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麻里、と言う言葉に僕は驚きます。
僕「麻里って・・・もしかして・・・」
スタッフ「麻里さんてご存知なんですか? 舞夢の中の人と知り合いって事ですよね?」
確か麻里という名前の女優はホビー21には一人しかいません。
そして、僕はその麻里を知っています。
そう。確かに麻里は北野と知り合いです。そして麻里には彼氏がいます。
なにしろその彼氏は僕なのですから。
僕は余りの悲劇的な展開に目の前が真っ暗になってしまいました。
確かに、今朝の麻里の様子が、何処か上の空と言うか人の話を聞いてないと言うか、そういう感じはしたのですが、今考えると、あれは無関心だったのではなく、実は自分も現場に行くから、その事を隠していたのかもしれません。
にしても、もしそうなら、麻里はこの場で北野とエッチな行為を繰り返していると言う事になります。
しばらく気が動転して行動が止まってしまい、そのせいで舞夢の表情の操作が上手く出来ず、NGになってしまいます。
僕は平謝りするも、あまりのショックに、その後に自分が何をしていたのか、ほとんど覚えていません。
ただ覚えているのは、史郎君と舞夢の妖艶なエッチシーンと、史郎君の指示による舞夢と沙雪のエッチシーン。
ディルドが出し入れされている様子も、しっかり目に焼き付いてますが、どこか遠くの世界の話と言う印象です。
史郎君がディルドを手にして舞夢や沙雪に挿入するシーンは、つまり、北野の息子を麻里が手にして、北野の中に挿入するって事です。
余りにも倒錯的で、余りにも切ないそのシーンは、僕にはアダルトビデオとしての映像ではなく、悲劇的な映像として脳裏に焼き付いてしまいました。
苦しかったんだろうな。蒸し暑かったんだろうな。そして、だからこそ気持ち良かったんだろうな。
と言う印象と共に、自分の立場の無力感を物凄く実感してしまうのでした。
今朝はどこか上の空な感じでしたけど、確かに、昨日の麻里は、冷静に考えると僕に対してやけに優しかったんです。
ちょっと不思議に思っていたのですが、こう言うのが裏にあったんでしょう。
浮気する人って、相手に妙に気を使うようになるって言いますから。
ですが、今となってはそれすら猛烈に馬鹿にされた感じです。最初から全て打ち明けてくれていたらまだ感覚も違ったでしょうが、内緒でこう言う仕事をしてるんです。
確かに、俳優さんとお付き合いする人は、俳優さんが仕事でラブシーンをする事は覚悟するでしょう。
けど、まさか自分の友達とラブシーンをするなんて想像もしないでしょうし、それを内緒ですると言うのはあまりにもショックでした。
こんな状態なのに、自分は外から眺めているだけ。
まるで周りから、
「君は何にもするな。君はただ、外から見て羨ましがってればいいんだ。君が着ぐるみの中に入ったら、俺らが中から外の君を見て反応を楽しめないじゃないか」
そう言われているような気しかしませんでした。
実はこの日、結局、全ての撮影を終える事が出来ませんでした。
と言うのも僕が余りにショックで舞夢の表情の操作が上手く出来なくなっていたからです。
翌日に撮影が持ち越しになったのは予定外でした。
ですが、一応スケジュール的には問題ないとの事と、役者さんが体力的になんとかなる、と言う判断になったらしく、結局翌日連続での撮影となりました。
女性はイク回数に大幅な制限が無いと言うのと、男性はベテランの役者が2人と言う事で可能になったスケジュールですが、つまり僕は明日もこの地獄を経験する事になるのです。
ぼーっとした感覚のまま、舞夢に事情を説明し、今日は引き上げる事に。
