手品が趣味なせいで羨ましい着ぐるみに嫉妬してしまう件(5話) [戻る]
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まさかの仁美ちゃんの中身が堀川君だった事実に衝撃を受ける僕。

あんなにも羨ましい世界を独占してる役者さんが彼だったんです。
確かに彼のマジックは上手でしたから、ああいう着ぐるみに入ってマジックを演じる資格はあったのかもしれませんが、それにしてもあんな可愛い仁美ちゃんに入って日々人知れずイキ続けてる。
メールによれば、勿体ないから最近は外でオナニーはせず、全部彼女の中で出している。
そんな羨ましい事をしてる彼のサポートを僕がしなければいけない、と言うのは屈辱でしかないと思いました。

その日から、次の仕事の日までとても悩みました。
もうこの仕事から降りようか、と。
でも、結局続ける事にしたのはシミュレータです。あれを使える、と言うのは様々な精神的苦痛に耐えてでも欲しい権利なんです。
ですので、その日以降もとても羨ましいと感じる仁美ちゃんの中に入る堀川君を献身的にサポートするスタッフとしての仕事を続けました。

シミュレータの方は以前は週一しか使えなかったのですが、どうやら堀川君が色々手配してくれたらしく、週に三回使えるようになったんですよね。
それによって少しは経験値も得られて徐々にレベルを上げる事には成功しているのですが、レベルを上げる程、本番で着ぐるみに入ってる人達の凄さを思い知ります。
たった一枚布を足した衣装にするたげで性的な刺激がとても複雑になり、耐える事も難しくなってしまうんです。
レベルが上がると感度も上がり、かつ、衣装も複雑で感じやすい物が選択される事になります。
また、指示される演技プランも、その行動が性的な攻めになるような事ばかりになってきて、ただただ気持ち良くて女の子を演技する余裕なんて全くなくなります。
その上どれ程苦しくてもスカートをめくるような事は出来ませんし、肩で息をするような事も極力減らさないと点数は出ないんです。
フリフリな衣装を着て、お客さんの前を歩きながら手を振って愛想を振りまく、と言うだけのプログラムですら、一歩一歩歩きながら中で彼女の素股に扱かれ続け、それでもしゃがむ事はもちろん、腰を反応させる事も減点になりますし、手を振った結果腕の振りが胸の揺れを誘発してても、手を止めると減点になる。
フリフリ衣装の生地も地味にタイトでしかも引っ張りシワが生まれる素材。つまり動けば自動的にそういう攻めも生まれる訳です。
もし寝そべってただこの快楽を受けていればいいのであれば、最上級のオナホで攻められるより遥かに気持ちいいこの快感に身を委ねたいぐらいなのですが、問題はこの攻めを受けながら、周囲にはそうだと悟られないように、美少女を演じる、と言うところ。

快楽地獄、呼吸制限地獄、と言うのはまさにこの中です。

こんな苦しくて気持ちいい中で何時間も美少女として普通に振る舞っているように見える役者さんは、確かに選ばれた人達なんだな、と言う認識を持ってしまいます。

でも、そんな一人に堀川君がいる。
彼は日々、仁美ちゃんに入って、恐らくは僕がシミュレータで受けている攻めの、何倍もの気持ち良くて苦しい攻めに耐えている。
こういう事に興味も無ければ、それは大変だから手厚くサポートしてあげよう、と言う気にもなるのでしょうが、僕は全くそんな気になれません。
むしろ仁美ちゃんの中に入る堀川君が羨ましくて仕方ないんです。
仕事中に見せる仁美ちゃんの些細な反応も、裏で堀川君が受けている攻めの結果なのか、それとも単なる偶然なのか、考えてしまうようになりました。
本当は大した事がないかもしれない反応も、裏を読み過ぎて、実はとんでもなく気持ちいい事の結果なのかも、と勘繰るようになってしまいました。

