DollClub~Episode 2~(2章) [戻る]
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 ジュリはあどけなく微笑みながら利夫に言った。

「ね。どうしたいの?」

 利夫は、ジュリの可愛らしい容姿と挑発的な衣装、そして、セリフの効果で、ついに興奮を隠せなくなってしまった。

「あー、ここは正直ね。もうそんなに興奮しちゃって、この後大丈夫なの?」

 追い打ちをかけるようなジュリのセリフに、ただ頷くだけの利夫。
 ジュリは楽しそうに笑うと

「じゃあ、私から攻めちゃうよ?」

 といいながら、利夫に近づいてきた。

「服を脱がせてあげるね。」

 ジュリはそう言うと、ゆっくりと、ソフトなタッチで利夫の服を脱がせ始める。シャツのボタンを外し、ズボンのベルト、ボタン、ファスナーを外し、ゆっくりと服を脱がせる。
 利夫は完全にされるがままになっていた。抵抗する気になることも出来ただろうし、ジュリの行為を手伝ってあげることも出来た。だが、興奮状態でボーッとしていた利夫は、ただ、ただ、ジュリの行為を受け入れているだけだった。
 シャツとズボンを脱がせたあと、丁寧に靴下まで脱がせてくれる。

 下着姿になった利夫に、そのまま正面から抱きつくように絡んでくるジュリ。
 手を背中に回し、利夫の頭、背中を優しく手でなでるようにする。
 その手は次第にお尻から、正面に回って利夫の興奮をとらえる。むろんその間、ジュリはしっかりと抱きつき、利夫に自分の胸を押しつけることも忘れていない。

 ジュリに抱きつかれ、いいように触られている利夫は、背丈の違いからジュリを頭が視界に入っていた。少し下に視線を移すと、上目遣いで利夫を見つめるジュリがいる。相当の至近距離で、これだけ可愛いお人形顔の女性が自分を見つめながら、自分の物を触っているのだ。
 これで興奮しないはずはなかった。

 可愛く上目遣いで見つめるジュリの笑顔の中には、ゴムのような素材で出来たこの人形に密封され、声に合わせて自分を挑発する誰かがいる。
 その人物は、この笑顔のほんの数ミリか数センチ内側に間違いなく存在するのに、利夫にはその誰かが全く分からない。
 今までもこの店の人形相手に同様の感情はあったが、ジュリに対しては特別にその想いが強かった。
 それは、もちろんこの声と表情によるところが大きい。
 今までは声も出せず、表情も変えられない。まさしく人形として存在し、そこにこの遊びの良さがあった。人形そのものの可愛らしさと共に、中で頑張っている誰かを想像する楽しさ(興奮とも言う)があったのだ。

 だが、ジュリは違う。
 ジュリは自由に話し、表情だって変えられる。極端に言えば、意志を持った女性。であるにもかかわらず、この娘は明らかに人形に思える。いや、もっと言うなら、今まで以上に人形に近づいたとすら思えた。

 これまでは、客のする行為に対してだけ我慢をしていただろう、中の人物は、ジュリに関して言えば、さらに、声優の意志に対しても我慢を強いられる。つまり、中の人物という視点で言えば、より一層自分の意志を剥奪され、周りに合わせて行動することが求められる。
 ここに利夫が興奮するポイントがあった。

 そうしている間も、ジュリは利夫を攻め続ける。
 この絶妙なまでのテクニックは、この店のキャラクター達の売りの一つでもあるし、利夫自身、他の何体ものキャラクター達のテクニックを知っているのだが、特にジュリのテクニックは素晴らしく思えた。

 それほど経験があるわけではないが、他の一般的な風俗店と比べても、数段レベルが高く、絶妙に男の持つツボを攻めてくる。
 これほど的確に攻められたらたいていの男性は、あっと言う間に果ててしまうように思えるが、そこも絶妙で、簡単にイクことは許してもらえない。もう少し、後少しで、、と言うところで手の動きを止めたり、別の部分を攻めたりするのだ。
 ここまで男のツボを理解していると言う事は、相当に訓練された女優が中にいるのだろう。なにしろ恐らくは男にしか分からないようなツボすら、平然と付いてくるのだから。