でも、引き上げるまでの間、舞夢はずつと史郎君とイチャイチャしています。もちろん沙雪も史郎君とイチャイチャしてるので、つまりキャラクターとして破綻していない演技とも言えるのですが、中は友達と彼女だと思うと、ホントに辛くて悔しくて涙が出そうになりました。
この日、ホビー21に舞夢を送り届けた僕は、いつもならさっさと事務手続きを済ませて帰宅するところなのに、自分でも分からないぐらいに茫然としていた結果、ホビー21を出るのが思った以上に遅くなっていました。
そして、その結果、さらなる衝撃的なシーンに遭遇してしまうのです。
通用口から出て行こうとしたら、着ぐるみの役者さん達が出てくる関係者口から二人の人影が近づいてきます。
麻里と北野でした。
僕はとっさに物陰に身を隠し、様子をうかがっていると、関係者口の近くで二人は立ち話を始めます。
北野「タクシー来ないなぁ」
麻里「そうね。ちょっと配車に時間かかってるのかも」
二人はタクシーで帰ろうとしているようでした。
役者は高給取りですから、そのぐらいは余裕なんでしょうけど、そのタクシー待ちの為にしばらくここで立ち話を始めたのです。
麻里「でも、驚いちゃったなー。成田君、急に操作がおかしなことになっちゃって」
北野「だな。俺も驚いたよ。あいつがあんなにミスするの、見た事無かったし」
麻里「何かあったのかしらね?」
北野「さー。なんか帰りの車でも無言だったし、こっちの事全く見てなかったから、思い悩む事でもあるるのかも」
麻里「今度聞いてみようかしら」
北野「でもさー。そのおかげで明日も撮影だろ?」
麻里「もー。変な事思い出させないでよ。男役、結構苦しいんだから」
北野「だよなー。ずっとズボンだもんなー」
麻里「それに、呼吸口がタマタマちゃんの袋の裏側にあるから結構塞がりやすいのよ」
北野「そうなんだ。でも気持ちいいんだろ?」
麻里「うん。正直結構ヤバいかもってぐらい気持ち良かった。舞夢に入れた時、実はイッちゃって」
北野「おぉ。それは全く分からなかったよ」
麻里「男の人って、エッチの時こう言う感覚なんだーって思っちゃった。相手が北野君だったから余計に盛りあがっちゃって」
北野「俺もすげー気持ち良かったけどな。中に入れられる感覚が凄くて、演技するの大変だったから」
麻里「あのディルドって北野君に繋がってるんでしょ?」
北野「そうそう。多分成田とかその事知らないから、すげー気持ち良くしてくれちゃってさ。ティッシュで綺麗に拭き取ったりして。中で超絶に気持ち良くなっちゃってたよ」
麻里「だよねー。知らないからすごく丁寧に拭いたりしてたし、北野君の拭いてるのに気付いてないんだーって思ったらちょっと面白かったわ」
北野「止めてくれとも言えないしなー」
麻里「えーっ?言えないって言うか、言えたとしても言わないでしょ?」
北野「まーね。知ってたら絶対やってくれないだろうけど、知らないままならずっと弄ってて欲しいもんな。あれ相当気持ちいいから。いつも着ぐるみ見て嫉妬してる成田に弄られてるのってスゲー勝ち組な感じして興奮したわ」
麻里「あはは。酷いわねー。成田君聞いたら泣いちゃうかもよ?」
北野「どうせバレる事は無いって。誰も言わなきゃ、分からないんだから。あとは成田に頑張って奉仕してもらえばいいさ。あいつのサポートは興奮するしなー」
麻里「サポートで興奮するってどういう意味よ?」
北野「だって、あいつ中に入りたいし事情も知ってるのに、外から見てる事しか出来ない訳じゃん。色々想像しちゃって興奮してるはずなのに、悔しいから態度にも出せない訳じゃん?俺らは中で着ぐるみに覆われてるから外から見えない中、堂々と気持ち良くなっていられるし、それを見せれば見せる程あいつは興奮して嫉妬するんだよ。こんな興奮できるサポート役いないぜ?正直、あいつにはもう中身は諦めて貰ってずっとサポートしてて貰いたいぐらいだもん」