それと、毎回仕事の後はその日の出来事をメールしてくるようになりました。
あの時は苦しかったとかあの時は気持ち良くてイッてしまったとか。そんな感想見せられても羨ましいだけなのですが、彼の機嫌を損ねてシミュレータを使わせてもらえなくなったりしたら悲しいので、黙って受け取っています。
見なきゃいいのに、つい見てしまい、結果として悶々としてしまうんですよね。

中でも最近一番羨ましいと思ったのは、彼も僕も知ってる有名なアイドルがホビー21取材でマジックコーナーに寄り道した時に、仁美ちゃんのレオタードにペンでサインを描いて、仁美ちゃんが瞬間移動するマジックをした時です。彼女が一回間違って、マジックで失敗したサインを塗りつぶしたせいで、左右に描くことになり、つまり彼女のペンの攻めを長い時間仁美ちゃんとして受け続けたその体験談は、あまりにも羨ましくて本当に嫉妬しました。
ペン先の気持ちいい攻めを今でも時々思い出して興奮してると言うフレーズは、実際に中に入っていなければ分からない事なので、本当に羨ましかったです。

まぁでも仮に僕があの中に入れと言われても、とてもじゃないけどあの快楽に耐えられる気がしません。
堀川君はあの快楽に耐えたうえでマジックまで披露しているのですから、それはやはり特別な技能なんだと思いました。

そんな感じで日々、堀川君を羨みつつ仕事をし、時々シミュレータを使って疑似的に着ぐるみの中を体験している感じです。
僕がシミュレータを使える時間って言うのは、だいたい仕事の後のタイミングになるんですが、時々欲を出して、レベルの高い実践的プログラムをやってみようかなと言う気持ちになるんですよね。
仕事の後ってだいたい散々羨ましい行為を見せられ続けていた後なので、物凄く悶々としてるんです。
ですので凄く気持ちいい設定を体験しようか、と。
でも毎回それは心の中で留めて、ちゃんと順番にプログラムをこなす様にしていました。
何故って?

確かに、多分上位レベルのプログラムを実施すると、相当気持ちいい世界を体感できるはずです。
中には本当にプロの役者さんが使う訓練プログラムもあるので、それを選べば、疑似的にではあるけれど、本番用の着ぐるみと同等の世界を体験できる。
ですが、それをしてしまうと言う事は、多分僕の今の技術では過剰で、結果としてほぼ何も出来ないまま、ただただイクだけで終わってしまう気がするんです。
むしろ自分のレベルに合った設定でシミュレーションプログラムを体験する事で、より長時間、じっくりと、何度も中でイク事が出来るので、その方が結果的に楽しめる気がしたんです。

ですので、この日もいつものレベル設定でシミュレーションを開始すべく、シミュレータに埋まりました。
各所チェックを終えて、指先のジェスチャーでOKやNGを組み合わせて機能選択をし、いよいよ実行しようかと思ったその時、急に今まで見た事のないプログラムが起動してしまいます。
シミュレーションコードHITOMI・シチュエーションコード31
そう表示され、なんだこれは?と考えていると、いきなりシミュレーションが始まります。

今まで自分が体験したシミュレーションでは、だいたい衣装の着付けからスタートして、指示されたミッションをこなして行く感じのスタイルでしたが、このシミュレーションではスタートから体感的に衣装を着ている事が認識でしました。
しかも相当に気持ちいい衣装なので、最初からいきなり気持ち良くてイキそうになります。
呼吸も苦しく、今すぐマスクを取りたいぐらいに感じてしまいました。
ふと振り返って鏡を見ると、そこに写っていた自分に驚くことになります。

「ひ・・仁美ちゃん・・・」

心の中でそうつぶやきます。
そう。このシミュレーションは仁美ちゃんの着ぐるみのシミュレーションだったのです。
彼女の来ているスーツの感じも鏡越しに良く見えます。
タイトで窮屈そうなスーツをまとっているグラマラスな身体が良く見えます。
そしてその感触は余すことなく僕のおちんちんを攻めてくるんです。
殆ど動いてないのにあっと言う間にイキたなくった理由はこれでした。

