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勝俣さんの言葉に悶々としながらも、再びトランクを転がして移動すると、一般入場ゲートに到着。敷地には誰でも入れるので、僕もそのままゴロゴロとトランクを引いて入場します。
敷地内をテーマパークエリアに向かって歩いて行くと、野外でグリーティングしているキャラクター達も寄ってきます。
キャラクター達は基本的には屋内でのグリーティングが多いのですが、最近は敷地が拡大しているので、野外でも活動しているんです。
ただ、ご存知のように着ぐるみの内部は非常に過酷な環境になる為、屋内のように1体が何時間も存在し続ける事はありません。
近寄ってきたキャラクターは由奈。
彼女は最近売り出し中のキャラクターなのですが、彼女のトレードマークは真っ白いコートと帽子です。それは、某銀河超特急アニメのヒロインの着ている黒いコートと帽子の色違いと言えます。
髪の毛が漆黒のロングヘアなので、白と黒のコントラストがとても美しいのですが、今は夏、そしてここは野外。
決して楽な姿では無いはずですよね。
そんな彼女が、僕の方に近づいて来ました。
別に彼女と親しい関係では無いのですが、職場で何度か見ているので、顔は覚えていたのでしょうか?
身振り手振りでコミュニケーションを取ろうとする彼女。
どうやら、このトランクは何か?何処に行くのか?と聞きたいようです。
「この荷物?これはちょっと運んでくれって言われてるんだよ・・場所?場所は向こうのホテル」
すると彼女は、その場で腕を組んでしゃがんで見せます。
そう。まるでこの中に入ってるんだよね?と言いたそうに。
僕は彼女を見るとウンと頷きます。
彼女は立ち上がり、トランクに近づくと、指でトランクの底を触っています。
「え・・・」
僕が呆気にとられていると、彼女は可愛らしく首を傾げて僕を見ます。
「どうしたの?」
そう言いたげです。
「そこは・・・」
僕が言うと、彼女は大きくウンウンと頷きます。
布が貼ってあるあの場所は、真裏には明日菜の柔らかくて敏感な部分が存在しています。
ああやって弄ると、つまり中の明日菜は・・・・
既に僕の物はパンツの中で立派になっています。
特性のパンツのおかげで見た目には変化が無いのですが、正直このままトイレで出してしまいたいぐらい興奮していました。
ただ、僕がどれ程興奮したとしても、多分目の前にいる由奈や、トランクの中にいる明日菜の中にいる人達が体感している快楽に比べたら、何ともつまらない物のような気がします。
由奈の身体から漂うほのかな石けんと毛皮のコートの香りは、蒸し暑い夏の最中にあっても爽やかですが、コートの下にもしっかりとワンピースのパーティードレスのような綺麗な服を着ているはずの彼女の中は、極めて羨ましい環境にあるはずです。
コートとスカートに遮られ、下着やパンストにも覆われているはずのその中に籠もった空気は、きっとこんなに爽やかな香りは発していないはずですが、そんな香りが充満する世界に身を置く人が羨ましくありました。
僕にはこんなに爽やかな香りを届けながら、自分だけはもっと咽せ換えるような彼女の本当の香りを独り占めしているんですから。
由奈はちょこんとしゃがんだまま、トランクを撫で撫でしています。
どんな思いでこのトランクを見ているんでしょうね。
自分ですら相当に苦しい環境にいるのに、目の前にはさらに大変な環境に耐えている役者がいるのですから。
そんな中、僕だけ蚊帳の外と言う気がしますが、こればかりは役者だけが味わえる特権なんでしょうね。
時間にして15分ぐらいでしょうか。
由奈とじゃれあって、ようやく先に進む事になりました。
ただ、最後の最後にお別れを言うタイミングで、由奈が周りの人を確認し、誰も見ていない隙を突いて、ギュッとハグしてきました。
「え・・」
抱きついた彼女は、驚く僕を見上げるように見つめて、軽く頷きます。
その瞬間、彼女は僕の股間を触って、固くなっているのを確認したようでした。
スッと彼女が僕から離れると、石けんのいい臭いが漂うのですが、彼女の身体は凄く熱気で籠もっていて、コートが若干湿っていた気がしました。
ここの着ぐるみは、汗こそかかない物の、湿気は外に逃がすので、その逃げた湿気がコートに吸われているでしょうね。
爽やかに見える彼女ですが、実際には外側であってもそれだけ蒸しているんです。コートの裏側はもっと凄いはずですし、由奈の中はその何倍もの湿気と温度のはずです。
あんなに小柄で可愛い彼女ですが、その容姿が何とも罪な姿に見えました。
それにしても、何で彼女は固くなてっいる僕の物を確認するような事をしたのでしょう。
彼女は僕がこの仕事に興奮を覚えている事を確認したかったのでしょうか?
