由佳里のバースデー(1話) [戻る]
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 こんにちは。僕の名前は、成田行夫。
 今日は、ちょっと面白い、ホビー21と言う超大型ホビーショップでのお仕事についてお話しします。
 これまでも、僕は、ホビー21でのお仕事を続けてきました。
 昨年の九月頃、アヤメちゃんと言うマスコットキャラクターと共に梨狩りに行ったバスツアーのサポート担当だったり、その後も色々、イベントがあるとサポートスタッフとして仕事をしています。
 そして、今回はまた違ったイベントに借り出されました。
 実は最近、流行している恋愛シミュレーションゲームがありまして、そのゲームを作った制作会社からの依頼で、ホビー21に登場するヒロインの着ぐるみを作って欲しいと言う話しになったんです。
 販促活動としてその着ぐるみを使いたい、と言うことで、ホビー21の全面的な協力によって、かつて無い程にリアルで可愛らしく、自分の意思で動くフィギュア、としての着ぐるみが登場する事となりました。
 ゲームには由佳里、絵里子、沙耶、ステイシー、千代、の全部で五人のヒロインが登場し、それぞれのキャラクターが着ぐるみとして存在していて、各キャラクター達のファン向けにイベントが開催されています。
 そんな中で、今回、由佳里と言うキャラクターの誕生日が近いと言う事で、ゲーム中でも登場するバースデーパーティーを再現する形で、イベントを行うことになりました。
 由佳里ルートのハッピーエンドは、最後に盛大なバースデーパーティーで終わるんですが、このシーンがとても印象的で、由佳里のファンはみんながここをベストシーンに挙げています。
 実は、僕もこのゲームが好きで、最近はかなりやり込んでます。
 全員一通り攻略したのですが、その中でも僕がお気に入りなのは、今回イベントに出てくる由佳里。
 元々、由佳里はお金持ちの家に生まれたお嬢様で、ちょっと生意気そうな見た目から、学校では、自分が妬まれていると思っているんです。
 所が、主人公の男の子が、その誤解を解きほぐし、クラスのみんなが実は由佳里と仲良くしたかっている事を教えてあげるのです。
 次第に主人公に心を開くようになった由佳里は、その見た目の生意気そうな雰囲気とは裏腹に、実は凄く言動が可愛くて、いつの間にかクラスでも人気者になります。
 そして、最後はバースデーパーティー。
 誰も来てくれないと思っていたバースデーパーティーに、クラスのみんなが参加して自分をお祝いしてくれて、感動してしまうと言う名シーン。
 このシーンが見たくて、僕は何度もプレイしてしまってます。
 セーブしてエンディングの直前からやり直したこともあるんですが、やはり、クラスのみんなが徐々に由佳里にうち解けていく過程が凄く暖かくて、結局最初からプレイし直してたりするぐらい好きなキャラクターとシナリオでした。
 僕は今回のバースデーパーティーイベントでは裏方の着ぐるみ世話係。つまり、由佳里の世話をする係なんです。
 元々僕はホビー21内の役者養成チームにいて、着ぐるみに入る役者を目指していたのですが、残念ながら着ぐるみの中で襲ってくる快感と息苦しさ、そして蒸し風呂のような世界の中で、女の子の演技を維持し続けることが難しく、一旦は断念してしまいました。
 おっと。
 ここでちょっと説明しますね。
 ホビー21の着ぐるみは、その特殊性から、中に入って演技出来る人が限られてしまうんです。
 着ぐるみの構造を、ご存じない方もいらっしゃると思いますので簡単に説明しますね。

 まず見た目についてです。
 全身をラバーに似た特殊な素材によって形成されています。
 この身体は見た目上、繋ぎ目やファスナー、隙間が殆ど無く、全身一体形成となっているんですす。
 全身一体形成なので、一般的なキャラクターショーの着ぐるみのように、顔が取れる事もなく、首の付け根に隙間等もなく、もちろん顔そのものにスリットや隙間はありません。
 体型はそのキャラクターの設定を忠実に再現して、ゲームの中のヒロインの設定通り、見事なスタイルを作り出します。
 そうやって作られた着ぐるみの中に、どうやって人が入るのか?