麻里「ひどーい。けど、確かにあれだけ万年サポート役だと、ホントに中に入りたいのか怪しくなって来るわよね。普通あれだけ訓練したら30分の壁ぐらい超えられそうなものなのに」
北野「だよなー。お前、あいつにアドバイスしたりしてたんじゃねーの?」
麻里「してたよ。でもあんまり着ぐるみの話すると、彼、どんどん落ち込んじゃうんだよね。私が先越しちゃったのも相当悔しいんじゃないかしら。だから最近あんまりその話できないのよ」
北野「まー確かにあんまり言うと自慢話に聞こえるもんなー。俺も実際最近は素で会っても着ぐるみの話は避けてる。と言うかそもそも最近着ぐるみ越しにしか会ってない気がする。あいつを肉眼で見たのって、もう3か月ぐらい前なんじゃないか?」
麻里「あー、その表現いいわよね。なんか興奮しちゃうかも。フィルター越しの小さな視界からしか見てないって、フェチっぽくていいわよね」
北野「だなー。あの覗き見する感じってすげーいいよな。こっちからは成田の顔が丸見えなのに、あいつからは全く見えないってのだけで興奮するもん」
麻里「今日ディルド弄ってる時もずっと舞夢の事見てたわよ?私チラチラ見て確認したけど、彼、多分舞夢の反応が気になってたんだと思う」
北野「でも多分あいつがディルドの事知ってるとしたら、最後の撮影の途中のはずなんだ。それまであのメモが見つかった形跡はなかったから」
麻里「メモ?」
北野「そう。中に注意事項のメモがあって、それにディルドが俺と繋がってた事が書かれてるんだ。だからそれが開いた形跡があったのは、俺らが休憩してる時じゃなくて、その後なんだよ。なぜなら、俺がこっそりそのメモを入れたから」
麻里「ひどーい。種明かし最後にしたって事?」
北野「そうそう。なので、最後の撮影の際中に気づいたはずなんだ」
麻里「えっ?じゃー成田君がミスしたのってそのせいなんじゃないの?」
北野「そんな事無いはず。あいつは、これまでも色々あいつが羨ましくなるような事をやって来たから分かるけど、これはまだ耐えられると思うんだよな」
麻里「そっかー。じゃー何が原因なんだろう」
北野「さー、それはさっぱり分からない。けど、ディルドの件は相当悔しかったはずだけどまだ耐えられるはず。あいつは思ったより打たれ強いから。まーだからこそ外から見てる立場でいて欲しいんだけどな。虐めて興奮させると楽しいし」
麻里「あはは。ひどいなー」
北野「お前だって、休憩中までディルドで遊んでただろ。あのオナホに突っ込むの反則だって」
麻里「あれ、気持ちいいんでしょ?だから気持ち良くしてあげようかなーって」
北野「ホントに何度も手を止めさせようかと思ったよ。でもそれするのも負けた気がするし、何より不自然な止め方すると成田が不振がるだろ?」
麻里「でも、成田君、ずっと見てたよ?ディルドの事知らなかったなら、何で見てたんだろうね?」
北野「多分、俺がいろいろ想像してると思ってたんじゃない?中が見えないからちょっとした反応も気になるんだよ。あいつ。だけど、まさか俺がオナホに責められてるなんて想像もしてなかっただろうけど」
麻里「なーるほど。確かにそうかも」
北野「でも舞夢のパッド越しにオナホの感触与えられると、マジでヤバいよ。あれ、出すなって言うほうが無理」
麻里「やっぱり出しちゃったの?」
北野「スゲー頑張ったけど、10分ぐらいで出しちゃった。回されるのが特にヤバいわ。中のヒダがスゲー絡んでくるって言うか、あんなの初めて体験したよ。その後も責めるの止めてくれないから俺苦しくて苦しくて・・」
麻里「苦しくて?」
北野「超気持ち良かったわ。あれ癖になるぞ」
麻里「あはは。正直でよろしい。だったら明日もやってあげる。回しながら抜き差しとかしてあげるね?」
北野「よーし。明日は休憩時間耐えきるぜー」
麻里「無駄な抵抗はやめなさい。私のテクニックとオナホの力で秒殺なんだから」
