ボクとエリカ「第8回」(番外編) [戻る]
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ロングインタビュー

 

 

今日は,エリカさんの内臓君(男)に時間を取ってもらうことができましたので, インタビューをしたいと思います.

くにこ  「あー,どうもです.」
エリカ「こんにちは,お会いするのは初めてですね.」

くにこ「はい.まーどうぞ,飲み物はコーヒーでいいですか?」
エリカ「はい.」

くにこ「ケーキも頼みますか?」
エリカ「あのーあんまり時間がないので,,,,.」

くにこ「そうですか.あーおねいさん,コーヒー二つねっ.えーと,ケーキセットにはどんなケーキが・・・・」
エリカ「あのーくにこさん・・・」

くにこ「はいはいはい.えーでは始めましょうか.まず,お年からお伺いしましょう. 」
エリカ「23です.」

くにこ「簡単な経歴を教えていただけますか.」
エリカ「はい,地元の高校出て,東京へ来て劇団員やってます.役者志望なんです.」

くにこ「パントマイムのほうですか?」
エリカ「いえ,新劇です.まだ端役ばっかりですけど.」

くにこ「お芝居は昔から?」
エリカ「はい.高校のときも演劇部やってました.」

くにこ「で,どういったわけでホビー21でバイト始めたんですか.」
エリカ「これ内緒なんですけど,劇団の先輩が実はホビー21でバイトしてて,で,欠員があるから,って誘われました.」

くにこ「もともと女装趣味は?」
エリカ「ありません.っていうか,ホビー21のバイト内容聞いて,めちゃビックリしました.まあ,ご覧のとおりちょっと女顔ですけど,背が170くらいありますから,ちょっと女の子の着ぐるみ着てバイトする,って想像してませんでした.」

くにこ「高校のときから女役とかやってました?」
エリカ「いいえ.背が高かったですから.」

くにこ「ホビー21では背の高さは関係ないんですか?」
エリカ「エリカは背の高いキャラということでしたが,それでも168センチまでということでした.実は僕の身長は171なんですけど,3cmごまかしました.」

くにこ「初めてエリカになったときの感想は?」
エリカ「いやー.変身できるってすごいことですね.役者ってもともと他人変身願望が強いわけですけど,あんなかわいい女の子に変身できちゃうんじゃ,みんなやりたがるんじゃないかな.」

くにこ「役作りとか,練習しました?」
エリカ「最初のうちは,自分の家へ持って帰って練習していいんですよ.難しかったですね.姿見を買ってきて,一日中ポーズとってました.あとはホビー21へ行って,先輩の着ぐるみがどういう動きをするか観察してました.」

くにこ「どうして同棲しようって思ったんですか.」
エリカ「僕ね,結構凝り性なんですよ.せっかく女の子の体を手に入れたなら,本当に女の子としての生活をしなきゃいけない,って思い込んでね.ま,今でも思ってますけど.で,それなら男の子と同棲するのがいいだろうと.」

くにこ「マスク拝見しました.確かによくできてますね.」
エリカ「でしょう?これで瞬きができるともっとすごいんですけどね.でもまあ,ほおと口が少し動きますから結構表情作れるんですよ.」

くにこ「これじゃあ,あんまり外が見えないでしょう.」
エリカ「ですね.一日中グラサンしている感じ.エリカがグラサンしてると,外はほとんど見えなくなっちゃう(笑).最初に***君の家へ行く時は,実は街中ではグラサンはずしてました.案外人形が歩いててもみんな気がつかないんですよ.もっとも,ホビー21からエリカが出てくると後つけられちゃいますから,そのときは別のところで着替えましたけどね.」

くにこ「一日中暗闇にいるの,ちょっと怖くありませんか?」
エリカ「うーん,まあ,ホビー21って結構店内明るいんで,あそこで歩いている分にはそんなに困らないんです.***君の家の中,けっこう暗いんですよ.一人暮らしだったし.テレビは見られるんですけどね,色がよくわからない(笑).それがつらいといえばつらいですけどね.暗いのが怖いようじゃお人形とはいえませんよね?くにこさん.」

くにこ「ま,ね.あなた,一日中手探りだけで生活できますか?」
エリカ「今,***君の家だったらできますね.食事作ったり,そういう面倒なことがいらないですから.オーディオの場所だけわかってれば大丈夫.もっとも,なんのCDか触っただけじゃ分からないのが難点で・・・(笑)」

