友達?彼女?それとも・・・(12章) [戻る]
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 サポートの仕事を終えた真一は、マネージャーに報告に行く。

「無事終わったかい?」

 マネージャーの質問に真一は答える。

「ええ。なんとか。」
「パッドは役に立っただろ?」
「ホントに、これがなかったら人前でサポート作業なんて出来ないぐらいでしたよ。もうこんなツライ仕事はごめんですよ。」
「そうか。だが、もし君がまだ訓練に時間がかかるようだったら、また手伝って貰う事になるよ。何しろ事情をある程度理解してサポートが出来る貴重な人材なんだ。そう言う人材は、訓練生と一部の時間に余裕がある演者以外には、なかなか見つからないから、こちらとしては助かるしね。」
「そんな事言われても・・・実際目の前でああいう光景を見続けると、とてもツライいですし。」
「だとしたら、君も頑張って早くあの中に入るようになってくれ。こうしてサポートを依頼するのは、一つはさっきも言った通り、事情を理解している人間のサポートの方が助かる場面もある、と言う理由だが、もう一つ、目の前で見て勉強して貰うと言うのもあるんだ。」
「勉強?」
「そうだ。実戦を間近で見て、いろいろな事を感じ取って貰う必要があるからな。」

 マネージャーの言葉に少しムッとする真一。
 確かに色々勉強になる事はある。だが、真一は訓練生の中では成績はかなり優秀なはずだという自負があった。
 自分が勉強しなくてはならないなら、もっと勉強が必要な訓練生は大勢いるはずである。
 それなのに、なかなか実戦には投入して貰えず、女性だからと言う理由もあってか、同じタイミングで訓練を受けていた小暮さん、相沢さんの2人は、既に実戦を経験し、真一の前で妖艶な容姿を見せつけ続けていた。
 確かに他の男性の訓練生に先を越されるよりはマシだとも思えるが、それにしても自分が学ぶべきなのは、既に実戦経験だと思っていたのだ。

「不満そうだね。」
「ま、まぁ。」
「確かに君は優秀だ。正直に言えば、今回の配役が君だったとしても、十分役をこなせたと思っている。」
「だったら、どうしてやらせてくれないんです?」
「・・・」

 真一が詰め寄ると、マネージャーはヤレヤレと言う雰囲気でため息を1つつき、言う。

「ふぅ。やはり分かっていないようだな。」
「分かって・・いない?」
「君の演技は確かに素晴らしい。だが、君を見ていて気づいた事があるんだ。」
「気づいた事?」
「そうだ。君は着ぐるみの演者として、他の演者達とは決定的に違う事が1つある。そして、それを理解する事も、他の演者達と競演する上で非常に大切な事なんだ。」
「決定的に違う?なんですか?それは。教えてくださいよ!」
「まぁ、焦るな。答えをここで教えてしまっては、君はその大事な事を学ぶ機会を失う事になるんだ。だから、今は教えられない。」
「そ・・そんな・・」
「ただ、今日の様子を見ていると、君は少しずつその大事な事に気づいてきているように思う。」
「気づいてきているならいいじゃないですか。足りない物って何なんです!?」

 真一の質問にうーんと唸るように一度考え込んだマネージャーは、ふっと顔を上げてこう言った。

「じゃあ、こうしよう。」

 何かマネージャーから提案があると気づいた真一は、すかさず聞き返す。

「なんです?」
「そう言えば今日のキャラクターの操演で、誰が和志君なのか知りたがっていたよな?」
「ま、まぁ。」
「あの件で、一つ君に提案があるんだ。」
「提案?」
「君が中身を当ててみないか?」
「僕が・・中身をですか?」
「ああ。上手く当てられれば君の知りたい事を教えてやってもいいぞ。中身も分かるわけだし一石二鳥だろ。」

 マネージャーからの提案に少し考え込む真一。
 だが、条件としては悪くないと思えた。元々知りたかった和志の入っている着ぐるみも分かり、その上で自分に欠けている物を教えてくれるのだという。
 拒否してもこの場が打開出来るとも思えなかった真一は、マネージャーの提案に乗ってみる事にした。

「でも、当てるってどうやってです??」
「もちろん3人のキャラクターを目の前にして、じっくりしっかり観察して貰って構わんよ。10分観察して答えを出せればその場で着ぐるみを脱がせて構わない。」
「10分で・・ですか。答えが出せなかったら?」
「その時は罰ゲームとして3人のキャラクターに弄ばれるだろうな。」
「そ・・それは辛いなぁ。観察するだけで分かるなら、さっきのサポートの仕事でとっくに分かっているし。」
「もちろん観察というのは見るだけではない。ここは誰も来ない場所だからキャラクターを好きなように触って構わんよ。」

