お嬢様物語:雨宿り(6話) [戻る]
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ターゲットをマナに絞り、マナを責め始める浅川。

 選ばれたマナは、さっそくマユの見ている目の前で、弄られ始める。マユが、責められているマナを見やすいように、浅川はわざわざ椅子の裏側にまわって後ろから手を伸ばして弄る。
 ついでに耳元で中にいるであろう女性に向けて、興奮を煽る言葉を話してあげる。
 煽ると言っても、決して放送禁止な事ではない。おそらくはこのゴム製の着ぐるみの中で責められている人間にしか通じないような言葉だ。

「こんな可愛らしいゴム人形が、まさか俺の指の動きで感じたりしないよね~」
「もし、ゴムの中に何時間も人がいたら、きっと中は蒸れちゃて凄いんだろうなぁ・・・」
「弄られたら感じちゃうと分かってる指が、だんだん自分に迫ってきて、でも逃げずにじっと弄られるのを待つって、きっと辛いんだろうねー」
「お人形さんには関係ないけど、もし股間に呼吸する穴が付いてるんだとしたら、スカートの中の空気って苦しそうだよねえ。マナちゃんはミニスカートだけど、それでもパニエとかでいろんな布がカバーしちゃってるもんねぇ。」

 こんな事を耳元で言われながら、じっと浅川の責めに耐え続けるマナ。
 浅川は胸だけではなく、おなか、脇腹、首、脇、そしてスカートの中。あらゆる場所を、マユにも見えるように責めた。
 もしもマユがこの光景を見えているとすれば、自分がされている事も想像しているかもしれない。
 だがマユはじっと動かない。

 もしも、自分がマユだったなら、こんな光景を見せられてじっとしているのはさぞかし辛いだろう。
 もしかすると実際に責められているマナよりも辛いかもしれない。
 なんとなく浅川は、そんなマユの中を想像しながら責めていた。

 実はこの時、椅子の後ろから手を伸ばして責めている浅川からは死角になっていたが、責められ続けているマナの片方の手のひらが、ピクリピクリと反応し、最後にはぎゅっと握り拳を作っていた。
 人形であれば感覚など無いので、どんなに責められても動くことはないし、その必要もない。
 だが、浅川には気づかないように、そっと手を握る。それは、本当に辛い「何か」に耐え続けている事の証拠だった。
 浅川には見えないこの手の動きも、マユにはしっかり目に入っていた事だろう。

 マユがどんな気持ちでその光景を見つめていたのか、それは誰にも分からないのだが、マユのロングスカートの中に響いているであろう呼吸音はかなり激しかったことだけは確かだ。

 マナの握られた手に気づかない浅川は、マナのしぶとさに次第に焦り始める。
 このままマナを責めてもマナもマユも動かすことは出来ないと判断した浅川は、今度はマユをターゲットに変更する。

 マユについても同様に最初は椅子の裏から手を伸ばして攻撃を開始する。
 今までさんざん見せつけられた攻撃が、今度はマユ自身に襲いかかる。浅川もその事はよく分かっているので、マナと同じ事はせず、マナよりもソフトに、焦らしながら攻撃する。
 マユがもし、浅川の想像通り、マナを見ながら悶々としていたとすれば、触られたくて仕方がない状態のはずである。そこへ、ようやく浅川の攻撃が加わり、やっと楽になれると思っているかもしれない。
 だが、浅川は、あえてソフトに弄ることで、マユの欲求を簡単には満たさない作戦に出たのだ。

 胸を、かなりソフトに、ゆっくりとムニューーーーッと揉む。
 軽く触れるように首筋を弄る。
 ウエストの感触を確かめるように、ゆっくりと撫で上げる。
 そして、スカートの上から、肝心なところには触れないようにしながら、その周りを責める。

 攻撃している浅川が、その焦れったそうな光景に興奮する程、ホントにソフトに触っていく。
 唯一彼女らの動きを確認出来るお腹の呼吸の動きも、その攻撃にシンクロしているのがよく分かった。
 だが、マナ同様、どれだけ攻撃を加えても、全く動じない。
 そこで今度は、浅川がマユの正面に回り、スカートの中に潜り込み、直接攻撃を加え始める。
 スカートの中から攻撃をすることで、マユ自身、どう触られるか分からないと言うのも、浅川にとって有利な攻撃方法だと思えた。

