マナとカナ(1話完結) [戻る]


※このお話は、過去の成田君のお話(「由佳里のバースデー」など)を読んでいる前提で話が進みます。着ぐるみの仕組み等は、新たな説明が無い限り、過去の仕組みを踏襲しているとお考え下さい。


万年サポート係の成田行夫です。

今回も僕がサポートしているキャラクターのお話です。
今回お話するのは、マナとカナ。
以前「やっぱりサポート係りは苦手です」と言うお話で出てきた双子の女子高生キャラクターの事です。

双子の姉妹で見た目はそっくり。と言うより全く同じ着ぐるみの外見です。唯一の違いは髪飾りの有無。
髪飾りがある方がマナ、無い方がカナ。

マナがカナに対して結構大胆なスキンシップをすることが話題のキャラクターで、グッズなどの販売も好調。
ホビー21エンターテイメント部門が、アニメ化してブルーレイを発売する事になったのです。
僕はその販促イベントのサポート役。

マナもカナ、目は透き通るような水色。髪の毛は茶髪ですが明るくない、黒髪に近いほのかな茶色。ロングストレートの髪はつやつやサラサラ。
スタイルも抜群に良くて女子高生とは思えない凹凸の持ち主です。
設定制服が冬物と言う事で、いつもピンクと赤をベースにしたブレザー型の冬物制服に黒いタイツを履いている感じです。
マナは右側に赤い髪飾りを付けていて、それが唯一、見た目の差。と言う事になっていました。

実際サポートする僕も、見た目の見分けはそこぐらいしか出来ません。
あとは、大人しくて従順なカナと、いたずら子でスキンシップ好きなマナ、と言うキャラクターの性格の違いからくる動きの差で、どちらのキャラクターかが分かる感じでした。

ちなみに、マナとカナには、実は僕の友達の北野と、僕の彼女の麻里が入っているのですが、一応この時は、麻里がマナに入ってる事は麻里から直接聞かされていました。

それにしても仕事とはいえ、彼女である麻里が、北野に対して着ぐるみを通してスキンシップをする姿を見せつけられる僕には、相当に地獄と言っていい事でした。
彼女の麻里も、申し訳ないと謝ってくれたのですが、そもそも僕がサポートに選ばれた事にちょっと納得が行っていませんでした。

サポートは通常、マネージャが任意に割り当てるのですが、それ以外にキャストが好みのサポート係を選ぶこともあるらしいのです。
そして北野は僕を指名した。
もちろん北野から直接聞いた訳ではありません。
ですが、色んな噂話からその話が聞こえてきました。
名目上は、僕の嫉妬心をあおり、早く訓練生を卒業させる為、との事でしたが、ここ最近は、単にサポートスタッフとして僕を付ける事を楽しんでる気すらします。
確かに僕は裏事情を知ってるが故に、いろいろ気の利いたサポートもしますが、最近の北野の入る着ぐるみは、僕の指示にわざと駄々をこねたり、僕にわざと見せつけるようにちょっとエッチっぽいポーズを取ったりして挑発したりするんです。
僕の為、と言いながら、実は自分が楽しんでいるんじゃないのか、と、そんな不信感をちょっと抱いてる訳です。

とは言え、こうして仕事として抜擢されたのであれば仕方ありません。
僕はサポート係としての仕事を頑張るだけです。
そうしなければ、僕は訓練すら受けられなくなってしまうのですから。

イベント開始前、マナとカナが控室に現れます。すっかりキャラクターになりきった二人は、客観的に見て滅茶苦茶スタイルが良くて可愛い。
でも、このスタイルの良さ、可愛らしさの裏には、北野や麻里がスーツに密閉され、蒸され、動きを阻害されながら、着ている可愛らしい冬物の制服によって生み出される快楽との戦いを続けているはずなのです。

