DollClub~Episode 2~(6章) [戻る]
[前へ] [次へ]


 初体験から1ヶ月ほどが経過した。

 聡美はこの間、2~3日毎に時間を見つけては、DollClubに出向き、キャラクタースーツに慣れることに専念する。
 2週間もすれば慣れてくるだろうと考えていた聡美だったのだが、それは全く甘い考えであった。

 もちろん、脱ぎ着は一人で行えるようにもなったし、キャラクタースーツを着たままでいられる時間も次第に延びてはいた。そう言う意味では徐々に慣れていたのだが、聡美の心の中は全く違っていたのもまた事実だった。

 聡美は、ミクに入れば入る程、その中で得られる新しい快感に甘くて切ない我慢を強いられ続けていた。
 慣れることで、長時間はいることができる。だが、それはつまり、その長時間、逃れられない快感の中で過ごすことになり、それがよりいっそう聡美の興奮を増してしまっていたのだ。
 例えば、水中で頑張って10秒しか息を止めていられない人と、3分息を止められる人の、限界を超えたあとの苦しさが同じだと思うだろうか?やはり10秒より3分の方が回復にも時間がかかるはずであり、キャラクタースーツの中でも長時間、快感を与えられ続けると、より一層の快感を身体が欲しがり始め、演技どころではなくなってしまうのだ。
 それでも演技を続けなければいけないという状態が、ホントに辛いのだ。

 だが、それでも聡美は、美由紀が次々に与える試練を乗り越えながら練習を続ける。

 特に先日初めて体験した(実際には連日初めて体験することばかりだったのだが)身体にフィットしたパンツルックはホントに強烈な体験で、一刻も早くこの場から解放されたいと思う反面、いつまでもこの中にいたいという悪魔のようなささやきが聞こえる程だった。狭くて窮屈で、フィットした布達のせいで呼吸も苦しくて、それでいて下半身を覆い尽くした布達の織りなす猛烈な快感になすすべが無くなってしまったのだ。その日の帰りに、街中で見かけた女性達のピッタリしたパンツルックに、同性ながら欲情してしまった程であった。

そして、本日も研修のためにDollClubを訪れ、美由紀と共に研修を始める。

「聡美さん。あなた、やっぱり素質あるわ。あのあと私も自分のキャラクターであなたの研修した内容をもう一度試してみたの。私はもう何度もキャラクタースーツは着ているから、ある程度慣れているんだけど、それでもあなたのやったメニューをこなすのはとっても大変だったわ。」

 美由紀は先日の研修の結果を教えてくれた。

「で・・でも私はまだまだ足りないところだらけです。もっと色々頑張らなくちゃ、とてもミクを着こなせないと思うんです。」

 聡美は少し謙遜したように言いかえした。

「ふふっ。頑張る?それってもっと気持ちよくして下さいって事よね?」

 聡美がつい口走ってしまった一言に反応し、見事に突っ込みを入れる美由紀。
 聡美は耳を真っ赤にしてなにも言えなくなってしまう。

「いいのよ、無理しなくて。ここで働いているコアなスタッフは、みんな本音は一緒なんだから。それに、誰かが中に入って頑張らないと、お客さん達も楽しめないってのもあるでしょ?私たちはお客さん達の縁の下の力持ちでもあるのよ。」

 美由紀がフォローしてくれたのだが、聡美には全く聞こえていないようで、照れまくっている。
 その様子を見た美由紀は、早く着替えさせた方が賢明と判断し、研修を始めることを伝える。

「ここで悩んでても仕方ないし、研修始めましょ」

 美由紀の言葉に、聡美は照れながらも頷いて、着替えを始めた。

 着替え自体は手慣れた物である。
 同性しかいないこの部屋では、なんの躊躇もなく衣服を脱ぎ、恥ずかしい装置が備え付けられたスーツを開き、たっぷりとローションを塗ったあと、そのスーツを着込む。
 挿入の一瞬は動きが止まるが、呼吸を整えるとすぐにスーツを完全に着終える。
 その上からミクの外見となるスーツを被るように着込む。もちろんこの作業自体、既に刺激されながらであり大変なことには変わりないが、何度もやっている事だったので、我慢は出来た。

 ミク自身を着終えると、呼吸や視界の確認もすまして、美由紀にOKサインを出す。
 美由紀はそれを確認すると、今日着る衣装をミクに衣装を手渡す。

「今日はこれね。」

 ミクは手渡された衣装を広げる。
 どうやら体操用のレオタードのようでアンダーショーツ、ストッキングも一緒になっていた。

 この衣装自体は、聡美も何度か着たことがあった。
 本当に辛い衣装に比べると、布が薄く呼吸が楽な反面、薄い布がピタリとまとわりついて、もの凄くもどかしい状態になったのを覚えていた。
 それでも、過去に着せられた最悪な衣装よりはマシだったので、さっさとショーツを穿き、パンストを穿き、レオタードを着込む。かなり食い込むのでパッドから伝わる刺激にクラクラするうえ、食い込んだお尻がムズムズするが、それを我慢して平然としているのもお人形の大切な要素だと教わっていたので、意に介さない「ふり」をしている。

 美由紀は、ミクの着替えが終わった事を確認すると、ミクに向かって言った。

「今日は今までからちょっとレベルアップするから覚悟してね。」

 美由紀の言葉を聞き、どんな研修なのだろうと、ミクの中で聡美はドキドキしていた。

「実は今日は事情を全く知らされていない体操の先生を呼んであるの。その人にお願いして、ストレッチ運動をして貰うことになっているの。」

 ストレッチ。運動としてはそれほど激しくもない、ただの柔軟運動だ。息を切らせながらやる運動ではなく、通常はあくまでも運動の前に身体をほぐすウォームアップである。
 だが、それは聡美に取っては全く異なる。感じやすいこのミクの身体にようやく慣れてきた所で、身体のあちこちを伸縮させながらゆっくり運動するストレッチは、想像しただけでも地獄のような気がしてきた。