普通のお客さん達と違い、僕らは着ぐるみに近い場所で仕事をしていて、特に僕は中の様子を想像出来る立場にいる
ので、着ぐるみたちを見て興奮している人は結構いるんです。
そう言う意味では当たり前な反応をしている気がしていますが、わざわざ確認されると恥ずかしいものですね。
こうして僕は更に先に進む為に、テーマパークエリアの方に向かって突き進みます。
すると、テーマパークエリアの通路は、西洋風の石畳になっている部分が多く、トランクを引く手には、そのコトコトと言う振動が容赦なく伝わってきました。
僕の手に伝わる振動を考えたら、トランクの中の振動はどの程度になっているのか、大変気になる所ではありますが、もちろんトランクの外から眺める事しかできない僕に、その本当の状態はわかりません。
しかも、コトコトと衝撃があるので引っ張りにくく、なかなかこのエリアを抜けるのに苦労します。
振動が伝わるたびに、トランクの中を想像し、中の人に同情するどころか、その状況に興奮しつつ、うらやましいとすら思ってしまっているのですが、テーマパークですから周りにはお客さんもたくさんいます。
そのため、なるべくポーカーフェイスで、この興奮が周囲の人達に悟られないようにしていました。
本当は今すぐにでもトイレで処理したい気分なのですが、さすがにトランクを持ってトイレに入る訳にも行きませんしね。
着ぐるみの中では、快感は人知れず処理されると言います。
どんなに苦しくても、どんなに気持ち良くなってしまっていても、外から見ている人がその真実を知る事無く、処理されるのだそうです。
トランクの中にいる明日菜も、普段はそうやって人前で、誰にも知られること無く処理しているはずですし、先ほどの由奈だって、あんな容姿の中で、誰にも気付かれること無く何度も処理が行われているかもしれないんです。
想像しただけでゾクゾクするような、気持ちよさそうな世界を、実際に彼女達の中の人は体験し続けています。
明日菜の場合、今はトランクに梱包されていて殆ど身動きが出来ない状態にあるはずですが、相当に感じやすいと言われる身体を小さく折りたたむようにして梱包されているわけですから、トランクの中で快感を楽しむことなんて、簡単な事のように思えてなりません。
それを思うと、僕は明日菜の中の人が羨ましくて仕方ありませんでした。
何しろ、僕はそんな羨ましい人をホテルまで運び届けるだけの、単なる荷物運びの人間なのですから。
重いトランクを移動してると、今度は道を遮られました。
どうやら、これからパレードらしく、その間はメインストリートを横切るような移動は出来ないそうです。
パレード自体は15分ぐらいなのですが、実際に閉鎖されるのは30分。待っているのも大変ですから、僕は迂回して移動する事にします。
パレードを避けるように大回りしていると、パレードが始まったようで、急に賑やかな音楽がパーク中に響き渡りました。
この時間のショーは、パークの中心にあるフローレンス城のフローラ姫を主役に、ここのキャラクター達が様々なコスチュームでダンスしながら移動する感じなのですが、数あるテーマパークの中でも、非常にリアルなキャラクター達がいるというのがウリなんですよね。
もちろんリアルなのは美少女キャラクターだけではなく、まるで特殊メイクやCGのようにリアルな質感を持ちながら表情はコミカルな動物キャラクター達や、空想の生き物達もいます。
ここだけの話、あのキャラクター達を動かしているのも、実は美少女着ぐるみなんですよね。
非常に重装備なので、普通の人間が入っても結構大変らしいのですが、体型の可変が可能な美少女着ぐるみのスーツを利用して、それこそ子供が入ってると思えるような非常に小柄なキャラクターにも、入れるんですね。