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くにこ「あのー,聞いた話では,動くだけで股間に感じやすいようにできてる,って聞いていたんですけど,一日中装着できるものなんですか?」
エリカ「それ,最初はすごく困りました.そりゃ,ちょっと気持ちよくなるぐらいだったらいいんですけど,あんまり続けてだと拷問です.でも,本当に長時間装着しているとまあまあ大丈夫なんです.こっちの体が慣れてしまうせいなのか,じゃなきゃ多分バッテリーが切れてるんだと思うんですけど(笑).だから,長時間装着できるんです.」

くにこ「じっとしているのも,かえってつらくなっちゃうでしょう?」
エリカ「僕の場合,変に動くと「感じちゃう」ので,できるだけ動かないようにしてます.最初のうちはどこに性感センサーがついているかよくわからなくて,すごくイヤでしたけど,今は分かってますよ.耳の後ろ,喉,胸,わきの下,背中の上のほう,わき腹,股間の少し下,あとふくらはぎですね.くにこさん,どうして性感センサーがふくらはぎにあるか分かりますか?」

くにこ「全く分かりません.」
エリカ「ブーツをはくと感じちゃうんですよ.まったく意地悪ですよね.帽子かぶると耳の後ろで感じちゃうし.でも,場所がわかっていますから,自分が楽しみたい時以外はできるだけ触らないようにしています.ブラジャーつけるときは仕方ないですけど,家にいるときはブラジャーもしないようにしています.ゆったりした服着て,だいたいパンティだってはかないです.***君帰ってくる頃にははきますけどね.本音で言えば,家の中では素っ裸で生活したいですね.でも***君鼻血出しちゃうからできません(笑).」

くにこ「呼吸は?股間で呼吸するんでしょう?第一,あんまり長いホースだと,空気の循環がないから,装着したまま眠れないでしょう?どうしてるんです?夜中ずっと起きてるの?」
エリカ「それはねえ,僕,黙って改造しちゃったんですよ.もともと,すごく息が苦しくできてて,ホビー21でバイトする人,どんなに我慢しても5時間くらいで完全に消耗しちゃうんですよね.しかも,レオタードとか着ると,特に息が苦しいんですよ.管がね,クビの後ろのところを通ってる,て知ってたから,ここをいっぺん切り開いて,そこにね,小さなポンプつけたんですよ.東急ハ*ズで1000円で売ってる(笑).管が2本あるから,片方が吸気用でもう片方が排気用にね.これなら,口回りの空気を絶えず強制換気してくれるから,寝ることだってできます.といってもね,そんな強力ポンプじゃないから,レオタード着るとやっぱりちょっと苦しいですよ.寝るときにはパンツも脱いで寝なきゃいけません.オトコの人が喜びそうですけどね.理由は別にあったりして(笑)」

くにこ「でもなんだかんだ言って,やっぱり息苦しいんでしょう?」
エリカ「24時間苦しいですね.ぱつぱつのパンツはくと通気口塞いじゃいますからなおさらです.持ってる中では,Gパンが一番ヤバイですね.これ一日はいてたら気が遠くなります.」

くにこ「時々,ひそかに立ち止まって深呼吸してたりします?」
エリカ「しますします(笑).必須事項ですよね.」

くにこ「革パンはけ,って***君に言われたらどうしますか?」
エリカ「あれ,まったく空気通さないでしょう?自爆ですね.」

くにこ「改造してばれませんでしたか」
エリカ「すぐにバレちゃったんですよ.だって,着ぐるみをクリーニングに出さなけりゃいけないもんですから.空気管の改造はばれちゃった.そしたらね,他の着ぐるみも同じように改良するから,って言われたんですよ.かえって,お手柄だったみたいですね.」

くにこ「お風呂にも入るそうですが,どうやって入るんですか?股間呼吸ではお風呂に入れないでしょう?」
エリカ「だから,ポンプつけたときに,後頭部で一度管を切ってますから,そこに切り替え弁をつけて,後頭部で呼吸もできるし,股間でも呼吸できるし,ってそんな具合になっています.だから,シャワー浴びたりお風呂はいったりするときは股間のほうを閉めて入ります.手品みたいですね.もっとも,後頭部で呼吸すると呼吸音が外へ聞こえてしまいますから,お風呂の時だけです.」

くにこ「あなたのやっていること,命がけだと思いますけど.」
エリカ「そうかな.ま,3日間何も食べられなかった時はさすがにちょっとヤバイと思いましたよ.***くんのとこいって,最初の3日ですね.食べもののことまで頭が回らなくて,スーツケースに食べもの忍ばせていくの忘れちゃったんですよ.外出しようにも,外出着もない.で,いきなり『食べなくて大丈夫なの』って聞かれて,これはヤバイって思ったけど,もう後には引けないしねえ.」