「安心してね。先生は女性だし、凄く優しくて評判なの。先生には、新開発した着ぐるみの柔軟性をテストするための研修だって言ってあるの。中は身体の柔らかい人が入ってるから、もし身体が硬そうにしてたら遠慮無く押したり引っ張ったりして、柔軟体操を手伝って下さいね。って言ってあるわ。」

 なんという用意周到な状況だろうか。
 確かに聡美は昔、学校で新体操をやっていたことがあり、今でも身体は柔らかいほうだ。180度開脚など、普段なら苦も無くできてしまう。
 そして、そのことは何気ない会話の中で、美由紀にも伝えてあった。
 だから、そう言う意味では美由紀の言うことに間違いはないし、おそらくミクの身体を先生が押したり引いたりしても、柔軟という点では聡美にはなんの問題もないはずだ。
 しかし、それ以外の部分は大いに問題だ。
 ミクの身体を押したり引いたりされたら、身体に張り巡らされたセンサーは容赦なく聡美を責め立てるだろう。
 さらに、先生は聡美の事情など知らないから、遠慮無くミクの柔軟を手伝うだろう。
 自分で頑張って柔軟体操をすれば、手伝われることはないが、伝わる刺激は似たような物だ。
 それに、自力で、この快感の中で柔軟がこなせるとは思えなかった。

 考えただけで、目の前が真っ白になるような状況にもかかわらず、時間は刻々と過ぎ、ついにその先生がやってきた。

 コンコン

 研修室のドアをノックする音が聞こえた。

「はーい。」

 美由紀が愛想いっぱいに返事をして、ドアを開ける。
 するとそこには、まだ20代前半とおぼしきスタイルのいい女性がレオタード姿で立っていた。

「研修のストレッチを依頼されて来ました、岡島です~」
「おまちしてました。どうぞこちらへ。」

 岡島と名乗る女性は、美由紀に案内され部屋の中に入ってきた。そして、ミクを見つける。

「わぁ、可愛い!」

 岡島は素直に、まるでテーマパークのキャラクターにするように、ミクに興味を示しているようだった。

「本日は、このキャラクターをテスト的に研修させる予定なんです。ただ、ご覧のようにスーツ自体がゴムなので、実際に何処までストレッチが可能かどうか、試さないと分からないと言う部分もありますので、ゆっくり対応願えればと思います。」

 美由紀が一通り着ぐるみに対する説明してくれる。

「そうよね。ウエットスーツみたいなものなのよね。確かにそれで全身を包んで長時間いるって、それだけで大変そうよね。」
「確かにそうなんですが、一応スーツアクトレスはその辺の訓練は積んでますので、普通の状態なら数時間であれば耐えられるんですよ。」
「そうなんですか。ではストレッチぐらいなら激しくないし、がんばれるかな。ね?」

 岡島はミクにも問いかけた。
 突然のことであり、また、これからのことを考え悶々としていた聡美には不意打ちだった為か少し慌てたように頷いてしまう。

「あ、ちょっとビックリしてますよ。大丈夫です?」

 岡島はそのリアクションに不安そうだった。

「ええ。大丈夫です。スーツを着ていると視界とか聴力に制限もあるのでちょっと驚くこともあるんですけどね。」
「なるほど。そうなんですね。」

 美由紀が上手いことフォローしてくれた。

「では、ここで話をしてても時間が勿体ないですし、早速始めましょうかね。」

 岡島はそう言うと、ミクに向かって可愛く微笑む。
 ミクは可愛らしく”ウン”と頷く。もちろん聡美はこれから始まるであろう地獄に戦々恐々なのだが、ミクにそんな素振りはさせられない。

「可愛いですね~。」

 岡島は、中の事情など全く考慮せず、普通にミクのリアクションを楽しんでいた。

「えーとね。じゃあミクちゃんはこっちね。私が鏡の前でお手本見せるから、まずはその通りやってみようね。」

 岡島はミクに立ち位置を指示して移動させる。
 その指示に従ってミクはチョコチョコと移動する。むろん一見するとただ可愛らしいお人形が歩いているだけである。
 当然岡島はただの可愛らしい人形を見て、準備が出来たと判断する。

「最初は足の屈伸運動から始めましょう。こうして足をまっすぐ伸ばして膝に手を置き、1・2・3・4って感じで足を折り曲げます。いいですか?」

 ミクは可愛く頷く。その裏側では美由紀が覚悟を決め、早くも股間を熱くしていた。

「1・2・3・4・・・・」

 声に合わせて屈伸運動をすると、当然しゃがむ度に股間に挿入されたパッドがより深く食い込み、さらにパッドの付け根にある突起が、敏感な部分を押す。
 普段、椅子に座るだけでもこの刺激は辛いのだが、これをリズムに合わせて繰り返すのは、地獄としか言いようがなかった。

「うーん、ちょっと姿勢が良くないわね。もうちょっと背筋をピンと伸ばしてやってみましょう。」

 岡島はミクの姿勢の悪さを気にしているようだ。
 もちろん、快感に耐えるために、腰を引いてしまい、それが結果として身体を丸めてしまっているのだ。
 岡島に言われて背筋を伸ばしてみるものの、やはりしゃがむ瞬間の快感には耐え難い物があり、つい身体が反応してしまう。
 さらに言えば、目の前でこんな状態にある聡美に、岡島が全く気づいていないことも聡美の興奮を煽っていた。


[前へ] [戻る] [次へ]