友達?彼女?それとも・・・(15章) [戻る]
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 真一は考え込んでいた。
 残るひかりとこまちのどちらが和志なのか。
 2人の演技を思い返すと、ひかりは女性っぽく、こまちは比較的元気である。
 だが、ひかりの女性っぽさは演技の可能性もある。
 一方で、可愛らしいキャラクターのこまちの方が動きが派手で、わざと女性らく振る舞う、と言う演技はしやすい。
 スタイリッシュなモデル風のひかりは、むしろかっこよく振る舞うと言う点ではマイナスにすら成り得る。そう言う意味ではひかりの方が演技力を要求されそうである。

 この難しい材料から、どちらが和志かを判断するのとなると、考え込んでしまうのである。

「どうだ?分からなかったら、もう一度触れてみてもいいんだぞ?」

 マネージャーはそう言うが、マネージャーと小暮がいる目の前で、着ぐるみに触れて男女の確認作業をする勇気は無い。

「いや・・・さすがにこの状況じゃー・・・」

 遠慮がちに真一が断る。

「あ、さては私に遠慮してるでしょ?」
「そ・・そんなことねぇよ。」

 楽しそうに言う小暮に、少し恥ずかしそうに答える真一。

「あはははっ。無理しちゃって。散々私の事も触ってたのに~。」
「う・・うるさいなぁ。誰が入ってるか知らなかったんだっての。」
「こんな美人を触れたんだから感謝してよね!あ、真一君が触れないなら私が代わりに触ってあげよっか?見えるように触ってあげるから真一君はよーく観察する。どう?これなら恥ずかしい事はないでしょ?」
「え?小暮さんが?」

 小暮の突然の提案に驚く真一。
 だが、小暮の目の前で着ぐるみを触って自らが興奮してしまう可能性を考えると、小暮に触れて貰って様子を観察すると言う提案は悪くないと思った。

「うーん、自分で触るよりはその方がいいかなぁ。」
「うん。じゃあ決まりね。多分真一君が確認したいのはスカートの中と胸とかだよね?」
「ま、まぁ。」

 さすがに先程までのぞみを演じていただけあり、見分ける為に必要な情報を得るポイントを理解している。

「じゃ、行くよ?」
「おう。」

 真一の合図で、小暮は躊躇無くひかりに近づき、手のひらでそっと胸を覆うように揉んでみる。
 ジャケット越しとは言え、凄く意地悪そうに刺激を与える。また、時々ジャケットのを覆っている部分をクイクイっと引っ張るような動作も加えている。

「ほら、よーくみてね。ひかりちゃんの反応。このジャケット、凄く窮屈で余裕がないから、こうしてジャケットを動かすと胸が突っ張って凄く苦しいのよねー。多分和志君だとしたら、大事な物がジャケットに引っ張られているって事でしょ?すごーく切ないと思うわ。」

 楽しそうに状況を説明しながらひかりを弄ぶ小暮。

「足の動きとか、案外ポイントよ?すこーしだけ内股になってるでしょ?閉じたくても派手に閉じたら感じてるってばれちゃうもん。今頃必死よね。」

 説明を聞きながらひかりの様子を見ている真一は少しだけ後悔していた。
 まさか小暮が説明を入れながら触るとは思っていなかったし、なにより現実に小暮の説明を聞かされながら様子を見守ると言うのは、蛇の生殺しと言って良かった。むしろ自分で触っていた方が気が楽だと思えて仕方がなかった。

「ふふふ。苦しそうなひかりちゃん。でも、ひかりちゃんはお人形さんだから感じたりしないんだもんねー?」

 わざとらしく質問する小暮の言葉に、ひかりはコクリと頷く。
 単純に考えれば、触っても平気よ?と言うサインだ。だが、実際そんな単純なはずがない。
 ひかりの中では、怒濤の刺激が遅い続けているはずである。ひかりが和志であっても相沢さんであっても、どちらにしてももう5時間以上ひかりを演じ続けている状況で、これほど大胆に弄られまくっているのである。
 感じていないはずは無いのだ。
 そのような状況下で、小暮の質問に頷くと言う事は、自ら、まだしばらくこの快感から逃れられない事に同意したと言う事なのだ。
 無論それは、ひかりとしての同意であり、演者本人の気持ちではない。つまり演技のはずである。
 とすれば、演者にとって、地獄とも思える時間が続く事に「演技として同意する」気分とは、どのようなものなのだろうか。
 来ると分かっている快感を受け続けなければいけないと言う状況に同意する時、ひかりの中の演者はさぞや切ない思いの中にいるのだろう。
 だが、その実情は、実際に今ひかりの中にいる人物のみが知る事なのだ。