 その方法について説明しますね。
 着ぐるみは二層の身体によって作られています。
 一層目は、役者さんが直接中に入るスーツ。
 素材の手触りはウエットスーツのような物ですが、実際は特殊な素材を使っています。
 どう特殊なのかは後で説明しますね。
 形状は全身タイツ。
 ですので、背中のファスナーから出入りして、頭の先から足の先まですっぽりと中に入る人を覆います。
 このスーツには視界の部分にマジックミラーのような構造のクリアパーツを使っていますので、中の人はここから視界を確保します。
 ただ、顔に隙間はなく、このままでは呼吸が出来ませんよね。
 そこで、このスーツでは、顔の口元付近から無数の細いチューブを全身に這わせるようにスーツの中に埋め込んでいて、このチューブが最終的に股間部分に開けられたメッシュ状の吸気口へと導かれています。
 中の人は、このチューブを通して、股間から口元に導かれた空気を呼吸に使うことになります。
 また、先程書いた、スーツの特殊な素材についてですが、スーツは放熱、放湿と言った特殊な機能を持っています。
 これは、中の人の汗や熱をスーツ外に排出する機能で、この機能のおかげで、中の人はゴムのような素材で全身を覆っていても長時間操演することが可能になります。
 その他の機能として、体型を補正して、そのキャラクターが要求する外見に、中の人の体型を合わせる機能があります。
 これは細胞補正と言い、中の人間の、体脂肪、筋肉、骨密度等を計算し、その部分部分に的確な、特別な電磁波を放射する事で、狙った部分の細胞のサイズを、見た目上、最大で3割ぐらい縮ませる事が可能になっています。
 見た目が縮むだけで、機能は全く損なわないので、中の人間が健康に害を受ける事はありません。
 また、いろいろな計算によって厳密に素材が調整されている為、スーツそのものが中の人の専用品になるので、俳優さんの都合が悪い時に代役を立てて、他の人が中に入る、と言った事は出来ないようになっています。
 また、非常に問題なのは、これらの機能を有効に働かせるには、中の人がある条件を満たす必要があるのです。
 その条件とは、性的に興奮状態で有ること。
 つまり、中の人は着ぐるみのスーツの中で、絶えず気持ち良くなっている必要があるのです。
 その為、中の人には、そう言う快感に嫌悪せずにいられる可能性が高い男性が選ばれることが多くなります。
 男性のシンボルの膨らみも、細胞補正の機能によって、全く目立たなくなるので、着ぐるみの中に入っている人が、男性か女性か、を着ぐるみの外から見分けることは、事実上不可能と言えます。
 また、細胞を補正する段階で、キャラクターとして必要なスタイルになるように体型が変化するので、男女の骨格差も、見た目で判断する事は出来ないと言えます。
 こうして、中の人の性別や体型を殆ど無視して、可愛い女の子の見た目を作る事が出来るのですが、条件としての性的な興奮を維持する為、着ぐるみにはそれらをサポートする機能も備わっています。
 男性演者が入るケースで説明すると、中に入る男性は、一層目のスーツの股間部分に開けられた穴に、自らのシンボルを挿入します。
 すると、そのシンボルは上向きに固定され、最終的には細胞補正により膨らみは外からは全く目立たなくなります(但し、外からじっくり触れれば、ここにコリコリした物が有ることは分ります)。
 この穴に固定されたシンボルは、穴の中に装備された人工筋肉繊維によって産み出される伸縮や振動、擦れを感じ、興奮状態を維持させられることになります。
 この穴に装備された人工筋肉繊維は、ミクロン単位の動作を行う非常に繊細な物なので、とても微妙な動きも可能になっています。
 そして、この人工筋肉繊維は、ただ機械的に振動や擦れの感覚を産み出すのではなく、着ぐるみの外観と連動して稼働します。
 ここで登場するのが、着ぐるみの二層目になるスーツ。
 これが着ぐるみの外観(見た目)となります。
 出入り口はお尻の割れ目。
 ここは大きく伸縮する素材によって、頭から被るように潜り、両手、身体を入り込ませ、腰まで穿いたら、今度は両足をぐいっと引っ張って足を穿き、最後に出入り口をお尻の割れ目に食い込ませることで、外からは全く出入り口が見えなくなります。
 一層目のスーツの股間にある、メッシュで出来た呼吸口の上に、二層目のスーツにも同様のメッシュになった部分があり、これによって空気の取り込みが可能になります。