麻里は女性が中でどう感じるかをあんまり教えてはくれません。
ですが、北野について言えば、あの大きなバストを窮屈そうに包む、ブラまで含めた制服の感触は息子に伝わり、プリーツスカートのヒダヒダが揺れれば優しく裏筋を撫でつづけ、タイツのむっちりした履き心地と動けばできるシワの数々を感じ続けているのです。
それでけで羨ましい。
それを、僕の彼女とペアでやってるのですから、嫉妬心としては最上級です。

さすがに控室ではイチャイチャは遠慮がちみたいですが、それでもマナはカナが好きと言う態度を取り続けています。
マナの責めは当然カナの中に入ってる北野に伝わり続ける訳です。
そりゃー僕だって麻里とエッチぐらいします。
でも、着ぐるみを通して責められる、なんて行為は経験したことが無いわけです。
これを、北野は僕の目の前で、仕事として経験してる。こんなにもツラいサポートをする自分を冷静に見て、悲しくなってしまいます。

イベントが始まると、ステージに出ていく二人。
ステージ上の二人は、控室の二人とは明らかに態度が違いますね。
マナは大胆にスキンシップを求め、カナは恥ずかしそうにその行為を受け入れる。その態度にお客さんから歓声があがり、イベント司会者や、アニメ制作に当たった監督、プロデューサ、声優さんと言ったトークショーの出演者も大喜び。

マナが制服の上から胸をモミモミすると、恥ずかしそうに手で顔を覆って照れるカナ。
この時、間接的に麻里が北野の息子を揉んでいると言う事実に、誰も気づいてませんが、それを知ってる僕にはホントにツライ光景です。

どれだけ気持ち良くなってしまっていても、北野は逃げ出す事もその行為を止めさせる事も出来ず、ただ麻里演じるマナの行為を受け入れ続ける。

マナがギュっと後ろから抱きつけば、北野はカナの身体を通し、マナの胸を押し当てられている事になり、つまり、どことどう繋がっているのかは分からないものの、麻里の気持ちいい部分を押し付けている事になっているはずなのです。
多分かなの中に入っている北野には、後ろから抱きつくマナの僅かなヒクヒクと言った反応も伝わるはずで、つまり、中に入っている麻里が気持ち良さを押し殺しながら演じている事も分かってしまう。
役とはいえ、人前で、僕の彼女と友達が、そんなにも嫌らしい事を、みんなに内緒でやり続けている。
こんなにも羨ましい状況はありませんでした。
自分が早く役者になれれば、こんな状況を回避できたのかもしれませんが、自分はいくらやっても訓練スーツの快感に耐えることが出来ません。

最近は麻里も、才能の無さに少し呆れてるのか、あるいは諦めているのか、一緒にいる時も昔ほど頑張れと励ましてくれたり、アドバイスをくれることもなくなりました。
やはり自分は才能が無いから、一生こうして外から眺めて羨ましがっていればいい、って感じなのかもしれませんね。
多分、こうして中身の事情を知り、中身に憧れながら、万年サポートしてる僕みたいな人間は、役者から見たらかなりオイシイ見せびらかせる相手、見せ付けられる相手、なんでしょうから。

でも、僕だって、あんな可愛い姿に入って、スカートの中にこもった空気を呼吸しながら、気持ちいいのを押し殺して、周りから可愛い可愛いって言われてみたいです。
何時間も蒸されて、お客さんからも、暑くないのか、苦しくないのか、なんて心配されながら平気なフリを続けてみたいです。

普段のサポートでもそう思っている事は多いんですけど、こうして北野が彼女と絡んでいる様子を見せつけられると、もうホントにツライ。
今だって北野の息子はこみ上げるような刺激を受けて必死に耐えているはずなのに、僕からは可愛らしく照れているだけにしか見えない。そんな秘密を独り占めしている北野が本当に羨ましかったです。

イベントが進み、声優さんのトークショーになった時、双子の声を担当する声優さんが、実際に声を当ててキャラクターが演じるアドリブショーが始まってしまいます。
もちろんこんなの予定にありませんが、キャラクターたちも含めてみんなが賛成したので、即興の二人劇です。

