考えてる事だけどね)――」
わたしがそう言うと、僚二は、「わかったよ」と、だけつぶやいておとなしくひきさがった。
「あぁ、ほら、うわさをすればなんとやらって、来たわよ、迎えの車。さっ、行きましょう」
わたしは、そう言って、目の前に停まった車の後部ドアを、開けた。
「・・・・・・ちょっと!なんで、あんたが乗ってんのよ!」
わたしは、いきなり現れた涼に、そんな言葉を投げつけた。しかも、ドアに手をかけたまま・・・。
「別に、いいじゃない。それよりも、今日は、なんだかどうしても、ひとり女性が必要だって、言われて、“Doll Club”のオーナーに頼まれたのよ」
シレッ、とした顔でそう返されたわたしは、何も反論出来なくなってしまった。「凛。まぁ、いいじゃない、なんだかよく分からないけど、人数は多い方が、楽しくっていいんじゃない?ね!ね!」
「・・・・・わかったわよ(でも、大変な事になっても知らないからね、紗々音)」
わたしは、しぶしぶ納得したような、表情を作って、車に乗り込んだ。
「すみません、エリエ様。何人かのスタッフに声をかけたんですが、本日が、デビューの新人が五人ほどおりまして、その中の二人が、先程倒れた、との連絡がございまして、そちらに人数を割かれておりましたので、ナナ様のお手をお借りした次第でございますエリエ様」
わたしたち三人が乗り込むなり、橘川(たちかわ)オーナーは、そう言いながら、静かに車を発進させた。「それで、橘川さん、状況は?」
わたしは、つとめて冷静な口調で、橘川さんに問いかけた。
「はい、エリエ様。大丈夫のようです。さいわいと、言いますか、極度の緊張でいつものような演技が、出来なかったようですので、心配ご無用かと・・・」
「・・・・どこで、倒れたの、その二人は?」
「はい、楽屋に戻ってからだと、聞いておりますが・・・」
「そう・・・・・、だったら、再訓練の必要はないわけね」
わたしは、なんだかホッと、したような、情けないなぁって、感情が入り乱れた、不思議な気持ちになってしまった――まぁ元々が、着ぐるみだし、中にいる人のつらさは、身に染みてわかってるから(ホンマかいな!―作者心のつぶやき―)――。
「ねぇ、凛。まさか、これから行く“Doll Club”って、ホビー21で働いてる、着ぐるみと同じ・・・」
紗々音は、ちょっとこわい事を、思い付いたみたいな顔を、わたしに向けた。
「そう、あの着ぐるみ達の訓練のための、場所なの。そして、どうしてもあんな着ぐるみに憧れる人達のための、体験施設でも、あるわけなんだけど・・・、ゴメン。詳しくは、話せないの、“Doll Club”の規定で、だから・・・」
わたしは、ここで、曰くありげに、言葉を切った。
「ちょっと、凛!肝心なところで、話しを切らないでくれる!物凄く気になるじゃない!」
「でも、この事を知っちゃうと、大変なことになっちゃうし・・・」
「そんなの、覚悟の上よ!そ、それにわたしも、ホビー21には、よく行くし、あの、き、着ぐるみには、憧れてたんだけど・・・・」意外な、紗々音の告白にわたしたちは、あぜん、呆然、ほんのちょっとだけ、喜び?が、入り混じった不思議な表情を浮かべて、紗々音を見つめた。
「さ、紗々音、お前・・・・、興味が、あるなら、なんではやく、言わないんだよ!って、言えるわけないか、そんな事簡単に言えるわけないし、ダチに知られたら、絶対に、笑い者になるよなぁ」
わたしは、思わず吹き出しそうになってしまった。
だって、僚二ったら、本当に、しみじみとした、表情を浮かべてて、しかも、腕まで組んじゃって、おかしいったらないんだもん。
でも、そこは、僚二をたてて、グッ!と、我慢した。「紗々音、本当に守れる?“Doll Club”の規定って、物凄く厳しいんだよ。そ、それに・・・・・・」
「なに?」
「それに・・・・・、やっぱりわたしの口からは、とてもじゃないけど、言えない!」
多分、わたしの顔は、自分でもわかるぐらいに、真っ赤になってるんだと思う。だって、まともに紗々音の顔を見ることが出来ないんだもん!
