お嬢様物語:フローラ(5話) [戻る]
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 マナはテーブルの上にあったロープを手に取りマユの前に立つ。
 そのままマユの着ているレオタードに付いているベルト通しのような穴の1つにロープを通す。最初はミゾ落ち辺りの穴に通し、そこからロープを複雑に絡めるように、脇腹、胸、ウエスト、首周り、お尻、背中、鎖骨付近、そして股間に着けられた通し穴にロープを入れる。
 体中を這いずり回るようにロープが交錯し、見ているだけで変な気分になってしまいそうな光景である。

 シュルシュルッ。
 シューーッ。

 ロープを引っ張って、穴に通すたびに布とロープが擦れ合う音が響く。

 もちろんマユは平然とロープを巻き付けられているのだが、時折肩で息をしたり、何かに耐えるように太股をギュッと閉じたり、手のひらをグッと握ったりしている。

 このマユの行動が演技なのか本当の感情を押し殺しているのか、着太郎には分からなかった。
 これだけ特殊な着ぐるみに入り、マナに身体を縛られているのだから、相当に感じやすい可能性はある。
 だが、もしかすると、着太郎の想像力を掻き立て、誘惑するための演技なのかも知れない。
 そう思うと、自分の心をコントロールされているようで、少し悔しくもあった。

 マユのロープが複雑に絡まると、最後にギュッと股間を縛り上げるようにロープを引っ張って完成する。

『おわった?』
『うん!これでよし!』

 マナは元気よく手をポンポンと払い、納得の様子だ。
 マユも相変わらず気にしている様子はない。

『じゃあ今度は私の番ね。』
『へっへー。しっかり絡ませないと簡単に脱出しちゃうんだから。』

 マナは強気の姿勢で、マユにロープを絡めて貰っている。

『ち・・ちょっとマナちゃん。そんなに動かないで!』
『えーん。だってそこ弄ると気持ちよくなっちゃうんだもーん。』
『そんな事言ったって仕方ないでしょ?あなたの時も私はじっとしてたんだから。』
『はーい。』

 何となく楽しそうにロープを絡ませられているマナ。
 これだけを見ていると先程よりずっと健康的で、嫌らしさは少ない。
 そう言う意味で、着太郎は少し安心して見ていられた。

 だが、実際にはそうではない。
 マユは、いや、梶原は、先程のマナの行為に耐え続けたことで、実はもう爆発寸前だったのである。
 実はまだロープを絡め終わるまで、少し時間があると思った梶原は、必死に耐えて最後に果てようと思っていた。
 所が、マナの行為が予想より短い時間で終わってしまい、最後まで辿り着くことが出来なかった。頑張りすぎてしまったのだ。
 もちろんそんな事でマナに文句を言うわけにはいかない。

 だから、その思いを手先に込めてマナにロープを絡ませる。

 着太郎はおろか、中身の状況をある程度理解している浅川にすら分からないように、微妙に力を入れ、感じやすい場所に、感じやすい圧力をかけてロープを絡める。
 マナ達の身体は、もちろん至る所がセンサーによって感じるのだが、中でもツボは存在する。そのツボを責められると、通常の数段ハイレベルな快感に襲われることになる。
 だが、そのツボは、実に微妙な場所なので、見ているだけでは殆ど分からない。もちろん内情を知らない着太郎にはそのツボの存在自体、全く分からないはずである。

 分かっているのは、実際にマナの中にいる田端と、責めている梶原の2人だけである。

 浅川もそのツボが存在することは分かっているが、ちょっと見ているだけではツボを責めているかどうかを判別するのは難しいのだ。直接触れて、マナの反応をダイレクトに感じ取れる梶原だからこそ分かるのである。

 こうして、密かにマユに責められ、おどけながらも耐え続けるマナ。

 田端は、あまりの気持ちの良さと我慢する苦しさに、目に涙を浮かべながらマナとしておどけていた。
 それでもマユの責めは想像以上に激しく、股間に付いた通し穴にロープを入れて、するするとロープが穴を通過する時には、微妙に右上にズラして引っ張る事で、より通し穴とレオタードへの抵抗が増し、その結果マナへの刺激も強まる。
 ロープの通過する刺激と共に上り詰めた熱い物が、とうとう限界を迎える。