 マネージャーの思わぬ提案に驚きつつも、冷静に検討する真一。

「触っても構わない?」
「ああ。構わん。」
「で・・でも和志以外の演者は・・」
「なるほど。既に和志君から話しが通っているのか。2人は女性だ。それも理解しているなら尚更いい条件だろ。」
「触っていいのか・・他のキャラクターは女性って事なら、確かに簡単に分かりそうだなぁ。」

 触れて良いなら、下腹部の息子を固定してある辺りを丁寧に触れば、男性ならコリコリした物が存在するはずである。
 軽く触る程度では分からないがしっかりと確かめればすぐに分かる。
 一方で女性の場合、そもそもそんな物がついてないので、いくら外から触れても、手にはなんの感触も感じないはずである。

「どうだ?やってみるか?」
「うーん、やってみるのはいいんですけどね。なんでマネージャーがそんな事までしてくれるんです?」

 真一はそもそも疑問だった。
 今日は和志の演じるキャラクターについて、分からない物だと思っていたのだが、マネージャーがわざわざ確認するチャンスを用意しているという。しかも、直接正体を見せるのではなく、真一に確認させるという。
 単に真一に欠けている物を教えたくないというのであれば、拒否すればいい話である。わざわざ条件付きで教えるという事は、この条件自体に何か意味でもあるというのだろうか?

「君に勉強の機会を与えたいと思ったからだ。」
「さっきも言ってましたよね。勉強って。そんなに不足している物が多いんですか?」
「いや、もう1つだけだ。それだけ理解出来ればいつでも君は実戦に出せる。そう思っているからこそ、この1点だけはちゃんと感じ取って欲しいんだ。」

 和志を当てる事と、真一に欠けている何かを勉強する事が、何か関わっているとでも言いたげな雰囲気である。
 だが、真一には、マネージャーの言いたい事はさっぱり理解出来ていなかった。
 むしろ、単に状況を引き延ばして楽しんでいるようにすら感じていた。

 だが、今の真一には、他に選択肢は無かった。

「・・分かりました。やってみます。」

 しばらく考えた真一は、チャレンジを決断する。もちろん和志が入っているキャラクターを知りたいという欲求が強かったのもあるが、マネージャーの嫌がらせにも近い挑戦にも負けたくないという意地があった。

「じゃあ早速だが、A2訓練室でキャラクター達が待っているから、行ってくれ。話しは通してあるから。」
「え?今からなんですか?」
「ああ。待ってて貰っているから、早くしてあげないと、もう数時間着ぐるの中に入り続けているから大変な状況なのは分かっているだろ?」

 マネージャーは楽しそうに言う。
 イベントが終了して、その後細々した後処理のあと、ここに来てマネージャーと話しをしていた為、もう着ぐるみと分かれてから1時間近く経過している。
 その間、3人共A2訓練室で待っていたというのだろうか?演者は和志以外、女性なのである。その状況を想像すると、和志が堪らなく羨ましく思うと同時に、なんとしても正解してやろうと言う気になった。

 マネージャーに案内されてA2訓練室に入る。
 ここは広さ10畳程で、応接間のような雰囲気の訓練室である。日常的な動作訓練等を行う為に、ここは真一も何度か使っていた。
 部屋に入ると深いソファーに腰掛けた3人の姿が目に入ってきた。
 3人とも可愛らしく手を振って挨拶する。

「じゃあ、10分間時間をあげるから、調べてみてくれ。10分後に戻ってくるからその時回答を聞かせて貰おう。」
「分かりました。」

 マネージャーはそう言うと部屋から出て行ってしまう。3人の着ぐるみは、マネージャーが出て行ったのを確認するかのように、スッと席を立ち、真一の近くに寄って来た。
 衣装は、先程着ていた制服風の衣装である。宇宙服タイプの衣装よりは楽かもしれないが、着心地がいいとはお世辞にも言えないと思える作りの衣装である。
 先程は真一が衣装を着せてあげたのだが、今は彼女達が自力で着たのか、あるいは互いに着せ合ったのだろうか。
 どちらにせよ、着替えだけでもかなり大変だったに違いないが至って普通の態度である。
 席を立つとスカートのプリーツ部分がフワリと揺れるのが見える。そのスカートの動きを彼女達は全く気にする様子もなく真一の前に近づく。

「な・・なんだよ。」

 向かって右側に立つこまちが可愛らしく手招きする。真ん中のひかりはちょっと大人っぽく足を出してセクシーに誘う。
左側ののぞみは優雅に恥じらうようにこちらを見ている。
 完全に挑発である。
 先程までの楽屋では、あくまでもキャラクターとして振る舞い続けていた3人だったが、ここにいる3人は、動きのイメージこそキャラクターの設定に従っているが、やっている事は相当に挑発的である。
 こんな態度は普段の店内では絶対に見る事は出来ないであろう。そう言う意味では、真一の立場だからこそ見られる態度なのだが、真一は全然嬉しくなかった。