アニメの中のとあるシーンを再現すると言う事だったのですが、そのシーンを再現されて、僕は驚愕してしまいます。

そのシーンとはこうでした。
いつものようにマナがカナに抱きついてスキンシップをする。
すると、びっくりしたカナが「きゃっ」と驚いて腰を落としてしゃがんでしまう。
その時たまたましゃがんだ場所が水たまりで、パンツとタイツが濡れてしまう。
マナは「ごめん」と言って、持っていた自分のパンツとタイツ、ではなく、自分の穿いていたパンツとタイツをカナに穿かせ、自分が持っていたパンツとタイツは自分で穿く。
こういうシーンです。

もちろん実際には水たまりは無いステージなのですが、僕の目の前で、マナはタイツとパンツを脱いでカナに渡し、カナはそれを穿いたのです。
分かります?この意味。

マナには麻里が入っています。
そして麻里が脱いだパンツとタイツは、今の今まで、麻里が股間から漏れ出た呼気を覆い隠すように包み、呼気で蒸れていたはずの布なのです。
それをカナが穿く。
カナには北野が入っています。
つまり北野は、つい先ほどまで麻里がカナの身体を通して呼吸し、その呼気で蒸らされ続けたパンツとタイツ越しに呼吸する事になるのです。
しかも、北野は、カナの身体を通して、さっきまでマナの中にいる麻里を気持ち良くし続けていたはずのパンツとタイツを、今度は自らを密閉する身体を通して感じる事が出来るんです。

見た目は全く変わりません。
ですが、僕にとってこの事実は、悪夢に近かった。
あまりの出来事にショックで呆然としていました。
声優さんは有名な人なのですが、いくらちょっとエッチ系なアニメだからと言って、こんな大胆なシーンをアドリブで再現させるなんて。。。
彼女の声に合わせて演技をするしかない、マナとカナは、当然やらないという選択肢は無く、パンツとタイツの交換が実施されてしまった。
まだまだショーは長丁場。この後もしばらく、北野は、麻里が呼吸した布を通しての呼吸を続けられるのです。

正直言えば、軽く涙が滲んでいた気がします。
もちろん涙を流して泣くことはありませんでしたが、自分がそこに居られない悔しさと、北野に対する猛烈な嫉妬で、ホントに爆発しそうでした。

その後のマナもカナも、全く何事も無かった様に振る舞い続けていますが、カナの中に伝わる感触や呼気が気になって仕方ありませんでした。

続いて、アニメ監督が思いついたゲームをやることになりました。
このゲームもまた、僕にとっては地獄と言えるものでした。

すごく簡単に言うと、二人の入れ替わりゲームです。
髪飾り以外の差が無い二人、と言うのを利用して、簡易的に設置したつい立の向こうで、二人のどちらかが髪飾りを付け、出てきた後の態度でどっちがマナかカナか見分ける、と言うゲームです。

髪飾りの入れ替えは僕が担当する事になりました。

僕はつい立の向こうに待機し、ゲームが始まるとマナとカナがやってきて、僕がどちらかに髪飾りを付けてステージに送り出す。
それだけの仕事なのですが、やってみるとこれがまたツラかった。

初回、僕は何気なく二人の髪飾りを入れ替えたんです。
すると、ステージ上での二人は、まるでマナとカナが入れ替わったかのような態度を取り始めます。
そりゃそうです。
彼女たちはどちらがカナでどちらがマナか、当てられてはいけないのです。
つまり、髪飾りを付けている方がマナを、髪飾りを付けていない方がカナを演じる事になるのです。

髪飾りが入れ替わる、と言う事は、本来のカナが、本来のマナをスキンシップと称して悪戯する側なのです。
カナには北野が入り、マナには麻里が入ってると言う事は、つまり、北野が麻里を弄ぶと言う事になるのです。
二人の演技は完璧で、さっきまでマナがやっていたような大胆なスキンシップをカナがマナにやる。
マナはただただ恥ずかしそうに受け入れる。
でもこれって、北野に気持ち良くされながら、恥ずかしそうにするだけで何の抵抗も出来ない麻里の事を想像すると、物凄く悔しい。
自分ですらこんなにも大胆な事を麻里に対してしたことは無いのに、北野は、役を通してこんなにもいやらしい行為を、堂々と麻里に対して行っている。
麻里が内心では嫌がっている事を願っていますが、もしも万が一その気持ち良さに負けて、この状況を楽しんでいたりする、と考えたら、それは僕にとっては立派な浮気です。
そうではない事を信じて、僕はただただ麻里の演ずるマナを見ていました。