通常サイズのキャラクターにもわざわざ美少女着ぐるみを入れているのは不思議なのですけどね。
そうそう。このキャラクタースーツを見せて貰ったら、裏地は全部サテンで出来ていました。
脱ぎ着がしやすいように、スベスベの素材が使われているらしいのですが、ツヤツヤのサテンに覆われたスーツの中に美少女着ぐるみとして入り込む、と言う事は、つまり全身をサテンが密着する感覚の中で繰演すると言う事です。
その上、スーツは分厚い肉厚の物もありますから、密着感、拘束感は相当な物のはずですよね。
可愛らしい猫やウサギのキャラクターも、怖いオオカミや大ザルも、中の美少女キャラクター達にとっては相当に過酷な物のはずです。
ただ、ここでのエリートはやはりお姫様なんですよね。
みなさんお姫様キャラクターには憧れるらしいです。
物理的な快感が強い動物系のスーツの中に入る役も、大変なのですが、美しいお姫様として存在し続けながら、サテンで出来た豪華で重装備なドレスによって苦しい時間を過ごす方が魅力的みたいですね。
僕にとってはどちらも羨ましい世界なのですが、役者達の世界では、その中でもやはり羨ましい世界があるようです。
そう言えばトランクの中に梱包された明日菜の立場も、訓練とは言え、もしかすると美少女キャラクター達の中では羨ましく思う物なんですかね?
実際僕は、こうしてトランクを運びながら、箱の中に収まっている明日菜が羨ましい、と思える感情が、ずっとずっと続いています。
もう、この炎天下でかなりの時間小さい空間の中にいるんです。それがどんな事なのか、想像すると、中の人に同情するどころか、僕の物は益々固さを増していくのでした。
パレードを避けて遠回りする事15分。ようやく目的のオリエントホテルに辿り着きました。
大きなトランクを転がしていた僕を見つけ、ベルボーイさんがすぐに近寄ってきます。
「荷物お預かりしますね」
ベルボーイさんはそう言って、トランクを僕から受け取り、大き目の台車の上に寝かせるように乗せました。
するとベルボーイさんがトランクの不自然な場所を発見します。
実は僕もその部分を目にするまで、その異常に気付いていませんでした。
トランクの底にあった布の部分が、凄く湿っていて、トランク本体の硬質な部分にも水滴が付着していたのです。
「あ、何かが漏れているみたいですね。すぐにロックを外して中のものを確認しましょう」
ベルボーイさんは丁寧に対応してくれようとするのですが、何しろ僕はロックを外す鍵を持っていません。
今、このトランクのロックを外せるのは、トランクの中にいる明日菜だけなんですね。
僕はベルボーイさんに、このトランクのロックは、チェックインして部屋に行かないと受け取れない物だという話しを説明すると、不審に思われることも無く、少しだけニヤリとして納得してくれました。
そして、こう言いました。
「では、漏れているこの部分だけでも拭いておきましょう」
ベルボーイさんはすぐにタオルを取りに行くと、戻ってくるなり、丁寧に丁寧にその布の周りと布を拭いてくれました。
特に布の塗れた染みを取る為に、トントン叩いたりグイっと押し付けるようにしたり。
僕は何も言えませんでしたが、もちろんあの裏に何があるのかを理解しています。
確かにあそこは、明日菜の身体とダイレクトに密着はしていません。
トランクに梱包する時に見た感じだと、股の間には両足が密着し過ぎて呼吸経路が塞がれないように、少し厚みのあるスポンジを挟んでいたはずですが、あのスポンジはそれなりに固めの素材でした。
ああやって、外から布を押し込んだり叩いたりすると、当然そのスポンジを経由して振動や圧力が明日菜の敏感な部分に伝わっているはずなんです。