北野「ははは。ヤバい、既に興奮してきてる」
麻里「勿体ないから明日に残しておいてよね!それにしても成田君はホントに外から羨ましそうな目で見てるよね」
北野「まー、あいつはずっと中に憧れてるからな。そういえば以前、マナとカナに入ってた時も結構興奮出来たしな」
麻里「後半、私がどっちに入ってるか分からなくなっちゃってたでしょ?」
北野「あー、あったあった。あれは結構興奮出来たな」
麻里「へっへーん。感謝してよねー。私がグリーティング始めたから体験できた事なのよ?」
北野「お前なぁ。俺あの時も結構残り回数的にヤバかったんだぞ?」
麻里「へーっ。そうなんだ?」
北野「元々俺が責められる側って設定だったからその覚悟はしてたけど、まさか責める側になるとは思って無かったんだよ」
麻里「あー、あれは私も思った。アドリブだったけど、立場が入れ替わるの、なんか興奮しちゃって。」
北野「俺もスゲーよかったわ。あのパンティーとタイツ穿かされた時はホントにヤバかった。思わず何回も深呼吸しちゃったよ」
麻里「二回も新鮮な私の脱ぎたてを味わえたんだから感謝してよね?」
北野「あの匂いはヤバかった。逃げられない匂いにずっと包まれているだけで興奮3割増しだわ」
麻里「実は私も北野君の脱ぎたて穿いた時、かなりクラクラヤバかったわ。お人形の中の逃れられない匂いって、ホントに興奮するわよね」
北野「そうそう。おかげでいろいろ調子に乗っちゃったよ」
麻里「だよねー。北野君、結構積極的に責めるから、声押し殺して恥ずかしがるポーズとるの大変だったんだから」
北野「抱きついた時とか、なんかヒクヒクしてたもんなー、あれは俺も興奮したよ」
麻里「北野君、イク時少しだけ腕に力が入ってるから分かっちゃった。私も、あー北野君感じちゃってるなーって思ったら凄く興奮しちゃって。なんか成田君がサポートしてるの忘れて興奮しちゃったわ」
北野「俺はむしろ成田がいたから興奮したよ。あいつの彼女だから申し訳ないと思いながらも役だから仕方ない、みたいに言い訳して」
麻里「で、どう?彼氏の前で私にイカされた感想は?」
北野「アレは病み付きになるなー。最後のグリーティングの時とか、出したら勿体ないからって必死だったけど、またやりたいぐらいだ」
麻里「私もまたやりたいなー。今度は成田君に最初からどっちがどっちか分からないように、髪飾り外して行って、髪飾り付けて貰ったりしてー」
北野「あー、それ興奮するかも。でも成田、きっと相当凹むって。あいつ最近ホントに凹んでるし。最後泣いてたじゃん、あの日」
麻里「確かにあれは驚いたけど、それでも多分大丈夫よ。仕事ならきっとやってくれるって」
北野「お前、悪いなー。いつからそんな悪い女になったんだ?」
麻里「悪い?仕方ないじゃない。仕事なんだし」
北野「あの時だって、今回だって断れば断れただろ?」
麻里「まー、あの時もそうだけど、今回は特に気持ち良さそうだし、バレなければいいかな?って思ったから引き受けたんだけどね」
北野「やっぱり確信犯じゃん」
麻里「あははは。そうかも。でもさー。成田君の目の前でイチャイチャしてる時、凄く悪い事してる気になったけど、バレてないって言う状況に凄い興奮しちゃって癖になりそう。だからやっぱり成田君、役者諦めて、このままずっとサポート係続けてくれればいいのに」
北野「お前が言うか。彼氏なんだろ?でもホント、あいつがサポートだといろいろ気も利くし、外からスゲー羨ましそうな目で見てくれるから超興奮できるんだよね。そういう意味でもベストサポーターだよ、あいつ」
麻里「中に入りたがってる彼には悪いけど、私も同じこと思ってるかもー。一応彼氏の手前、成田君には応援してるって態度を取ってるけど、全然進歩しないし、最近はちょっと覚めちゃってるのよね、正直。だから彼が外から見ててくれる状況なら、明日はもっと興奮しちゃいそう」
