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女の子による抱きつき攻撃の上から、僕が指で直接固い物の上を弄った事により、由佳里の中の我慢は限界を超えてしまったようなのです。
ドクンドクンと激しく脈打つ感触の中で、みるみるうちに、指先の硬い物が萎えていくのが分かります。
また、呼吸が先ほどにも増して激しくもなっています。
女の子達の様子に変化がない所を見ると、出している時のドクンドクンと言う反応は、力を入れている訳ではないので瞬きには繋がっていない様子。
やはり人知れず出す事は可能な仕組みなんですね。
仕組みは知っていましたが、実際にこうして見せつけられてしまうと、実に羨ましい機能だと言えました。
それでも、女の子が抱き付いている間は、由佳里も呼吸も最小限にしている様子。
呼吸は抱きつかれると結構分かってしまうんです。
ですから、女の子が離れた瞬間の苦しそうな呼吸は、今までの僕が知る由佳里の呼吸の中でも最上級でした。
出した直後って、誰でも苦しいし呼吸も荒いはずなのに、女の子に抱きつかれているからじっと堪えていたんでしょう。
その後の苦しそうな呼吸は、本当にスカートの中で聞いていて、僕が興奮してしまう程の呼吸でした。
彼女たちが去っていった後、少しだけ深呼吸している由佳里でしたが、もちろん深呼吸したところで、入ってくる空気はスカートに溜まった濃密な蒸し風呂のような空気だけなんですけどね。
その場から少し移動した由佳里は、コンコンコンと頭を三度叩きます。
スカートから出ても大丈夫という合図です。
僕はようやくその地獄のような空間から出る事が許され、外に広がる新鮮な空気をめいっぱい吸う喜びを味わいます。それでも、すぐに横を見ると、可愛らしく立っている由佳里が目に入るんです。彼女はもちろんこの瞬間も、僕が当たり前のように感じて吸っている、この空調の効いた新鮮な空気を吸えません。
今でもきっと、あのスカートの中の空気を呼吸し、身体からの敏感な刺激に襲われ続けているはずなのです。
由佳里は僕を見て、両手を腰に当て、ちょっと怒ったような仕草をします。
「え? な・・・なんで怒ってるの? ・・・」
由佳里は自分の股間辺りを指さします。
「あ、さ・・・さっきの?」
凄くゆっくりハッキリと頷く由佳里。
「あれは・・・ほら、なんか反応が凄かったから、つい・・・」
すると由佳里は、僕に近づいて、目の前でしゃがみ、指先でつんつんと僕の股間のパッドを押してみます。
「ち・・・ちょっと何・・・何すんだよ」
由佳里は固くなっているのを確認すると、ウンウンと頷いて立ち上がり、頭を撫でてくれます。
「って、おい、何だって・・・」
ですが、僕の文句を無視するように、由佳里はすっと振り返ると、外に向かってツカツカと歩き出します。
まるで、あなたも固くなっているなら、許してあげる、と言わんばかりの態度です。
そりゃ、あんな空間で、あんな状況を知ったら、誰だって固くなりますよね。
僕は慌ててキャスター台を手に抱え、由佳里の後を追います。
自動ドアが開き、社員通用口から表に出ると、夜で涼しくなっているとは言え、夏の空気が纏わり付いて来ます。
ですが、由佳里は全く気にする様子もなく、ツカツカと車に向かっていきます。
車に到着すると、くるりと振り返り、僕に鍵を開けてと可愛らしくアピール。
「あーはいはい。分かりました分かりました。」
僕は慌てて鍵を取り出して、車のドアを開けます。
やはり夏場です。夜とは言ってもかなりムワっと熱気が襲ってきますが、由佳里は気にする様子もなく入り込んでいきます。
あれだけ厳重にいろんな物で封印されていると、実は外気が熱くなっても涼しくなっても、すぐに変化が訪れる事は少なく、徐々に暑さが伝わり、一旦蒸し風呂になると中々元には戻らないはずです。
そう言う意味ではドアを開けた直後の熱気を感じる事は無いはずなのですが、ただ、状況として蒸し風呂な事は理解しているはずですから、すぐに車内に入ればその後に熱気が篭もって大変な事になる事は想像出来るはずです。
僕はすぐにエンジンをかけ、エアコンを入れますが、大型のワゴン車を改造した車ですから、冷えるまでには少々時間がかかるはずです。
由佳里を追って更衣室側に移動すると、由佳里は鏡の前で軽くポーズを取って満足げにウンウンと頷いています。
その様子もホントに可愛いヒロインそのもの。ここまで来てもまだ、相変わらず可愛らしい由佳里として存在し続けている所が凄いのですが、ようやく、由佳里のドレスを脱がせてあげる事が出来ます。
「さぁ。じゃあドレスを脱がせるよー。いい?」
