友達?彼女?それとも・・・(19章) [戻る]
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 突然動作が止まったエレベータに閉じこめられる真一とこまち。
 真一は我に返ると、非常用のボタンを押して外部と連絡を取る。

「おーい。エレベータ止まっちゃったんだけどー」

 何度かの呼びかけの後、エレベータの保守要員と連絡が取れる。

「お怪我はありませんか?」
「あ、はい。こっちは無事ですけど、何で止まっちゃったの??」
「すみません。今調査中なんでまだ原因がハッキリしないのですが、動力部分の電源か遮断されてしまっているみたいです。」
「じゃあ、俺らはどうなるの?」
「原因が分かり次第連絡と復旧をさせて頂きますが、しばらく待って貰えませんかね。」
「え?マジ?」
「ご迷惑おかけしますが。」

 どうやら何らかのトラブルで動力源が停止しているようである。いずれにしても中にいては出来る事は限られている。
 真一は取り敢えず、かろうじて電波の来ている携帯電話を使い、外部のスタッフに事情を説明。少し待ってみる事にする。

「んと・・しばらくかかりそうだけど大丈夫か?」

 こまちに尋ねる。
 少し考えてウンと頷くこまち。

「もし時間かかりそうだったら少しの間脱いでてもいいんだぞ。このエレベータ、搬入用だからカメラみたいなのは見あたらないし。」

 気を遣う真一だがこまちはプルプルと首を振る。

「まぁお前が大丈夫って言うならいいんだけど。」

 しぶしぶ了承する真一。
 エレベータ内を良く観察すると、電気だけは通っているがエアコンが停止している事に気づく。
 外の気温を考えると、外部と通じているエレベータの温度が上がってくるのはそう時間がかからないはずだ。

 5分が経過し、徐々にエレベータ内が蒸してくる。
 真一にとってはまだ大したことのない気温と湿度と言えるが、こまちにとって楽だとは思えない。
 特に着ぐるみというのは暑さよりも湿度の方が身体に堪える。着ぐるみの中にいると僅かに湿度が上がっただけでも一気に蒸し風呂感が増すのだ。おそらく和志もこの5分ぐらいの間に、かなり大変な状況になっているはずである。

「せめて上着ぐらい脱ぐか?」

 真一の親切を無視するかのように首を横に振るこまち。
 それどころか自らの手のひらで、真一の事をパタパタと扇いであげたりもする。自分は平気と言いたげなぐらいである。

「俺はいいっての」

 少し強めに真一が言うと、こまちはシュンとする。悔しいがそのしぐさもまた可愛い。

「あーあ。くそ。いつになったら動き出すんだ。」

 文句を言いながらその場に座り込む真一。こまちはその様子を見て、自分も可愛らしく床に座り込み女の子座りをする。
 よく見ると太股はピッタリとくっつけて座っている。
 少し開いて座れば呼吸経路が楽になるはずなのだが、わざわざピッタリくっつけている所がまた悔しい。もちろんスカートはプリーツ状になっている為わずかな三角州を綺麗にカバーしている。これではスカートの中の蒸れ方はかなりの物のはずである。
 こまちは真一の方を見て可愛くウインクしてみせる。
 明らかにわざと、真一に見せつけるように座っているのだ。

 しかも、あのポーズでいる事は、和志にとっては単に息が苦しいと言うだけではない。股間には非常に敏感なセンサーが存在しているので、ああやってピッタリ股を閉じていると言う事は、自分の太股で自分の息子を締め付けている状況に近い。
 少し広げると楽になるがあそこまでピッタリしていれば確実にその締め付けを感じているはずであり、パッド内の和志の物はさぞや楽しい状態になっているはずである。通常であればそうやってダイレクトに感じるよりも、少し緩めても、どかしい感触を味わう事の方がツライのだが、今の和志はダイレクトに感じても、息子を自由に反応させる事は出来ないのだ。
 恐らく、一旦ああやって座って感じ始めてしまうと、真一に気づかれない範囲で太股の締め付ける強さを変化させて快感を楽しみたい所だろうが、それをやってしまうと息子の反応を抑える事が辛くなるはずである。とすれば、今の和志の状態は、もうちょっとだけ強い刺激が目の前にあり、しかも真一に気づかれることなく味わえるはずなのに、息子が反応する事を避ける為、寸前でお預けを喰らっている可能性が高いのである。