北野「せいぜい中でイキまくってくれよ。いいよなぁ女は好きなだけイケて」
麻里「あらー?羨ましい?」
北野「まぁ」
麻里「でも男性用スーツの寸止めって私ももっと味わいたいと思うわよ?女性用ってそこが弱いのよね。そのままイカされちゃうから」
北野「確かに寸止めは興奮するけどな。イキたいけどイケない切なさの中にいると、こんなに気持ちいいのにお金貰えて申し訳ないって思うし」
麻里「私も男に生まれれば経験出来るのになー」
北野「いや、スーツ調整して貰えばいいんじゃ」
麻里「寸止めも、イキまくるのも、選べたらいいのに」
北野「いっそ成田とエッチする時に寸止めして貰えば?」
麻里「えーっ?無理よそんなの」
北野「何でだよ」
麻里「だって、成田君にそんな事言える訳無いじゃない。そういう特殊なお願いしちゃうと、中に入れない自分を責めちゃうから、そもそも彼の前であんまり中の話出来ないのよ」
北野「まーな。あいつ、何で上手くイク事が出来ないんだろうなぁ」
麻里「もう完全に自信喪失してるみたいだから、仕方ないんじゃないかな」
北野「そっかー。あいつ演技力あるのに我慢出来ないんだよな。ホント」
麻里「そうそう。何度か内緒で寸止めとか試してみたんだけど、その時は耐えられない訳じゃなさそうだったのに、何で着ぐるみだとダメなのかしらね。もうこれって資質の問題?普通はある程度訓練すれば耐えられるはずなんだけどなぁ」
北野「中に入ってる興奮でおかしくなっちやうのかもな」
麻里「だとすると見込み無いのかもなぁ。可哀想だけど才能ないのかもしれないわねぇ。でもホント、才能無いからって諦めちゃったら、サポート係も辞めちゃうって事だから、それだと成田君にサポートしてもらえなくなっちゃう。それは困るのよね。だからなるべくやる気を削がないようにして、サポートも続けて貰わないと」
北野「確かに俺も、あいつがサポートの方が色々ありがたいけど、お前は彼氏なんだからそんな事言うなよ」
麻里「仕方ないわよ。そもそも才能については私にはどうにも出来ないし。下手な事言うと彼、落ち込むから、結構気を遣っちゃうし。最初のころは早く役者になってほしいから色々応援したんだけど、多分今のままだと無理よね。最近お付き合いもマンネリだし、北野君に乗り換えようかなぁ」
北野「お前なー。さすがにそれは可哀そうだろ」
麻里「だって、気を使って一緒にいるの、割と疲れるのよね。才能無さそうなのに諦めないみたいだし。諦められたら困るけど」
北野「お前ひでーな。まーとは言えこればっかりは本人の問題だからなぁ。確かに余計な事言うと凹むだろうしな。」
麻里「だから、彼とのエッチはノーマルよ。アブノーマルな事は全部お仕事で出来るし。明日も出来るし」
北野「ははは。まーよろしく頼むわ」
麻里「私もね。おちんちんニギニギされてるとクリトリスに直結してるから、相当気持ちいいから」
北野「そっか。じゃー明日はそこをニギニギしてみるわ」
麻里「期待してるね!」
こんな会話を続けているとタクシーが来て、二人は乗り込んで行きました。
僕はこの会話に、ショックの色を隠せませんでした。
麻里が仲良さそうに北野と会話してる事もそうですが、何より麻里自身明日の事を楽しみにしている事実。
更に麻里が言っていた、僕には分からないようにしてるのが興奮する、と言う言葉。
以前サポートした、マナとカナの双子キャラクターも、麻里か確信犯的に僕を嫉妬させるような行為をしながら、自らも興奮して楽しんでいた事実。
ダメ押しは僕の才能を見限っているように取れる言葉。その上、僕がサポートとしてついてたら、自分達が興奮できると言う会話。
正直、立ち直れない程のダメージと言えました。