 実際にスカートの中に潜り込むと、先程押入で経験した時より、更に凄い湿気と熱気を感じた。
 そのまま薄明かりの中、大事なところを触り始めると、今までにも増して呼吸音が激しくなるのが分かった。
 全く予想出来ない所から指がマユに触れ、その全ての刺激にじっと耐えている様子が呼吸音で分かる。

 その呼吸音からは、マユの内部の苦しさや切なさがもの凄くリアルに分かり、浅川自身、まるで自分がマユの中で責められているような錯覚に陥っていた。
 だが、現実にはこんな小柄でスタイルのいい女性型の着ぐるみに、自分のような男が入れるわけがなかった。
 そして、この時、浅川は心から中の女性が羨ましいとすら思っていた。

 仮にこの着ぐるみを手に入れても、こんなに小柄で抜群のスタイルの着ぐるみを着ることは不可能だろう。
 だが、一般的な女性であれば、少なくともマユぐらいの背丈の着ぐるみであれば、手に入れることが出来ればこんな場所に入っていられるのだ。
 そう。このマユやマナの中は、それなりのスタイルを持った女性にだけ許された特別な空間のはずだ。
 そして、その特別な空間に、もう何時間も密閉され、何度も感じさせられ、それでも何もなかったフリをし続けているのだ。
 それがどれほど苦しいのか、どれほど気持ちいいのか、浅川には想像しかできない。
 だが、今まさに、この指のほんの数ミリか数センチ先にいる「誰か」は、その全てをリアルに体験し続けている。
 想像と現実の差はやはり大きな物であり、想像しか許されない浅川にとっては、目の前で現実を体験しているマユやマナは激しい嫉妬の対象だった。

 執拗な攻撃でかなり苦しそうなマユだが、それにも増して、しばらくスカートの中に潜っていた浅川が蒸し暑さに参っていた。時間にして僅か10分足らずなのだが、その間ずっと責められ続けたマユは平気な顔をしている(もちろん人形であるマユの表情は変わらないのだから当然だが)。
 浅川にとっては、苦しければスカートの外に出ればいいと言う選択肢が残されているが、もちろんマユの中にいるであろう人物に、その選択肢は無い。自分の身体と自分の衣装なのに、当然そう言う自由は無い。
 いや、厳密に言えばそんなこと誰も強制はしていない。
 脱ぐ気になれば、衣装も着ぐるみも、いつでも脱げるだろうし、誰にも文句を言われる事もないはずだ。
 だが、マユはあくまでもじっとメイドのマユとして、ドレスを着てメイド人形で居続けるのだ。

 限界に達した浅川は次の手段を考えた。
 いっそ、苦しそうなスカートをまくり上げ、顔に被せて視界を奪ってしまおうと思ったのだ。これは、マナの衣装ではスカートが短すぎて無理だが、マユのロングスカートなら十分に可能である。
 早速浅川はマユの下半身を覆ったスカートを、上半身を覆うように被せる。

 無防備に露出したマユのタイツに覆われた下半身が浅川の触れられるのをじっと待っている。

 先程と同様に、どう触られるか分からない状態で待っているわけだが、今回はマナからはよく見える。
 身体を少しずらしてマナに見えるように、そっと焦らしながら大事な部分を触る。
 ストーレト過ぎても面白みは無いと、少し焦らすように、おへその辺りから下へ指をずらすように動かし、大事なところの直前で止め、上に戻る。と言う動作をしばらく繰り返す。
 浅川の推測では、マユは一番大事なところを触れて貰えないと言う事で、相当苦しいはずだ。事実、寸止めして戻る時の呼吸が一番苦しそうなのだ。
 この苦しそうな呼吸が浅川にとっても、凄く興奮を誘うと共に羨ましかったのも事実。
 そんな理由もあり、この往復攻撃はかなり執拗に続く。何度も何度も、少しだけ軌跡と移動のタイミングを変えながら、指がおへそから大事な部分の直前までを往復し続ける。

 そんな浅川の攻撃は、しっかりマナにも見えている。
 多分、目隠しされた状態でこの攻撃をじっと受け続けるマユの姿は、マナにとっても相当に臨場感のある光景だろうと思えた。

 そして、やはりマナにとっても辛かったと言う事が証明される。

 時々マナを振り返って眺めながらマナに攻撃を加えていた浅川の目に、少しだけ開いていたマナの膝が、キュッと閉じる瞬間が目に入ったのだ。

「あ、今マナちゃん、足閉じたでしょ?動いたよね?」

 すかさず浅川がアピールする。

 すると、じっと動かず知らないフリを通すかと思われたマナは、何の躊躇もなく動き始め、ポリポリと頭をかく。もちろん今までのことは全く無かったかのように、普通のマナに戻っている。

