DollClub~Episode 2~(12章) [戻る]
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 実践的な研修が始まってから3ヶ月あまりが過ぎ、聡美の実力はメキメキと向上していた。
 考えられるほぼ全てのシチュエーションでの実践的テストも、全く問題なくミクを演じ続ける余裕が出来、研修を担当していた聡美すらも凌駕する程の順応性を見せていた。

「ふぅ。まいったわね。私より早く順応しちゃうんですものね。今では私の方が聡美さんに研修をお願いしたいぐらいよ。」
「そんなこと無いですよ。美由紀さんの教え方が上手いだけです。」
「ふふふ。謙遜しちゃって~。でもこの分だと、もうお店に出られるレベルになっている気がするわ。」
「え!?本当?!店に出られるの??」

 美由紀の一言に驚く聡美。

「そうね。上に相談してみるつもりだけど、多分問題ないわ。順調なら来週からはスタッフとして店に出て貰うことになるわ。」
「わぁ。嬉しいなぁ。」

 聡美は素直に喜ぶ。

「このお店で女性初の着ぐるみスタッフは私だと思っていたのに・・先を越されちゃったわね。」
「でも美由紀さんももうすぐ出られるんですよね?」
「そうね。ただ、私はまだ最後の研修に耐えられていないから、それをクリアしてからになるわ。」
「あー。あの研修ですね。あれはミクの中で泣きながら頑張りましたもん。」
「やっぱりあれって苦しいわよねー。良く耐えられたわね。」
「苦しいですよねー。あんなに気持ちいいことが連続して続くと、何がなんだか分からなくなっちゃいますし。」
「そうそう。あのスペシャルドレスを着て3時間ビデオを見て、最後に質問に答えるってのは、ホントに地獄。」
「3時間、ビデオの内容も覚えなくちゃいけないし、椅子に座っているからあまり動けないし、そのくせドレスは地獄のように刺激してくるし」
「ホントよね。あのドレスを企画した人を恨むわよ。。」
「え・・?それって企画は美由紀さんだったって言ってませんでしたっけ?」
「あ・・はははは・・そう言えばそんなドレス考えたかも知れないわね。」
「もう。。自業自得ですよ。」
「でもあれは後悔したなぁ。あんなに感じるとは夢にも思ってなかったから。」

 美由紀とこんな雑談を続けながら、残った数日も自主的に練習する聡美。
 そして、いよいよ美由紀から辞令が下り、次週より店で着ぐるみとして働くことになった。

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 初出勤のこの日も、いつものように支度をして、いつものようにホビー21の関係者入り口から店舗へ入る聡美。

「あ、美由紀さん、おはようございます。」
「おはよー。」

 初日を見届ける意味も込め、美由紀も既に来ていた。

「早速だけど、後30分後に出られる?」
「ええ。分かりました。」
「じゃあ、あとはよろしくお願いするわ。私は控え室からあなたのデビュー戦を楽しんでるから。」
「そ・・そんな。」

 美由紀の一言に顔を赤くする聡美。
 そんな照れを隠すように、さっさとミクに入って出番を待つことになる。

 ミクの中に入り、下着だけを着けてバスローブのような物を纏い控え室でくつろぐ。
 もちろんくつろげるような状態ではないが、このぐらいの状況ならある程度長時間我慢可能な程に耐久力は身に付いていた。

 しばらくすると、ついにミクへの指名が入る。
 ミクに初めて付いた客は、ミクを女医に見立ててお医者さんプレイをしたいとの事であった。

 指定衣装となる女医の衣装をクローゼットから取り出し着込む。
 女医はナースとは違い、ブラウス+タイトスカート+白衣だ。下半身にはしっかりと黒いパンストを穿き、大人の女の色気を演出している。
 店舗の性格から言っても、衣装はかなりサイズが小さく作られている為、見ているだけでもミクの身体のラインがムチムチと浮かび上がるぐらい嫌らしい。
 実際にミクの裏側にいる聡美にとっては、当然相当に苦しい姿となる。