くにこ「で,倒れちゃった?」
エリカ「朝起きたらね,ぜんぜん手足が動かないですよ.で,ふーっと気が遠くなって,参りました.あれはかなりやばかったです.で,ちょっといったん目がさめたんですけど,そしたら***君が覗き込んでるのが見えたんですね.で『あっち行ってて!』て思わず叫びそうになったんですよ.でもはっと気がついて,自分が着ぐるんでいるのを思い出したんですよね.で,あわてて「会社へいけ!!」って文字で命令して,,,,ま,あれはホント大変でした.***君が出かけた後,彼の服を適当に着て,ファミレスでメシ食ってきました.胃がすぐに食べものを受け付けないんですよ.でも,あんなにおいしいご飯は食べたことなかったですね.」

くにこ「エリカとして生活していて,一番きついのはなんですか.」
エリカ「生理的に一番きついのは,目がさめた時ですね.誰でも,目がさめた時って,『自分』なわけじゃないですか,でも現実には目がさめても人形としての現実があるんですからね.朝起きて,気がつくと自分のアイデンティティがないわけでしょう?とか言っておきながら,朝一番に鏡をのぞくのすごく好きなんです.あ,やっぱり僕はこんなにかわいい子なんだ,って毎日のように思います.」

くにこ「***君と同棲するための下準備はしたんでしょうか?」
エリカ「まずね,預金通帳とクレジットカードとケータイをエリカの名前で作りました.でも,そのくらいですよ.準備したの.あとは行き当たりばったりです.」

くにこ「ササナミ,という苗字はどこで思いついたんですか?それともあなたの本名?」
エリカ「ササナミって,モトカノの名前なんです.実は.」

くにこ「同棲する相手として,どうして***君を選んだんですか.」
エリカ「ホビー21で何人も取り巻きがいたんですけど,写真撮る人はいかにもオタクって感じでちょっと怖かった.僕としては,ボーっとしてて,危害を加えないような人で,って感じで決めました.いっつも釣具売り場にいるんですけど,釣具なんかぜんぜん見てない(笑).ああ,このひと気が小さいんだな,とおもって.でも,よかったと思いますよ.すごく大切にしてくれるし.ま,これからどうするか分かりませんけどね.」

くにこ「昼間は何してるんですか.」
エリカ「実はね,ホビー21で働いてます(笑).平日のバイトに切り替えてもらったんですよ.土日だとミニショーみたいなのやらなくちゃいけないけど,平日はいつも僕は別館の1階のインフォメーションのところで制服来てインフォメやってます.」

くにこ「声が出せないのにインフォメできるんですか?行ったことないからわからないんですけど.」
エリカ「ええまあ,本女の人とペア組みますから案内はそっちの人がやってくれます.こっちはアイドルキャラクターだから座っていればいい.よくペア組んだ人に言われますよ.楽チンでいいなあって.でも,こっちは着ぐるみ着てる分だけ大変なんだよ,って言いますけどね.」

くにこ「それは男の格好で出勤するんですか?」
エリカ「はい.一応,行く時はいいですけど,帰るとき後をつけられると面倒ですから.」

くにこ「ホビー21をやめない理由がなんかあるんですか?」
エリカ「実はね,エリカの外側の着ぐるみって,消耗品なんですよ.2週間くらい使っていると磨り減って汚れちゃう.もちろん定期的にクリーニングもしなければいけないし.もし,ホビー21やめちゃうと,交換してもらえないでしょう?」

くにこ「ホビー21側は,***君との同棲を認めているんですか?なにしろアイドルでしょう?男の子と同棲してて怒られないの?」
エリカ「今のところはまだ秘密にしてます.見つかったら,どうなるのかな.首にならないといいんですけどね.」

くにこ「24時間女の子でいると,気持ちが本当に女の子になっちゃいませんか?」
エリカ「なりますねえ.もう男性としてのアイデンティティがかなりヤバイです.なくなりかけているというか.素顔で外を歩く時にも内股になっちゃったりして.」

くにこ「じゃあ,本当に男性のことを好きになるとか?」
エリカ「それは今のところないです.もともと女の子が好きですし,今はいませんけど昔は彼女もいましたし.いずれは普通の結婚もしたいですし.」

