お嬢様物語:K・始動(4話) [戻る]
[前へ] [次へ]


 結局着太郎は、マオの身体を約15分に渡って隅々まで調べたが、500円玉を発見することは出来なかった。

「うーん。どうやらマオちゃんではなさそうだなぁ。」

 着太郎がつぶやくように言うと、マオは「どう?私じゃなかったでしょ?」と言うポーズで着太郎にアピールする。
 勿論可愛らしくポーズを取るマオの裏側は、さんざん着太郎に弄ばれ続けた為、地獄である。

「じゃあ、こっちかなぁ」

 着太郎は次のターゲットをマナにする。

 再びボディータッチを開始する着太郎に、マナは余裕綽々で触らせてあげる。もちろん胸や大事なところを弄られる時は、恥ずかしそうにすることは忘れない。

 こうしてマナの姿を見ていると、本当に普通の女性が身体を触られて、少しだけ恥ずかしそうに照れているだけにしか見えない。
 浅川だって、もし自分がマオの中にいて、実際に着太郎の責め苦を体験していなかったとしたら、多分マナを見ても、中の女性が恥ずかしがっていると言う部分での興奮しか覚えないだろう。
 ところが、こうして現実を知ると、目の前のマナの中に展開されている地獄がリアルに想像できる。
 自分自身も興奮しつつ、それ以上の責めを止められて、とても切ない状況が続いているので、マナに対する着太郎の責めを見ているだけで自分が責められているような錯覚を覚えているのである。

 マナを調べている着太郎も、今の浅川程リアルではないが確実にマナの中を想像していた。
 可愛らしくモジモジと照れながらも、時折足や腰がピクリと反応したり、呼吸の荒さを確認できたりすると、嫌でも、この小さくて可愛いマナの中で耐えている女性を想像してしまうのだ。
 ロングスカートのマオ程ではないが、スカートの中の蒸れもかなりの物で、タイツは若干湿気を帯びている。
 しっとりとしたその湿り気を指で感じ取りながら、マナを調べるが、やはりマナの身体にも500円玉は無いようだった。

「うーむ、マナちゃんでもないのか。。とするとマユちゃんしかないな。」

 調べが終わったマナは「えっへん」と言うポーズを取ってアピールする。
 着太郎は、隅々まで探し、残すはマユしかいないと言う確信を持って調べ始める。

 やはりマユも、女性として恥ずかしそうにしながら触られている。
 着ぐるみではなく普通の女性であれば、それほど違和感のない恥ずかしそうなポーズである。が、やはりマユも着ぐるみであり、しかもかなり過酷な着ぐるみである。
 その照れた仕草の裏側に隠れた本当の苦悩は、実際にマユの中にいる梶原本人にしか分からないのだ。
 もちろん、マオ、マナの中にいる浅川や田端は、有る程度リアルな想像は出来る。それでもやはり想像の世界であり、実際に中で起きている事実は分からない。
 着太郎に至っては本当に想像の世界でしかない。着太郎自身、かなり想像力を働かせて、内部で苦悩する人物に興奮を覚えているのだが、それでも本当のマユの裏側のもの凄さには及んでないのだ。

 上半身を調べ、いよいよ下半身に調査の手が及ぶと、着太郎はスカートやパニエをめくり上げて遠慮無く触る。

 マユのスカートはマオと同様に長いが、スカートめくり上げた時に感じた湿気はマオ以上であった。
 実は誰も気づいていなかったが、マオとマナが責められているのを蛇の生殺しのように30分程見せつけられていた梶原は、マユの中で想像と、着込んだ衣装から生まれる刺激により、外からは想像できない程の興奮状態にあったのだ。
 最初から弄られ、早い段階で一度果てていた浅川は、梶原に比べると若干落ち着いた状況と言えた。
 だが、そんな裏事情は浅川や田端にすら分からない事である。着太郎にそんな裏事情を想像する事など出来るはずは無かった。

 そんな着太郎は、マユの裏側の事情は気にもせず、衣装の生地がマオの物よりしっかりしている為、通気性が悪いのだろうと考えていた。
 実際マユやマナが着込んでいるメイド服は、お世辞にも通気性がいいとは思えないかなり厚手のしっかりした生地である。そう言う意味では着太郎の想像は間違っているわけではない。もう少し深い想像力が必要なだけだった。

 梶原は、着太郎に事実を悟られないように、必死に「中にいる女性」を演じている。
 そのおかげもあり、着太郎の心の中は完全に、その中にいるであろう女性の事でいっぱいになっていた。