でも、見れば見る程、僕の目頭が熱くなってくるんです。
泣かないまでも、悔しくて目がうるうるしてました。

1回戦が終わるごとに二人がこちらに戻ってきて、髪飾りの位置を変えるのですが、それ以降、元々のマナの方に髪飾りを付ける回数が増えました。
それはもちろん僕の感情がそうさせたのですが、たまたまゲーム的にこうした偏りが盛り上がりになっていたのも確かでした。
それでも、何度かは髪飾りを入れ替える事になるんです。

僕の手で、髪飾りを入れ替える時、ホントに悔しくてこの場から逃げたい気持ちに何度もなりました。
役になりきる二人に文句を言う訳には行きませんが、正直、中の人の名前で呼んで、あんまり調子に乗るなと怒りたいぐらいに。

自分の手で、北野に「麻里を気持ち良くする権利」を与える感情は、何度思い返しても気持ちのいい物ではなく、こんな立場でしか自分が存在できない事に対して怒りを覚えてしまうのでした。
髪飾りを付けられたカナは、可愛らしくマナに変身し、マナは大人しくカナに変身し、その瞬間、できれば中身も入れ替わっていて欲しいと思えるぐらいでした。
もちろん中身が入れ替わる事は出来ませんから、北野がマナのふりをし、麻里がカナのふりをしているのです。

こんな切ない気持ちで着ぐるみを送り出すのは初めての経験。
でも二度と味わいたくない感情ともいえました。

かなり盛り上がり、合計15回もゲームをしたのですが、その中で僕がカナをマナにした回数はわずかに3回だけでした。
これでも僕としては精いっぱいの譲歩です。
北野に麻里を弄ぶことを許した回数、ですが、なんとかゲームをつまらなくしない程度に頑張ってみた回数でもありました。

最後に戻ってきた時に、マナに髪飾りを戻してあげたのですが、その時マナが僕を見つめて、ウンウンと頷いたんです。
多分麻里が同情してくれたんでしょうけど、それすらすごく悔しかった。
僕は自分でどういう表情をしていたか分からないぐらい、悔しさでいっぱいになっていました。

ゲームも一通り終わり、再びステージではトークショー。
二人はマスコット的に並んでソファーに座って、イチャついています。

すると監督がまた大胆な事を言い出しました。

「さっきのゲームで思い出したけど、そういえば、アニメの中で、髪飾りと服をすべて交換するシーンあったよね。あれ再現できないかな」

と。
そう。アニメの中には、パンツも含め、すべての服装を入れ替えて髪飾りも付け替え、周りを騙すシーンがあるんです。
ただ、アニメの中ではあくまでも二人が違う服を着てるシーンだから成立したのです。
ここでは全く同じ服装なので、あんまり意味がある行為とは思えませんでした。

ですが、他のスタッフも、着替えるシーンを生で見られるなら見てみたい、とか言い出し、それにお客さんも同調。
結果、実際にそれをする事になったのです。

ブラやパンティーも含めての衣類の交換です。
僕から言わせれば地獄と言える光景の一つでした。

さすがに人前でヌードはマズイと言う事で、パンティーとブラの交換だけはつい立の裏で行い、ちゃんと交換してる所を声優さんが見届ける事になりました。
それ以外はすべて生で着替え。しかも、監督の指示で、着せ替えっこをする事に。
つまり、マナはカナに、カナはマナに、自分の着ていた服を着せてあげると言う事です。
手順等は、声優さんが声で発して、それに合わせてキャラクターが動くと言う方法。つまりキャラクターは声優さんの操り人形なんです。