 利夫は次第に立っていられなくなり、その場で座り込んでしまう。
 むろんジュリはそれに合わせて自らも座り、利夫への攻めを続ける。

 利夫もだまってやられ続けているわけではない。ジュリの体を触り、ジュリを感じさせようといろいろ画策する。
 だが、ジュリは全く感じる気配がない。
 いや、厳密に言えば、時折身体がピクリと反応するように動くのだが、それはホントに一瞬であり、しかも言葉も発することなく、表情も変化しないので、ほとんど感じている様には見えないのである。
 そして、そんなジュリの様子が、利夫の興奮をさらに高めていた。

「ねぇ。もうそろそろイカせてあげよっか?」

 ジュリが意地悪そうに言う。

「あ、、う、、うん、頼むよ。」
「へへぇ。どうしよっかなぁ。もうちょっと楽しみたいなぁ。」
「そんなぁ。そろそろホントに勘弁してよ。」

 利夫はもうグロッキー寸前と言った表情で頼む。

「仕方ないわねぇ。じゃあ特別に許してあげる。」

 ジュリはそう言うと、利夫の下着も全て脱がせて手の動きを加速させ、一気に仕上げにかかった。
 さんざん我慢させられた利夫には、その手の動きに耐えるほどの耐久力は残っておらず、あっという間に限界に達した。

「あ~あ、もうイッちゃった。」
「そ、そんなこと言うけど、結構我慢するの辛いんだぞ。」
「あ、そっかぁ。そうよね。私、女だから、ちょっと感覚違うかもしれないけどそれは辛そうね。」
「だろ?そもそもこんな風にずっとじらされるなんて、あんまり無いだろうから分からないんだよ。攻めている側は俺の様子を伺いながら楽しんでればいいんだろうけど。」
「楽しんでただなんて。あなたも楽しかったくせにぃ。」
「まぁ、そりゃそうだけど。」
「でしょぉ?あなたばっかりズルイよ。私も楽しんでいい?」
「は?楽しむって?俺が攻めるって事?」
「う~ん、それもいいわね。でもちょっと違うわ。私が一人で楽しむの。あなたは見てて。お願いよ。」

 利夫はそのお願いに何となく頷く。

 ジュリはにっこり笑って部屋の壁際に、利夫の方向を向いて座り込む。
 利夫を少し上目遣いに見つめると、嫌らしい笑みを浮かべ、手を、自らの身体に這わせ始めた。

「ふふふ、こうするとね。気持ちいいんだから。」

 そう言いながら胸や身体を愛おしそうな手つきで触っていく。
 両足は閉じられ、スカートで股間は隠れているが、時折足ももじもじと動く。見えそうで見えないスカートの中に、利夫の興味は集中していた。

「ん・・・・あ・・・・」

 その手は次第に下半身に伸び、スカートの上から大事な部分を触ると、切なそうに身をよじってよがる。
 スカートの上からの刺激に飽きたらず、ついにはスカートをめくり、レオタードの上から、そしてさらにレオタードの隙間から指を入れて直接弄り始める。

 だが、どんなに良がる様子を見せていても、なかなか達しないようだ。よがり声は時折発しても、上り詰めた様な声はいっこうに出ない。

 ここでも利夫は興奮していた。

 これは、ジュリのオナニーを演じている2人、つまり声と表情担当と、演技担当のタイミングが合っていないとすると、ジュリを演じている人物にとっては相当辛い演技のように思えたのだ。
 なにしろ、利夫の為にもオナニーをする必要があるが、どのタイミングでイクのかは全て声優次第で決まる。感じるように弄っていても、声優がイク声を出すまではイク事が出来ないと言うことだ。
 あるいは、実はイッてしまっているのに、演技としてイッた事を悟られないようにしている可能性だってあると言うことだ。

 そう考えた利夫には、目の前のジュリの行為はもの凄く興奮出来る物だった。

 それからしばらく利夫はジュリのショーに見入っていた。イキたそうな身体と、なかなかイカない声のジレンマを外から想像するだけでも、単なるオナニーの数倍は見応えがある。むろん全ては利夫の想像で、実はそんなに感じていない可能性だってある。だが、この店は想像力を楽しむ店なのだから、自分で思ったように想像して楽しめればいいのだ。