 蒸れたスカートの中は、着太郎の想像力の範囲であっても、着太郎の興奮を高めるのには十分すぎる程だったのだ。

 結局3人とも調べたが、どこにも500円玉は存在しなかった。

「ホントに隠してあるの?全然分からなかったよ。。」

 着太郎は少し情けない声で言う。

『ホントよ!私たちの誰かが持ってるわ!』
「そ・・それってさぁ。大事なところの裏側とかに隠してるんじゃない?見えないようにして。」
『あー。着太郎さんてエッチなんだ!私たちを上から触っただけじゃ物足りないんじゃないの?』
「そんなことないよ・・だってホントに分からなかったんだもん・・」
『へっへー。じゃあギブアップする?』
「うーん。確かに分からないからなぁ。もう降参でいいよ。」

 着太郎はあっけなく降参してしまう。

 元々、着太郎からすれば、彼女らの身体の構造をよく知りたいと思っていただけであり、1人につき15分ぐらいずつ、服の上からとは言え色々調べることも出来た。
 浅川の言うことがほぼ間違いなく正しいと言う確信も得ることが出来た。
 そう言う意味では、500円玉などもうどうでもよくなっていた。

 それに。これ以上彼女たちを触っていたら、自分の理性を持たせる自信がなくなっていたと言うのもある。

 間近でこれだけの着ぐるみを見せつけられ、自分には想像しか許されないという現実は、着太郎にもの凄い嫉妬を覚えさせていたのである。

『じゃあ、正解教えてあげるね!』

 マユはそう言うと、何の躊躇もなく、マオの前に立つ。

『マオお嬢様。失礼しますね。』

 そう言ってスカートを両手でつまんで軽くお辞儀をすると、マオの胸をドレスの上からギュッと握り、谷間を作り出す。
 マオは再び恥ずかしそうに顔を覆って照れているが、特に感じている様子などはなく、マユの行為に照れているだけのように見えた。
 マユの手は、柔らかくも張りがあるマオの胸をサテンの生地の上から上手に左右に開き、大きな胸を強調している。

 その光景に着太郎は生唾を飲みながら言葉を失っている。

 ツヤツヤした美しいサテン地のドレスが、マオの身体のラインを強調しているため、マユの手で胸を触ると、その動きがドレスの光沢やシワによってもの凄く強調され、相当にいやらしく見える。
 やがて、マオの胸の谷間に、硬質な円盤の形が浮かび上がる。

「あ。。谷間に!」

 着太郎もそれに気づいて見入る。

『ね。ここが正解でしたー。』

 マオの胸を押し広げたまま、着太郎にアピールするマユ。相変わらず恥ずかしそうなマオ。そして、全く意に介していない様子のマナ。
 可愛らしい着ぐるみ達のその姿が着太郎の想像力を掻き立てたのは言うまでもなかった。

 マユはいったん胸から手を離すと、マオの裏に回り、マオの長くてツヤツヤした髪をかき分けるようにしてドレスのファスナーを開く。
 そしてドレスの中に手を回すと、500円玉を取り出すために胸をまさぐる。

 マオの胸とドレスに挟まれたマユの手が、いやらしく動き回る様子が、ドレスのサテン生地の光沢が動く事によって強調され、着太郎の目を釘付けにしている。

 自分が女であったなら、恐らく胸は性感帯である。もし自分がマオの中にいて、そんな場所をゴムの身体の上からとは言えそこを弄られまくっているとしたら、さぞかし気持ちいいことだろう。感じて悶えたくても、マオを演じているのだからと、可愛らしく照れる演技しか許されないのだとすれば、マオの中はさぞかし切ないはずだ。
 そんな場所に自分がいるとしたら、きっと堪らない程気持ちがいいのだろうと思えた。
 着太郎はそんな妄想をしながら彼女たちを眺めていたのだ。

 着太郎は男である以上、やはり女性の誘惑には弱い。そのうえ着ぐるみによる拘束に対する憧れも人一倍強い。
 だからこそ、可愛らしい着ぐるみに密閉され、苦悩と快感を我慢しながら、女の武器を存分に使って自分を誘惑する彼女たちが悪魔のようにも思えていた。
 女にしか許されない特権を見せつけられている気がしたのだ。