「あぁ、もう、じれったいなぁ!紗々音さん」
「は、はい!」
「Hした?」
「@§☆▲*♀♂∞£※※※!」
もう、これ以上ないぐらいに、紗々音の顔が、真っ赤になったり、青くなったりと、まるで信号みたいで、面白いと言えば、面白いけど・・・。
「・・・・り、涼!あ、あんたねぇ。な、何もそんなに、す、ストレートに、聞くことないじゃない!」
「別に、いいじゃない。何事も、はっきり聞いておいたほうがぁ。で、どうなの、紗々音さん?」
「・・・・・・・・・・・・ま、・だ」
やっと、言葉を絞りだして、紗々音はそれだけ言うと、ヒザを抱えるように、顔を埋めてしまった。
「あぁ、まだ処女だったらチョッチ難しいかもねぇ(⌒∧⌒)」
小悪魔ナナ降臨!って、テロップが出てきそうな、そんな雰囲気に車内が包まれた。
「大丈夫でごさいますよ、紗々音様。今話題に上がっておりますシステムは、少し古いタイプの着ぐるみに、使用しておりましたもので、今は、処女であろうが、なかろうが、関係なく、体験出来ますので」
「もう、橘川さん。ばらさないでよ!せっかく“Doll Club”に行ってから、わたしが紗々音さんの処女を、いっただきまぁ~す、ってしようと、思ってたのにぃ~!(→З←)」
涼は、これみよがしに紗々音の耳に入るように、すねた。
その言葉を、聞いた紗々音は、サッと、涼から飛び退いた。
「わ、わたしは、レズっ気なんてないから!」
わたしの後ろに、隠れながら、紗々音は、やっとの事でそれだけ言った。
「り、涼!あなた今、ジュリになってたでしょう!」「あっ!バレた?」
まったく、よくも、しゃぁしゃぁと、恥ずかしげもなく、言えるわねぇ。我が妹ながら感心するわよ、ホント。
「ねぇ、凛。涼ちゃんて、ドS?」
「そう、完全なるSよ。ねぇ、僚二」
「あぁ、そうだな。特にジュリに、なってた時は、ヒドイ。さすがに、本番はしない――まぁ、出来るわけない――けど、緊縛して動けなくしての、責めは、長いな」
「えぇ、最低でも、一時間半は、そのままね(>▽<)」
ホント、悪魔がいるとすれば、まさに、この娘の事だと、わたしと僚二の見解は、一致している。
「でも、今日は大丈夫よ。さすがに、紗々音さんには、そんな事しないから(笑)それに、今日は、ただの館田涼。と、して来てるだけだから」
「みな様到着しました」
“Doll Club”
絶対に、その正確な場所を教える事は、出来ないけど、でも、みなさん、一度は、足を運んだ事のあるところ・・・。
そして、施設に行くには、特殊なIDカードと、指紋、静脈パターン声紋はもとより、ありとあらゆる、セキュリティをクリアして行かないと、絶対にたどり着けない。
などの、さまつ事項は置いておいて。
「お待ちしておりました、エリエ様、モア様、涼様は本日は・・・、」
虹白紅(なないこう)さんは、カウンターの向こうからこれぞ、どこに出しても恥ずかしくない!って、ぐらいの、きれいな笑顔を見せてくれた。
「あぁ、わたしは、いいの。今日は、館田涼として来たんだから」
涼は、それだけ言うと、ソファに腰を下ろした。
「虹白さん、この、紗々音の会員登録をお願い。あ、もちろん、VIP待遇でね、わたしの大切な友達だから」
「かしこまりました。エリエ様。さ、紗々音様、こちらへ」
虹白さんは、そう言うと、紗々音の手をとり、カウンターの奥の部屋へと連れていった。
「さてと、じゃあ、俺は着替えて来るよ」
「えぇ、わたしは、紗々音と一緒に、着替えるわ。涼がなにも、しないように見張らなきゃいけないし」
「ちょっとぅー、わたしってそんなに信用ないの?」『まったくない!(ごさいません)』
