1年2組・船越光男君の日記(1話) [戻る]
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 学園生活が始まって2ヶ月。
 最初はあまりの衝撃にこの教室にいる男子生徒全員がどよめいたのを、今でもハッキリ覚えていますが、さすがに毎日オリエンテーションにより女生徒達の事について勉強している為、最近は割と冷静に話を聞けるようになってきました。
 それでも、今日は僕をはじめとする男子生徒全員が、何処かそわそわしています。

 なぜなら、今日、いよいよ女子生徒達がこの教室にやってくるからなのです。

 入学試験の成績により女子生徒として選ばれた人たちは、僕らとは違う研修施設で2ヶ月間女子生徒になる為の練習を続けていたのです。そして、いよいよ今日からは共学として女子と男子が同じ教室で勉強する事になります。

 この学園では先生も着ぐるみなのですが、今日までは非常勤扱いの着ぐるみ先生として、かなり年配の天野弘樹先生と言うおじさんタイプの着ぐるみ先生が授業を担当していました。
 噂では、天野先生の中には美人の着ぐるみ先生が入っていると言う話しもあったのですが、実際見た事はなく、先生はあくまでも天野先生で居続けました。

 天野先生の呼吸システムは女性型と同じらしいですが、快感システム等は感度が弱く、必要最小限の範囲で設定されているそうで、そんなに辛くないと言っていました。
 それが今日からはいよいよ女子タイプの着ぐるみを間近で見る事になるのですから、みんなそわそわしないわけがありません。

 朝の挨拶の後、今日の簡単なスケジュール説明を終えると、天野先生はいよいよ女生徒達を呼ぶために教室を出て行きました。
 15分ぐらいすると、教室の外がにぎやかになり、大勢の人影がドアの磨りガラス越しに見えます。

ガラガラガラっ

 教室のドアが開くと、凄くスタイルが良く綺麗なスーツ姿の女性が先頭になって、後ろには学園の制服を着た女生徒が20人ぐらい、ずらずらと教室内に入ってきました。

「はーい、みなさん。静かにして下さいねー」

 スーツ姿の女性がざわつく教室内を静まらせようと声をかけます。

「こらーっ、武田君。うるさいぞ!」

 クラスで一番良く喋る武田君が先生に怒られています。

「?」

 武田君は初対面の女性に名前を言われた事に驚いたようです。そして、周りの生徒達もその事実にビックリしたようで、急に教室が静かになりました。

「あ、ごめんなさいね。私、この教室の担任で天野弘樹、こと、天野弘子です。やっと本当の姿で皆さんと会う事が出来ました。天野弘樹先生の中が、私だったの。私の中の人じゃなくて、私だったの。みんな、この意味分かるわよね?」

 なんと驚く事に、天野先生はやはり噂通りその中が女性型着ぐるみの先生だったのです。2ヶ月間、先生は男の先生の身体を纏って授業を行っていたのですね。
 女性タイプの身体の上から纏う事を考えると、股間呼吸システムは変えられないでしょうし、感度も緩めないと、とても身体が持たないのでしょうが、それにしてもこの2ヶ月、先生はかなり苦しかったに違いありません。
 なにしろ天野先生はずっとスーツ姿。つまりパンツルックだったのですから。
 女性用のスーツ程身体にフィットするスーツではないのでしょうから、女性用にありがちなピッタリしたパンツよりは楽なのでしょうが、それでも苦しいに違いありませんからね。

 そして、その男の姿の天野先生とはうって変わって、今の天野先生は一流の女優さんでも通じそうなぐらい大人っぽく、綺麗でスタイルもいい女性になっています。髪の毛はふわっとウェーブがかかっていてミドルヘア。
 瞳は大きくも小さくもなく、ちょっとキリリとした感じ。顔もシャープで、知的な感じです。
 そして、スタイルの良さを強調するように、身体の凹凸に沿うようにフィットしたグレーのタイトスーツに身を包んでいます。
 高すぎず低すぎないヒールの赤い靴に濃いベージュのパンストで足下を決め、本当に綺麗な女性になっています。

 この学園に来て、一度だけ体験した女子の着ぐるみでの出来事を覚えている為、先生にも興味津々なのですが、それ以上に気になるのが先生の後ろに並ぶ女生徒達です。

 順番に目視で数えると女生徒達は全員で18人。このクラスの男子が18人ですから丁度男女が同じ数になるようです。
 パッと見ただけですが、全員容姿は違うようで、しかも一目見て不細工と思える女生徒は1人もいません。
 表情は着ぐるみという事もあり、リアルな女性と言うよりはアニメキャラのフィギュア人形に近いのですが、ハッキリ言ってみんな可愛い。
 顔やスタイルは中に入る男子生徒が自分でデザインを選べるらしいのですが、それにしてもみな綺麗です。