すると由佳里が、自らの首に手を回して、ネックレスを外し、僕の首に手を回して首にかけます。
「え?」
顔が急に近づいてドキドキしている僕に、満足そうに頷く由佳里。由佳里の着けていたネックレスはそれなりに重量感のある物で、コレが胸元を擦り続けていたと思うと、それも結構切ない感覚に襲われる気がしました。
次に、由佳里は可愛らしくお姫様のようにスカートの裾を両手でつまんで、お願いしますと会釈をします。
紆余曲折がありましたが、ようやく、本当にようやく、このドレスから由佳里が解放されるのです。
背中に回って背中の大きなリボンを外すのですが、随分しっかりとホックが噛み込んでいるようで、力を入れないと外せません。
ですが、ギュッと力を入れると、生地が引っ張られて胸が締め付けられている様子。
一瞬腕がぴくりと反応する辺り、裏側にしっかりその感触が伝わっている様子で、それはそれは羨ましい光景でした。
ですが、僕はこのリボンを外さないといけません。食い込んだホックが布を噛んでしまっていてかなり力を入れて、ぐぐっと食い込んだ場所を外すようにするのですが、明らかにドレスの生地が胸の締め付けを増し続けている様子。
爪で引っかけて力を入れたら、爪が引っかかりから外れ、弾けるんですね。
すると当然その振動もドレスの生地を伝わって胸に羨ましい振動を与えているんです。
可愛らしい由佳里の、魅力的な身体の中で、今、一体どんな事が起こっているのでしょうか。
ゲームのヒロインとして僕も憧れた由佳里。その由佳里に包まれる事を許され、目の前で、こんな美しいドレスが生み出す悩ましい快感を独り占めしているのが友達だと思うと、本当に見ているのが悔しかったです。
なんとか頑張ってホックを外し、リボンを外し終えると、爪の先がガタガタになるぐらい力がかかっていた様子。
ホックが弾けた回数も一度や二度ではありませんでしたので、それはそれは苦しい時間だったに違いないと思います。
次にドレスの背中のヒモです。
しっかり締め付けられたヒモを徐々に解いていくのですが、ドレスの隙間から漏れ出す熱気も相当な物。
湿気もかなりあってサテンの生地が肌と貼り付いている様子もよく分かります。
胸の後ろを締め付けていたヒモを緩めると、胸の圧力で、胸を包んでいたドレスが一気に緩みます。
その瞬間、身体がぴくりと反応するのを僕は見逃しませんでした。
さっき出したばかりのはずなのに、もう感じているのでしょうか? それとも、萎えた状態でもかなり感じてしまうのでしょうか?
真実は分かりませんが、少なくとも胸のはじける感覚が彼女の下半身の裏に、何らかの刺激を伝えているのは確かだと言えます。
ウエストもゆるみ、スカートの付け根ぐらいまで背中がパックリと割れました。
背中からはやはりヒモで固定された補正下着やブラも見えていますが、しっとりと濡れているのが分かります。
汗はかかない身体でも、湿気を放出しているので、それが籠もっているんです。
「頭の方から脱がせるけど、いい?」
僕の問いかけに由佳里はウンと頷くと、手を軽くバンザイします。
パニエを履いているので下には脱がせにくいのです。
僕はドレスの腰の辺りを持って、ガサゴソと持ち上げ、胸の辺りまで持ち上げたところで、胸がウエストの絞られた場所に引っかかってこれ以上持ち上げられなくなっている事に気づきます。
二人いれば、簡単なのですが、一人だとこの大量の布によって作られたドレスを取り回すのはかなり苦労するのですが、片方の手で胸に手を当てて、片胸ずつ生地をスライドさせるようにドレスのウエストの絞りをくぐらせていきます。
それにしても、片胸ずつウエストの絞りをくぐる瞬間の胸への圧力はかなり強い様子。
ぐいーーーっと潰された胸に合わせるように、身体がヒクヒクと何かに耐えるように震えるのが分かります。
呼吸の荒さ等はスカートに隠れて見えませんが、きっとかなり苦しそうな呼吸に変わっている事でしょう。
ですが、由佳里は優しく微笑み、柔らかくて素敵なシャンプーの香りをその髪の毛から漂わせ続けています。
本当にゲームから飛び出てきた憧れの女の子の可愛らしさを持っていて、その子が目の前で着替えをしているのです。
そして僕はその手伝いをしているのです。
人から見たら羨むような状況かも知れませんが、そんな人が羨む状況を消し去る程の羨ましい状況が、目の前には存在しているはずなのです。
全て、この由佳里という可愛らしい女の子の人形によって隠されていますが、その裏側は、由佳里からの甘くて切ない虐めを一日中受け続け、この可愛い由佳里を自在に動かし、僕らファンの心を弄びすらしている友達がいるんですよね。