 そもそも、何故ひかりはこれほど頑張って反応を消そうとしているのか。
 ひかりの中が和志であっても、相沢さんであっても、ひかりの演者の性別が分かれば、この状況は終了出来る。
 つまり、苦しければわざとボロを出せば済む話しなのである。
 恐らく誰も強制していない。いつのまにかそう言う状況になっているというだけなのだ。ひかりの中にいる演者はこの苦しそうな状況下に身を置く事を自ら好んで選んだという事になる。
 常識的に考えれば、わざわざそんな過酷な選択を好んでするとは思えないのだろうが、真一には、とても羨ましい選択に見えていた。

「じゃ、ちょっとスカートの上からもー」

 小暮は手をスカートのタイトになっている下腹部に当て、スカートの布をひかりの下腹部に擦り付けるように動かしはじめる。
 男性演者の場合、息子はこの辺りに格納され、その上から布を擦られる事になる。つまりスカートの生地が息子をしごくのである。
 これは男性演者には非常に苦しい行為なのだが、通常は女性演者にはそれほど強い刺激とはならないはずである。
 ところが、今回に関しては、相沢さんに関しても、小暮が付けていたパッドを付けているはずであり、そうだとすれば、男性演者同様にスカートの擦れを体感しているはずだ。

「これねー。結構苦しいのよねー。ひかりちゃんが男の子なら、多分真一君の想像通りだし、女の子だとしてもあのパッドを通すと凄く切ないのよねー。」

 弄られているひかりは手で顔を覆って恥ずかしそうにしているが、決して感じていると言う様子はない。
 だが、その恥ずかしそうにしている様子は、よく見ると焦れったい快感をどうにか我慢する為の動きにも見えてしまう。
 「恥ずかしい」と言う様子の演技に上手に便乗して快感を逃がそうとしているように見えるのだ。

「じゃ、いよいよ核心ね?」

 小暮はそのままスカートのプリーツ部分をひらりとめくる。さらにタイト部分をズリ上げるようにめくる。
 すると下着とタイツに覆われたひかりの下半身が姿を見せる。

 小暮は右の人差し指と中指をピンと伸ばして、その指先をそっとひかりの股間にあてがう。
 露わになっている内側の太股の付け根がピクリと反応し、ひかりの裏側の切なさを垣間見る。そのまま指の腹で大事な部分を撫でるように擦ると、さらに太股が反応している。反応しているのは付け根の部分なので、普段スカートの中に隠れていては見る事は出来ない反応だが、こうしてスカートを取り払うと、裏側が苦労して表側を作り出していると言う事が良く分かる。

「うわぁー。指先に感じる吐息も苦しそうねー。ふふふっ。私の指で感じちゃってるのかしら?あ、お人形さんは感じないのか。へへへっ。」

 わざとらしく言う小暮。こんな罪な台詞を聞かされながら、小暮に弄られ続けているのだ。

「どう?真一君。しっかり反応見てる?」

 真一の様子を見ながら楽しそうに言う小暮。
 小暮の手の動きとひかりの反応に、すっかり興奮してしまっている真一は、ひかりの操演者が誰なのかを判別出来る状況出はなくなっている。ひかりの裏側で、ひかりとして、小暮に弄ばれながら操演を続ける気分とはどんなものなのだろうか?と言う事が真一の頭をいっぱいにしていた。

「あー、なんかこれ以上弄るとイッちゃいそうなのでやめておこうかなー」

 小暮は、ひかりの反応をみながら手の動きを絶妙に変え、イカない範囲で手先をコントロールしていたのだろうか。
 スッと動作を止めてしまう。

 その瞬間、じっとしていたひかりが、一瞬だけクイッと腰を引きながら内股気味になってしまう。
 その光景は、見ているだけで裏側の切なさが実感できてしまう程の嫌らしい動きである。