「はい。それでは女生徒はみんな席について下さいね。これから名前を言いますから返事をして、指示された席について下さい。そこが自分の席になります。」
「はーい」

 先生の指示に女生徒達は返事をします。
 その後、先生が順番に名前を言って、女生徒が指示された空いている席に座っていきます。

 机は1つ1つ離れていて、席順はシンプルに男女が前後左右、交互に座るスタイルです。
 僕の左隣りは松田冴子さん。可愛らしいショートヘアで、目が少し明るいブラウンでクリクリしてて、まるでお人形さんのような(まぁお人形なんですが)女の子。
 右隣りは君嶋エリカさん。かなり明るく長いストレートの金髪で、目はエメラルドグリーン。外人さんのような容姿ですが一応ハーフの女の子と言う設定だそうです。そしてスタイルはもの凄くいいみたいです。
 前は安曇真理子さん。こちらは栗色のポニーテールで、目は明るいブルーで少し小さめ。松田さんが可愛いお人形さんなら、安曇さんはちょっとセクシーなお人形さんのようです。
 後ろに座るのは加藤愛里さん。眼鏡をかけていてヘアスタイルはツインテール。目は濃いめのブラウンで、ちょっと大人しそうな女の子です。

 女の子が席に着く時、みんな軽く周りに挨拶をしているのですが、確かにオリエンテーションで教わった通り、彼女達は口が声に合わせて動くようで、会話にあまり違和感がありません。

「よろしくね!」

 僕の前の席に座った安曇さんが僕に挨拶してくれるのですが、その透き通るような綺麗な声にはドキッとしました。

 みんなが席に着くと、早速通常の授業が始まるのですが、僕は女生徒達が気になって仕方ありません。
 特に目の前に座る安曇さんにはついつい目がいってしまいます。

 濃紺のブレザータイプの制服に身を包んでいる彼女の背中は、時々ピクリと何かに反応するような動きを見せたり、凄く深い呼吸をするような動きを見せたりしています。
 もちろん僕もオリエンテーションで色々な知識を身につけ、一度は体験もしたので、彼女たちの中で何が起こっているかという想像はつきます。
 自らが着ている服は、身体のセンサーを通して彼女の裏側にいる男子生徒を刺激しているはずでした。しかも椅子に座り、スカートに覆われた股間から呼吸をしているのです。
 慣れている先生ならともかく、1年生の彼女たちは、いくら練習を積んだとは言え、まだ2ヶ月しか彼女達の姿になっていないはずです。しかも今日は男子生徒達と初めて対面しているのです。
 そんな緊張感の中、女生徒として過ごしているわけですから、きっと彼女の中は凄い状態なのだと思うんです。
 たまたま目の前に座った安曇さんはヘアスタイルがポニーテールだった事もあり、うなじから首が丸見えです。
 でも、当然彼女の首には隙間やつなぎ目はなく、本物の女性のように髪の毛の生え際から制服の襟まで、首の皮膚が滑らかに繋がっています。
 彼女の中の呼吸は、あの顔の中からは出てくる事が出来ず、チューブを通して顔から遠い股間に導かれ、そこでやっと外界に達する事が出来るのです。しかも、彼女たちはしっかりと下着とスクールタイツを穿いているので呼吸はさらに籠もる事は間違いないはずです。

 目の前の安曇さんだけではなく、全ての女子生徒はそんな状況のはずなのです。
 チラリと横を見ると松田さんも君嶋さんも、笑顔のまま授業を受けていますが、あの笑顔の中でどれほどの我慢を強いられているのかと思うと、とても授業に集中出来ません。

 それでも授業を聞いてしっかり勉強して、次のテストでいい点を取れば、僕も彼女たちのような着ぐるみの中に入れるのだと自分に言い聞かせ、頑張って授業を聞く事にします。

 なんとか集中していたのですが、授業も半ばにさしかかる頃、後ろからつんつんと突くような感触を感じた僕は、ふと後ろを振り返ると、後ろの席に座っていた加藤さんが、僕にニュッと近づいて来て、耳打ちするようにささやきました。