ようやくその由佳里を、更に羨ましい世界に押し込めていたドレスを脱がせているのですが、この胸をドレスに通す作業をこなしている時も、その裏側を想像すると、中にいるはずの友達が羨ましくて仕方有りませんでした。
どんなに苦しくても、どんなに悩ましくても、顔色一つ変えずに笑顔を保ち続ける由佳里。その中にいると言う事は、絶えずその笑顔に見合った、由佳里として存在し続けなければ行けないと言う事。
自分の置かれた状況と、外側の状態とのギャップに、どんな思いで耐えているのでしょう。それを知るのは、由佳里の裏側にいる友達だけなんです。
由佳里の胸を、ようやくドレスのウエストの絞りの位置から救出し、ゆっくりと、長いスカートをたくし上げて由佳里をドレスから外に開放してあげます。
バッサリと頭からはがすようにしてドレスを脱がせると、ドレスのずっしりとした重みを感じじました。
かなり重量感とボリュームのあるドレスですから、これに包まれて何時間も過ごすのは、さぞや大変だった事でしょう。
ドレスを専用のハンガーにかけながら、ドレスの生地を触るとそのツヤツヤの表面と同様に、裏地もしっかりとツヤツヤで、この裏地が由佳里の皮膚を通して感触として伝わっていた事にも改めて嫉妬を覚えます。
また、しっとりと濡れた生地も、由佳里の過酷な裏を感じさせて、股間が熱くなってしまいます。
そして、僕がドレスを下ろしている間に、彼女は自分でロンググローブを外し、床に置いていました。
あのグローブも、彼女の腕や二の腕を通して締め付けやシワを伝えていたはずですから、実は相当に悩ましい物ではあるはずです。
由佳里は、それを気にする様子もなく、さっさとグローブを脱いでしまいます。
ここまで来たら後はパニエのヒモを解き、補整下着を外してあげるのですが、パニエは補整下着の穴にしっかりと固定されているので、ドレスを外した後でないと外せなかったので、ようやく外せるようになりました。
露出されたパニエを固定するヒモを解き、するすると巻き付いたヒモを解いていくと、その時も時折由佳里の身体はピクリぴくりと反応しています。
ウエストに巻き付くヒモをするすると解くと言う事は、当然ウエストのセンサーの上をするするとヒモが滑っているのです。
ウエストセンサーはそのまま中で固定されている羨ましいぐらいに固くなった物に伝わりますので、つまり固くなった物に巻き付いたヒモがシュルシュルと解かれている状態に等しいのです。
先程、外で放出して萎えていたはずですが、今までの状況を思い返すと、既に由佳里の中で、友達の物は固さを取り戻し、そのヒモの感覚を味わっている可能性は高いと思えました。
これを想像するだけでも悩ましい世界のはずなのですが、もちろん由佳里は時折ぴくぴくと反応するだけで、笑顔のまま静かにじっとたたずんでいます。
瞬きは自動モードのままなのか、自然です。
手の平がギュッと握られているのが、唯一、裏側を感じさせてくれますが、もちろん何も知らなければこの手の握りが何を意味しているのかも気づかない人が多いんです。
ヒモが外れると、パニエはその重みでハラリと床に落ちていきます。
パニエが床に落ちるのを確認した由佳里は、ウンウンと頷いて、床に落ちたパニエを跨いで、パニエの外に出て来ます。
そのついでに、綺麗な真っ白いヒールも脱いでしまいます。
「じゃあ、補整下着のヒモを外すよ?」
僕の問いかけに、ウンと頷く由佳里。もはや、タイツとパンティー、ブラ、そして補整下着のみの姿。ほぼ魅力的な身体のラインを全て露出させた状態と言っていい由佳里。
凄く可愛くて凄く魅力的なゲームのヒロインが、目の前で、ほぼ身体のラインを魅せる状態で存在しているのです。
これは男として興奮してしまう状態と言っていいはずです。
ですが、僕は、その感情と共に、この中に入っている友達に対する嫉妬とも言える感情がムクムクと沸いて来ていました。
この魅力的なヒロインの身体を、好きなように出来る唯一の人物が、他ならぬ僕の友達なんです。
男にとっては、触る事すら躊躇するような魅力的な女性の身体を、僕と同性でありながら自由に出来る立場なんです。
彼女がその気になれば、僕にいやらしい色仕掛けだってしてくるでしょうし、僕が求めても彼女が拒否すれば、僕は彼女に嫌われてしまうんです。
由佳里というヒロインは、実際は由佳里の意思ではなく、友達の意思でどうにでもなってしまう存在なのです。
これほど立場の差を見せつけられた瞬間は、過去にもそれほど多くはありませんでした。
そのぐらい由佳里は僕にとって魅力的なヒロインキャラクターなんです。
友達にお願いしたら、僕は由佳里と付き合う真似事が今後も出来るのでしょうか?