ピッタリ三人の息があってしまいわたしたち四人は、大笑いしてしまった――でも、橘川さんまでが思ってたなんて(笑)――。
「エリエ様。レナ様の登録終了いたしました」
「そう、はやかったわね。紗々音、名前レナにしたんだ」
「えぇ、わたしのペンネームだから」
「そうなんだ。じゃあ、行きましょう。モア、後で再会しましょう」
「あぁ、後でな」
「さ、レナ。もう、これからは紗々音じゃなくて、レナって、呼ぶからね」
わたしは、レナをロッカーの並んだ部屋へと連れていった。
「あぁ、それからこのロッカーが、レナの待機場所になるから、間違えないようにね」
「了解!エリエ」
「じゃあ、レナ。全部脱いで」
「え?!」
「だって、全部脱がないと、正確なサイズ、わからないじゃない?ほら!グズグズしない!」
わたしが一喝するとレナは、しぶしぶといった感じで服を脱ぎはじめた。
「・・・・・・は、恥ずかしいから、あんまり、こ、こっち、見ないで・・・・・」
「ハイハイ、わかりましたよ。さてと、わたしも着替えよっと!あ、それからレナ」
「な、なに?」
「脱ぎ終わったら、涼のところに行って、型取りしてきて。多分15分ぐらいで、出来上がるから」
「う、うん」
不安、期待、羞恥心、等々、レナから読み取れる感情は、結構面白く変化を繰り返してて、わたしは、昔着ぐるみだった頃を、思い出して、秘かに苦笑を漏して、しまった。
でも、まさか、着ぐるみだった、わたしが、着ぐるみを着る事になるなんて、皮肉な事よね・・・。
「・・・・エ、エリエ・・・。お、終わった、わよ・・・・・・」
「あぁ、ハイハイ。涼~!レナの型取りお願い!」
「了解!さ、レナさん?それとも、ちゃん?行きましょう」
涼は、レナを、あの部屋へと連れていった。
さぁてここで、チョッチ作者である美紗都が、視点を奪い取りまして、簡単にこの着ぐるみの作り方を説明します。ヾ(≧∇≦)
サイズの測定は、たったの七ヵ所。股下、ヒップ、ウエスト、バスト、肩幅、腕、頭の七ヵ所。
このデータをパソコンに、入力後、あの、特殊ラバーの膜を張った二枚の枠の間に立って、軽く――約三十秒――圧縮をかければ、ほぼ完成!なお、後の顔や、バストサイズ等の細かい調整は、機密事項――しゃべったら、いけないしぃ、もし、しゃべったら"あの"製作者に始末されちゃうよぅ~(T-T)――なので・・・。ってな事で、視点は、美紗都?凛?にお返しして、わたしは、さようなら~!(^o^)/~~
「・・・・・今日は、エリエじゃなくて、エレンになろうかなぁ、エリエだとチョッチ、動きづらいのよねぇ~」
体型補整と、その他機能のインナーを着終わった、わたしは、エリエともうひとりのエレンって、着ぐるみを手に取って、しばらく悩んでしまった。
ちなみに、エリエは、美空さんのアシスタトで、ステージばえのする、スタイルと顔立ちをしている。もうひとりのエレンって娘は、顔立ちははっきり言って、エリエよりも劣るけど、でも、かなりの美人の部類には、属してる――スタイルもいいしね。で、だいたい20代ぐらいの設定――。でも、エレンは、どこかほんの少しだけど、暗いカゲを漂わせてる。
「・・・・うん!今日は、エリエじゃなくて、エレンで、行こう!ゴメンね、エリエ、後でちゃんと、着てあげるから」
そう言って、ロッカーに、そっとエリエを戻した。そして、わたしは、いつもの?ように――二回目だけど――、お尻の割れ目から、エレンの中に侵入した。そして、視界と、呼吸に問題がないことを確認して、入り口をピッタリと、閉じた。
『・・・・大丈夫ね』
エレンになったわたしは、下着を身に付けた、だけの姿で、ロッカーの前を離れた。さすがに裸?じゃあねぇ~。オッと、エレン、エレン。