「黒板の右から2番目の赤い丸で囲った部分にはなんて書いてあるの?」

 彼女はそう告げました。

 とっさだったので驚いた僕は、ちょっと慌てながらも書いてある文字を伝えてあげると、彼女は

「ありがとうね」

 と小声でお礼を言ってくれました。

 たったこれだけの事なのですが、彼女が間近で小声で話す時は、彼女の顔がかなり僕の顔にも接近していたので、ついついその顔の作りを見つめてしまいました。
 オリエンテーションで実体験もしたので、もちろん知っているのですが、実際に顔には隙間や穴らしい物は開いているようには見えません。
 素材が素材ですから、もし顔の表面に隙間があれば、近づいたら内側から漏れ出す呼気を感じるはずです。
 所が、そう言う気配は全くなく、呼吸音すら聞こえてこないのです。オリエンテーションで実体験するのは汎用の女子ボディーなのですが、
こうして綺麗に造形された本物を見ると、その魅力と、隙間無く存在する外見に、本当にドキドキします。
 前の席に座っている安曇さんの後ろ姿からも感じた事なのですが、やはり彼女たちの顔は完全に密閉状態で、顔や首の付近から内側の空気が漏れるような事はないのでしょう。
 元々凄く美形の顔を持った女の子達ですが、こうして間近みると、その可愛らしさには惚れ惚れします。
 加藤さんは大人しめなイメージの女の子に見えるのですが、それでも人形らしく整った顔立ちは、この中に同じ高校生のしかも同性が入っているとは思いたくない程可愛いです。

 ですが、確実に彼女の中には、僕と同じ物を股間に持ち、興奮状態を保ちながら加藤さんになりきっている生徒がいるのです。
 悔しいけど、これが成績の差ってヤツなんでしょうね。

 彼女を見ていると嫉妬心が沸いてきそうだったので、正面に向き直して授業を受けます。

 何とか集中しつつ、加藤さんの事を思い出していると、少し不思議な事を思いつきました。
 先程説明をお願いされた黒板の文字ですが、僕の目から見て、特に見にくい文字ではない事に気づいたのです。
 特別視力がいいわけでもない僕が、これだけ普通に見える文字ですから、後ろの席にいる人にとっても見えにくい文字とは思えません。
 確かに色つきの文字ですし、少々細かい気もしますが、これが見えないとすれば、例えば映画館で字幕が読めないと言うぐらいの視力だと思えてしまいます。
 もちろん加藤さんの視力もそんなに悪いわけではないでしょう。

 とすれば、何らかの事情であの字が読めなかったのだと思うのです。

 僕はその、何らかの事情を考え始めていました。
 オリエンテーションと実体験により得た知識では、着ぐるみ達の視界は「悪くない」程度と言えました。
 視野が限られる為、どうしても裸眼よりは見える範囲が狭いのですが、見た目ほどは悪くない。とは言え、やはり完璧ではなく、目の模様によって見にくい色や形は出てきそうでした。マジックミラー構造の目は、中から見てクリアに見えるわけではなく、目の模様が影響して、視界の色が変化したりするのです。
 つまり、多少明るいとは言え模様入りのサングラスの様な物を付けている状態なのです。

 しかも、顔は完全密封です。
 裏側の人は蒸し風呂のような空間に閉じこめられているわけですから、かなり湿気と熱が籠もり、それが視界を曇らせて邪魔する可能性だってあります。僕が体験したときは、あまりの興奮で状況を冷静に判断は出来ませんでしたが、一応着ぐるみの視界は、曇り止め加工されているようです。ですから、視界が完全に奪われると言う事は無いと思うのですが、もしかすると汗などが付着してしまい、そこだけ見にくくなっていると言う可能性は考えられました。
 そうなると、中にいる人が手を出せる場所ではないので、汗が乾くか流れ落ちるまで、見えない状態を続けるしか有りません。彼女たちの場合、視界の曇りを拭き取る事も、汗を拭う事も出来ないのです。

 なにしろ彼女たちは、彼女たちであり、中に人はいないのです。
 彼女たちの裏側で起こっている不具合は、全て包み隠された彼女達の中で、人知れずひっそりと処理されているはずで、それが外部にいる僕らに伝わる事は基本的に無いのです。

 ハッキリした理由は分からないのですが、恐らくは加藤さんの視界も、何らかの理由で見にくくなったのでしょう。
 彼女の見た目からは全く判断付かないどころか至って普通にしていたのですが、中の男子は拭えない汗と格闘しているのかも知れません。