きっとそうはなりません。
いや、可能性はあるかも知れませんが、僕が決める事ではなく、由佳里が決める事でもなく、全ては友達の気持ちで決まる事。
由佳里を纏っていると言う特権によって、由佳里ではなく、由佳里を通した友達の意思によって、僕と彼女との関係が決まってしまうんです。
補整下着のヒモを外しながら、僕はずっとそんな事を考えていました。
補整下着のヒモがゆるみ始めると、最初に変化が現れるのは胸。
胸はかなり押し上げられる形になっていたので、それがゆっくりと垂れて自然な張りのある位置に戻ります。
もちろんそれでもボリュームはあるのですが、作られた形ではなく自然に大きな胸に戻ったと言えます。
まだブラに包まれているので締め付けが完全になくなったわけではないでしょうが、これで大分楽になった気はします。
そのまま腰のくびれの下辺りまでヒモを解いていくと、3センチぐらいはウエストサイズも戻ったんじゃないでしょうか。
そのぐらい締め付けられている状態だったのですが、この締め付けはつまり、中で固く固定された物にも伝わっていたはずなので、それも含めてかなり楽になっているはずです。
補整下着がハラリと外されると、由佳里はタイツを脱ぎ始めます。イベント会場ではじっくり見られませんでしたが、脱いでいるときのパツパツした音を聞くと、結構サポート力が強いタイプを履いていたのが分かります。
下半身もそれだけ締め付けられていたんですね。
何処までも何処までも、身体を締め付けるように補正して、元々美しかった由佳里のラインを更に魅力的なお人形のラインに作り替えていた、この悩ましい補正具や衣装の数々を脱いで、由佳里の中ではどんな気持ちなんでしょう。
それを考えただけでもグッと切ない気持ちになります。
下着とブラだけになった由佳里は、持ってきた私服を袋から出すと、テキパキと着始めます。
僕は脱ぎ散らかされた由佳里の補正具やパニエを集めて、カゴにしまうのですが、補正下着やタイツをしまうときは、その湿気にとても激しい嫉妬心を覚えます。
さっきまで、彼女が身につけていた補整下着やタイツ。
この布が何を由佳里に伝えていたんでしょう。それはきっと余りにも切ない世界。
由佳里を通して、由佳里を演じる物にだけ与えられる特権。
それを伝えていた布に対してまで、嫉妬心が芽生えてしまうのです。
僕が片付けている間に、由佳里は着替えを終わっているようで、僕がタイツを握ってゆっくりカゴに向かうときに、ニュッと先回りして下から覗き込むように僕を見上げてきました。
「わっ・・・もう着替えたのか?」
由佳里はウンウンと頷きます。
由佳里は可愛らしい真っ白いショートパンツと、鮮やかなピンクのタイツにスニーカー、そして薄いピンクのキャミソールという出で立ち。
このスタイルもまた、ゲームに出てくる私服として有名な物で、本当に可愛いんです。
思わずショートパンツに目がいくと、かなりしっかり股間にフィットしているのが分かります。
これで歩いたら、股間がムチムチとフィットして布が締め付けてさぞかし苦しいはずですが、見た目には健康的な女の子なんですよね。
わずか短時間、楽屋に戻るために着る服に、わざわざこんな苦しそうな衣装を選ぶ理由がよく分かりませんが、この衣装は彼女のトレードマークの一つなので僕が気にする話じゃないんですよね。
常に由佳里は由佳里なんです。
こうして、僕は、クリーニングする衣装類を全て抱え、着替えが終わった由佳里と共に、車を降ります。
一旦クリーニング品の入ったカゴ床に置き、車の戸締まりを確認して、クリーニング品を持とうと思ったところ、視界に不思議な物が入って来ました。
先ほど、もう一人の由佳里が乗っていたバンの後方に何かが置いてあるようなのです。
「ん? あれは?」
僕がそう言うと、由佳里も振り向きます。
僕ら二人はそっとその物体に近づくと、それはビニールシートに覆われている四角い物体のようでした。
そっとビニールシートを剥がして行くと、中からは、さっきイリュージョンで使っていた、例の箱が出て来たのです。
「こ・・・これって・・・さっき使ってた道具だよね?」
僕はつぶやくと、ゆっくりと頷きます。
どうやら、先ほどのスタッフはバンにこの道具類も乗せてきて、車から降ろした後に何処かに行ってしまったようなのです。
想像の範囲ですが、ここには箱が一台しか無い事を考えると、もしかすると一台ずつ運んでいる最中で、今ここにあるのは、輸送待ちの箱なのかもしれません。
それにしても、先ほどは六面全部が蓋をされていて中が見られなかったのですが、なんと、今回は箱の天板が開いています。
つい覗き込むと、箱の構造が次第に見えてきました。
この箱、50センチ四方の箱の中に、45センチ四方ぐらいの箱が入り込む構造をしている様子。
そして、その45センチ四方の箱は、50センチ四方の箱の四隅に付いたレールに固定されている様子でした。
この事から、中に入ってい箱は、四隅のレールを使って上下移動が出来る仕組みのようでした。
また、横の扉は細工がしてあり外から明けると、中の箱の扉も上手くカムフラージュして一緒に開き、中の箱が存在しないように見える仕組みでした。
この四隅のレールは、恐らく、上に乗る箱にも付いていて、何らかの動力でエレベータのように上下動するように見えます。
つまり、この箱は、内側の箱をレールによって上下に移動する機能があるのです。
ここでポイントなのは、この内側に見える箱。
上下に移動するとして、何でそんな事をする必要があるのか、と言う事です。
そこであのイリュージョンを思い出します。
すると、あの箱の扉の開け方。一つずつ開けていた事を思い出しました。そう。恐らく、何らかの理由で、この箱は、扉が開かれていない別の箱に移動しながら、巧妙に隠され続けていたのです。
何故そんな事をしたのでしょう?