「ふふふ。苦しそうだけど、もうおしまいよ。じゃ、次はこまちちゃんね。」

 小暮はそう言うととなりにじっとしていたこまちに近寄る。
 こまちは当然今のひかりの様子を見ている。つまり自分にこれから起こるであろう事を想像出来ているはずである。
 ついさっきまでひかりが受けていた行為を、これから自分も受ける可能性が高い状況で、じっとその行為を待っているのだ。
 もしこまちが和志であるなら、さぞや堪らない気分だろう。

 一方で、既に置き去りにされているひかりにも目を向ける。あれだけ弄られているにもかかわらず、殆ど乱れることなくじっとしているが、お腹の動きは凄い。相当に呼吸が荒くなっている事が良く分かる。
 今頃演者はじっと佇むひかりの中で、疼いて火照った身体を落ち着かせるのに必死のはずだ。もちろんそれが和志の可能性もある事は真一も理解しているが、そんな羨ましい状態の和志を想像したくなかった。

 真一の気持ちなど全く意に介さずマイペースに淡々とこまちの責めに入る小暮。

 ひかり同様、胸から徐々に反応を楽しむように責めている。中でどう感じるかをよく理解した上で責めを行っている事が良く分かる。こまちは笑顔を崩す事はないが、その裏側にある演者の形相はさぞや恥ずかしい事になっているはずである。

「ひかりちゃんと差を付けちゃマズイわよねー。こうやって徐々に弄る方が感じちゃうかなー」

 まるでこまちに話しかけるように独り言を言いながらこまちを責める。
 スカートから伸びる足が時々反応を示している事も、リラックスするように開いたはずの手のひらが、時々切なそうにギュッと閉じようとするシーンも見られる。もちろん手を握る行為は見た目に感じている事が分かってしまう為、彼女は閉じたい手を必死に開いていると思える反応を示している。
 手をギュッと閉じて堪えれば、力を入れて耐えられるシーンも、ああやってリラックスした状態で耐えるのは極めて辛いはずである。今頃こまちの演者は、何故最初に手を握っておかなかったのかと後悔しているはずだが、後の祭りだ。

 切ない胸への刺激は次第に下半身の刺激へと移行していく。

 スカートの上から布を擦りつけるように弄る小暮。スカートの生地が下腹部を滑るように撫で上げているはずであり、その感触を受けながらじっとしている事はさぞかしツライだろう。
 ひかりの時と同様の行為だが、何度見ても、見ているだけで切なくなってくる。実際に体験している人物は見た目の何倍も苦しんでいるに違いない。

 ひかりの場合、その刺激に対し、恥じらうような態度をとり続ける事で感じている様子を誤魔化しているようだったのだが、こまちは違う。
 割とストレートにじっと息を潜めて快感を我慢し続けている様子なのである。
 もちろん真一のように身体が硬直したりと言った様子はない。
 手のひらを広げている様子からも、全身の力を抜き快感を受け入れてしまっていると言う感じが良く分かる。
 この方法で受け入れられるとすれば、かなり自然に見える上に、感じている素振りは全く見せずに済む。そう言う意味では理想的だが、その分、裏側の苦労も大きくなってしまうはずである。
 まだ、ひかりのように別の演技で誤魔化す方がハードルは引くそうである。

 真一は、こまちのあまりにも自然体で快感を受け入れ続けている様子を見て、興奮を覚えながらも、冷静に自分の演技との比較をしてしまっていた。
 どうすればこまちのように自然に演じられるのか、と言うポイントを掴みたいと、彼女の動きを観察しはじめていた。

 丁度その頃、小暮の責めはスカートの内側への進行していく。
 めくったスカートの裏側から、先程まで隠されていた一番感じてしまう部分が見える。もちろん下着越しではあるがそれでも核心を見るとドキドキする。