 そんな着太郎の想像など全く気にする様子もなく、マオの胸から500円玉を取り出したマユは、着太郎にその500円玉を手渡すと、マオのドレスのファスナーを元に戻す。

 着太郎が受け取った500円玉は、ほんのりと暖かく、マオの胸に納まっていたことがリアルに実感できた。
 ゴム製の身体でありながらこれだけ暖かいと言う事は、マオの中の状況を想像すると堪らない物があった。

『どうでした?着太郎さん。少しは私たちの身体を楽しめました?』
「た・・・楽しめたかって聞かれても・・・」

 マユは着太郎に対して、少し挑発的に言う。

『えー。でも凄くいっぱい楽しんでたじゃないですか?いくらお人形の私たちでも、とっても恥ずかしいんですよ?』
「そ・・・そうなんだ・・でも・・触らないと調べられないし・・」
『ホントかなぁ?スカートの中なんて、タイツなんだから触らなくても見て分かるんじゃないです?』
「ま・・まぁそうなんだけど・・」

 マユの突っ込みに、着太郎もタジタジだ。

『ふふふ。冗談ですよ!私たちも着太郎さんに触って貰えて気持ちよかったから、おあいこです!』
「気持ちよかったのか・・」
『うん。とっても!』

 マユの言葉に、マオとマナもウンウンと頷き、着太郎は顔を真っ赤にして照れている。

『ゲームも終わったし、少し座ってくつろぎましょう。』

 今度はマオがそう言ってソファーの中央にクッションを置き、着太郎を誘導する。
 躊躇している着太郎の背中に軽く手を添えて、横に並んでソファーまで歩いていく。

 自分の肩ぐらいの位置にあるマオの頭を見ながら、この可愛らしいお嬢様に思いをはせる。
 華麗で清楚なドレスに身を包み、爽やかな笑顔で自分をソファーまで誘導するマオ。サワサワキシキシとサテンドレスのシワが擦れる音が聞こえ、それもまた着太郎に想像させた。
 ドレスがよく似合い、その為普通の男では近寄りがたい程気品のあるオーラを放っている。しかもこの娘は着太郎にとっては羨望の対象となる特別な着ぐるみなのだ。真横を一緒に歩かれて緊張しないわけが無かった。

 もちろんマオにも着太郎の緊張は分かっていた。
 清楚なお嬢様のお人形であるマオの、優雅で気品のある雰囲気を存分に着太郎にアピールするとこで、着太郎の興味を引きつけていた。

 着太郎をソファーに座らせたマオは、自分も着太郎の右隣に座り、身体を近づける。
 ドレスのパフスリーブが着太郎の腕に当たる程近づいて、着太郎のことを見つめる。

「はは・・・・」

 更に緊張している着太郎。
 なにしろ、お嬢様のお人形が間近に接近しているのだ。これで緊張するなと言う方が無理である。

 明らかにぎこち無い着太郎の態度を楽しむように、マオは着太郎に近づく。
 身長も低いが、座高も相当に低いマオは、着太郎を見上げるように顔を近づける。
 下から見下ろすようにマオを見ると、その可愛らしい笑顔と美しい髪の毛、そして、何よりクリクリと大きく輝く瞳を見て、もの凄く切なくなる。
 こんなに可愛い顔をしていて、こんなに素敵なスタイルをしているのに、この裏側には別の誰かが入っている。
 その別の誰かは、マオになりきって一切自分を隠している。
 長いスカートによって完全に隠されている場所では、今もこの笑顔の裏側にいる人物が、濃密な空気を呼吸しているのだろう。
 いかにも蒸し暑そうな身体と、豪華なドレスに覆われた中は、きっと汗だくに違いないのに、マオは汗一つかかずにいる。

 中の人間を一切隠し、外見からの人形のみをアピールする。
 着ぐるみとしてはまさに理想的な状態のマオ。いや、マオだけではない。マユやマナも状況は殆ど同じに見える。
 この理想的な着ぐるみは、キャラクターをアピールするためとしては確かに考えられる最適な構造なのかもしれない。だが、その中に密閉されている人間にとっては、外から想像するだけでも楽には見えなかった。

 マユもマナも、着太郎とマオが椅子に座ったのを見計らって、少しだけ離れた場所に座る。
 マユは着太郎の左。マナはマユの右側のコーナー側にあるソファーに座る。マナの椅子は着太郎達の座る椅子から90度向きが変わっていて、ちょぅどマナから着太郎達が見えるようになっている。

 全員がソファーに座った所で、再び会話が始まった。


[前へ] [戻る] [次へ]