その感覚が明日菜の中の人間にどう伝わっているのかは僕には想像ぐらいしか出来ませんが、想像すればする程、トランクの中が羨ましく思えてしまいます。
染み出てくる液体は、裏のスポンジが吸い込んだ物でしょう。
ベルボーイさんがタオルで何度も吸収させて、ようやくある程度拭き取れたようで、やっとチェックインカウンターに移動します。
チェックインすると、すぐに部屋に案内されます。
先ほどのベルボーイさんが、エレベーターで自分の部屋のフロアに連れて行ってくれて、そこから廊下を移動して、目的の部屋に。
ドアもベルボーイさんが開けてくれて、一緒に部屋の中に入ります。
すると、すぐに感じたのは部屋が蒸し暑い、と言う事でした。
「すみません。ちょっとこの部屋、今エアコンが故障していまして、変わりに扇風機がありますので使ってください」
「え?ホント?」
「ええ。こちらの部屋を予約されている方に事前に了解を得ているはずですが?」
「え?あ・・あぁそうなんですか。であれば分かりました。」
ベルボーイさんの説明によると、この部屋を予約した人物の了解を得ているとの事。
その瞬間、ピンと来ました。
この部屋は耐久試験の為に、わざとエアコンが動かない状態にある気がしました。
そしてベルボーイさんがトランクを床に置き、立ち去る寸前に、僕に耳打ちするようにこう言いました。
「緊急時のトランク解除の方法ってご存知です?中でイク事なんですよ。つまり中から解除されないと言う事は、イッてないと言う事。もうお分かりかと思いますが、トランクの中は随分と素敵な状態になっているはずですよね?そこで鍵を開けずに頑張るのは、かなり過酷だと言う事を想像できますよね?ではごゆっくりどうぞ」
最後にニヤリと笑うと、ドアを閉めて出て行ってしまいました。
このホテルでのベルボーイさんの行動の意味が理解できました。
あの人は全て分かってて、わざと僕の目の前でタオルで丁寧にトランクの底を拭いてたんです。
そして、わざとこの部屋のエアコンを止めて、扇風機を使うようにしていたんです。
扇風機でも、風が当たる僕には、無いよりマシなのですが、一方でトランクの中には風は全く当たらないので、蒸し風呂状態が楽になることはありません。
つまりトランクの中にいる明日菜の世界は、今でもずっと苛酷な環境になっています。
気になるのは、ベルボーイさんの言った一言。
緊急時に開錠するには、イク必要がある、と。
つまり、明日菜の中の人には、イク事を検知する装備があり、それに反応して開錠する仕組みがこのトランクと明日菜に備わっていると言う事。
そして、今の今まで、このトランクは開錠されていないと言う事は、つり明日菜の中の人はまだイッて無いと言う事。
いや、厳密に言えば、あの訓練センターで開錠のテストをしたときに、実際に中でイッてたのでしょう。
そう言えば淡路さんが明日菜に聞いていた、事前準備の話が思い出されます。
明日菜は、トランクに入ってすぐに開錠テストをするために、きっとあの部屋に入ってくる頃には中の人の興奮を絶頂の手前ぐらいにまで高めていたんです。
あんなに自然な態度でしたが、相当に我慢していた。
そしてトランクの中で出した。
それは、きっとトランクの鍵が開くテストと同時に、この先しばらく我慢を続ける為の最後の放出でもあったのかもしれません。
いずれにしてもあれから随分時間が経過しています。
通常の着ぐるみ達は、平均で1時間に1度ぐらいはイッていると言います。
衣装や状況によってタイミングはバラバラですし、役者によってはずっと我慢することで余計に興奮する、と長時間我慢する人もいるようです。