こんなにエッチっぽい身体つきの上からこんなに女性を意識させながらタイトに締め付ける衣装をまとっているのですから、それは各所の些細な感触すら耐え難い攻めに変わるんです。呼吸する事すらお腹のわずかな動きがおちんちんを甘噛みのように柔らかくぎゅっぎゅっと攻めてくる。
気持ち良くて思わず両足をもじもじと内股気味に擦らせようとすると、ショーツらしき股間にフィットした生地が複雑なシワを作っておちんちんをそのシワがなぞる様な攻めを伝えます。

「んぁっ・・」

声が漏れそうになるのを必死に堪え、でも思わず腰をククッと引いてしまうと、今度は軽く「く」の字に曲がった腰の作るタイトスカートの前ジワが、おちんちんを優しく攻めます。
更に多少前かがみになってしまったことで、大きな胸が重力によって下に引っ張られ、窮屈なジャケットに締め付けられる感覚も味わう事になります。
たったこれだけの些細な動作でも、こんなにもトロけるような快感を味わう事になってしまうのです。
気持ち良くて呼吸が激しくなっても、どんどん呼吸が苦しくなるのが分かるんですよ。
多分これってショーツ代わりにレオタードを着ていて、内側に湿気を吸う素材を使っている、と言う事も再現しているんでしょう。
確かに息は出来るのですが、ものすごく一生懸命に呼吸しないと必要な酸素が吸えないですし、吸えば吸う程スカートの中のタイツやレオータド、あるいはスカートの裏地のものらしい匂いが伝わってきて、より興奮してしまいます。

そうか。堀川君は毎回こんな世界に入ってるんだ、と改めて驚きます。
ほぼ何も出来てない段階で、もう僕はすっかりイク寸前に追い込まれているのです。
こんな状態でマジックなんて出来やしない、と思える程に、気持ち良くて手先に意識が集中出来ないんです。
でも、シミュレーションプログラムはここでトランプのマジックを披露するように指示してきます。
近くにはテーブルがあって、そこに確かにトランプが乗っているのも分かります。

距離にして数歩歩くだけなのですが、その距離が物凄く遠く感じたのは事実でした。
一歩、また一歩、自分が密閉されている美少女と、その着衣が生み出すあまりにも性的な気持ち良さに、その一歩一歩を覚悟を決めてテーブルに近づいていくのでした。

外から見ているとまるで何も感じていないかのような普通の移動であっても、中ではこれだけの攻めが続くのです。
いつもいつも堀川君は、こんな世界を体験しながらみんなの前でマジックを披露している。
それがとても羨ましかったです。
でも、実際にこうして体験してみると、自分にはとても無理だと感じてしまう。羨ましいと思いながらも自分には無理だと言う絶望しかない感じでした。

何とかテーブル前に辿り着いて、カードに手を伸ばすと、テーブルが少し低いせいでまた前かがみ気味に。
タイトスカートの前ジワも、胸の重みと衣類の締め付けも、再びトロけそうな程気持ち良くて、思わず腰をくねらせてしまいます。
すかさずシステムがその動きを検知して減点を出すのですが、そんな事を言われても、この気持ち良さにただ耐える事が出来る人なんて、世の中に本当に存在するのか?と思える程に気持ちいいのです。

何とかテーブルからカードを取り、箱から出すと、トランプを切ろうとするのですが、生地が殆ど伸縮しない上にタイトなジャケットのせいで腕の動きがかなり切なく胸に伝わるんですよ。
正直、たかがこんな事でもこんなに感じてるのか?って疑問に思える程に些細な事でも刺激としておちんちんを刺激してくるんですよ。
これでマジックを披露するって、どれだけ過酷なんだ、と思える程に。

でも何とか簡単なカードマジックをやってみます。観客は居ないので、一人二役的に、自分でカードを選んで確認して戻し、手順に従って再びカードを切って、その一手一手が胸を揺らし、そのさまざまな変化が複雑な刺激として下半身に伝わる。
シミュレータだから、多少ぎこちない手順でも上手くカードを裁けてしまうのですが、これは実際にやったら感じすぎて多分手元が全くおぼつか無い事になりそうだと思いながらも、なんとかマジックを1つクリアしてポイントを獲得。