 そんな想像をしていると、だんだん自分の息子に血が集まって来るのが分かりました。
 僕ら男子生徒は、授業中に息子が大きくなるのが見つかると、成績にマイナスの影響となるので、バレないように大きくするか、我慢する必要があり、凄く焦りました。
 授業への集中を自分に言い聞かせ、なんとかこの場をしのぎ切ると、ようやく授業が終わって休み時間となります。

 休み時間は、昨日までは男子ばかりだった教室に、女子達が来た事で雰囲気が明るくなるのかと思ったのですが、それは全く逆でした。
 男子は男子で、周りにいる女子達に興味があるのに声がかけられず、女子達も、初めて男子達から見られ、想像されているわけですから、緊張しているのが凄くよく分かります。
 男子は全員、着ぐるみの中の事情を理屈と体験で理解しているわけですから、見られている女子達の裏側にいる人達は、自分たちを想像している男子の目、に興奮しているかも知れませんね。

 ちょっとギクシャクしたままの休み時間も終了し、授業が再開すると、再び色々な妄想との戦いが始まってしまいます。
 確かにこの状況で真面目に授業を聞いて成績をアップ出来れば、かなりの集中力になるのでしょう。
 これがこの学園の教育プログラムの最も重要なポイントだという事はよく分かりました。

 でも、やはりこの状況での授業は辛いですね。これから先、何年もの間、この悩ましい環境で生活するのかと思うと早くもクラクラ来てしまいそうですが、多分女子達の中にいる人たちの方が、もっとツライ思いをしているのでしょう。
 そう考えるとこのぐらいで音を上げるわけにはいかないですよね。

 授業も一通り終わり、食事の時間になると、さらに凄い光景が待っていました。

 この学園では、昼食は学食で取るか、事前に申し込めば弁当を教室まで持ってきてくれますし、購買部でパンやおにぎりを買う事も出来ます。
 もちろん女子達もそう言う方法で食事を取る事が出来るのですが、その場合、女子生徒専用の流動型の食事を取る事になります。
 それ以外に、女子達は、専用の食堂で着ぐるみを脱いで通常食を食べる事も可能だと聞いていたのですが、女子達を見て
いると誰1人として専用食堂の方に足を向ける人はいませんでした。

 僕は弁当を申し込んであったので、それを教室の外で受け取ると自分の席について食事を始めるのですが、たまたま隣の席の君嶋さんも教室で食事を取るようで、女子生徒専用の食事パックを受け取っていました。

 食事パックも種類が豊富らしく毎食メニューを変える事が可能みたいです。
、500ミリペットボトルぐらいのサイズで、ゼリー飲料のような形状の容器に入った専用パックは、食べる口の部分がチューブになっていて、君嶋さんは自分の制服のお腹をゴソゴソとまさぐって、おへその辺りにあるという接続口と繋いでいました。
 恐らくシャツの隙間からチューブを繋いでいるのですが、その間も表情は一切変化しません。
 ですが、衣装の皺や締め付けに敏感な身体を持っているはずですから、ああ言う行為だって中の男子には楽な事ではないはずです。

 そのまま自分の食事をしながら君嶋さんの様子を伺っていると、食事パックがニューッと凹み始めます。
 あのパックの中に詰まった流動食が、今この瞬間、僕にとっては未知の世界である君嶋さんの身体の裏側に吸い込まれて行ってます。
 あのチューブの先のさらに奥には、こんな綺麗な女性に密閉されながら半日間過ごしている男子がいるのです。
 何度かチューブの動作が止まる時があるのは、中の男子が息継ぎをしているのか、あるいは休憩しながら食べているのでしょう。
 本来知る事の無い「中の男子の動作」が分かり、なんとなくドキドキしました。

 ふと気づくと、君嶋さんが僕の事に気づいたのか、こちらを向いて軽く小首をかしげて可愛らしく会釈してくれました。

「どうかしたの?」

 君嶋さんの質問にドキドキします。

「い・・いや、食事が気になっちゃって。」

 僕は正直に答えます。

「あっ、そっかー。男の子達、私達の食事見るの初めてだもんねー」

 彼女は何気なく答えているようですが、彼女の裏側だって僕と同じ「男の子」のはずです。
 何というか、圧倒的な差を感じずにはいられませんでした。
 会話をしながらも彼女の食事パックの中身が減っていくのは分かりました。喋っているとはいっても、彼女達の場合、脳で考えた言葉を機械が発音しているので、本当の口は食べ物を取り込む事に使えるのです。

 僕のドギマギした姿がどう見えているのかは分かりませんが、彼女は楽しそうです。


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