 こんなに気持ちの良さそうな地獄が目の前に存在しているのに、こまちは可愛らしく「普通の瞬き」を続けながら真一を見ている。
 当然、真一が和志の状況を想像しながらこまちを眺めている事も想定済みのはずである。
 真一に嫉妬されながら自分だけは人知れず妖艶な世界を独り占めしている和志は、さぞ楽しいはずであろう。

 そんな自分の心を和志に見透かされている気がして、真一は妙に悔しくなっていた。

 こまちは、座ったまま手を使ってズリズリと真一の方に近づいてくる。
 腰を浮かせれば楽になりそうな物だが、こまちはわざと真一に良く分かるようにズリズリと床を移動する。するとさすがに気持ちよさに耐えかねているのか、瞬きのリズムが先程とちょっと違い間隔が短い事が分かる。
 だいたい、ズリッ、ズリッと動くタイミングで瞬きしているのだ。

「な・・なんだよ。わざわざ寄ってくんなっての。」

 真一は強がってみるものの、あまりにも羨ましい状況を目の当たりにし、凄みが全くなくなっている。
 やがてこまちは真一の真横に並ぶように座る。
 床に着いている真一の手の上にこまちのスカートの一部がかかる。
 端の方ではあるが僅かに外気よりも生暖かいのがわかる。もちろん中心部の蒸れ方はこんな物ではないはずだ。
 スカートの生地はごく普通に存在する学生服の生地だが、この普通の生地が、こまちの中をどれほど過酷な空間にさせているのかと思うと堪らない気持ちになる。

 こまちは、真一の横からのぞき込むように真一を見る。もちろんパチリパチリと瞬きを見せつけている。
 真一がバツの悪そうな困った顔をしていると、それを楽しむかのように小首をかしげてウインクまでする。

「なんだよ。くそ。見せつけやがって。後で絶対仕返ししてやるからな!」

 少し怒った口調の真一にも、こまちは全く怯まない。
 それどころか、片方の手を真一の股間の上にそっと宛うと、パッドの中の物の状態を確認するようにソフトに揉んできた。

「やっ・やめろ・・」

 抵抗はするがその気持ちよさに加え、もともと興奮が頂点に近かった事もあり、殆どその抵抗には効果がない。
 こまちは真一の様子を楽しむように指先の圧力を変化させ、その間も真一を楽しそうに見つめながら瞬きを繰り返す。
 時間にして僅かに2~3分。ずっと我慢をしていた真一は、早くもこまちの技の前に屈服しようとしていた。

 だが、丁度その時、真一はこまちの変化に気づく。
 瞬きが間隔を開けずに何度か繰り返され、その繰り返し間隔が徐々に開いて10回ぐらいでピタリと止まったのである。

 そして、その時を境にして、こまちの瞬きは一切無くなり、同時にこまちは真一から手を離してしまう。

「え・・」

 もう少しという所で快感を止められた真一は、凄く情けない顔でこまちを見つめる。
 こまちは恥ずかしそうに少し真一から離れると、またちょこんと女の子座りで座っている。

 恐らくこうである。
 この密室の中、気温も湿度も上昇し続け、真一にとってもかなり不快な状態にある。
 そんな中でこまちの中に入り続けているのだから、和志の状態は相当過酷なはずである。
 そう言う状況では、さすがに和志と言えども我慢するのは辛くなったのであろう。だからこそ、興奮している真一を、さらに挑発するように演じ、真一を弄って様子を楽しみながら、その裏側で自分だけ気持ちよくなっていたのだ。
 自分だけ楽しんだ挙げ句、真一はお預けをされてしまったのだ。

 これは真一にとってはかなり屈辱的な事だったが、今からこまちにやれと命令するのも悔しいし、かといって自慰するのも自分の気持ちを見透かされているようで嫌だった。
 悔しいがここはじっと我慢するしかない真一であった。

 今頃和志は、果てた後にやってくる脱力感や呼吸の苦しさと戦っているはずである。着ぐるみを脱ぎ捨ててしまいたい衝動に駆られても、こまちは気軽に脱ぎ捨てられる物ではない。こまちとして数分間じっと耐えるしかないのである。
 だが、その数分を耐え抜くと、すぐに次の快感が待っている。
 着ぐるみ内にいる間は、その快感から逃れる術は無いのである。

 多分事情を知らなければ、ただの誘導スタッフと着ぐるみが停止したエレベータに乗って、動くのを待っているだけに見えるはずだが、その着ぐるみの裏側の苦悩を想像できてしまう真一には、この空間は拷問に近かった。