 柔らかそうな皮膚を撫でるようなフェザータッチで、こまちの下半身を弄りはじめる小暮。
 相変わらず小暮は絶妙な手さばきを見せている。自分がやられたらさぞかし気持ちがいいだろう。
 どれほど気持ちいいのだろうかと想像してみても、こまちは相変わらず僅かに反応を見せる物の自然体である。
 何も知らない人が見たら感じているとは全く想像出来ないと思える反応なのだ。

 所が、小暮が下半身を刺激し始めて数分すると、急にこまちの様子が変わる。

「あれ?こまちちゃん、ヤバイ?」

 小暮もこまちの急変に驚く。
 こまちはその場でペタリと女の子座りで座り込んでしまうと、しばらくその場で座り込んで呼吸を整えるような仕草をする。

「あー、もしかしたらイッちゃった?急に反応が変わったから分からなかったわ」

 どうやら小暮の刺激を我慢し続けたのだが耐えかねてギブアップしてしまったらしい。
 笑顔のまま座り込んで呼吸を整えている様もまた異様に嫌らしい光景なのだが、急激に演技を中止して座り込む程に追い込まれていたのであれば、あの瞬間のこまちの中はさぞかし気持ちよかったのだろう。
 座り込んで呼吸を整えるこまちだが、スカートはしっかり地面に付いている。つまり呼気はスカートに遮られてスカート内に溜まり込んでいるはずである。
 少し股を広げて呼気のルートを確保でもすればいいのに、太股と太股はピタリと閉じているのが気になる。

 時間にして1分弱。しばらく座り込んだこまちは、すっとその場で立ち上がるとパンパンと膝とスカートのホコリを払い、その後は何事もなく笑っている。

「どうやら落ち着いてのかな?」

 小暮の問いにこまちが頷く。

「そうか。じゃあ、そろそろ真一君に判定して貰うかね。」

 今までじーっと様子を眺めていたマネージャーが割り込む。

「そうね。もうだいたい予想付いているはずよね。」

 小暮も真一に判定を迫る。
 その様子を見ているひかりとこまちもウンウンと頷いている。

「えっ・・・うーん・・・」

 真一は考え込んでしまう。
 ひかり、こまち共に反応は見事だった。
 ひかりは感じている様子をうまく誤魔化していたし、こまちは全く感じていない様子だった。
 どちらが大変かと言えば、真一の想像のレベルではこまちの方が大変だったはずである。そう言う意味では操演歴の長い和志は、こまちぐらいの演技は不可能ではないかも知れない。
 所が、最後の最後に崩れ落ちてしまった。
 そう考えると、無理をして頑張っていた相沢さんが限界を迎えていた可能性もある。また女性の感じ方は男性とは違う可能性もあり、その点でもこまちの感じていない素振りも女性の方が演じやすいかも知れない。

 一方で、ひかりはこまちよりは演技は楽そうだ。誤魔化せればいいのだから。
 これなら比較的初心者でも演技は可能なのかも知れないと思わせる所がポイントだ。
 単純に考えれば、ひかりが相沢で、こまちが和志、と言う結論になりそうなのだが、真一はこのクイズがそんなに簡単に答えを出せるとは思っていない。
 なにしろある程度裏事情を理解している真一の推理は、恐らく演者側も想像しているはずだ。
 とすれば、わざとひかりを演じる和志が楽な演技を見せて、相沢さんが難しい演技に挑戦し、こまちを和志と思わせる作戦だったのかも知れない。
 結果的には相沢さんが刺激に耐えきれずにボロを出してしまった、と言うシナリオの方がリアリティーがある。

 そもそも小暮はどちらが和志なのかを理解した上で触っている。
 ひかりを触っていて、そろそろイキそうだから、と手を止めてしまった事も思い出していた。
 あの瞬間、手に何かを感じて止めたのかも知れないと言う疑いすら出てきてしまうのだ。

 果たして和志は、ひかりとこまちのどちらに入り続けているのだろうか。
 どちらにしても中では相当に羨ましい事態が続いているはずであり、真一としては一刻も早く和志を着ぐるみから出して、この羨ましい状況を終わらせてしまいたいと思っている。

 なんとかこの状況を終わらせたいとの一心で、ひたすら考え抜いた末、ついに真一は1つの結論を出した。


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