この着替えは、本当に切なかった。
見ていられないぐらい切なかった。
さっきまでマナを覆っていた衣類がすべて、カナを覆い、それはつまり、中に入る北野を覆う。
さっきまで、マナの中で麻里を責め続けていた布を、マナの手でカナに着せ、それはつまり、中に入る北野の事を蒸し、気持ち良くしてしまう布を麻里の手で着せてもらう事になる。
他人に着替えさせられる行為は、実は地味に感じやすいのです。
着替える時もセンサーは有効に機能していますから、当然大変感じやすい。
自分で着替える時はそれでも快感をある程度抑制するように着替える事は出来るのですが、人にやられると加減が分からないので、そこ、気持ち良くて感じちゃうからちょっと止めて、と言う事も出来ないのです。

結果的に麻里は北野の事を気持ち良くしながら、さっきまで自分を蒸して気持ち良くし続けていた布を北野に被せる。

一方で、カナもマナに対して同様なことをする。
北野が麻里を気持ち良くする訳です。ただのイチャイチャ百合百合な着付け合いですが、裏事情を想像できる僕にとって、この光景はあまりにも切なかった。

パンツもタイツも、さっきまでマナが着ていたものがカナに、カナが着ていたものがマナに装着されている。
北野について言えば、さっきまでだって、元々マナが穿いていたパンツとタイツを穿いていたのですから大差無さそうですが、でも現実は、脱ぎたて、を穿いてると考えると、時間が経ってようやくマナの香りが消えた頃に、再び鮮度の高いマナの香りに包まれる、と言う事です。
マナの方は、当然カナの香り。つまり、北野の吐息や体温によって蒸されたパンツやタイツ越しに、麻里は呼吸する事になるんです。

全部の衣装を身に着け終え、髪飾りも付け替えた二人は、まるで本当に二人が入れ替わったかのような演技を始めます。
いや、この演技も声優さんの声に合わせての行為ですから、二人は仕方なく取っている行動なのかもしれません。

それでも、僕にはこの行動が色々な意味で悔しくて仕方ありませんでした。

結局最後まで、衣装と髪飾りを交換したまま、キャラクターとしての演技も交換したまま過ごした二人。
声優さんのアドリブによるマナとカナの絡みも何度もあり、それを見る僕の気持ちはどんどん暗く落ち込んでくるのに、北野が羨ましくて羨ましくて、パッドの中に隠れた息子だけがカチカチに固くなり続けていました。

こうしてようやくイベントが終るのですが、今度は、控え室に引き上げようとするマナとカナですが、ファン達に呼び止められてしまいます。
僕は着ぐるみを誘導して控え室に引き上げさせようとするのですが、マナがファンと交流を始めてしまうのです。
僕は小声で、楽屋に戻るように説明するのですが、マナは小さく指先でOKサインを作って僕に見せます。
大丈夫大丈夫、って言いたい様子。
いや、確かにマナはキャラクター的に、積極的なので、お客さん達と積極的にコミュニケーションを取るのは悪い事では無いのですが、もう時間オーバーなのです。
それでもわざわざ自ら時間を延ばすような事をするんです。

マナは確かに中身が麻里ですから、女性は男性に比べ、イク回数にあまり制限が無いんですよね。つまり男性に比べ、長時間操演には向いているんです。
もちろんそれでも限度はあって、せいぜい男性+1時間ぐらいの延長が基本とされているので、マナについてはそれでも少しの間は平気でしょう。

ですが、カナは中身が北野です。
今まで散々マナと絡んでいたのですから、当然僕の知らないうちに何度も出してしまっているはずです。
マナが居残りすると言う事は、カナも居残りすると言う事になるんです。

僕はまだお客さんの中からは少し外れた場所にいるカナに、小声で、控え室に戻るように言いました。
北野だって状況は分かっているはずですし、カナが帰れば、マナだって帰る事になるでしょう。ですから、なんとかカナを控え室に戻そうとしたんです。