答えはすぐにピンと来ました。
ここに隠れていたんです。そう。由佳里が。
片方の箱に、予め由佳里が入り隠れ、もう片方の箱は空の状態で、お客さんにアピール。
もう一人の由佳里が、空の箱に入り、消えたと同時に、最初から箱に隠れていた由佳里が登場したのです。
これなら確かに、消えたように見えます。
ですが、思い出した事があります。
この箱は、イリュージョンの開始の20分以上前に搬入され、イベントの終了後まであの庭にありました。
そして、その間、箱から誰かが出てくるようなチャンスは無かったのです。
そうです。
今、僕の横にいる由佳里は、イリュージョン開始の20分以上前、搬入される前の段階で、この箱に入り、隠れた状態で、あの野外でじっとその登場を待っていたのです。
そして、もう一人の由佳里は、イリュージョン中に、この箱に隠れ、それからイベントが終了するまでじっとこの箱の中で潜んでいたのです。
「もしかして・・・ここに隠れて??」
僕の質問にゆっくり頷く由佳里。
やはりビンゴでした。
いくら涼しくなっている夜とは言え、まだ夏の空気です。
その中で、こんな狭い箱に入り込んで、待機し続けていたのです。
「こ・・・呼吸出来ないんじゃ?」
僕の質問に、由佳里は、箱の中を指さします。
よく見ると、箱の床には直径十センチぐらいに、真っ黒くて丸い布が貼ってあります。
この布は、どうやらタイツ生地のようにストレッチする素材のようで、箱が、土台の床の上に置かれた状態である今、床に固定されているファンのケースが浮き出ています。
そして床下には、例のファンが回っていたのです。
てっきりあのファンは、中にある何らかの機材を冷却する空冷ファンだと思っていたのですが、実は、箱の中に空気を取り込むファンだったのです。
そして、由佳里は、手で箱の下のファンをカタカタと揺らします。確かに少し遊びがある取り付け方法だったのですが、そのファンをカタカタ揺らすと、この布は当然その振動も伝えています。
丁度、箱の中に対角に座り込んで膝を抱えるように丸まれば、由佳里の体型なら、確かにこの箱にはなんとか入れます。
そして、そうやって座ると、ちょうどその床にある10センチの布は、由佳里の呼吸口付近に存在することになるはずなのです。
ふと思い出したのは、あの時、イリュージョン後の箱を眺めていた僕を見て、由佳里が取った行動です。
由佳里は、このファンをカタカタ揺らして弄ってみたりしました。
その時、もし、この箱の中にもう一人の由佳里がいたのであれば、そして、この布の辺りに呼吸口があったのであれば、ファンのカタカタも、ずっと続いていたブーーンと言うかすかな振動も全て敏感な場所に伝わっていた可能性がある、と言うことになるのです。
ただ、それでもどうしても解せない疑問は残ります。
ホビー21の着ぐるみは、操演中の絶対的安全と、着ぐるみ演者自身の意思による操演の停止が会社により確保されています。
ですがこの箱に入った着ぐるみは、その間、完全に自由を奪われている事になります。
果たしてそんなことを会社が認めるというのでしょうか?