 そして、頭の上には一層目のスーツとの接点としてのハーネスがあり、ここを接続することで、一層目と二層目のスーツが協調して機能を発揮します。
 では、どのように協調するのでしょう。
 ここで説明するのが、股間にある人工筋肉繊維の稼働の仕組みです。
 二層目のスーツには、身体の表面の各所に温度、振動、触覚センサーが埋められ、そのセンサーの信号を頭部に隠されたコンピュータが解析し、人工筋肉繊維に伝えて稼働します。  このセンサーは、着ぐるみの表面が持つ放熱の機能も利用しています。
 放熱した熱線の一部が衣類に反射して身体側に跳ね返る(熱が篭もる)ことで、衣類の細かい形状までセンサーが読み取れるようになっています。
 もう少し具体的にセンサーの機能を説明すると、女の子型着ぐるみの外見で言うと、胸、股間、ウエスト、首、二の腕、腕、太もも、ふくらはぎ、足首、手首、と言った要所に、センサーがあり、各部の動きに合わせてセンサーが信号を伝達します。
 例えば、胸が揺れれば、人口筋肉繊維は、その揺れを男性のシンボルに伝え、胸がブラや衣装で締め付けられれば、その締め付けを伝えます。
 伝わるのは単に圧力だけではなく、ミクロン単位で稼働する繊維の性質によって、その素材感までも伝えてきますので、シルクのブラと、綿のブラでは締め付けられたときの感触が変わってきます。
 また、衣装の形状を読み取れる為、衣類のシワなどの動きも細かく伝達しますので、身体を動かすことで出来るシワや、風などによって衣類がはためく時に出来るシワも、その一本一本を丁寧に中の人のシンボルに伝えてきます。
 サテン素材のレオタードなどを着て動き回った場合、そのレオタードのシワが、まるで絵筆でなぞられるような刺激となって伝わってきます。
 そんな快感に襲われながらも、可愛い女の子でいなきゃならないんです。
 苦しそうですよね?
 もちろん胸だけではなく、股間の食い込み、ウエストの締め付け等々も同様で、更に手や足にも備わっているセンサーのおかげで、ブーツやタイツ、ロンググローブなどのタイトな衣装についてもかなり嫌らしい刺激へと変換されるようになっています。
 これだけの快感が与えられていては、中の人は、割と直ぐに果ててしまう可能性があるので、スーツの内蔵コンピュータは、中の人の呼吸や脈拍、シンボルの状態を監視し、イキそうな時は感度を低下させ、落ち着いたらまた感度を上げる動作によって、絶えずイク寸前の、固くて、一番気持のいい状態を維持するようになっています。
 但し、それでも気持ちよさが上回り、快感の制御より早く限界に達して、中の人が出した場合でも、中には吸収帯があり、そこに放出した物が吸収されていくため、液漏れ等は起こりません。
 また、実際の女性が気持の良くなる行為、とコンピュータが判断した場合、感度の制御は行われなくなり、そのまま果てやすくなります。
 つまり性的な行為が行われている場合には、着ぐるみの演技にリアリティーが出るように、快感を制御せずそのまま中に伝え続けるんですね。
 果てた場合、着ぐるみの機能が低下する前に回復する必要がありますが、その時間は、最大30分以内が目安です。
 その時間内に回復すれば、継続して着ぐるみが機能を発揮し続けます。
 ですから、時間内に回復が出来る範囲で、中の人は何度も出すことが出来ます。
 自分の限界となる回数と相談しながら、数時間着ぐるみを着ながら、その中で何度かは果てることになるでしょうね。
 但し、そうやって果てている時も、中の人は、外で見ている人に、果てていることを悟られないようにしないといけません。
 着ぐるみの見た目は常に、そのキャラクターとして不自然でないようにする必要があるのです。
 中の人が、どんなに気持ちがよくなっていても、目の前にいる人たちに、そのことを悟られること無く、可愛らしい女の子の着ぐるみとして存在しなければいけないのですから、着ぐるみの中は、想像を絶する程気持ちよくて苦しい状態が続くことになります。
 股間から呼吸していることについても、一つ説明しましょうか。
 衣装で覆われることで呼吸はかなり苦しくなりますが、コンピュータ制御により、生命維持に必要な最低限の酸素は常に供給されます。
 股間だけでは足りない空気は、スーツの持つ、放熱や放湿の機能を応用して、空気を皮膚から取り込んで、全身に這わせたチューブに溶け込ませて、中に伝えます。