「いいのか?ホントに触るぞ?中が女でもこの際遠慮しないで触るぞ?」

 このままでは着ぐるみ達に遊ばれてしまうと言う危機感を覚えた真一は、少し強い口調で言ってみた。
 すると3人は拍子抜けする程あっさりと、一切躊躇無く頷く。
 こうあっさりと同意されては、真一が怯むわけにも行かない。意を決して正解を見つける作業を開始した。

「分かった。じゃまずのぞみからだ。」

 のぞみはコクリと頷いて、その場にペタンと座り込む。のぞみに同調するように、ひかり、こまちも床にペタンと座る。

 真一はのぞみ達に合わせてしゃがみ込んで近づき、スカートの中にそっと手を入れて股間から下腹部にかけてを触ってみる。
 ペタンと座っているのぞみの股間にはしっかりひもがフィットしているようで、真一の手が触れた瞬間、一瞬切なそうに太股が動き、同時に吐息が手にかかる。スカートの上からでもよく触れれば分かるのだが、目の前で3人に翻弄されるのはもう沢山だったので、早く確実に判別出来る方法を選んだのだ。
 確認するように下腹部をまさぐる真一。
 すると、何やらコリコリした抵抗があるのが分かる。いきなり正解か?と嬉しくなり頷く真一だが、ここで正解しては面白くない。なにしろのぞみが和志であると分かれば、残り2人は中身が女性である。しかも、相当に美人の2人である。
遠慮無くそんな女性の股間を弄れるチャンスを逃すのは勿体ないと思った真一は、分からないフリをして、ひかりを触って見る事にした。

「うーん、意外と難しいなぁ。」

 とぼけたようにのぞみを見て言う真一。
 きっとのぞみの微笑みの中では、和志が必死に快感を押し殺しているはずだ。せいぜい悶えてくれとばかりに、次のターゲットのひかりに手を伸ばす。

 やはりスカートの中に手を入れ、股間を弄る。
 ひかりは下腹部には触れることなくダイレクトに股間を弄る。下腹部に息子が隠れているわけではないから、その方が女性には苦しいのだ。実際、かなり蒸れた吐息と共に、小刻みにピクリピクリと太股が反応し、可哀想なぐらいの状態である。きっと真一の弄っている裏側は凄い事になっているのだと思うと、真一の息子も次第に熱くなっていく。
 ただ、さすがに全く下腹部に触れないと言うのもおかしい話しである。なにしろ「分からない」という設定で3人を触るのだから、下腹部もまさぐらいないと、行動を怪しまれてしまう。後で何を言われるか分からないので状況証拠を作る為に、下腹部辺りも弄ってみる。
 指の腹で撫でるように下腹部を弄ると、意外な事に気づく真一。

 なんと彼女の下腹部にも、のぞみ同様にコリコリした物体が存在しているのだ。

「え?!」

 ひかりは恥ずかしそうに、そして少しだけ楽しそうに頷く。
 真一はまさかと思って、すかさずこまちの下腹部にも触れてみると、やはりこまちにも同様のコリコリが存在しているのが分かった。

「ど・・どういう事?もしかして中身が入れ替わってるのか??」

 先程のイベントとは違う性別の人物が中身を演じているのかと言う疑問を持った真一だが、3人は無情に、そして嬉しそうに首を横に振る。
 つまり、中身は変わっていないと言いたいようだ。

 真一の慌てた様子を見て、こまちが部屋の隅に隠してあった白い物体を取ってきて真一に差し出した。
 物体は、一見すると女性用の股間パッドである。実は研修中に実物を見た事があるので、仕組みはだいたい知っていた。
 身体に挿入する部分と股間にフィットする部分がついていて、これを装備する事で女性の敏感な部分を内側と外側から刺激する仕組みなのだ。
 ただ、目の前にあるパッドは、研修中に見たそれとは別のパーツが付いているのも分かる。
 丁度男性器を押し潰したような形のゴム状の物体が、股間から上に反り返るように付いているのだ。さに丁寧に袋の部分に相当するパーツまで付いている。通常男性は股間の土手と太股の内側に上手に収納されるが、これもパッドに偽物が付いていれば実物との判別が困難になる。

『これなら性別が分からなくなるでしょ?』

 とでも言いたいかのように、どんなもんだいと言う態度を取るのぞみ。
 確かにこんな物を装備されていては外から性別の判断が付かなくなると思える。そもそも何故こんな装備をして着ぐるみに入っているのか、と言う疑問もある。ただイベントで操演するだけなら通常のパッドで問題ないはずなのである。
 とすると、事前に誰かに触られる事を想定していたとでも言うのだろうか?
 その答えは、今の真一には分からなかったが、現実に目の前の3人の下腹部には、男性の物か、それによく似た模型が隠されている事は事実であり、判別は難しくなっている。
 だが、まだ真一には考えがあった。
 本物なら刺激に反応を見せるはずなのだ。いくら和志が我慢し続けたとしても、僅かな反応はどうしても避けられないはずだ。何も知らない人物ならその反応に気づくとは思えないが、そこに何があるかが分かっていて、反応を確かめるように弄れば、さすがに分かると思ったのである。