「あ・・・あのさ。えっと、この箱に隠れるとして、これ、自分で出て来れないとしたら、会社の規定違反になるんじゃないの?」
由佳里はウンウンと頷いています。まるで、そう来ると思った、と言わんばかりに、腕組みして大げさに頷いています。
そして、由佳里は、さらに箱の中を指差します。
その先には、何か小いさな箱が転がっていました。
「これ?」
由佳里はウンと頷くと、その小箱を手に取り、僕に見せてくれます。
小箱は、大きさとしては、チューインガムの箱ぐらいの小さな物で、落下防止のためなのか、指に引っかけるサイズぐらいのストラップが付いています。
そして、小箱の横にスライドスイッチがあり、由佳里はそのスイッチをスライドさせます。
ピピッ
ブーーーン
小さなシグナル音と共に、イリュージョン用の台座に付いているファンが稼働を始めます。
由佳里がスライドさせたのは、どうやらファンの稼働スイッチのリモコンのようでした。
そして、よく見ると、イリュージョン用の台座に付いているLEDが赤く点灯を開始しました。
その次に由佳里は、リモコンの正面に、3つ付いているボタンを僕に見せてくれました。
そのボタンは、押しボタンで、電卓のキーのようにプラスチックで小さい四角の物です。
上から順に色が付いていて、青、赤、黒です。
由佳里がそのうち青のボタンを押すと、台座のLEDが消灯します。
つまり、このLEDは、由佳里の持つリモコンの青いスイッチを押していると、消灯し、離すと点灯する仕組みのようでした。
次に由佳里は、リモコンの赤いボタンを押します。
すると今度はLEDが、一定リズムで消灯、点灯を繰り返し始めました。
僕は、その瞬間、これってもしかすると何かの危険を表すサインを表しているのかもしれないな、と、思いました。
「これ、何かのサイン?」
由佳里はウン、と頷きます。
「でも、サインを見逃されたらヤバイよね? 最終的には外の人に助けて貰わないと出られないんだろ?」
由佳里は、指を一本立てて、チッチッチ、甘い甘い、と言いたげなポーズを取ります。
そして、最後に残った黒いボタンを押します。これは1回ではなく、2回連続で押しているようでした。2回なのは誤動作防止のためでしょうか?
由佳里が2回連続で黒いボタンを押し終わった時、箱に異変が訪れます。
パタパタっ、と、丁度観客席からは見えない側の箱の蓋が、自動で開いたのです。
確かに、ここが開けば自力で箱から出る事はなんの問題もないはず。
最後の最後はこのボタンで、自力脱出が出来ると言う仕組みのようでした。
「な・・・なるほど。つまり、LEDで状態を表して、それを見てスタッフがなんとかするし、それでも駄目そうなら自力で出る、と?」
由佳里は可愛らしく、拍手しています。
その事実を知り、少しホッとした自分もいました。
着ぐるみが、自力で緊急時の対処を出来ないとしたら、それは完全に会社側の落ち度ですが、これだけ過酷そうな箱であっても、最後は自力で出てくる方法が用意されているのであれば、確かに安心出来ますので。
ただ、一方で、出てこようと思えばいつでも出てこれた、と言うシステムを搭載した箱の中で、何十分も由佳里はじっと待機していたと言う事実を知り、今日一日の中でも、最も激しい嫉妬と羨望を覚えてしまう自分がいました。
また、あの時の事を思い返します。
そう。由佳里は、箱のファンを弄り、恐らくは、その先にあるもう一人の由佳里の呼吸口付近を振動させていたんです。
箱の中の由佳里は、箱の中でリモコンの青ボタンを押し続けて、じっと待機していたのでしょう。何もして無くてもブーーンと軽く振動していた事を考えると、本当にその先が呼吸口付近であれば、それだけで、相当に気持ち良くなってしまいそうな状況です。
そんな時、由佳里の指先によって、何らかの変化が発生し、指でボタンを押さえる力が弱まり、ホンの一瞬、指がボタンから離れた。
だから、あの時一瞬だけランプが光ったんでしょう。
由佳里は直ぐに指先を止めたので、箱の中の由佳里は、気を取り直し再びリモコンのボタンを押した。
ずっと監視していたスタッフは、恐らくこのランプの異変をチェックしている人で、このランプがずっと点灯し続けるか、点灯消灯を繰り返す赤ボタンを押されたときには、何らかの対応をする。
そして、その対応も間に合わないほどの危険な状態であれば、黒いボタンで由佳里が自ら脱出する、と言う手順だったのでしよう。
だとしたら、あの時、箱を弄り、ランプを確認し、愛おしそうに箱を撫でて離れていった、今、僕の真横にいる由佳里は、いったいどんな気持ちで箱を撫でていたと言うのでしょう。
自分も直前まで密閉され、じっと耐えていた箱の中で、全く同じ身体を持ったもう一人の由佳里が苦しんでいるかもしれない箱を、優しく撫でていたあの時の気持ちは、さぞかし切なかったに違いありません。
心の中で、頑張ってね、って声をかけていたのかも知れません。ツライよね、って同情していたのかも知れません。
けれど、もしかすると、箱の中に思いを馳せ、じっと耐えているもう一人の由佳里を、羨ましいと思っていたかも知れません。
いずれにしても、その気持ちは、由佳里本人にしか分りませんが、あの時、由佳里は、箱の、ほんの十センチ内側にいるであろうもう一人の由佳里を愛おしそうに箱の上から撫でていたんです。
僕に、この中に秘密があるというアピールだったのかも知れないですが、それにしても、由佳里の、いや、由佳里の中にいる友達の気持ちを想像すると、本当に、そんな由佳里の中にいる友達二人が羨ましくて悔しくて仕方がありませんでした。
僕が眺めていた箱の中で、あの時の由佳里は、どんな思いでじっと息を潜めて耐えていたのでしょう?