 その為、股間が完全に塞がっていても、呼吸は可能です。
 但し、あくまでも生命維持に必要な最低限の酸素が供給されるだけなので、中の人は絶えず息苦しさを感じることになります。
 ゴム製のパンツでも穿かない限り、実際は大部分の空気を股間からの空気に頼る事になるので、役者さんは絶えず苦しい時間を過ごしているんです。
 スカートは、呼気が籠もりやすい長いものよりも、短いスカートの方が楽なんですが、役者さんの多くは、見た目がエレガントな長いスカートを好むみたいです。

 役者さんは、こう言う過酷な着ぐるみの中で、何時間もそのキャラクターを演じます。
 簡単に脱ぎ着が出来る構造ではないので、休憩込みで数時間の繰演なら、普通は着ぐるみに入ったまま、その数時間を過ごす事になります。
 僕はどうしても、着ぐるみの中にいる時に襲ってくる気持ちよさに耐えられず、役から自分に戻ってしまうことが目立つ為、なかなか役者への道は開けないんです。
 ですが、いつかまた着ぐるみの中で役者をやるチャンスを得たいと、こうして裏方として頑張って、時々研修生のテストを受けたりしているんです。
 研修生のテストについても、誰でも受けられる訳ではなく、ホビー21の着ぐるみ担当の偉い人達が人選した、恐らく着ぐるみに入る耐性があり、かつ秘密を漏らすことのない人物、を対象に、行われます。
 ですが、当然全ての人が研修を受けたからと言って着ぐるみに入れるわけではなく、あくまでもその中で色んなテストにパスした優秀な人材だけが、着ぐるみの中に入って操演を出来る事になります。
 研修の先生や、一足先に着ぐるみの中に入る立場になった、友達の北野や、後輩の加藤君も、僕の進歩を見て、もうちょっとだから頑張ろうって言ってくれるのは励みになりますよね。
 北野や加藤君は、良く一緒に遊ぶ友達ですし、今回のゲームの話でも何回も盛り上がってました。
 でも、彼ら二人は既に着ぐるみに入る役者さんであり、僕の今回の仕事は、そう言う彼らのような役者さんが入っている着ぐるみを、表からサポートする役です。
 イベントでのエスコートなどの他、万が一にも着ぐるみが困っている時の手助けをするのです。
 今日のイベントは、先程説明したように、由佳里のバースデーパーティーを再現し、ファン達にはその招待客としてイベントに参加して貰い、途中で由佳里との交流を計る感じになります。
 バースデーパーティーは、2部構成になっていて、室内でのパーティーと、途中の休憩を挟んでの野外でのパーティーとに別れます。
 室内パーティーでは、お金持ちの由佳里の家を再現したセットの中で、まるで結婚式の披露宴のように、みんなで食事を楽しみながら、出し物等の余興も楽しみます。
 野外では、由佳里の家の庭を再現したガーデンパーティー。うち解けたお客さん達の交流を計るためと、自由に移動できる事で、より由佳里に近づく機会を儲けて、お客さん達を楽しませるように、立食形式になっています。
 このイベントは、夏休み期間中の8月1日から15日まで、毎日開催されています。
 パーティーは休憩を含めてトータル4時間半。15時開始で19時30分終了なので、野外のパーティーは夕方からと言う時間設定。
 これは真夏のイベントと言うことで、お客さん達の事を考慮しての時間設定なのですが、もちろん着ぐるみの操演時間を延ばす為でもあります。
 開催場所は結婚式場を借り切って、その披露宴用の部屋と、野外パーティー用の庭を利用します。
 この日の僕らは13時30分ぐらいにホビー21を出発。チームのみんなでホビー21の車で移動するのですが、着ぐるみは操演時間の関係で、ギリギリまでホビー21にいる為、後から別のスタッフとやって来ることになっています。
 移動中、高速道路を十分ぐらい走るのですが、僕らの乗ったライトバンの後ろに、ピッタリとくっついて来た車がありました。
 チームメンバーのドライバーが直ぐに道を譲ると、凄い勢いで加速して視界から消えていきます。
 一瞬の後ろ姿を見ると、それは紛れもなく、日本が世界に誇る、恐らく世界最速の量産車、日産GTRでした。
 ノーマルのGTRと見間違いそうですが、リアのマフラーやからするとスペックVである可能性は高そうで、その加速たるや、見ているこっちが恐怖しそうな、正に瞬間移動と言う圧倒的な加速で視界から消えて行きました。