翌日、なるべく嫌な事は忘れて必死に撮影をこなす事に集中しようとするのですが、撮影の合間合間に史郎君と舞夢の仲良さそうな態度を見る度に、昨日の北野と麻里の会話が思い出されてしまい、とても悲しい気持ちになります。
実は休憩中に何度かトイレで泣きました。
でも、こんな僕の気持ちなんて誰にも分かって貰えないんです。
何度も泣いて、なんとか気持ちの整理をつてけ、その後の撮影をこなし、この地獄のような撮影がすべて終了となりました。
ただ、撮影が終わっても史郎君と仲良くしている舞夢を見て、羨ましい気持ちよりも腹立たしい気持ちの方が勝ってしまう自分を実感します。
史郎君の正体は分からないと言う前提で、ああいう行動なのでしょう。
普段なら、羨ましいなと思うだけなのでしょうが、現実を知った僕にとって、その光景はあまりにも酷でした。
僕は近くにあった紙の切れ端に、ペンで今の感情を書き綴った物をもって、イチャイチャと余韻に浸る舞夢と史郎君に手渡します。
最初は、何、これ、と言う感覚で僕から紙を受け取った二人ですが、しばらくして二人の態度が豹変する事になりました。
紙には
「ある人から、史郎君の中の人についての情報を聞きました。あと、昨晩のタクシー乗り場で二人の会話を聞いてしまいました。黙ってるなんて酷いです。僕は外から見ている方がお似合いなんでしょうね。今までお世話になりました。もう二度と顔を見たくないのでせいぜい僕の前で素顔は見せないでくださいね」
と記した紙です。
これで十分です。もう期待しません。自分が我慢出来る限度は越えています。
この紙を見た二人は明らかに分かるように態度を豹変させます。
それまでのイチャイチャムードは全く無くなり、他人行儀と言っていいぐらいよそよそしくなります。
その不自然さがさらに自分を馬鹿にしている、と言う感じに見えてしまうぐらい。
もちろん二人はこの絶望的状況でも、キャラクターとしての体裁は崩しませんし、言葉も発する事はありません。
それはそうです。周りに他のスタッフもいますから。
でも、そうすればするほど、僕の心が二人から離れていくと言う現実を、二人も理解しているはずでした。
彼らの最大の武器だった中の人とのコミュニケーションが取り難い状況、が、逆に彼らの足かせになり、直接僕に言いたいことを言えないのです。
正直、いい気味だと思いました。
僕「さあ。仕事終わったんだからさっさと引き上げるよ」
僕は冷たく舞夢に言って、半ば無理やり仲良しタイムの余韻を終わらせてしまいます。
普段の北野の入るキャラクターなら、わざとダダをこねたりする事もあるでしょうが、もちろん今の状況の舞夢は、僕に抵抗する事は全く無く従順に言う事に従っています。
そりゃそうでしょう。
内緒でこんな事されたら友達だって怒るでしょ、普通。僕からすれば彼女を寝取られたようなもんですから。
僕「良く分かんないけどさ。確かに中身分かんない特権てあるよな。見えなければ僕には分からないし、そう言う状況で友達の彼女とエッチな事をするって、楽しそうだよな。まーその彼女の方も楽しそうだからいいのかも知れないけどな。才能無い僕より才能ある奴と付き合いたい気持ちはわかるしな」
現場を立ち去る間際に、わざと捨て台詞のように、舞夢にも、史郎君にも聞こえるように言います。
史郎君はただ黙って聞いてるだけ。舞夢は僕に従順に従って車に乗り込み、さっさとホビー21に戻ってしまいました。
車の移動中も一言も話は無く、この状況の舞夢には、さすがに中の北野を羨ましいと感じる余裕も無く、ただただ早く舞夢を送り届けたい一心で運転しました。
実際普通より早くホビー21に戻ると、ほとんど無言で舞夢と分かれ、必要な手続きを済ませてホビー21を後にします。
その後の展開は、まぁあんまり書きたくないのですが、さすがに平謝りを続ける北野ですが、許す気はありませんでした。
仕事だからといい訳もしていましたが、タクシーの会話の事もあるし、黙っていたのが最も気に食わないのです。