『残念だったわね、選らんでもらえなくてな。でも、いいんじゃない?俺たちが楽しめばなぁ?〈・・・わたしなんて、もうどうなっても、いいわ・・・〉』
『あら、モアちゃん、久しぶりじゃない、元気してた?』
『あ、エレンお姉さま!お、お久しぶりです!モアは、いつも元気いっぱいですわ!』
事情を知らない人が見たら、スタイルバツグンの美人が、下着姿で、ソファに座ってる高校生ぐらいの――これまた、下着姿!の――美少女に、話しかけてるって、なんとも、錯倒した風景に見えるかもしれないけど、二人とも着ぐるみ。
特殊ラバーで出来た着ぐるみの中に、その身を封印し、快感に耐えながらも、外の人には、感じている事を悟らせずに、あくまで、着ぐるみである事を要求される着ぐるみ。
そんな、空間が今目の前で繰り広げられている。
『そう言えば、お姉さま』『なに?』
『今日、新しい娘が、来るんですって!』
『あぁ、聞いてるわ。確か、レナって、娘よ』
『どんな娘なんでしょう?楽しみですわね!』
『・・・(フッ)そうね』
「おまたせぇ~!新人のレナちゃん!連れて来たよぅ~!」
まるで、タイミングをはかったかのように、涼は、そう言って、レナを着た、紗々音――もちろん、下着姿で――を連れてきた。
『よ、よろしくお願いします。モア先輩、そ、それから・・・・』
「あぁ、彼女は、エレンさんって言って、クラブの先輩なの」
『そうなんですか・・・。あの、モア先輩』
『なに?レナちゃん?』
『エリエさんは、今日はいないんですか?』
『あぁ、エリエ先輩ですね!エレンお姉さま、エリエ先輩は、今日は、どうされたんですの?』
『美空さんのステージに出演した後は必ず、休むのよ(あれだけ、むちゃなステージじゃぁね)』
『・・・・・・そ、そうなんですか・・・』
レナは、心底残念そうに、肩を落とした。
『・・・・・わたしじゃぁ、不満ってわけなのね』
『いえ!決して、そんな事は!』
まるで、コメディを見ているかのようにレナは、両手と、頭をブンブンと、振り回した。
「まあまあ、レナちゃん。あんまり、頭振り回すと・・・あぁ、言わんこっちゃない」
バタン!って、おっきな音を立てて、レナは、後ろにそのままの格好で、ひっくり返ってしまった。
『・・・・ちょっと涼、レナにどんな細工したの?』「え!いやぁ、まあ、そのぅ・・・・」
『はっきりしてください涼さん!レナちゃん!大丈夫?!レナちゃん!』
モアは、レナをソファに、横たえながら、怒気をふくんだ声で、涼を一喝した。「・・・・ご、ゴメン、モアちゃん。実は、安全装置が働いただけだから・・・・」
『あ、安全装置?(ですか!)』
「そう、安全装置」
『なんで、そんな物付けたの?』
「だぁってぇ、レナは、今日がデビューの新人で、ボディの調整も、テスト的にしてるだけだしぃ、もしもよ、激しく動いて酸欠や、ボディに穴なんか、空いたら、シャレにならないじゃない?」
『まぁ、そうだけど、だからって、気絶させる事はないんじゃない?』
『あのぅ、エレンお姉さま、わたし気絶なんてしてないですよ』
『レナちゃん!よかったぁ~!急に倒れるからびっくりしちゃったぁ~』
そう、言うなりモアは、レナに抱きついた。
『・・・・・・モア。もしかして、我慢できなかったの?』
『あっ、バレました?』
『まぁね。でも、まだ15分ぐらいしかたってないわよ。そんな事じゃ、まだまだアルバイトとしては、無理ね。もちろん、美空さんのステージもね』
『いやぁん、お姉さまァ~、そんな事言わないでぇ~』
『ダメね!それに、いちいちわたしに抱きついて、わたしまで巻き添えにして、イカそうと、しないで!』『ご、ごめんなさい!お姉さま!』