くにこ「***君に結婚申し込まれたらどうしますか.」
エリカ「受けますよ.」

くにこ「え,だって,男性に興味ないんでしょう?」
エリカ「だって,戸籍上,本当に結婚できるわけじゃないんだし,むしろ結婚生活まで完璧に演じてみたいですね.」

くにこ「抜けられなくなる,とか考えないんですか」
エリカ「いつも行き当たりばったりなものですから.」

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くにこ「***君が躍起になって着ぐるみの皮膚の切れ目を探していたようですけど,どうして彼は見つけられなかったんですか.」
エリカ「なーに簡単なことですよ.装着した段階で,完全に接着してしまっているんです.特殊メイクと同じですよ.内側の着ぐるみに完全にくっついていますから,切れ目も何もないわけです.着脱は腰のあたりでしますけどね.結構大きく切れ目が入っているんですよ.それをわざわざ毎回特殊メイクの接着剤でくっつけているんです.いくら探しても切れ目がないはずです.彼は,チャックかなんかだと思っているんだから.
 あんまり彼が見破れないもんだから,おもしろくなっちゃって,真っ裸のまま床に寝ッころがって,好きに調べてくれ,ってやったこともありますよ.でも分からなかったみたい.」

くにこ「***君とキスしたでしょう?気持ち悪くない?オトコとのキスって.」
エリカ「うーーん.まあ,今思い出すと,結構気持ち悪いですよね.***君て,手をつないだだけでいっちゃうというか,そういう純粋なところありますから,急にキスしてくるとは思わなかった.でも,着ぐるンでいる間は,ココロは女の子になってしまいますから自然に体が反応しました.あの翌日,一生懸命エリカの口を消毒したんですよ.(笑)」

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くにこ「好きなアニメのキャラはありますか?」
エリカ「年齢のわりに古いなあと言われそうですが,僕,コミックカフェが好きで入り浸ってたもんですから,古いマンガのほうがかえって詳しいんですよ.一人はピノ子ちゃんですね.ブラックジャックの.彼女は,内臓は生きてるけど,人工皮膚で覆われているんでしょう?ピノ子ちゃんは8等身にあこがれているんだけど,その夢は結局満たされない.僕は彼女の夢を実現しているんだと思うと,ちょっとうれしくなりますね.あとね,いくつか参考になることもありますし.」

くにこ「たとえば?」
エリカ「ピノ子ちゃんは,料理する時に顔を保護するものをつけてるんですよね.ほら,溶接工がつけるみたいなヤツ.あれ,どうしてだろう,って思ってたんですけど,いざ自分が人工皮膚で生活してみるとすぐに分かる.人工皮膚に油が飛んじゃうと,自己再生できませんから,しみになっちゃうんですよね.手塚治虫はそういうところまで気を配ってたんだなーって思って.」

くにこ「他には?別のキャラの話でもいいですけど.」
エリカ「これ,誰も知らないだろうなあ.ユキちゃん」

くにこ「もしかして松本零士?」
エリカ「え,くにこさんも,よく知ってますね.でも,マンガのタイトルまでは分からないでしょう.」

くにこ「なんでしょうねえ.」
エリカ「『セクサロイド』っていうマンガがあるんですよ.人造人間なんだけど,すごい美人でプロポーションがよくて,主人公のオトコの人とセックスできるんですよ.結構エッチなところのあるマンガなんですけどね.好きですねえ.エリカになってぼくがやっていることはこのセクサロイドと感覚がすごく近いんです.」

くにこ「今度探して読んでみます.」
エリカ「かなり古いマンガだから,古本屋でないと見つかりませんよ.」

くにこ「他には?」
エリカ「まあ,そんなところですかね.」

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くにこ「で,これからはどうする予定なんですか?ずっと同棲を続ける?」
エリカ「うーーん,どうしようかなあ.まあ,2・3年くらいならいいと思ってますけど,向こうが放してくれなくなるかな.社会にカミングアウトしなくちゃいけない時期も来ると思いますし.もともと,エリカのほうは人前に出ても困らないようにできていますから,***くんと町を歩いてもぜんぜん平気なんですけど,彼のほうが白い目で見られるかもしれないですしね.ま,そのあたりで彼のほうが手を放してくれるでしょう.なんか,いつも行き当たりばったりなんですよ.でもね,***君にはゼッタイ素顔を見せないつもりでいます.」

くにこ「今度お台場あたり,2人で散歩しませんか?」
エリカ「いいですねえ.でも,僕は素顔ですよ.くにこさんだけお人形モードで来てください.」

くにこ「???いいですけど?」
エリカ「で,レストラン入って,僕だけ悠々食事する.自分が食べないで人が食べてるのばかり見てたので,いっぺん逆をやってみたいんですよ(笑).」

(第9回に続く)

 お断り:東急ハ*ズで,1000円のハンディポンプを買って,本当に呼吸で きるか,私は一切責任をとりません.ただ,どこに売ってるか,というご質問には個 人的にお答えできます.



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