「1.配送」 [戻る]
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着ぐる寝の常習犯だから仕方ないねと。

睡眠導入剤をちらつかせながら笑った。

体育座りのポーズで大きな袋に入れて、プチプチのマットでくるみ、テープで包装していく。

目覚めても動けないぐらいに固定したところで、段ボールに入れて、緩衝材を隙間なく詰め込む。

ビニテで巻くのに比べれば、造作のない作業だ。

しかし、それ以上に巻かれる事に慣れてしまった人形が、この環境に気づいたとき、どう思うだろうか。

まさにこうした人形そのものが、人形らしく、製品らしくなることは、繭の如き塊が蠢くのとは異なる感動を覚える。


気持ちを新たに箱をワゴン車の荷台に載せる。

路地を抜け、幹線道路に入り、郊外から高速に乗る。

連休中のサービスエリアは行楽客も多い。

一番店に近い駐車場に停めた。

静かになった車内には、子供の声や背後を走り抜ける車の音が、遠く反響しているだろう。

ここで、別のドライバー二人と合流し、運転を交代してもらう。

仕事で少し抜けなければならないからと荷物の運搬をお願いしたのだ。

彼らは荷物が何であるかを知らないし、そして荷物は彼らと面識はない。

さすがに薬はこのあたりで効き目がなくなっているだろうし、あまり静かな運転をする二人ではないから、起きないはずはないだろう。


家主はそれが何かを知っているが、じらすということの面白さもまた知っている。

私は自分の興奮を収めるのに十分な時間を空けてから家へと向かう。


ふたを開けても、暫くはそのままにしようと思う。

きっと、緩衝材がざわめくのを見られるだろうから。


袋から出しても、脱がしはしないだろう。

そのまま送り返すからだ。


家主が同じ薬を持っていることを私は知っている。

明日はどこに何が届くのだろうか。


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