 僕らチームは後からやってくるメンバーも含めて四人で、他に会場側のスタッフも十人ぐらいいるチーム。
 この日は14時過ぎぐらいに楽屋に入ると、僕は一応用意された衣装としてのタキシードに身を包みます。スタッフといえど一応その場に合わせて正装ですね。
 あ、そうそう。着ぐるみの裏事情を知っているスタッフは、実は僕一人なのですが、事情を知っている関係もあり、僕は股間パッドを付けています。
 このパッドは快感機能も体型の補正機能もないですが、股間の膨らみをある程度目立たなくしてくれる為、僕が息子を大きくしちゃっても、お客さん達に悟られることはありません。
 この装備無しに着ぐるみに接していたら、確実に興奮がバレるので、僕はいつもこのパッドを付けて仕事をしています。
 そのぐらいホビー21の着ぐるみ達を間近で見るのは、事情が分っている人にとっては興奮を誘うツライ物なのです。
 もちろん、一番興奮して苦しんでいるのは、その着ぐるみに入っている役者なんですが。
 14時20分。
 ホビー21の専用車に乗って会場に到着する由佳里。
 僕は先に会場入りして色々調整していたので、由佳里は別のスタッフと共に到着しました。
 14時20分。
 ホビー21の専用車に乗って会場に到着する由佳里。
 僕は先に会場入りして色々調整していたので、由佳里は別のスタッフと共に到着しました。
 ちなみに帰りは僕がホビー21までエスコートする予定なんですけどね。
 まだこの段階では、由佳里の服装はラフな私服です。
 ミニスカートとTシャツにオーバーニーソックスと、かなり可愛らしい姿で、裏口から入場してきます。
 実はこの姿は由佳里の私服という設定なんです。
 由佳里は、僕を見つけると可愛らしくペコリとお辞儀をします。
 そして、目をパチパチと瞬きしている事に気付きます。
 ホビー21製の着ぐるみの中には、いつくか、瞬きをする着ぐるみがいます。
 その瞬きの仕組みは、通常時はコンピュータが自動的に、ある程度ランダムに瞬きをさせているのですが、実は、中の人の意思で、瞬きを止めたり、瞬きを早めたり、目を瞑ったり、ウインクしたり、と言った行為が可能になっています。
 中の人の意思。
 それは中の人の固くなった物を、ヒクヒクと中で動かす事によって瞬きを制御するコンピュータに、どう動かすかを伝えるんです。
 固くなった物を、マウスで言うトリプルクリックのように、ヒクヒクヒクと3回連続で動かすと、中の人にスイッチが入ったことを知らせるブーンと言う、独特の振動が股間のパッドに伝わります。
 この瞬間から瞬きが自動モードから手動モードと言うモードに切り替わります。
 これだけでも気持ちいいらしいのですが、その状態から、ヒクッと動かすと、そのヒクッと動くスピードで瞬きを繰り返すんですね。
 更にぐっと力を入れっぱなしにすると、その間は目を瞑りますし、連続3回ヒクヒクヒクッと動かすと、右目のウインク、四回動かすと左目のウインク、と言うような動作をするんです。
 起動や、ウインクに、最低3回反応させると言うのは、普段から快感に晒されている物は、実は絶えず見えない所でヒクヒクと反応を繰り返しているらしく、2回連続だと、中の人の意思に反して反応してしまうことが多いからだそうです。
 要するに、ちょっとしたことでも、つい中の人は、ヒクヒクっと2回連続ぐらいは反応してしまうってことでしょう。
 昔は、普段の瞬きも中の人が動かしていたらしいのですが、それだと余りにも苦しいと言う事で、長時間繰演に対応した今の仕組みが採用されています。
 20秒以上反応を我慢すると、再びブーンと言う振動が来て、自動制御モードに戻るんだそうですが、この20秒以上、中で固くなっている物を反応させない、と言うも実は結構苦しいらしいです。
 何しろ、その20秒の間も、絶えず身体全体からの刺激を受け続けている訳ですから。
 自動モードに移行させるための20秒間を、中の人達は、地獄の20秒感、と言うらしいです。
 でも、この方式のおかげで、例えば気持ちよさから果ててしまって萎えた場合でも、反応が無くなることで自動モードが切り替わり、瞬きが長時間途切れることは無くなるんですね。
 もちろん出している時のドクドクと言う反応は、中の人がヒクヒク反応させているのとは異なる反応なので、瞼の動きには反応しませんから、外から出している事は分からないようになっています。