ところが、カナもOKサインを作り、お客さんの方に歩き出してしまったのです。
こうなるともう止められません。
あとは彼女達が満足するまで、安全にお客さん達とのコミュニケーションを続ける事をサポートするしかないのです。

お客さんに言われ、マナはカナに抱きつき、カナは何時ものように照れてみせる。
その時裏で何が起こっているかを想像すると、ホントにツライ。
それにしても、マナの中に入ってる麻里は、何でこうしてコミュニケーションを始めたのか、疑問で仕方ありませんでした。
僕がサポートしてるのを分かってるのに、この状況で、さらにマナでいる事を選択する。
僕がどんな気持ちになるのか、分かっていると思うのに。

確かにキャラクターとしての行動に不自然さは無い物の、そこまで忠実にならなくてもいい気がしたんですよね。
とは言え、もうこうしてお客さんに囲まれてしまったので、彼女達が満足するまで見守るしか無いのです。

そうやってしばらく見守っていると、お客さんからリクエストで髪飾りのチェンジを依頼されます。
もちろん拒否してもいいはずなのに、マナは楽しそうにOKサインを出して、自らの髪飾りをカナに付けてあげ、そこから先は完全に立場が逆転してしまうのです。
北野が麻里を責めている。。。この事を思うと、目を背けたくなります。
と言うか目を背けてしまったんです。
すると、恐ろしい事が起こります。
何度か目を背けているうちに、実は何回か髪飾りのチェンジが行われていたらしいのです。

そう。今、どちらがマナでどちらがカナなのか、僕にも分からなくなってしまったのです。
髪飾りを付けられた方は、しっかりマナの演技をしているし、髪飾りを外された方は大人しく可愛らしいカナの演技をしています。
何度か交換が行われ、その結果、完全にどちらがどちらか分からなくなってしまいました。

結局そのままトータル1時間近くの、マナとカナのお客さんとのコミュニケーションが終わり、ようやく引き上げます。
マナとカナに声をかけ、控え室に誘導します。

ようやく長い仕事が終わり、控え室に戻るのですが、控え室でもマナがカナにスキンシップを求めていちゃいちゃ。
そろそろ控え室なんだからもう止めていいよ、と言ったのに、いちゃいちゃ。
しかも、僕が驚いたのは、髪飾りを僕の見ている目の前で差し替えて、立場を入れ替えたのです。

そう。彼女達は僕がマナとカナを見失っている事に気付いていたんです。
なるべく悟られないように振る舞っていたのですが、全く分からなくなっている僕を見て、僕で遊んでいるのです。

イベントが始まって既に5時間以上経過しています。
麻里だって中でイキまくっているはずですし、北野だって何度も何度も出して、今や残り回数との戦いの中で必死に込み上げる物を我慢しているはずです。
なのにわざわざ僕をからかうような態度。
そりゃあ二人を見失っている僕を目の前にしたら、さぞ興奮もするでしょうし楽しいでしょう。
でも見せつけられている僕の気持ちはどこに持って行けばいいのでしょうか?

今までのツラいサポートを思い出して、思わず目から涙がこぼれ落ちました。

すると、さすがにビックリした様子の二人は、直ぐに髪飾りを元に戻すと、僕に向かってゴメン値のポーズを作り自分達の楽屋に戻っていくのでした。

涙はほんの数滴しかこぼれていませんが、やはり悔しかったんです。自分がふがいないと同時に、麻里と北野の態度に。
確かに着ぐるみに入った人間は、その快感の強さから理性をぎりぎりの所で保つ状態になります。
そんな状態で、ああやって興奮する状況に陥れば、理性が飛ぶ可能性はじゅうぶんに考えられます。

でも、相手は僕の彼女と北野。彼らだってその事を認識した上で、僕の目の前で・・・と思うと悔しくて仕方なかった。
この日はさすがに落ち込みした。

後日、麻里からも調子に乗りすぎたと謝られましたし、北野からも言われました。
けど、なんだかちょっとモヤモヤした、そんなお仕事でした。

あー、僕だって中に入って気持ちいい事したいのになぁ。


--おしまい--


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