『あのぅ、二人で盛り上がるのは、いいんですけど、涼さん早く解除してもらえません?』
「ゴメン、ゴメン。・・・・・・ハイ!これでいいわよ、レナちゃん」
涼は、レナの首の後ろにある小さな、突起を押した。すると、レナはゆっくりと、起き上がった。
『まったく、先に説明してくださいよ、涼さん!』
「でも、モアちゃん。これさいわい!って、とどめさしたじゃない?」
『もうぅ~!涼さんのイジワルゥ~!』
『ハイハイ、ジャレ合うのは後にして、そろそろ服着ない?三人とも、いつまでもこの格好じゃぁねぇ』
エレンは、そう言うと、すたすたと衣装部屋へと歩いていった。
見渡すかぎり吊り下がってる服。服。服。これでもか!ってぐらいの服の洪水。サイズも、SML・・なんて大雑把なものじゃなくて、5ミリ単位で細かく分かれてて、部位のサイズでも、細かく分かれてて、それぞれの役者さんたち専用に出来るように、だいたい、同じようなサイズごとに吊されているみたい。
『何度見ても、圧巻、のひと言ですねぇ~』
『・・・・・・そうね』
『・・・・・す、すごい。これ、いったい何人分の服が、 掛ってるんですか?』
『さぁね、考えてもみたことないから、わからないわ。それに、ここだけじゃないしね』
『えぇ~!ここだけじゃないんですか!(ないんですの!)』
『そうよ。このホビー21と、“Doll Club”の店舗だけでも、最低10ヶ所。そうねぇだいたい、ここと同じぐらいの量が、収納されてるわ。それに』
『それに?』
『海外にも、出店予定だし。後、どのぐらい増えるかわからないわ』
『か、海外ですかぁ~。なんだか、夢みたいな事になってるんですね』
『でも、夢なんかじゃないのわたしたちだって、チャンスがあれば、ホビー21で、働けるのよ』
『そうなんですか!(ですの!)』
『そうよ』
『レナちゃん!がんばりましょうね!』
『はい!モア先輩!』
『でも、レナちゃんの方が早いかもね』
『え!なんでわたしなんですか?モア先輩をさしおいて?』
『そうですよ!エレンお姉さま!レナちゃんよりわたしの方が、キャリアは長いのに・・・』
『そうですよ、エレンお姉さま。』
『モアちゃん。この際はっきり言っておくけど、これは、キャリア云々なんてことは、まったく関係ないの。その証拠にレナちゃんは、初めてにしては、かなり上手よ。呼吸も、まったく問題ないみたいだし、普通は、いくらテスト的に調整されてるとはいえ、ここまで着こなせないわ』
『・・・・そ、そんな事ないですよ』
『あるのよ、これが。わたしも、経験済みだし。特にモアちゃんは、初めての時は、1分もたなかったんだから』
『え、エレンお姉さま!何もそんな事、ば、ばらさなくても!』
『事実は、正確に伝えておかないとね。さ、そんな事よりはやく服、着ましょう』
『もうぅ~、エレンお姉さまったら!』
『も、モア先輩。気にせずにいきましょう!』
(ったく、覚えてろよ、凛。後で、絶対ジュリに、登場してもらいからな)
(了解したわ、僚二さん)(頼むよ、涼ちゃん)
『モア先輩。先輩は、どんな服を着るんですか?わたし、よくわからないんで、アドバイスしてもらえませんか?』
『・・・・いいわよ。(ふん!とんでもない服を選んであげるわ)さ、行きましょ』
『レナちゃん、初めてなんだし、このゆかたなんて、いいんじゃない?調整も簡単だし、なによりにあってるから』
モアは、そう言って、一着のゆかたセットを取り出した。
『そ、そうですか』
『そうよ。だって、レナちゃんは、まだわたしたちみたいな快感は必要ないし、呼吸の苦しさを、一番初めに経験しておけば、これから先、どんな服を着ても、パニックになったりしないし、どんな服が、苦しいのか、とかを経験しておいてほしいの』