 パンプスを履き、聴診器を首からぶら下げ、カルテを持ったら準備完了だ。

 指示を受けたプレイルームに、女医として出向く。
 パンプスをツカツカと鳴らせ、タイトスカートの不自由な足を楽しむようにして歩きながら、部屋の前に行くと、部屋の入り口にある緑色のランプのついているスイッチを押す。ランプが点滅に変わる。
 実はこのスイッチが声を担当する人物への合図となる。

 押したランプの点滅が消えると、声の担当が準備完了となる。

 コンコン。

「はーい。」

 部屋の中から男性の声が聞こえた。

『問診の時間です。入りますよ。』

 ミクの声である。
 研修中も声入りの研修を積んでいた為、既に何度か聞いた声ではあるが、初めてお客さんの前で演じるとなると、少し緊張感も沸いてくる。お客さんだけでなく、この声にコントロールされるのだ。そう思うと聡美の身体は熱くなっていた。

「どうぞー。」

 ミクはその言葉を聞きそっとドアを開け部屋に入る。

 部屋の中はベッドがあり、患者役のお客さんがベッドで横になって先生を待っている。
 布団から覗く顔は、目が既に嫌らしいが顔自体はそんなに悪くはない。もちろん布団は既にテントを張っている。

『ふふふ。調子はいかがかしら?』
「あんまり体調良くないんですよぉ。」

 ミクの問いかけに甘えた声で体調不良を訴える客。

『あらあら。仕方ありませんね。じゃあちょっと診察しますからね。』

 ミクはベッドの横に座ると掛け布団を剥ぎ、寝間着を脱がせて聴診器を胸に当てる。
 ミクの耳は薄い膜によって覆われているが聴診器の音はしっかりと聞こえる。患者がかなりドキドキしている事もよく分かった。

 聴診器をあてながら、ゆっくりとソフトタッチで客の身体を触っていくと、既に客の目はうつろになっている。

『おかしいわねえ。呼吸が荒いなぁ。』
「そ・・そうですか?」
『そうね。なんだかドキドキしているようだし。普通なら私みたいにもっと落ち着いた鼓動のリズムになるはずよ。』
「先生みたいに?」
『ええ。ちょっと確認してみる?』

 いきなりミクは自分の胸を触って見ろと言い始める。

「い・・いいんですか?」

 ちょっと躊躇する客に対し、軽く胸を突き出すミク。
 客はそっとその手をミクの胸に宛う。
 白衣の上から柔らかくてはち切れそうな胸が客に伝わり、客の鼓動が更に増す。客の手はゆっくりと揉むように握ったり緩めたり、その胸にあてた手を動かす。
 ミクは平気な顔で客に弄られているが、聡美はソフトな揉み方に感じてしまい身体がこわばっていた。
 ミクの身体は、構造上、胸だけではなく当然下半身へも同時に刺激が来る為、見た目以上に胸を弄られることは辛いのである。
 それでも男性が中に入っている場合は、胸が刺激されても、男性の胸はそれほど敏感ではない為、どちらかというと下半身への刺激に耐える事にエネルギーを注げるのだが、聡美の場合、女性としてしっかり胸も感じさせられた上に、パッドによって下からも攻撃が伝わるので、男性が入っている着ぐるみより感じるのである。

『どう?先生の胸は。』
「や・・柔らかいです・・」
『そうね。先生のぐらい柔らかくないと正常とは言えないの。あなたの場合はどうかしら?』

 ミクは言葉に合わせてそっと手を客の下半身に移動させる。
 寝間着のズボンの上からもハッキリと分かる程主張した客の息子に軽く手を添えると、それだけでピクピクと反応する。
 彼氏の正彦がこんなに早く、しかも気持ちよさそうに反応させることを見たことがない聡美は、その様子を見ているだけでワクワクしていた。
 自分のする事がお客さんを興奮させている。
 男の人の大事な物を自分が弄べる快感に酔いしれていた。