「まだ手はあるさ。」

 そう言って、今度はこまちを触る。先程よりも丁寧に、焦らすように、我慢の限界を誘うように反応を確認しながら弄る。
 こまちの股間からは切なそうな長いストロークの吐息と共に、太股の筋肉がピクピクと反応している。演技なのか実際に感じているのかは分からないが、その光景と手に伝わる感触は、真一の心を十分に興奮させた。
 わざと小指に股間のひもを引っかけて、人差し指と中指の腹でコリコリを確認しながら、小指を引く。じわっと食い込んだひもがこまちを刺激している様子が良く分かる。
 元々アイドル顔のこまちの目が若干潤んでいるようにも見える。
 こうして数分間かけて丁寧に触っていると、真一の指にピクリと反応があった。
 確認するようにその反応の場所に指を置いたまましばらく小指をつかって敏感な場所を弄ってみる。
 もしこの息子が、和志のなら、今頃どけて貰えない指の裏で、必死に反応を我慢しているはずだ。
 そう思って弄っているうちに、再びこまちの物が反応を示した。

 真一はこれでこまちが和志であるという想像は付いたのだが、先程の事もあるので、万が一を考えて残り2人を順に触ってみる。
 ひかり、のぞみ、それぞれに、こまちにしたような刺激を与えてみる。すると、恐ろしい事に、残り2人の物体も、真一の指先に反応をしてしまったのだ。

「な・・・」

 真一の驚きを楽しむかのように、のぞみが先程のパッドの電源ケーブルにバッテリーを接続し、パッドを弄って見せてくれる。
 のぞみは、パッドの身体の中に挿入する部分を指でクイクイつまんだり締め付けたりしてみる。
 すると、その動きに反応するように、パッドに付いた男性の物の模型がピクピクと反応しているのだ。
 さらにのぞみは、今度は男性の物の模型部分を指で触る。
 今度は、先程と逆に、身体の中に挿入する部分や、敏感な場所を押さえつけておく部分が伸縮するのが分かる。

 つまり、このパッドは、偽の息子の反応を演者に伝える事と、演者の反応を偽の息子に伝える事が出来る仕組みのようだ。
 これでは下腹部の反応をチェックしても中身の性別が判別出来ない。

「く・・くそぉ・・そう言う事か。。」

 悔しそうに言う真一。
 そう言えばイベント中、男性であれば辛そうだが女性だと耐えられそうな衣装や場面がいくつかあった。
 だが、この装備をしていたとしたら女性であっても男性と同様に、下腹部への刺激を受け入れる事になる為、実際に装備して 演じている側はさぞ苦しかった事だろう。

 長い間こんな装備を身につけて着ぐるみに密閉されている彼女達。その中に1人だけ和志が混じっている。
 当然和志は、他の2人の装備についても理解しているはずだし、その上で3人のうちの1人を演じ続けている。

 汗1つ掻いていない着ぐるみ達。顔も爽やかな笑顔だ。
 エアコンが効いているとは言え決して涼しくなさそうな衣装を、その身体の上から身に纏い、真一に弄られるのを待っているのだ。見た目が華やかでもその裏側を想像すると堪らなく切なくなってくる。
 同じ部屋にいながら、明らかに一番開放的な立場にいるはずの真一が最大の孤独感を味わっているように思えた。
 その一方で、イベント時から装備していたパッドを外していない為目立つ事はないが、パッドの中の真一の息子はさきほどからずっと凄い事になっていた。

「絶対に正体を当ててやるさ!」

 自分にも言い聞かせるかのように強めの口調で言う真一。
 再びのぞみから順に調査を再開する。

 真一は持っている知識を総動員して手がかりを探ろうとする。まずは男女の差。股間のパッドは当てにならない事が分かっているので、そなると違いは胸だ。
 胸の刺激は、和志の場合息子で感じる事になるが、女性は股間のパッドと共に自分の胸でも感じる。その差が何処かに出てくるかもしれない。また反応がダイレクトに分かって、我慢が難しい呼吸についても同時に確認する事にした。つまり、胸への刺激に対する呼吸での判別が可能かも知れないと考えたのである。

 のぞみの前に座った真一は、さらに一歩近づいて、片方の手をジャケットの上かのぞみの胸へあて、もう片方の手をスカートの中にそっと滑り込ませる。


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