ですから、1時間と言うのはあくまで平均的な値ではありますが、トランクの中の環境を想像すると、それはもう相当に我慢を続けているはずです。
こんなに厳重に封印されたトランクの中で、与えられる快楽をじっと我慢し続けているんです。
それを思うと、非常に羨ましくなってしまいます。
僕はすぐに、この部屋にあると言う鍵を探し始めます。
僕の目的は、荷物を運んで鍵を探して、係りの人が来たらそれを私で開錠して貰うこと、でしたからね。
鍵を探すと、机の上に不思議なメモがあることに気付きました。
そのメモを手に取って見ると、メモにはこう書かれています。
「引き出しの中の道具が鍵となっています」
メモに書かれたように机の引き出しをあけると、中には驚くべき物が入っていました。
そこには、精巧に出来た明日菜のフィギュアが手足や胴体がバラバラになって入っていたのです。
それと同時に、いくつかの不思議な器具もありました。
フィギュアの横に添えられたメモには『組み立てて、器具を利用して鍵を開けてください』と書かれていました。
とりあえずメモの通り、フィギュアを組み立てます。
と言っても各パーツを組み合わせるだけなので、1分もかかりませんでした。
サイズは高さ40センチとかなり巨大なサイズでした。
しかも組み立てて分かったのですが、そのポーズは、足を縮めて腕を抱えて小さく丸まるようなポーズ。
そう。まさにトランクの中の明日菜のポーズと言えました。
着ている衣装もトランクの中の明日菜と同じ水着。
フィギュアの素材はリアルで柔らかく、水着の素材も非常にリアルでした。
フィギュアの背中には、スイッチらしい押しボタンがあり、それを押すとボタンが緑色に光っているのが分かりました。
そして、フィギュアと共に引き出しに入っていた器具は2つ。
2つとも電動歯ブラシのような道具で、先端が丸い物と、筆状の物があります。
いくらなんでもこれだけ露骨だと、これが何をする器具なのかは想像がつきます。
トランクを開ける鍵、ですから、つまり今トランクを開錠出来る唯一の存在である、明日菜が鍵そのものなんです。
そして、このフィギュアはきっと明日菜の分身。
この器具を使いフィギュアの明日菜を悪戯する事で、トランク内の明日菜にそれが連動し、明日菜の中の人がイク事で鍵が開く、と言う事でしょう。
やがて、係りの人がこの部屋にやってきて、この器具を使って鍵を開けるまで、僕はしばらく待機する事になるんです。
目の前のフィギュアと器具と、そしてトランクを見つめ、非常に悶々とした気分になる僕。
既にフィギュアのスイッチは入れられていると言う事は、あのフィギュアは、トランクの中にいる明日菜に直結していると言う可能性が高いのです。
手を触れたら、場所によっては遠慮なく明日菜の中の人を喜ばせてしまう可能性が高いのです。
扇風機があるとは言え、蒸し暑さで汗が滲む室内で、ただじっと時が過ぎるのを待つ僕の気持ちは、大変切なくてツライものでした。
テーブルの上に置かれたフィギュアに近づき、指先で脇腹をツツーっとなぞってみます。
すると、トランクの中で僅かですがビニールが擦れ合うような音がするんです。
野外では全く聞こえませんでしたが、誰もいない室内ですと、その僅かな音が耳に入ってきます。
明らかに中の明日菜が脇腹を刺激されてムズムズと動いている音です。
もちろんスポンジによって殆ど身動き取れない状態にあるはずなので、明日菜がいくら抵抗しようとしても、その感触から自らの身体を防御することなど出来ないはずでした。
明日菜のトランク内のポーズをそのまま再現しているフィギュアは、腕を組んだ上に両胸が乗っているような状態のまま、体育座りの様にして身体を折りたたんでいます。
ですから彼女の脇からは胸も無防備に丸く美しく見えているんです。
