お嬢様物語:仕掛け(1話) [戻る]
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 プロジェクトK第3の為に用意された物を持ち帰った田端、浅川の2人は、2週間かけて、なんとか練習をこなし、再び梶原の家に集まった。

「皆さん、例の物に慣れる事は出来ましたか?」
「ええ。なんとか。」

 田端が言い返す。

「俺も何とかなったかな。」

 浅川もすかさず言い返す。

「さすがですね。少し安心しましたよ。こっちの方も準備は万全です。着太郎さんには先週からコンタクトを取っていて予定通りなら来週、プロジェクトKの第3弾を決行します。」
「来週かぁ。次っていよいよ最後の段階なんでしょ?場所は、俺の時みたいにここで?」
「いや、それはマズイです。着太郎さんは私の家を知ってますから、ここだと私だとバレる。」
「それじゃあまた別荘で?」
「いやいや。実は、先月から計画していたのですが、この着ぐるみを作っている会社の社員用のマンションが1室空いているらしいんで、そこを借りようかなと言う事になっています。」
「そんなの勝手に借りちゃって大丈夫なの?」
「ホントはマズイみたいですが、開発担当の知人が、スーツ開発のためにってお願いしたら許可が下りたそうです。」
「でも、借家じゃ、内装とか家具とか全くないんじゃない?」
「その点も大丈夫。家具などは備わっているし、内装は私の予算でちょちょっと直しましたから。」
「か・・梶原さんのポケットマネーって事?」
「ええ。ほんの50万ぐらいでしたから、出しておきましたよ。」
「50万て・・・気軽に出せる額なのか・・・やっぱこういう場所に住んでる人の金銭感覚って凄いなぁ」
「そんな事無いですよ。私の知り合いのブガッティ・EB110 SS乗りなんて、この前ふらっとディーラーに立ち寄ったらヴェイロンの予約中だったからとかって言って、その場で予約して前金5000万振り込んだらしいですし。」
「EB100 SSって、あのブガッティEB110のスポーツストラダーレ仕様の事だよね?そんなの乗ってる知り合いいるんだ?」
「なんかカクカクした見た目の車でしたけど、乗せて貰ったら凄く速かったですよ。」
「そりゃあれは速いよね。」
「そんなに凄いんですか?あれって。」
「だって3.5リッターV12のエンジンに、4つターボくっつけて610馬力と66kgのトルクを生むんだよね。しかもフルタイム4駆で公称最高時速は351キロだから。普通に考えて化け物だよね。」
「351キロかぁ。うちの車じゃ勝てないなぁ。。でも、そんな凄いのにヴェイロンなんて怪しい名前の車を、何で予約しちゃったんだろうなぁ。」
「怪しい名前って・・・ブガッティEB16.4ヴェイロンて言うちゃんとした名前があるんだし。。それにヴェイロンはもっと凄いから。」
「え?!351キロより凄いの!?」
「最高速で例えても凄さは分からないよ。それよりもエンジンがW型という特殊な16気筒エンジンで、8リッターもある上に4つのターボを付けて、1001馬力って最高出力を得てる車なんだ。」
「それで、何キロ出るの??」
「最高速が好きだね。梶原さんは。まぁメーカーは400キロって言ってるよ。」
「よ・・400キロ・・・F1より速いですよね・・」
「F1は最高速度は捨ててる車だからね。」
「え?!それホントですか!?世界一速いのがF1じゃないの!?」
「速いの意味が違うよ。F1はF1を開催するサーキットを周回させた時、他のどの車より速く周回出来るような作りになってる。」
「だから、それって最高時速が速いって事じゃないの?こうビューーーっと直線で。」
「違う違う。いい?サーキットを走る時に一番大切なのはコーナリングの速度なんだ。F1はサーキットを走る時、一番時間がかかっている場所はコーナーだからね。だからコーナーを速く回る事を考えて作ってある。」
「コーナーが速いなら直線はもっと速くなりそうな気もするんだけど・・・」
「ポイントはどうやってコーナーを速く回るかって事だね。空気の力で押さえ付けて遠心力と戦うんだ。飛行機の翼と逆向きの力を使ってね。でも、基本的には、その力が強ければ強い程、空気抵抗も強くなる。だからコーナーでの速度を稼ぐには空気抵抗を増やしてしまう必要がある分、直線は遅いんだ。」
「ふーん、そうなんだぁ。浅川さんてやっぱりそう言う事に詳しいんですねぇ。」
「ホントはブレーキとか加速性とか、他にも速い要素はあるんだけど、まぁ簡単に言うと良く曲がるから速いって事だよ。」
「なるほど。じゃあヴェイロンは遅いって事かなぁ。」
「何でそうなるのよ。。F1は比較対象が特殊過ぎるだけで、普通に考えたらヴェイロンは極度の化け物だ。そんな物を勢いで衝動買い出来る友達ってのも、化け物だと思うけどね。」
「あー。あの人は、車は大根や人参の感覚で買っちゃう人だからねぇ。」