 そんな機能をこの由佳里は装備しているんですね。
 今は自動モードで瞬きしているようですが、その瞬きが加わることで、より一層可愛らしく見えます。
 僕は既に由佳里を見て、その可愛らしい容姿と、全く異なって存在しているであろう裏側に嫉妬と興奮を覚えています。
 由佳里は、金髪でミドルヘアのツインテールな女の子。瞳は清んだ赤で、ちょっと小生意気な雰囲気もあるけど、実は可愛らしいのが売りの女の子。
 スタイルはゲームのヒロイン5人の中では最も良く、身160センチ、胸は95センチ、ウエストは56センチ、ヒップが90センチ。最もモデル体型をしてます。
 そしてこの中に入っているのが、僕の同期で、僕よりずっと先に役者になってしまった北野と、僕の後輩の加藤君の二人の友達です。
 先ほども説明したように、二人共、普段は一緒に遊びに行く仲間ではありるんですが仕事は、僕と全く立場が異なっているんです。
 日によってどちらかがローテーションして入るのですが、どちらが入っているかは僕らには知らされる事が無いんですね。
 何でローテーションするかというと、そのぐらいこの仕事が大変で、毎日、由佳里役だと役者の身体が持たないのだそうです。
 4時間半操演を続ける事は、ベテランの役者なら無理という事でもないのですが、なにしろ夏場。
 イベントの後半は野外なのです。
 そして、パーティーでは、いくつか衣装を着るのですが、その中でも最も長時間着る衣装ほロングスカートで全身を覆うようなドレスです。これをかなり長時間着続けるのです。
 これはホビー21の仕事としても、かなり過酷な仕事の一つで、裏方としてタキシードで仕事をする僕も、毎日は身体が持たないので、3日毎に、やっぱり僕と同じように役者を目指している裏方の友達と交代でやっているんです。
 今日の由佳里が、北野によって演じられているのか、加藤君によって演じられているのかは、見た目には全く分りません。
 そのぐらい完璧に体型が補正され、二人とも演技も上手なのです。
 何回か本番を観察すればもしかするとクセぐらいは分かる気がしますが、リハーサルは僕がいる事は少なかった為、さすがに初日となる今日の時点では、中がどちらかは全く分かりません。
 由佳里は可愛らしく挨拶したあと、自分に割り当てられた楽屋に入ります。
 僕もその後を追って楽屋に入り、彼女の着替えを手伝うことになります。
 ですが、ここは元々結婚式場。
 僕以外にも、ちゃんとしたスタッフがいて、衣装の着付けを手伝ってくれます。
 由佳里は、最初から穿いている白いシルクの下着だけは脱がないことで、他のスタッフから出入り口や呼吸口を知られることなく演技を続けるのですが、僕だけは、事情を知る為、つい下着のシミなどが目に入ってしまうんです。
 ドレスを着るために下着だけになった由佳里は、既によく見るとシルクの下着の股間部分にシミが出来てるのが分ります。
 今日は既に結構湿度も高い為、由佳里の中はかなり蒸しているんでしょうね。
 ですがそんなことを気にする様子もなく、タイツを穿く由佳里。
 完全に下半身を真っ白い薄手のタイツに覆われ、下着がうっすらと透けて見える状態でスタッフの前OKサインを出します。
 その可愛らしい仕草は、上半身が裸だと思えないぐらいキュートですが、ポーズを作った瞬間の胸の揺れは、僕には、かなり艶めかしい物に見えました。
 胸の揺れは、そのまま中の人の大事な物に伝わっているはずです。
 自分の意思とは無関係に、大きくて形の良い胸が揺れてしまうのですから、その中で実際にその揺れを感じている人間にとっては、相当に切ない瞬間になっているはずです。
 もちろん由佳里は見た目に態度の変化は無いんですけどね。
 そのOKサインを見たスタッフが、手際よく由佳里に衣装を着せ始めます。
 まずはブラを着けるのですが、僕だったら、かなりそっと着ける気がするブラを、遠慮無くキュキュっとカップに納め、後ろのホックをククッと締めています。
 その瞬間の由佳里を見ると、誰にも分らない程度にホントにちょっとだけキュッと太ももが擦り合うように近づいたのですが、次の瞬間には元に戻っていました。
 ピクッと一瞬反応しただけと言う感じですが、その裏の世界は、見た目とは全く異なっているはずです。
 自分の息子が、ブラによってキュキュっと締め付けられる感覚を想像したことがありますか?