プニプニと触れてみると、その柔らかい弾力は本物の胸と遜色ないぐらい。
縮尺を小さいですが、胸を脇から押すことで水着に寄るシワもリアルです。
再びトランクの中からモソモソサワサワと微かな音がします。
この感覚も伝わっているのでしょうか。
こんな蒸し暑い部屋で、小さなトランクの中で、スポンジに遮蔽され、ビニールに包まれた中で、ひたすら与えられる快感に耐える人物がいる。
生身の身体でそれをしている人がいたとしても、多分僕は、大変だなと思う程度でしょう。
ですが、トランクの中に梱包されているのは、生身の人間ではなく、明日菜です。
その明日菜は、今でもやさしく微笑みながら、トランクの中で小さく丸まって身体を動かせない状態にいます。
そんな明日菜の中に、誰かは知らないけれど、耐久試験のために入っている役者さんがいるんです。
役者さんの中には女性もいますが、高確率で男性が入っているケースが多い。
つまり明日菜も中には僕と同性が入っている可能性が高いんです。
もしそうであれば、今、その男性は、明日菜という可愛らしい女の子のお人形の中で、僕には想像しか出来ない、ものすごい蒸し暑さと息苦しさと拘束感、閉塞感の中で、その身体が生み出す快楽を独り占めしているはずなんです。
しかも、その男性はどれ程興奮していても、明日菜の股間はすっきりと女のこのシルエットを保ったまま。
誰にも見られていないトランクの中でも、完璧に明日菜は女の子でいるはずです。
トランクの中に充満する蒸し暑い空気を、ビニールのフィルターを通して水着越しに吸う気分とはどんな物なのか。
身体を殆ど固定されたまま、小さくうずくまった状態で、蒸し風呂のような空間に身をおき続けるのはどんな気持ちなのか。
そして、そんな状態にありながら、明日菜の身体と水着やビニール、あるいはスポンジによって産み出される快感とはどんな物なのか。
中の人物がどれ程苦しくても、どれ程蒸し暑くても、どれ程気持ちよくても、多分明日菜はやさしく笑ったまま身体を小さく丸めてじっとしているだけです。
しかも目の前のフィギュアは、そのようなどうにもならない状態にあるはずの中の人を、外側から悪戯できる機能を差なえているのです。
これは普通に考えたら、中の人はには地獄のような苦痛に見えるのですが、僕は、そんな状況にある中の人を、激しく羨ましく思えていました。
フィギュアを見ながらそんな事を考えていたら、ホテルの電話が鳴りました。
驚きつつも僕は受話器を取ります。
「あぁ君か」
「淡路さん?」
「そうだ。実は係りの人間がそっちに行く予定だったんだが、予定が変更になった。代わりに君が鍵を開けてくれ。」
「え?僕がですか?」
「ああ。開け方は分かるよな。」
「た・・・多分ですが・・・」
「フィギュアのスイッチを入れて、あとは備え付けの器具を使うんだ。但し、実はテストの時と違い、ロックは2段階になっている」
「2段階?」
「つまり2度出さないと開かない」
「2度・・・」
「1度目でロックの第一弾が外れる。そこからもう一段は、少し時間を空けないと駄目だ。出してすぐに回復するのは無理だから、分かるよな?」
「は・・はぁ」
「ちなみに、そこまでで第一弾ロックが外れてる事は無いよな?」
「ロックに変化は見当たりませんが」
「じゃあ大丈夫だ。第一弾は簡単に外せるだろ。何しろここからそこまでの移動の間、ずっとトランクの中なんだ。君なら想像できるだろ?」
「ええ・・まぁ」
「じゃあ、あとは頑張ってくれ」
淡路さんはそう言って電話を切ってしまいます。
「そ・・そんなぁ」
途方にくれる僕。
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