『・・・・わかりました(なんか引っ掛かる言い方ね?)』
『じゃぁ、レナちゃん。わたしも着替えてくるから先に着てて。着方は、わかるわよね?』
『大丈夫ですよ!わたしは元から女の子ですよ!だいたいたまに、家の中じゃ、着物着てますから、簡単です!』
『へ~!そうなの?だったら、がんばってね!』
モアは、そう言いながら、服の洪水の中へと、消えていった。
『モ~アちゃん、捕まえたぁ』
スッと、なにげない動作で、モアの首に赤い首輪が、はめられた。
『ジュ、ジュリさん!わたしじゃなくて、エレンお姉さまの事を、イジメてほしくてお願いしたのに!』
『まぁ、まぁ、堅い事言わずに、ついでよ。つ・い・でヾ(≧∇≦)』
『つ、ついでって、そんなぁ~!( p_q)って、何してるんですか!』
『はい!完成!さっ、行くわよかわいい奴隷ちゃん』いつのまにか、手際よくジュリは、モアを後ろ手に縛り上げていた。
『わたしは、奴隷なんかじゃないですよぅ~!』
『ハイハイ。そんな、細かい事は、置いといて、エレンちゃんも、捕まえに、行くわよ!』
『変なことで、燃えないでください!』
ついに登場!ドSのジュリ。スタイル、ルックスともにバツグンの美女。いや、美少女?う~ん(-_-;)どっちにも、見えるから困るのよ。
ま、まぁ、とりあえず、りょ、じゃなくて、モアちゃんは、無事に生還出来るのか?(出来るがな!)
『も、モア先輩!ど、どうしたんですか?!その首輪にロープ!そ、それにその人は、だ、だれなんですか?!』
『初めまして、レナちゃん。わたしは、調教師のジュリよ、よろしくね』
『ちょ、調教師!まさか、わたしも、こ、これから・・・・・・』
ズザアァァ~~~!って、音がしそうなぐらいの勢いでレナは、壁際まであとずさっていった。
『あぁ、大丈夫よ。今日は見学してもらうだけだから。それに、よくにあってるゆかたに、シワでもよったら、大変だからね(≧▽≦)』
『き、今日は・・・・、ですかぁ(ToT)』
『そうよ、今日は、ね。さてと、エレンちゃん捕まえに行かなきゃ!あ、この子お願いね!ヾ(≧∇≦)』
ジュリは、そう言ってレナに、握っていた鎖を、手渡した。
『後悔先にたたず、か』
『・・・・・モア先輩、いつもこんな目に、あってるんですか?』
『・・・・そうよ。あぁ、失敗したなぁ、呼ぶんじゃなかったぁ』
『後、一時間半は、このままなんですよね』
『そう、エレンお姉さまもね』
『ちょっと、モア~!あんたねぇ、なんでジュリを呼んだの!お陰でこのざまじゃないの!』
罵声のする方を見てみれば、逆海老に縛り上げられて、台車で運ばれてくるエレンがいた。
『ご、ごめんなさい!エレンお姉さま!』
『ハイハイ、ケンカは後回し、後回し。たぁぷりと、楽しませてもらうわよ』
ジュリの悪魔の微笑み。
『や、やめてぇ~(やめろぅ~)!』
『(チョッチ楽しみ)』
あ、ここにも、小悪魔が・・・。
それから二時間後。
パーン!×3(往復で)×5セットと、回し蹴りで、見事にくずれおちた僚二と、涼の二人。
「橘川さん!」
「は、ハイ!」
「こいつら、(憎悪のこもった視線を向けるながら)始末しといて!」
「・・・・・ど、どのように?」
「ゴミにでも、出しといて!紗々音行くわよ!」
「・・・・う、うん(こわぁ~(^o^;))」
「大変ですね、橘川オーナー」
「・・・・・・仕方ない、ですよ、あの方の・・・・・・」
つづく
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