「じゃあ今度はマナちゃんが鬼ね。マユちゃんも、ご苦労さん。もう鬼が決まったからいいよ。」

 そう言うと、マユもガバッとスカートを戻し、スッと立ち上がりポンポンと着崩れを直している。
 当然今までの行為の影響は微塵も感じさせない普通のマユである。

 ところが、浅川は違った。

 その異変に気づいたのは、マナである。
 まるで何か凄い物を発見したように、浅川の股間を指さして恥ずかしそうにする。

 浅川は今までのことですっかり大きくなっていたのだ。
 夢中になっていて気にも留めていなかったが、見事に立派な股間が出来上がっていた。

 マユもそれに気づいて興味津々に顔を近づける。

「あ・・・ち・・ちょっと・・」

 浅川は気まずそうに言うが、2人は気にもせず近づいて、挙げ句の果てにマナはズボンの上からつんつんと突いてきた。

「んっ・・お・・おい・」

 力無く抵抗するが、浅川自身さんざん興奮していただけに、その感触はとても気持ちよく、本気で抵抗する気は起きなくなっていた。
 それを見ていたマユが浅川の後ろからピタリと抱きつき、手を前に回してズボンの上から触れはじめる。
 浅川の背中には、マユの大きな胸が押しつけられ、その感触もさらに興奮を高める。

 マナは正面から、マユは後ろから、浅川を責めるていると、徐々に浅川も立っているのが辛くなってくる。
 身体をピタリと押しつけているマユは、その浅川の疲れを悟ったのか、自然な形で浅川をソファーの上に横にする。

 浅川はもはやなすがままだ。

 2人のメイド人形に抵抗することなく、服も脱がされて、いよいよ2人の本格的な攻撃が始まった。
 マユは上半身を浅川の身体に押しつけながら、指先で浅川の背中や脇腹を責め、マナは足の上に跨って足の動きを奪うと、下半身を楽しむように弄る。
 同時に4つの手で攻撃をされること自体初めての経験だった浅川には、抵抗するエネルギーは全く残っていない。
 そのまま2人の攻撃で果てるかと思われた時、マユは自身の行為を止め、マナの行為もストップさせる。

「え・・も・もう少しなのに・・・」

 寸前で止められた浅川はお願いするように言う。
 それを見てマユは人差し指を立て、横に揺らし、甘い甘い、と言う素振りを見せる。

 自分で触りたくても、上半身はマユに、下半身はマナに乗っかられ、満足に動けない浅川には、ただただ、触って貰うのを我慢して待つしか無かった。

 少し落ち着くと、再び2人の攻撃が始まり、またもうちょっとでイケると言うところで止まる。
 それを何度か繰り返す。

 まるで先程まで浅川に攻撃されながら満足させて貰えなかった恨みを晴らしているかのように、ねっとりと絡みつくような陰湿な攻撃が続く。
 つねに浅川に笑顔を振りまきつつ、浅川の身体の様子を伺いながら、的確に攻撃を加えるマユ。
 時には軽く指先で、時にはしっかり握って、攻撃を続けるマナ。

 2人の攻撃が20分ぐらい続いたところで、浅川はいよいよ我慢が出来ず、彼女らに嘆願する。

「な・・なぁ。。ホントに頼むよ・・・もう限界だよ・・・イカせてくれよ・・・」

 浅川のがんばりもホントに限界になりそうなその表情を見て、マユはマナを見てウンと頷くと、いよいよ最後の仕上げとばかり、今まで以上の激しい責めを開始する。

 たまりにたまった浅川にとって、その攻撃に耐えるだけの気力も体力も当然なく、攻撃開始から数十秒で、あっけなく最後を迎えた。

 浅川から出た液体は、彼女らにかかることはなくソファーの一部や床に付着する。
 その様子に満足そうにしていながらも、マユとマナは、ティッシュで付着物を綺麗に拭き取り、脱がせた服を浅川に手渡す。

 浅川はしばらくは放心状態だったが、気を取り直して服を着ている。
 その間にマユは、スケッチブックを取り出し、何かを書き、着替え終わった浅川に手渡す。

『ご主人様。どう?気持ちよかった?』

 マユが聞いてくる。

「あ・・ああ。凄く良かった。まさかこんなに凄いとは思わなかったよ。」

『ありがとうね!私たちって男の人の気持ち、よーく分かるから、きっと満足してもらえると思っていたんだー』

「よく分かってるのか。経験豊富なんだな。」

 少し意地悪っぽく浅川が言う。

『そんなこと無いよー。全然経験なんて豊富じゃないもん。ただ、私たちならなーんとなく、男性の気持ちはよく分かるの。だって私たちご主人様を満足させることが目的のメイド人形なんだもん。』