 少し離れた位置でこまちが座り込んでいる様子を複雑な思いで眺める真一。

 すると、程なくしてエレベータがガクンという衝撃とともに動き出す。
 こまちもエレベータの動きを感じ取り、立ち上がって可愛らしく拍手している。

 エレベータが1階に到着すると、真一は、何事もなかったかのように出迎えたスタッフと挨拶を交わしてこまちをグリーティング会場に誘導していく。
 かなりの至近距離で誘導しながら、改めてこまちの事を眺める真一。
 可愛らしく真正面を見つめて優しく微笑みながら歩くこまちは、中の人間が和志だと分かっていても可愛い。
 元々リアル指向な輪郭にアニメ調の目鼻立ちをミックスしたような独特のデザインの表情のため、妙に生々しい。
 目が他のアニメタイプの物より小さいことや、頬や口の周りの膨らみがリアルな人間に近い事も生々しさを強調している気がした。

 もし真一が、この着ぐるみを着る立場だったとしたら、どんな気持ちなのだろうかと想像してしまう。
 着ぐるみの顔は型くずれしにくいように、例え人が入っていない状態でもある程度自立してその形状を維持する。
 つまり、楽屋に入ると、このこまちの顔が置いてあるのだ。

 和志は、楽屋でこの可愛らしくも小さい顔を、どんな気持ちで見つめていたのだろうか。
 これから数時間、自分の顔に覆い被さり、自分を外界から遮断し、自分のことを苛め続ける小悪魔のような美少女である。この口も鼻も、造形だけで口や鼻として機能しない。この中の空気は股間に導かれ、衣装の隙間からかろうじて外界と通じている。
 アニメ調とはいえ、それほど大きくない目の中では、実際に視界を確保できる場所も狭いはずである。
 きっと、こまちに入る前に、こまちを見つめながら、これから起こる事を想像していたに違いない。

 そして、こうして現実に和志はこまちに密閉され、こまちとして存在している。中の様子は和志だけの秘密なのだ。

 しばらく歩くと、既にグリーティングが始まっている会場に到着する2人。
 のぞみとひかりを見つけたこまちは、嬉しそうに手を振ると2人に向かって可愛らしく走り出し、そのままグリーティングに合流する。
 ただ手を振ったり、小走りするだけの行為は、見ている人には可愛らしい着ぐるみにしか見えないはずだが、恐らく和志は心の中で覚悟を決めて手を振り、その刺激に耐えながら今度は小走りに走り出していたのだろう。小幅に走ることで刺激が減るはずだが、歩数が増えるため逆に刺激を受ける回数は増える。一歩一歩小走りの度にこまちの中にいる和志は、下半身から込み上げる快感に耐えていたはずである。ただ、和志にとって幸いだったのは、恐らく先ほどのエレベータの行為で果てた直後のはずなので、刺激が襲ってきても瞼が勝手に反応することはなかったはずだと言うことだろう。

 3人合流してのグリーティングは大盛況である。

 1階で入り口に近い場所と言うことや、お客さんが相当多いこともあり、エアコンの効きが悪いことは気になったが、それでも3人の動きは全く衰えていない。
 子供達も寄ってきて揉みくちゃにされている着ぐるみを、必死でスタッフが誘導する場面もあった。
 そんな中、ふと気づくと、こまちの瞬きが復活しているようである。
 つまり、和志の苦悩が再び始まっているはずなのである。
 そんな苦しそうな姿を想像し、可哀想だと思うどころか、羨ましさでいっぱいになってる真一だった。

 結局グリーティングは30分ほど費やされ、これでイベントがすべて終了したことになる。

 最後は着ぐるみたちが愛想良くお客さん達に手を振って楽屋のバスに入る。
 バスの入り口で着ぐるみを迎え入れる真一は、着ぐるみの元気そうな姿を見て、その裏側を想像すると堪らない気持ちになっていた。
 まずはこまちが戻ってくる。こまちはパチリとウインクしてお疲れ様と言いたいかのように軽く会釈してバスに入る。
 真一はさっそくこまちの衣装を脱がせにかかる。
 衣装を脱がせると生地からジワリとした湿気や生暖かい感触が伝わってくるのがよく分かる。これが今日一日和志を苦しめていた衣装なのかと思うと羨ましさでいっぱいになる。
 すべて脱衣したこまちは、真一にありがとうと会釈をして楽屋の奥に引き上げていく。