いざとなれば、いつでも脱出できるスイッチを持ちながら、最後まで箱の中に留まり続けた由佳里は、どんな気持ちでその箱の中にいたのでしょう?
そして、僕の横にいる由佳里は、そんな感情を僕よりもリアルに知りながら、箱の外から愛おしそうに箱を撫でていました。
そもそも、チャイナドレスの由佳里ですら、箱の中にいるのは窮屈そうなのに、更にボリュームのあるドレス姿の由佳里も、同じような箱に入り込んでいたと言う事実も、また、その苦しさを想像出来ます。
ドレスという豪華な布に埋まるようにして箱の中に詰め込まれ、本当に外界が恋しかったかも知れません。
ホビー21の着ぐるみは、例えウエットスーツを着ていても窒息しない皮膚呼吸の仕組みがありますから、そんな状態でも中の人が酸欠に陥ることはないはずです。
顔だけでも露出していれば、苦しくてもなんとか皮膚を通して息は出来るのです。
ドレスに埋もれているとは言え、密閉されている訳ではない箱の中であれば、相当に苦しいとしても、意識は保てていたはず。
そんな状況で箱の中でじっと我慢を続けていたんですね。
あの瞬間の、箱を撫でる由佳里の気持ちは、本当に何とも言えない、裏側の気持ちを含んでいた気がするんです。
それがどんな気持ちだったのかは、もちろん僕が知ることは出来ませんが、そんな気持ちを抱きながら、箱を撫でている由佳里の中にいた友達が、本当に、本当に、羨ましくて仕方がありませんでした。
呆然と立ちつくす僕に、由佳里は、トントンと肩を叩いて、ウンウンと腕組みして頷きます。
分るよ、分る、と慰めてくれているようですが、その態度すら悔しいんです。
そして、その目は頷きに合わせてパチパチと閉じていました。
あれだけ苦しそうだった状況からやっと開放されたのに、またいつの間にか手動モードに切り替えているんです。
こんなに可愛くて憧れるヒロインである由佳里が、その中にいる友達にだけ与える世界。
それがどれ程羨ましい世界であっても、僕ら、外にいる人間には知ることは出来ず、一方で由佳里の中に入れる立場である友達二人は、当たり前のようにその世界に身を置き続けている。
この、あまりにも圧倒的な差が、今の僕と、由佳里の中にいる友達との差なんです。
少なくとも、僕と、その横にいる由佳里の距離は、たったの1メートルもあるかないか分らないぐらいの近距離。
それなのに、由佳里とその中との距離は、1メートルどころか、今の僕には、月と地球との距離ぐらい遠く感じます。
そこは選ばれた人だけが行くことの出来る、夢の空間。
そして僕は、選ばれかけて落選した人。
それだけに、余計にその距離感が悔しいのです。
何も言えずにいる僕に、由佳里はよしよし、と頭を撫でてくれて、最後に、いつの間にか書いてあったメモを僕に手渡し、ウインクを一つ残して、颯爽とその場を立ち去って行きました。
そして僕の手元に残されたメモには、この箱のヒントが書かれていました。
さっき後で教えると言ってたヒントとはこの事だったようです。
もちろん、このヒントは、僕がこの箱をここで見つけるとは知らずに書かれていたのでしょう。
そう言う意味では、今既に僕が想像する正解の方が、真実に近い気がします。
ですが、このヒントは、殆ど僕の想像する正解を裏付ける内容でしたから、その点でも、真実を確信する事になりました。
そして最後に。
「私のスカートの中、素敵だったでしょ? 今日ずっと私がいた場所だよ? 私の瞬き、可愛かったでしょ? 瞬きの度に、とってもエッチな感覚になってたんだよ? きっと羨ましいんだろうなぁって思ってたけど、だから余計にあなたに見て欲しかったの。あなたに知って欲しかったの。瞬きの度にあなたの表情がとっても羨ましそうに、恨めしそうになってるから、私も凄く興奮しちゃった。そして、凄く悔しかったと思うけど、もうちょっとだから頑張って、早くあなたもこっちに来て、素敵な世界で一緒に気持ち良く苦しみましょう!」
と書かれていました。
一緒に気持ち良く苦しみましょう。
その一言が全てを物語っています。
ただ息苦しいだけの世界なんて、多分誰も望みません。ただ暑苦しいだけ、締め付けが苦しいだけの世界なんて僕は絶対に嫌です。
ですが、それが由佳里の中なら全く異なる気がするんです。