 弄って欲しそうな客の様子をみながらわざと弄らないミク。

 周りを丁寧に刺激し、本体にはほとんど手をかけず、たまに意表を突いて触れてあげる。
 そのたびに客は喘ぐ。

 客が興奮している様子を見ながら、実は自分も相当に気持ちよくなっている聡美は、客には分からないように自らの股をギュッと閉じ、気持ちのいい場所を密かに刺激する。タイトスカート内の空間が減り、呼吸は苦しくなるが聡美にはその事も興奮を煽っていた。
 椅子に座っている状態のミクは、少し視線を下ろせば黒いパンストにつつまれ、両足を綺麗に揃えて座る自分の下半身が目に入る。
 白衣はボタンを外している状態で羽織っているので、スカートもほぼ露出している。
 その為、聡美にも黒いタイトスカートが目に入り、シワと共に若干窪みが出来ている股間付近も目に入る。
 自らを悩ましく苦しめる場所がこの奥にある。
 そう思っただけで、聡美は熱くなって来るのだ。

 聡美の思いは包み隠して、ミクはお客さんの治療を続ける。

『だめねぇ。こんなに堅いと身体に良くないわ。ちょっと治療が必要ね。』
「治療?」
『そう。最新の治療器具があるの。』

 ミクはそう言うと部屋に備え付けられた引き出しの中から小道具として、治療器具を取り出す。

「こ・・これ?」

 お客さんは不思議そうに尋ねる。

『これは凄いのよ。この器具を使って治療するんだけど、ちゃんと治す為には全ての治療が終わるまで、堅い状態を保ってあげる必要があるの。』
「え??」

 意味がよく分からないお客さん。
 聡美は事前の研修でこの器具の使い方は理解していたので、声に合わせて身振り手振りで説明を行いながら、お客さんの下半身を脱がせ、息子にこの器具を装着する。
 これは簡単に言えばベルトで固定したローターである。医療器具に似せた造形を持っているが、あくまでも振動を生み出すだけの装置である。

 ヒンヤリした器具がしっかり固定されるとお客さんはそれだけでゾクゾクしている様子である。

『いい?これを着けて治療する間は、しっかり我慢するのよ?』

 ミクはそう言うと器具に付いたスイッチを入れる。

「んんんっ・・・んんんんぁっ・・」

 お客さんの下半身を切ない振動が襲いはじめ、それに耐える切ないあえぎ声が漏れる。
 思わず手で器具を取ろうとするお客さんの腕を取り、行為を阻止するミク。

『ダメよ。こんな事では治療は終わらないわ?頑張らなきゃ』

 ミクの言葉に必死に頷くお客さん。苛められることが堪らないといった様子である。
 お客さんの目が徐々に虚ろになり、そろそろ限界かと思える頃、ミクはスイッチを切る。

『ふぅ。取り敢えず苦しそうだから一旦休憩ね。』

 無情に止められた振動が、お客さんの切なさを増し、言葉にならない様子である。

『どうしちゃったの?こんな程度で苦しいなんてだらしないわねぇ。』

 ミクは意地悪そうに言う。聡美はその言葉を聞きながら、本当にその通りだと思った。
 少なくともミクの中は、そんな振動程度の生やさしい快感ではない。
 非常に巧みにコントロールされた快感は、ミクの中にいる間ずっと続き、その状態でミクを演じ続ける必要がある。
 そんな聡美から見れば、今のお客さんが感じている快感など、たいした物ではないのである。

 そんな快感に早くもグロッキーなお客さんに、もっと意地悪したくなっている聡美。
 出来ればスイッチの操作を繰り返し、猛烈に我慢させて楽しみたいと思っていた。

「そんな事言うけど、先生だってこう言うの着けたら絶対耐えられないですって。無理矢理振動させられたら嫌でも感じちゃうんですから。」

 お客さんは、こんな振動に耐えられる人なんていないと主張する。
 もちろん聡美は、今ここにもっと凄い刺激に耐え続けている自分がいると言いたいが、言うことは出来ない。
 そしてミクも聡美の思いなど気にする事はない。