 やがてさすがにジュリも限界に達したようだった。もちろんこの事自体、声に合わせた演技であり、実はまだイッていない可能性だってある。その場合、今頃ジュリの中では・・・と言う想像も働いていた。

「あー気持ち良かった。どうだった?私のショー。」
「え・・うん、まぁ良かったよ。」
「まぁ?そんなこという割に、ここはもうすっかり元気ね?」

 そう言いながらジュリは利夫の息子を指さす。

「あ・・・」
「ここは正直ね。いいわ。また私がしてあげるね。」
「でも、もう時間が・・」

 確かにジュリのショーを見入っているうちに、いつの間にか終了時間が近づいていた。
 こんなことなら60分より長めのコースを選ぶべきだったと少し後悔もした。
 だがジュリはそんなことお構いなしに利夫の目の前にやってきて、利夫の物を手に取る。

「大丈夫。もうこんなになってるもん。5分あれば出来るよ。」

 ジュリはその言葉通り、持てるテクニックと嫌らしい言葉、そして表情を駆使し、残り5分で利夫を頂点に持って行った。
 先ほどは30分以上かけて攻められたが、本来5分もあれば達するテクニックで焦らされていたのだ。それは辛いはずだと思った。

「じゃあ、あっちでシャワー浴びて来てね。」

 ジュリに促され、シャワーを浴びる利夫。
 後処理は淡々と進み、服を着替えて、最後は割合あっさりと部屋を出た。

 帰り道、利夫は、この新キャラクターの魅力にとりつかれている自分に気づいた。
 それは、自由に動けるのに完全にコントロールされている演者に対する魅力だった。




 一方、仕事を終えたジュリは、楽屋に戻るとしばらく出てくることはなかった。
 楽屋は通信が遮断されているので、声優がモニターすることも出来ない。つまり楽屋だけは演者の完全なプライベートルームであり、ジュリが楽屋の中でどう過ごしているかを知るものは演者本人以外いないのだ。

 そして、ここはもう一人のジュリの担当、声優スタッフルーム。
 全ての声優は防音の個室で演技をするため、他の演者に話している内容を聞かれて恥ずかしい思いをすることはないように作られている。
 そのジュリ担当の部屋で、仕事を終えて一息ついている女性がいた。

 浅野聡美 22才

 大学生の聡美は、このリスクの割に給料の高いアルバイトを気に入って始めていた。
 確かに男性のみだらな裸をモニター越しとはいえ、目の当たりにするのは抵抗があったが、聡美ももう22才である。声を出して、それに合わせて表情操作パネルをコントロールしているだけでいい給料がもらえるのであれば、と割り切っていた。

 勤務は、実際にお客を相手にするのは3時間程度だが、そのほかに訓練の時間があり、その時は別のキャラクターをお客に見立てて、実践さながらに声を当てたりする。
 最後には教官からの採点があり、その採点次第では給料の変動もあるから、声優として参加するとは言っても真剣勝負だった。しかも、この訓練により、お客さんや状況による演技の使い分け、どういう行動を取るかの秘密の合図に相当する台詞などを決めておく、と言った前準備も行うため、とても大事な訓練なのだ。

 もちろん今日のジュリがオナニーを始めたことも、全て聡美が発した台詞による指示である。ジュリの行動の90%以上は聡美の指示によって行っているのだ。

 そんな訓練をこなし、本番ではお客の相手をする聡美にも、実は密かに気になっている事があった。

 聡美を始め、全ての声優担当者は、担当キャラクターの中でキャラクターを演じる人物を知らないのだ。
 最初は、そう言う物だと割り切っていたが、次第にジュリの中にいる人物が、どんな人物で、どんな思いで自分の声にあわせた演技をしているのか、気になって来た。