「なーんとなくって割には、かなり上手かったけどな。男にしか分からないようなツボをしっかり理解してたし。」

『それは褒め言葉だよね!うれしい!ご主人様も少し疲れちゃったでしょ?お茶でも飲んで少し休憩します?』

「確かにちょっと喉が渇いたな。」

 浅川がそう言うと、マユはマナに合図を送る。マナは頷いてキッチンに向かい何かを準備していた。
 しばらくしてマナが戻ってくると、トレーにのせたお茶を浅川に差し出す。

「ありがとう」

 浅川は軽く礼を言ってお茶をすする。

 ズズズズズーーーッ

 すると浅川はクラクラっと言う軽いめまいと共に意識を失った。

    :
    :
    :

 どのぐらい時間がたったのだろうか。浅川はモヤモヤとしたまま目を覚ます。しばらくは自分の状況を把握しきれぬまま、うーーんと言うあくびに近い声を発しながら周りの状況を確認する。

 どうやら昨日の家の寝室のベッドの中で寝かされていたようだ。
 マユとマナが運んでくれたのだろう。彼女らはまだお人形遊びをしているのか、あるいはもう着ぐるみを脱いでいるのか、気になった浅川は布団から起きて部屋を出て1階に下りる。
 居間に行くと、全く人気がない。
 仕方なく家中くまなくさがすが、結局浅川は、マユとマナ、あるいはその中に入っていたであろう2人は見つけることが出来なかった。
 それどころか、昨日有ったはずの荷物すら全くなく、居間も台所も、綺麗に片づき、まるで何事もなかったかのように、家中がひっそりと静まりかえっている。

 あの2人は何処に行ってしまったのか。
 そもそもホントにそんな人形がいたのか。
 だんだん自分の記憶すらも曖昧になり、自信が無くなってくる。そもそも台風の中、この家に駆け込んだ時に、既に疲れていたことは事実なのだ。もしかするとそのままベッドで寝込み、そこから先の出来事は全て夢の中での出来事だったのかもしれないとすら思えた。

 外からは薄明かりが指している所を見るとどうやら雨は上がっているのだろう。
 風は若干強めだが、これなら外に出られるかもしれない。そう思って家の外に出てみるが、少なくとも家の周りには人影は全く見えない。
 しかも、昨日有ったはずの駐車場のアウディーも綺麗さっぱり無くなっていた。

 昨日の出来事は夢だったのだろうか。
 確かにあんな怪しげな着ぐるみが、世の中に実在するとは思えない。ゴムで密閉された中、6時間以上メイドを演じ続け、快感と苦痛を我慢し続けるなど、普通に考えてあまりにおかしな事だ。
 なんとなく浅川はモヤモヤした気持ちも残っていたが、いつまでもこの家にいるわけにも行かず、誰もいなくなったこの家の、最後の後かたづけをして、取材用に持ってきたバッグを片手に家を出る事にした。

 玄関を出て、家をロックし、鍵をポストにあずける(他に方法がなかった)と、車に乗り込みエンジンをかける。
 だがここで、どうしても諦められない浅川は、まだ何処かに彼女たちがいないのかと、エンジンをかけたまま家に戻ることにする。
 もしかすると、彼女たちはまた何処かに隠れていて、浅川が家から出たのを見計らい、部屋に戻ってくるかもしれないと考えたのだ。

 そっと部屋のロックを開け、ゆっくり家に入ると居間を目指す。

 だがやはり僅かな期待もむなしく、そこには誰もいなかった。

 もう一度最初に彼女たちを見つけたクローゼットを見ても、誰もいない。かくれんぼで隠れた押入も綺麗に片づき、ベッドの下も、カーテンの裏も、本当に誰一人いなかった。

 何を必死に探しているんだと、自分で笑ってしまうぐらい必死に探す浅川も、いよいよ諦めて、編集部のある東京に戻ることにしてしまう。
 エンジンのかかった車に、荷物を載せ、ギアをバックに入れると、駐車場から車を出し、家路についた。

 こうして不思議な家での不思議な体験が終わった。

 結局彼女たちが何者で、何処に消えてしまったのかは全く分からないまま、浅川のいつもと変わらない生活が始まっていった。



再開へつづく


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