あの素敵な女の子に全身を覆われて、何重にも衣装という名の、女の子が着る布を身につけて、外がずっとずっと遠くなって行く中で、衣装と身体の産み出す快感地獄に耐えながら、息苦しさと、蒸し暑さと、動きにくい程の締め付けに耐え、そんな中で可愛い女の子として存在し、周りの人間の気持ちを翻弄する事は、病みつきになるぐらい興奮する事にしか思えないんです。
由佳里の中でなら、あの箱に、みんなが驚く程の長時間留まって、みんながビックリしている姿を楽しんでみたい。
そう思っても全く不思議ではありません。
事実僕は、30分以上あの箱に放置されていた由佳里が羨ましくて仕方がないですし、それを見てさっきの由佳里は僕を慰めていました。
由佳里は僕の気持ちを理解していたからこそ、ああやって慰めていたんです。
由佳里の中から僕を見ながら、友達はどんな気持ちだったんでしょうね。
スタスタと歩いていく由佳里は、歩いて通用口に消える前、くるりと振り向いて、可愛らしくウインクを一つして、バイバイと手を振って行きました。
あのウインク、何度も見ました。
その度に凄く羨ましくなりました。
あんなに羨ましいウインクは、世の中に多分存在しません。
そのぐらい羨ましいウインクでした。
そんなウインクをさせながら、由佳里の中から僕を見ていた友達は、僕が嫉妬している事にも羨んでいる事にも気付いていたんですね。
どんな気持ちで僕を見つめながらウインクしていたのか、それを思うととても切なくなってしまいます。
その可愛らしさと、裏に存在するはずの世界のギャップを考えると、このウインクやバイバイですら相当に悩ましいはずなのに、由佳里は、最後まで由佳里で有り続けました。
あれだけ完璧に由佳里であれば、確かにゲームファンは惚れるでしょう。
そのぐらい見事に由佳里だったのです。
こうして、この日の僕の仕事が終わります。
僕は最終的に衣装をクリーニングに持って行く為にカゴを抱え、通用口を入り、通路の分かれ道まで行きます。
ここから先、分かれ道の向こうは、着ぐるみ以外は入る事の出来ないエリア。
関係者ですらこの通路は通らず、別の複雑なルートで行くのです。
先ほどはスカートの中に潜って通路の向こう側に行ったはずですが、今はもちろん通路を眺める事しかできません。
カゴの中に入った衣装を眺めると、つい思い返します。この布にくるまり、開始から今まで、何時間もの間、由佳里になっていた友達と、その友達に、最後の最後まで嫉妬し続けている自分を。
僕は、衣装をクリーニングに出し、トイレに行き、パッドを外し、その後10分余りトイレに篭もったのは内緒です。
トイレから出ると、専用のクリーンケースにパッドを入れて、これもクリーニングに出し、代わりに新品パッドを受け取る事も忘れません。
明日以降もこのイベントは続き、明日以降もイベントが終了する日程まで、毎日、僕は由佳里をサポートしなければいけないのです。
つまり、明日以降も毎日、こんな羨ましい光景を目の当たりにし続けなければならないのです。
唯一の救いは、今回のイリュージョンは、明日以降は開催されないと言うこと。
事実を知った後、イリュージョンを見たら、きっと今日以上に辛くなるはずですから。
この日、色々あって、最後に関係者口を出たのは、由佳里と別れてから1時間は経っていました。
帰りに守衛さんに聞いてみたのですが、この日、まだ北野も加藤君も出て来ていないそうです。
二人は今、何処で何をしているのでしょう?
もしかして、まだ二人は二人ではなく由佳里の中にいるのかもしれません。
明日があるのですから少なくとも明日担当の人間は、早く帰って体力を蓄える必要はある気がするんですけどね。
ただ、僕が由佳里に入れる立場であるなら、今頃はきっと個室で、自分だけの由佳里を楽しんでいる気がします。
なにしろ、彼らにとっても由佳里は憧れの女の子だったはずなのですから。
そしてそんな女の子を本当に一人で自由に出来る時間のはずなのですから。
そこに、僕の知らない由佳里がいるはずですが、友達二人はその由佳里を知っている。
その現実に、再び羨ましさを覚えながら、僕は、また股間が熱くならないうちに、家路につきました。
-おしまい-
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