『マユちゃん、くすぐったいよぉ。。』

 マナは精一杯の演技で少しだけロープを引くのを中断させ、放出する。

『ちょっとマナちゃん。まだ終わってないでしょ!』
『で・・でもぉ』
『だーめ。もうちょっとなんだから我慢しなさい。』
『はーい。』

 マユに諭され、再びロープの刺激に立ち向かうマナ。イッた直後の刺激は実に辛く、全身の力が抜ける想いだ。
 それでもマナで居続ける田端。

 その後、なんとか耐え抜いたマナは、ようやくゲームの準備を完了した。

『これでいいわ。私とマナちゃんから、ロープを先にほどいた方が勝ちよ。』

 マユは簡単にルールを説明する。

『うん!やろうやろう!』

 マナは同調する。

「分かった。マナちゃんのロープをほどけばいいんだね。」
『うんうん!』

 マナは楽しそうに着太郎に近寄る。
 その横でフローラが頷いている。

『じゃあ、早速スタートね。よーい、ドン!』

 マナの元気なかけ声で、ゲームがスタートする。

 着太郎はマナのロープの先端を手に取り、一番近くに通されている穴の反対側からロープを引く。

『痛い痛い、着太郎さん痛いよー』

 マナが引っ張ったロープを痛がる。
 どうやら、この穴のサイズが絶妙で、力一杯急いで引くとロープに通し穴が引っかかり引き抜くことが出来ない。
 穴のある位置のレオタードを、少し指の腹で押さえて、穴を大きくした後にゆっくり引き抜く必要があるのだ。

「あ、ごめんごめん。」
『そーっとやってね。』
「うん。」

 着太郎は焦らずそっとロープをほどきにかかる。横目でチラリとフローラに目をやると、慎重にマユの身体からロープをほどいているのが分かる。
 着太郎も負けずにロープをほどく。
 胸に丹念に巻き付くロープをほどくと、マナのお腹が凄く激しい呼吸をしていることに気づく。
 しかも、その呼吸は明らかにロープの動きにシンクロしている。通し穴を通過するロープには、凄くゆっくりと深い呼吸で耐え、穴から抜き取られると深呼吸のように大きくお腹が動く。
 この光景は着太郎を相当に興奮させたが、なるべく気づかないふりをしていた。

 田端は、本当に耐えていた。ほんのちょっと前に果てたばかりだというのに、全身をロープに縛られるように絡められた状態で可愛らしく動き回り、あっと言う間に回復していた。さらに、着太郎の攻撃が思いの外的確で、ロープがスルスルと穴を通過するたびに、息子の周りをスルスルと何かが撫で回るような刺激が襲ってくる。
 マナの中で、着太郎に何度もその手を止めて欲しいと嘆願していた。
 だが、もちろんそんな願いは可愛らしいマナの姿にかき消され着太郎へは届かない。

 目の前にいるのに、そしてこんなに切なくなっているのに、気づいて貰えない。いや、気づかれないのだ。
 どんなに恥ずかしい表情で快感に耐え続けても、全てはマナの可愛らしい顔にかき消されている。この事が、田端の興奮を更に煽っていた。

 目の前のマナの中が、それほど大変な状況であるとは知らない着太郎は、お腹の動きから感じる呼吸を見て、興奮を覚える程度だった。
 浅川からの事前の情報で、彼女たちは中で感じている事は理解できていたが、実際に田端が目の前で体感している程の興奮だとは思っていない。
 もし、万が一にも田端の実態を知れば、恐らくロープをほどく行為が与える刺激を堪能する田端に嫉妬し、ゲームなど出来ないだろう。

 一方で、マユの方も、フローラによって順調にロープをほどかれ、そのロープの生み出す刺激を堪能していた。
 フローラの場合、さらに事態は深刻である。

 自分自身も相当にツライ状況でありながら、ゲームという理由でマユを責める必要があるのだ。

 自分のほどくロープの1回1回の刺激がどういう物なのか、実際にこうしてマユのロープをほどくことで想像は出来る。
 そして、その想像が正しければ、信じられないぐらい気持ちがいいはずなのだ。
 それなのに目の前でマユは平然としている。