 その切なさは、実際経験すると、かなり気持ちがいいのですが、その快感を無視して平然と振る舞う行為は、相当に苦しいんですよね。
 彼ら役者はその快感に耐えられますが、僕では、まだかなりの我慢を必要とするんです。
 この差が、僕と由佳里の中にいる演者との越えがたい大きな差なんですね。
 ブラは肩ひもは外せるタイプの物で、これは後から肩を出す衣装を着たときに外すことが出来るように選んだものです。
 ブラを装着し後は、シルクの補整下着によってウエストラインを綺麗に調整し、絞られる由佳里。
 簡単に言えば綺麗な真っ白いシルク製のコルセットなのですが、元々由佳里のボディーラインが綺麗なので、ワイヤー等は入っていません。
 ですが、シルクを何枚か重ねて作った綺麗な補整下着なので、それがウエストに巻き付いて締め上げられる感覚を想像すると、きっと逃げ出したくなるほど気持ちいいはずです。
 補整下着を由佳里のウエストに巻き付け、後ろからヒモで縛るのは僕の仕事。
 ひも靴の要領で対角の通し穴にクロスさせながらヒモを通していき、最後にリボン結びをするのですが、ファスナーと違って簡単に脱着出来ない為、一度締め付けたら、最後までその締め付けが続くことになります。
 僕は由佳里に、締め付ける強さに問題ないか確認しつつ、ヒモを締めていくのですが、由佳里はOKサインを出しながら、僕の締めるヒモに、相当苦しそうな呼吸を強いてるのが分ります。
 もちろん下着やタイツによって息が苦しいと言うのはあるはずですが、こうやってウエストを締め付ける事で、空気穴が小さくなって呼吸が苦しくなると言うのは、多少あるみたいです。
 ですが、そう言う状況も計算して作られた着ぐるみですから、かなりキツくウエストを縛っても呼吸が出来なくなることは無いんだそうです。
 そう言う意味では、多少息苦しくなるとしても、この後の事を考えたら、このぐらいはまだ序の口のはずなのに、既に苦しそうなのは何故なのでしょうね?
 答えは簡単です。
 ウエストラインにもセンサーは埋まり、この補整下着の締め上げは、由佳里の中の固くなった物を羨ましいぐらいに締め付けているはずなのです。
 ブラだけでもかなり気持ちがいいのですが、こう言うツヤツヤのシルクに巻かれて締められる行為は、相当に我慢を強いられる事だと聞きます。
 それだけでも苦しそうですが、補整下着は胴体をだいぶ覆って、上はバストの直下から、下は下腹部辺りまで補正するので、つまり僕がヒモを締め上げる事で、バストが下から盛り上がり、胸の締め付けが更に増すはずですし、下腹部は、その裏に隠された、中の人の固い物の先端部分を一部分覆って締め付けているはずなのです。
 上向きに固定され、固くなっている物の上から、シルクのツヤツヤしたコルセットが締め付けることを想像してみて下さい。
 その切ない状況が、これから、この補整下着を脱ぐまで、延々と続くのですから、それは気持ち良くなってしまいますよね。
 その快感を気にせず、由佳里を演じ続けるのですから、それは苦しくなっても仕方ないと思います。
 こう言う事も、由佳里役が体力や精神力を要する役だと言う理由なのです。
 完全に補整下着を締め上げたら、ウエストは3センチほど細くなっています。
 元々人形体型で細いのですからそこから更に絞る事で、本当に綺麗なくびれが出来ています。
 このくびれの裏の苦悩を想像出来る人間は僕だけなので、他の人達は純粋に、中の女の子の体型が元々綺麗なんだなと結論づけているようです。
 この状態で、パニエを穿かせます。
 ロングスカートのドレス用パニエは、リングではなくシフォン素材を重ねた物で、相当にボリュームがあります。
 スカートを穿かせる要領で、穿かせて、ウエストをヒモで締めて固定します。
 ヒモは、補整下着に空いた、パニエの固定専用の穴に通す事になっています。
 これは、パニエの後ろ側の方がボリュームがある形になっているので、腰の周りで回転しないように、補整下着の穴を利用して固定するんです。
 ヒモを穴に通してスルスルと引っ張って何周かウエストに巻き、軽く食い込んでいる状態で固定されていきます。
 スルスルとヒモが巻かれる感触は、当然裏側で固くなった物をスルスルと巻き付ける感触に変わっているはずですが、由佳里は可愛らしく存在を続けています。
 それがどれほど切ない感触なのかは、僕からは分かりませんし、由佳里は笑顔のままじっと佇んでいます。
 フワフワのパニエが巻き付いた腰を、その場でくるくると半分ぐらい左右に回転させて、パニエの広がり具合とか位置を確認しているようです。
 ですが、よく考えてみてください。
 中の人の上向きに固定された物は、由佳里の下腹部に密閉され、その上をシルクのコルセットが締め付け、その上にフワフワのパニエが重なる。
 シルクで締め上げられた上からフワフワのパニエに優しく擦られると言うことですよね?