 特に最近は、文句を言うこともなく、抵抗することもなく、全て自分の声の通りにどんな嫌らしい行為でも実行し、ジュリを演じ続ける中の人物が気になって仕方がなかった。

 それは、単なる興味と言うよりは、憧れに近かった。
 もし自分が、ジュリのような密閉された人形の中に入って、小さな股間のスリットから呼吸を強いられながら、自分の意思とは違う誰かの台詞に合わせて、ジュリを演じ続けているとしたら、それはさぞ大変なことだろうと思った。
 自分の操作で自由に変わるジュリの表情も、中の人物の表情と違う可能性が高い。
 そんな自分の表情とは違う、人形の表情にあわせた演技。
 中にいる人物がどんなに気持ちよくなっていても、聡美が、平然とした表情と台詞をジュリに与えれば、何事もなく平然としたジュリを演じる。
 中にいる人物がどんなに苦しくても、聡美やお客が選べば、嫌な顔一つせず、股間を塞ぐような衣装も着る。

 そんな大変そうな中の人物のことが羨ましく思えていた。
 他のどの声優担当も、口を揃えて、あんな大変な仕事は絶対にやりたくないと言っていた。もちろん聡美も他の人たちに合わせて同様の発言をしていた。
 だが、内心は全く逆だった。

 自分もそんな中に入って、人の声に合わせて演技をしてみたい。どんなに苦しくても、どんなに気持ちよくても、それは押し殺してそのキャラクターを演じてみたい。
 そう思うようになっていた。

 そう言う考えが浮かび始めてからの聡美は、中の役者の事を考慮して、わざと意地悪な行動を取るようになっていく。中の人物に嫉妬して、中の人物を少しでも虐めてみようと思っていたのだ。

「私の胸、柔らかいわよ?触ってみる?」
「ふふふ、スカートの中、気になる?でもまだダメよ。見せてあーげない。」
「だめよ、もっと焦らすようにそっと触ってね。」
「んぁっ。そこはダメ。直接触らないで回りを触って。」

 自分がこんな事をされたら堪らないと思えるような行為をジュリに演じさせた。
 これで少しは気が晴れるのかと思うとそうではない。むしろそうやって虐められているジュリを目の当たりにして、よりいっそう嫉妬してしまった。

 こうして、聡美のジュリ虐めは続いていった。

 そんなある日、マネージャーが聡美を呼び出すことになる。

「あー、聡美君。ちょっといいかい。」
「え?私ですか?」
「ああ。ちょっとこっちに来てくれないか。」
「はい。」

 聡美はそう言うとマネージャーに連れられ、いつもは入れないドアの向こうに入って行く。

「こ、ここは入ってはダメなエリアですよね?」
「ん?まぁ本来はね。今日は特別だ。」
「特別?」
「そうだ。今日はこれからちょっと大事な話があるから。」
「大事な話?」

 話しをしながら廊下を進み、何度か曲がり角を曲がると、一つの部屋に通さされる。

「ここだ。ソファーに座っておいてくれ。」
「はい。ここで話しが?」
「そうだ。まぁ、もう一人よんでいるから、ちょっと待っていてくれ。」
「わ、分かりました。」

 聡美はマネージャーに言われるままにソファーに座る。
 マネージャーは一度部屋を出て行くと、しばらくして戻ってきた。
 そして、そこにはマネージャーの他に、もう一人女性がいた。

 ピッタリしたチャイナドレスに身を包んだジュリである。

「え?な、なんでここに・・」
「今日はこのジュリのことでちょっと話しがあってね。」
「ジュリのこと?」

 聡美は聞き返すがマネージャーは聞いていない。

「あ、そうそう。紹介しよう。こちらが君の声を担当している浅野聡美さんだ。」

 マネージャーはジュリに、聡美を紹介している。
 実は、ジュリと聡美は初対面なのだ。

 ジュリは可愛らしく挨拶をする。

「あ、はじめまして。声を担当している聡美です。」

 何となく挨拶をしてしまった聡美であるが、実はもの凄くドキドキしていた。

 目の前にいるのはジュリである。彼女の中には、いつも自分の声に合わせてジュリを演じる誰かがいる。いつもはモニター越しにしか見えないジュリも、こうして生でみるととても魅力的だった。

「早速だけど聡美くん。」
「はい。」
「今日来てもらったのは、ジュリとの顔合わせのためじゃないんだ。」
「ですよね。こんな立ち入り禁止の場所まで連れてこられての話ですから。」
「うん。そうなんだ。それで、話って言うのは、実はこのジュリからのお願いというか苦情というか・・・」
「苦情?」

 マネージャーからの突然の言葉に、聡美はとまどった。


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