 これで和志の苦悩がようやく終わる事になるが、姿が見えなくなっても、まだしばらくはこまちの中にいるはずである。
なにしろ、個室に戻って完全に外に出てくるまではかなりの時間が必要なのだ。

 つづいてひかりが戻ってきた。
 さすがに演者が女性なだけに、瞬きが途切れることはない。だが、快感が途切れることもないのだから、きっとこのひかりの中にいる相沢の下半身は、口に出すのも恥ずかしい状況に置かれているはずである。
 こまち同様に衣装を脱がせていく真一。
 スカートを脱がせる時に感じた湿気はこまちの時以上にドキドキした。なにしろこの布が長時間、相沢の呼気を外気から隔離し続けていたのだ。何度スカートをめくってしまいたいと思った事なのだろうか。そう想像するだけで堪らない気持ちになる。
 ひかりの脱衣も完了すると、続いて戻ってきたのぞみの番である。

 望みは相変わらず優雅にお嬢様を演じているが、この中には望みに勝るとも劣らない美しい容姿を持った小暮がいる。
 彼女もまた、この中でさぞや苦しい時間を過ごしていたのだろう。だが、美しい容姿を優雅に着こなし、最後までお嬢様風の演技を崩さない。
 蒸し風呂であるはずののぞみの中等全く想像できないほど清々しく美しいのぞみ。
 だが、衣装を脱がす真一は、のぞみの苦悩がとてもよく分かっていた。
 他の2人に比べ、衣装が火照っているうえ、お腹の呼吸がかなり荒いことが分かる。
 表情が凛としてすました様子なのでお腹を観察しないと全く気が付かないが、こののぞみは、今まで、その裏が相当に苦しい状態だったのだろう。こんな状況でものぞみで有り続けるのは役者としてさすがではあるが、そんな大変な状態に身を置きながら優雅に望みを演じる小暮に対して、かなり激しい嫉妬心も覚えた。

 全員の衣装を脱がせると、着ぐるみ達は楽屋に引き上げ、その後、スタッフ達は会場の撤去などの作業をこなすことになる。

 撤去作業を開始して30分。真一は、そろそろ和志達は着ぐるみら解放されている頃なのかと思いを馳せる。
 もしかすると楽屋で一人、最後のお楽しみをしているのかもしれない。
 どちらにしても、もう彼女たちは仕事を終えているのだから、あとはバスがホビー21に到着するまでの間は、演者達の自由時間なのだ。着ぐるみから出ようが、着ぐるみの中に入り続けようが、それは演者の判断に任されているはずである。

 こうしてメイン会場となっていたフロアの撤去作業がほぼ終了した頃、このイベントの責任者が真一の元にやってくる。
 真一が着ぐるみ担当のリーダーだと言う事で、真一に頼みがあるらしい。

 話を聞くと、もし可能なら、また1階のグリーティングだけでもやって貰うことは出来ないかと言う願いだった。

 お客さんの反応がかなり良かったらしく、次の回は何時からなのかと言う問い合わせがだいぶ来ているとの事だった。
 もちろん真一は、そのお願いはかなり難しいと言うことを伝えるのだが、どうしてもグリーティングをして欲しいと言う願いだったので、少し思案する。
 いろいろ考えた結果、内部事情を説明することは出来ないが、着ぐるみの操演者の契約の関係で難しいとだけ説明し、一応話を着ぐるみ達に持って行く事にする。

 バスに戻ると、楽屋側の担当者に連絡を付け、事情を話す。楽屋側担当者は着ぐるみ達との相談の上回答すると言う事になっていた。
 だが、楽屋側担当者と言っても、実は着ぐるみ演者と直接話が出来る立場にはない。あくまでも着ぐるみ越しでの筆談か、あるいは楽屋からのインターホンなどの機能を使った変換された音声による会話だけが許されていた。
 そう言う意味では、メールで和志と直接やりとりできる真一の方が、実は立場が上なのだが、今日はあくまでも外側のスタッフとして参加しており、楽屋側のスタッフ達は真一が着ぐるみの演者側に近い存在だと言うことを知らない為、真一に任せることなく楽屋側で話を付けようとしているのだ。

 しばらく待つと楽屋側担当から連絡がある。
 どうやらのぞみが操演出来る体力を残していない事もあり、30分のグリーティングは難しいらしい。


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