『ふふふ。ホントかしら?じゃあ先生も着けてあげるわ。1段下の引き出しに入っていると思うから。』

 ミクはそう言って、先程器具がしまってあった引き出しの1段下の引き出しを開ける。
 すると中には何処かで見たことのある器具がしまってあった。

 これは聡美が研修で使ったローター入りの下着である。何度か使ったことがあるが、そのたびに無理矢理与えられる快感に耐える為、地獄のような思いだった。
 その下着が目の前にあった。おそらくは改造され、お客さんの身につけている器具のスイッチと連動しているのであろう。

 聡美は、この下着がここに入っている事を知らなかった。
 隠していたわけではないが、事前に知らされていない器具等も部屋の中には存在し、それは声が誘導して使う事になるのである。
 聡美はこの下着を見ただけで、研修中の思いが蘇り、さらに興奮してしまった。
 だが、ミクはこれを着けると言う。聡美はミクである以上ミクの意志に従ってこの下着を装着する事になる。

 靴を履いたまま下着を穿き、スカートをめくり上げるようにして下着を持ち上げ下半身にしっかりとフィットさせる。
 ローターの位置が微妙なので穿き方を工夫して可能な限り本来の女性が感じる場所に器具を宛うようにするが、それでも限界があり、肝心な場所には若干届いていないことが分かった。

 お客さんから見ればテキパキと下着を身につけているだけのミクであり、その裏で、ただ下着を着けていると言う行為にこんなにも葛藤している人物がいるとは夢にも思っていない。
 聡美は、お客さんに悟られないようにドキドキしながらも、ミクの奥底でその時が来るのをドキドキしながら待っていた。

『じゃあ、また治療を始めるわね。』

 お客さんは恐る恐る頷く。
 ミクはそっとお客さんのスイッチを入れる。
 その瞬間、再び悶え始めるお客さん。

『ダメよ。ダメダメ。頑張らなくちゃ。』
「せ・・先生・・ホントに感じてる??」

 お客さんは、全く平然とするミクを不審に思う。

『ふふ。触ってみなさい。いいわ。』

 質問に答えつつ、お客さんの手を取り自分のスカートの中に滑り込ませるミク。

「!?」
『どう?しっかり振動してるでしょ?』

 お客さんその振動を感じ取り、平然としているミクに驚く。
 また、ミクは一見平然としているように見えて、太股がモジモジと動き「何かに耐えている」様子も分かり、それがさらなる興奮へ繋がっていた。
 もちろんスカート内の蒸れた空気も裏側を想像させていた。

 お客さんもこう言う店で楽しむぐらいであるから、普段、彼女を相手にローターなどを使って楽しむこともあった。
 その彼女の反応を思うと、これだけしっかり刺激されれば、いくら着ぐるみの上からとは言え、裏側が感じないとは思えない。
 そのうえ、スカートの中の空気がもの凄く蒸れていたこともあり、この平然と治療しているように見えるミクの裏には、確実に必死な役者が存在すると言う事を想像出来ていた。
 そう言う想像が出来てしまった事で、お客さんは実際の器具からの振動以上に興奮を覚えてしまうことになった。

 お客さんが激しく興奮している一方で、ミクの中はお客さん以上に激しさを増していた。
 お客さんには研修中に身につけたありったけの演技を注いで、平静を装っているが、実際には下着の刺激が予想以上に強く、頭の中が真っ白になっていた。そんな状態で自ら誘導したお客さんの手によって、器具をより強く押しつけられたので、その瞬間、聡美は中で果てていたのである。

 声を出すことも出来ず、ましてや大きく呼吸して息を整えることも出来ない中、お客さんには悟られることなく、ミクの中で果てていた。
 だが、果てた直後であっても、お客さんの前でこんな恥ずかしい状態を隠しながら、お客さんの想像力を高めて興奮させてあげると言う今の状況が、果てたばかりの聡美の身体をあっと言う間に火照らせていた。


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