 最後の梶原の一言にあきれる2人。
 世の中にはそう言う金銭感覚の人もいるとなると、確かに梶原の50万は大したことじゃない気もした。

 この後、3人はそれぞれの配役と当日の流れを確認し、いったんお開きになる。
 翌週末の決行日に向けて、粛々と準備が進んでいった。

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 そして1週間が流れ、いよいよ作戦決行の当日となる。

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 いつも通り、梶原の家に集まり、荷物をまとめて梶原のワゴンに載り込む。
 今日目指すマンションは、梶原の自宅からもそう遠くなく、電車でも4つ程駅が離れた場所にある久留見町という町にある。
 国道を抜け、鉄道の立体交差をくぐり、住宅街の抜け道を進み、約20分で目的のマンションに付いた。

 マンションでは、早速荷物を下ろして開梱し、各々が準備を始める。

 今日の作戦では、いつものメイド服やドレス姿では無く、もっと着太郎に楽しんで貰える衣装を選んでいた。最初は、着太郎が大好きなスタイリッシュなスーツ姿であり、全てのスーツが以前マオが着た事のある特殊構造のスーツに改造されていた。

 しかも、今日は、梶原が用意した特性の仕掛けの上からスーツを着る事になる。
 それは想像しただけでも大変そうなのだが、浅川は内心、早く着替えたくて仕方がなかった。

 はやる気持ちを抑えつつ、淡々と着ぐるみの中に自らを封印する浅川。もはや手慣れた手つきでここまでの変身は完了するが、いよいよここからが戦いの始まりとなる。

 特性の仕掛けを装備し、その上からショーツ、パンスト、ブラを身につけ、ブラウスを着てスカートを穿き、ジャケットを着る。一見するとスタイリッシュなスーツ姿の完成であるが、見た目とは違い、中はあっと言う間に地獄となる。
 スカートの中は、幾重にも重なる布達の僅かな通気性を頼りに通過してきた浅川の吐く吐息が充満している。
 スーツの生み出す快感は仕掛けを通してマオに伝わり、そこから浅川を翻弄し続ける。
 タイトスカートの裏側に縫いつけられたショーツもしっかりと刺激を伝え、しかも一切逃げ場を与えていない。
 ブラウスもジャケットもパツパツの胸を強調し、大人の姿を見せているが、その一方で締め付けられた胸を浅川の息子が敏感に感じ取り、嬉しい悲鳴を上げていた。

 ピーンと張り詰めたタイトスカートの下腹部付近では、その裏側に隠された浅川の息子が激しい主張をしているが、着ぐるみの持つ機能のおかげで全く目立たずスッキリとしている。

 浅川の全てを包み隠し変身が完了した。
 こうして変身した浅川は、回りを見渡すと、他の2人もそれぞれ仕掛けを装備して変身が完了していた。

 既に彼女たちの中でも浅川に負けず劣らない戦いが始まっているはずだが、その様子は全く見えない。

 ここでマオがパソコンを取り出し、コマンドプロンプトから何やらコマンドを入力した。

『ん・・ん・・テストテスト。あ、大丈夫ね。』

 マオが、音声テストを行った。

 特製の仕掛けを通す事で音声に問題が起こってしまうとせっかくの計画が台無しになるので、テストは慎重に行われる。

 他の2人も自らの声をチェックし、準備完了となった。

『よしよし。これで準備は出来たわ。じゃあマユちゃん、いつものように着太郎さんを案内して、上手く私達を使って着太郎さんを楽しませてあげてね。いい?』

 マオがお嬢様風に命令する。

『分かりましたわ。マオお嬢様。』

 すかさず返事を返すマユ。
 これで一通りの準備が整った事になる。あとは着太郎の到着を待って、作戦を決行するだけであった。

 快感と息苦しさに耐えながら、大人しく着太郎の到着を待つ3人。
 こうして悶々としながら1時間程経過した頃、来客のベルが鳴った。

 ピンポーン

『来たようね。』

 マオが言うと、すっとマユが立ち上がり玄関に付いたカメラを確認に行く。
 マユは着太郎を確認すると、ゆっくりと玄関ドアを開け、着太郎を招き入れる。

『ようこそ。着太郎さん。』
「ど・・どうも」

 あまりに普通に出迎えられて恐縮する着太郎。
 そのままマユが家の中に案内すると、居間ではマオとマナがソファーに座って待っていた。
 3人とが着太郎の好みのスーツ姿という事と、前回聞いていた秘密を思い出し、早くも興奮気味の着太郎。

『あー!着太郎さんだー!』

 マナは着太郎を見つけると勢いよく立ち上がり、可愛らしく着太郎にまとわりついて喜ぶ。
 スーツ姿で可愛らしい動きというアンバランスさがまた、着太郎を興奮させていた。

「ち・・ちょっとマナちゃん・・そんなに喜ばなくてもいいってば」

 照れた口調で言う着太郎。
 だか、着太郎は、照れつつも少しだけ彼女たちに違和感を覚えていた。
 その違和感がなんだか分からないが、彼女たちの様子がいつもと少しだけ違うように見えたのだ。