 もちろん梶原はベテランであり、マユを着慣れている為、少々の刺激では動じない事は分かっている。
 それでも、これだけの行為を受け続けているのだ。マユの裏側が普通であるはずはない。
 とすれば、この可愛らしいマユの中では、梶原が必死に耐えているはずだった。
 残念ながら指先もマオの手に覆われ、更にその上からフローラのタイツが覆っている状態では、マユの股間から漏れてくるであろう呼気を感じ取ることは出来ないが、恐らくマユの股間は凄い湿気を帯びている事だろう。
 想像は出来るが実体験として感じ取れないことで、なんとなく以前味わったことのあるもどかしさを感じていた。
 以前とは、まだ浅川がマオになる以前、目の前で妖艶な着ぐるみ達が繰り広げる切ない誘惑を見せつけられていた時の事だ。

 今の浅川は、あの時とは違い、マオという着ぐるみの中で、最高の快感を堪能している。
 フローラ姫という着ぐるみは、マオの快感ゾーンを意地悪に刺激し、浅川の理性をそぎ落とし続けている。
 そんな状況を堪能しているにも関わらず、自分の指先とロープの動きに翻弄されながら、じっと時間が過ぎるのを待つマユと、その裏側に潜む梶原に嫉妬を覚えていた。

 (この指先で感じちゃってるんだろうなぁ・・・)

 恨めしくそう思いながらも、フローラとしてマユのロープをほどくと言う仕事を続ける。
 シュルシュルと音を立てながら、マユの身体をロープが這いずるように動くその光景は、考えていた以上に嫌らしかった。
 そして、その嫌らしい光景の中心がマユと言う事実は、浅川にはとても切なかった。自分がそこにいないことが悔しかったのである。

 そんな大変な状況にありながらも、マユとフローラは、着太郎から見ると、ごくごく普通に、何も気にする様子もなくロープをほどき続けていた。
 お互い、なにも気にしていないかのような淡々とした作業を見て、信じられないと目を疑ったが、ゲームに勝つには着太郎も彼女たちに負けないぐらい淡々とロープをほどく必要がある。

 着太郎は焦りながらも、ロープをほどいていくのだが、焦れば焦る程、ロープが引っかかり、絡みつき、なかなかマナの身体から離れない。
 マナの置かれた状況を自分に置き換えると、その刺激的なロープの動きに、着太郎自身もツラくなる。
 そんなとき、何往復かのロープを通してあったちょうど下腹部あたりの通し穴が、目詰まりのような状態になってしまう。

「あ、しまった」
『もーぅ。着太郎さん、早く早くぅ』

 マナは着太郎の慌てている様子に追い打ちをかけるように言う。
 着太郎は焦ってロープを引き、その結果より深みにはまるようにロープが通し穴に噛み込む。

『あーあ。これじゃあ引っ張っても抜けないよ。穴に指入れてほぐすしかないんじゃないかなー。』

 マナは完全に人ごとと言った口調で言う。

「う・・うん。分かったよ。」

 着太郎はマナに言われるがままにロープの通し穴に右手の人差し指を入れ、穴をほじくるように動かす。
 すると、下腹部を触っているはずのマナの太股がピクリと閉じるように反応する。
 着太郎にしてみれば、ここは性感帯ではないはずなので、そんなに感じるという意識がなかっただけに不思議だった。
 恐らくは一瞬の反応なら着太郎も気にはしなかったが、指の動きが続くと、時折反応する様子に、理由は分からないが、マナは感じているのだと思うようになった。
 着太郎の推測では、指が微妙にロープを引っ張り、その結果、股間に絡んだロープを引っ張る事になっているのだと思ったが、それにしてもマナの様子は着太郎には目の毒だった。

「ね・・ねえ。マナちゃん」
『なぁに?早くほどかないと負けちゃうよ~。』
「そうなんだけど・・もしかして感じちゃってる?」
『え?や、やだぁ。着太郎さん、何でそんなにエッチな事言うのよー。』
「だってなんか足がモジモジ動くみたいだし。」
『そ・・そんなこと無いもん。』

 マナは否定するが、弄れば弄る程、切ない感情を必死に押し殺しているような反応を示す。
 露骨に反応しているのであれば演技にも見えるのだが、その動きがあまりにも気持ちよさそうで、着太郎には演技とは思えなかった。
 しかも、何気なく股間付近の空気を手先で感じ取ると、蒸れた呼吸の後がしっかり感じ取れる。

 もともと浅川からの話で、彼女たちの中では、何らかの理由により、かなり快感を我慢している状況だと聞いている事からも、この足の動きがリアリティーを持っていたのである。


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