 こんなソフトでボリュームのあるパニエに擦られるって、どんな気持ちなんでしょう。
 由佳里は楽しそうにしているので真実は分りませんが、くるくる回る身体に合わせて、フワフワのスカートが身体の周りを擦りながら広がって閉じる、を繰り返す様子は、僕にはとても羨ましく見えてしまいました。
 そして、パニエを固定したヒモも、そのパニエの動きによって引っ張られるわけです。
 締め付けられた場所に身体を捻ったときに加速や減速の力によってテンションがかかり、その力は裏側に伝わっているはずです。
 笑顔の由佳里の裏側で、いったい何が起こっているのか、僕ら、外にいる人間が真実を知ることはないんですけどね。
 パニエを穿いた由佳里に、今度はゴージャスなドレスを着せます。
 たかがバースデーパーティーにこんなゴージャスなドレスを着るなんて、何処かのお姫様みたいな設定ですが、このゲームでの彼女の立場は、そのぐらい裕福な富豪の娘なので、ゲーム中も世間離れをした服の数々を着て登場しています。
 もちろんこのドレスもゲームで登場するバースデーパーティーで、しっかり由佳里が着ている物なんです。
 このドレス、最近流行の肩を出すセクシーなデザインの物では無く、凄くシンプルだけれどボリューム感のあるちょっと古風なドレス。
 薄いブールのシルクサテンの生地によってハイネックの首からスカートまで、殆ど装飾無く綺麗にフィットするように作られているので、上半身はかなりボディーコンシャス。
 スカートはフワリと床まで広がるプリンセスラインで、先ほど穿いたパニエによってフワフワのボリューム感が作られます。
 由佳里は、この綺麗なサテンで出来たドレスに、これから入るんですね。
 袖はパフスリーブで、袖口に入り込むほどに長いロンググローブと組み合わせることで、ドレスを着た由佳里は、顔以外には露出が一切ない状態になります。
 ドレスは背中をぱっくり開けているのですが、既に由佳里はパニエを穿いている状態なので、背中から入るのではなく、スカートの下から潜るようにして着ます。
 ウエストのスカートの絞ってある部分は間口が狭いので、身体を通す際、毎回かなり胸が潰されているのが分りますが、今日は、胸がつっかえて潜り込めなくなるハプニングがありました。
 別のスタッフ二名がドレスを外側から引っ張るようにしてつっかえた胸を強引に通そうとしますが、その潰された胸の切なそうな状態が僕の目に飛び込んできて、見ているのが本当にツラかったです。
 由佳里の中で、友達はどんな気持ちだったのでしょう。
 ドレスに胸が潰されると言うことは、そのまま、ドレスに自分の固くなっている物を締め付けられること。
 早くドレスを着せてくれと嘆願していたのか、それとも、もっとこの時間が続いてほしいと願ったのか。
 本来なら、きっと友達は、この可愛らしい由佳里の中で、誰にも気づかれることの無い切ない時間を過ごすはずでした。
 ですが、僕は気付いてしまいました。
 由佳里の目が少しの時間閉じられ続けていたことに。


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