 もちろんそれは、彼女たちが装備している特性の仕掛けの為なのだが、そんなこととは知らない着太郎は不思議に思いつつも彼女達と接する。

『我が家へ良く来て頂きましたわ。今日はたっぷり楽しんで帰って下さいね。』

 着太郎に向かって挨拶するマオは、優雅にお嬢様の雰囲気を醸し出している。

「今日はいったい何で呼んでくれたんです??」

 着太郎は呼ばれた理由を聞く。

『今日は着太郎さんと遊ぶ約束をしていたからですわ。また一緒に遊びたいなと思って。』
「ははは・・また一緒にかぁ・・」
『あら、ご不満?』
「い・・嫌ぁ、そうじゃないんだけど、やっぱりまた色々想像しちゃうとツライなぁって思っちゃって。」
『ふふふ。そうなんだ?着太郎さんにはもう少し私達の秘密をお話ししようかなーって思ってたんだけど、ツライならやめましょうか?』
「え・・・まだ秘密があるの?!」

 秘密と聞いて着太郎の目の色が変わる。
 するとマユがフォローするように会話に割り込む。

『ふふふ。お嬢様の言う通り、私達の凄い秘密はまだあるわ。でもそれを知ったらまた着太郎さんが困っちゃうかも知れませんから。』
「そ・・そっか・・・またこの前みたいにツライ思いをするのは嫌だなぁ・・でも秘密って聞くと知りたいし・・」
『どうします?着太郎さん次第ですよ?』

 マユの言葉に悩む着太郎。
 やがて覚悟を決めた着太郎は、マユに言う。

「分かったよ。せっかく教えてくれるって言うんだし、僕も知りたいから教えてよ。それでツラくなっても仕方ないと思うし。」
『そう。分かったわ。じゃあ教えてあげますね。私達のヒ・ミ・ツ』

 ちょっと意地悪そうに言うマユ。
 そして、マユはマナを呼び寄せて床に仰向けに寝かせた。
 マナは理由を分からず、言われるがままに床に寝ころぶ。

『何が始まるの?』

 素朴に質問するマナ。

『心配しないでいいわ。この前マナちゃんが疲れたからマッサージしたいって言ってたでしょ?今日それをやろうと思うの。』

 もちろんマナはそんな事言ってないし言った記憶もない。
 マナの中では動揺していたが、ここは話に乗っていかないと不自然になると思い、喜んで了解した。

『マッサージはマオお嬢様がとても得意なんですわ。お嬢様。マナちゃんをほぐしてあげて下さいます?』

 マユの言葉に頷いたマオは、マナの寝ころんだ身体の前に座り込み、マッサージを始めようとする。
 だが、そこで何やら思いついたようにマオが言う。

『どうせなら着太郎さん、やってみます?』
「え?僕が?!」
『そうです。着太郎さん。』
「無理無理。僕そんなのやった事無いし。」
『あら、大丈夫よ。私が手取り足取り教えて差し上げますわ。』

 着太郎は抵抗したがマオに押し切られ、結局マオに教わってマナのマッサージをすることになる。
 マオは着太郎の横にピタリと座り、素敵な香りを着太郎に振りまいている。
 もちろん着ぐるみの中の3人にはそんな香りは全く届かず、ゴムと蒸れた吐息と、下着などのナイロンの香りが混じった淀んだ空気を吸いながらの演技になっていた。

『ちがいます!ここはこうやってもっとしっかり押さえるんですわ!』
「え・・ああ・・」
『そうそう。その調子その調子。』

 マオの指導の元で、マナの腕や足をほぐす着太郎。
 マオの指導は次第に力が入り、やがて着太郎の後ろに回って着太郎の手を取り教え始める。

「あ・あの・・ちょっと・・・マオちゃん」
『しっかりやって下さい!腰をこうして、こうやって手首ではなく全身の力で押すんです!』
「い・・いや・・そうではなく・・胸が・・」
『胸?着太郎さん!胸をマッサージしようなんて嫌らしい事考えちゃいけませんわ!マッサージは健全な物なんですのよ!』
「違うって・・・・・」

 指導に熱が入りすぎているマオは、着太郎の背中から覆い被さるようにして指導していた為、しっかりと胸が着太郎に押しつけられていたのだ。

『何が違うんです!しっかり前を見てマナちゃんをマッサージしてあげてください!私が指導するからにはしっかりとマッサージして貰いますからね!』

 マオは全く気にせず着太郎を指導する。
 だが着太郎にすれば、前回いろいろな話を聞き、着太郎に押し当てられている胸が、マオの中にいる人間を苦しめている事は理解出来ていた。自らに押し当てられた胸が、どんな刺激を生み出しているのか、気になって気になって仕方がないが、さすがになかなか露骨に聞く事も出来ずに悶々としながら指導を受けていた。
 だが、マオは、着太郎の想像以上の気持ちよさと戦っていた。
 装備した仕掛けを通して伝わる快感のあまりの気持ちよさと、着太郎から死角になっている自分の位置関係を知って、マオの腰が少しだけヒクヒクと反応していたことに気づいた者はいなかった。
 パツパツの身体とスーツを纏って、着太郎の上から覆い被さるようにマッサージを指導するのは、実は見た目では想像付かない程気持ちがいいのだ。


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