その点は、麻里に対しても同じでした。
その日の夜に麻里は僕の部屋を訪ねて来て平謝りをしていたのですが、直ぐに別れを告げました。
彼女は泣いて謝っていましたが、僕の受けた屈辱を理解できるはずもなく、さすがにこの彼女と一緒にはいられない、と思ったのです。
最後の決め手は
僕「事情の分かる北野と楽しめばいいじゃん。僕なんて才能ないんだし」
です。
これで、彼女は意気消沈。完全に終わった瞬間でした。
ですがその判断は間違ってはいなかった、と思います。
今後もああいうストレスがたまる現場を目撃する可能性があるなら、こんな関係は続けられないと思ったのですから。
北野についても、仕事でサポートする事はその後もあったのですが、めっきり回数は減ります。
マネージャに聞いたら、北野がサポートとして指名する機会がほとんど無くなったからだそうで、マネージャ側が決めるシフトでは殆ど北野と一緒になる事は無くなりました。
実はマネージャにもこの僕らの関係は知れていたようで、そもそもこの原因を作った、麻里を四郎の中に入れると言う配役を提案したのはマネージャでもあったので、罪悪感があるようでした。
まーその案を受け入れた側に問題があったのだと思っていますけどね。
ホビー21では、普通、仕事の選択権は役者側にありますから。
こう言う仕事があるけど受けますか?と問われる事はあっても、基本的には強制でこの仕事をやってくれ、と言う事は無いのです。
ですから、北野も、麻里も、自分の選択としてその仕事を受けた。
と考えれば、マネージャを責めるのもなんか違う気がしたので、僕はマネージャには特に当たる事はありませんでした。
こうして僕は、友達も、彼女も失う事になったのですが、その事について後悔はしてません。
ここから先は仕事上の付き合い、として関係する事はあっても、仲良く遊ぶ事は無いだろうな、と思ってます。
まーいい思い出、ですかね。
ですが、僕がこれで楽になる訳ではありません。
相変わらず訓練とサポートの日々で、見知らぬ誰かとは言え、中で羨ましい事を続ける人達をサポートし続けるのですから。
と言って愚痴っても仕方ない。さて、また頑張りますかね。
-おしまい-
追伸:
さて、かなり以前ブログで書いたプロット的お話をボリュームアップさせて書いてみました。
いくつか文章を追記して、より一層羨ましくなって貰えるかなと思うエッチシーンと共に、最後は成田君の惨劇とも言える結末を用意してみました。ちょっと可哀想過ぎる気もしますが、まー成田君はこういう運命なのです。
でもね。成田君をフォローする訳じゃないですけど、あんまりにも酷いと言うクレームが来たら嫌なので(汗)一応言い訳的な物を書いてみましょうか。
今回の成田君の結末を見たら、まー色々失いましたよね。
失う前兆は以前書いた話(「やっぱりサポート係は苦手です」とか「マナとカナ」とか)からちょいちょい書いてたつもりなので、まーそうなったか、と言う感じ。
結局友達も彼女も失いました。失ったと言うか自ら切ったと言うか。何故こんな悲劇的展開にしたのでしょう?
と言う訳で、予告?ですが、成田君の悲劇の物語は次の展開で多分、一旦最後です。
最後の悲劇は、人によって「悲劇としての評価」が分かれる気がしますが、既に頭の中にネタがある私としては、多分今までで一番ひどい悲劇です。
まーでも最後の悲劇を見た後は、きっと、成田君も報われるんじゃないかな(何)。
(ただ、成田君の話が最後と言う訳では無く、今後も色んな場面で登場はすると思います。成田君メインの話しは今後どうするかは考えてみます。また書くかも知れないし、書かないかも知れないし)
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