その後も、本当にへっぴり腰になりながらもなんか指示をこなして行き、気付くと30分ほどが経過していました。
今までなら30分あれば1度は確実に果てていましたし、場合によっては2度目と言う事もあったのに、です。
でも今までより感じない訳では無いんです。むしろ性的な快感は今の方がずっと強い。でもなかなかイクまで辿り着かない。

この状況が、もしかすると快感制御システムの凄さなのかな、と思いました。
今にもイキそうなのにイケない。イキたくて仕方ないのにイカせて貰えない。苦しい。熱い。いっそ股間をまさぐって直接性的な刺激を与えてしまいたい。
そんな風に思える程、寸止めの快感が切なくて苦しい。
それにしても、なぜ30分も耐えられているのか自分でも不思議ではありました。

結局、プログラム中にあった、お客さんにおっぱいを揉まれるハプニングの時に果ててしまったのですが、それはトータル1時間ぐらいのシミュレーションの最後の方でした。
溜まりに溜まった白濁の液がどくどく放出される気持ち良さは、今まで味わったことが無いほどの快楽でした。
思わずその場でしゃがんで減点される程の気持ち良さでしたが、寸止めされ続けた後にイクとこんなにも気持ちいいのかと実感しました。

そんなシミュレーションプログラムが終了したのは、それから30分ぐらい経過しての事でした。
多分ベテランが普通にやったら30分もかからないプログラムでしたが、トータル1時間半はかかってしまいました。
シミュレータの蓋が空いて僕の拘束が解かれると、気持ち良すぎて足もふら付いてしまうほど。呼吸も絶え絶えと言う感じでした。
さっさとシミュレーターのクリーニングボタンを押して、シャワーを浴びよう、と思ってふとシミュレータの脇に誰かが立っているのに気づきます。
それは丁度、シミュレータの設定を変更するコンソールの辺り。

「ひ・・・仁美ちゃん・・・」

さっきシミュレータで体験した仁美ちゃんが立っていたのです。

「え・・ど・・・どういう事?」

事態が呑み込めず狼狽える僕。
仁美ちゃんは、僕のおちんちんを指さしながら恥ずかしそうにしています。
女の子に裸の状態でおちんちんを見られてる、と言う事なのでしょう。
一瞬物凄く恥ずかしい気がしたのですが、でもよく考えたら彼女の中身は堀川君です。つまり男ですから風呂場で裸を見てるのと何も変わらない筈なのです。
でも、こうして仁美ちゃんの姿で照れたしぐさをされると、とても恥ずかしい事をしている気になってしまいます。

慌ててシャワーを浴び、着替えて出て行くと、仁美ちゃんが可愛らしく手を振って出迎えてくれました。

「何で・・・ここにいるの?」

素朴な疑問をぶつける僕。
仁美ちゃんは少し困ったような仕草をしたのち、シミュレータのコンソールを操作するジェスチャーをします。

「コンソールを操作してたの?」

頷く仁美ちゃん

「って、今日って6時間勤務だったんでしょ?」

更に頷く仁美ちゃん

「そのあと、なんだかんだでもう2時間経過してるよね?」

ウンウンと頷く仁美ちゃん

「そろそろ出てこないとダメなんじゃないの?」

着ぐるみの構造上、中の人が何度もイッてそれ以上勃たなくなると、様々な機能が停止し内部環境が悪化し、結果として中に入り続けるのが困難になるのです。
それを分かっているから突っ込んでみる僕。
仁美ちゃんはそれでもオーケーサインを作って、大丈夫アピールをしています。

「で、、でも本当に大丈夫なの?」

仁美ちゃんは腕組みしてウーンと悩むポーズをします。しっかりとバストを腕で持ち上げるようにしている辺りになんとなく腹が立ちますが、その後、ひらめいたようで、コンソールのキーボードを使って何かを打ち始めます。

「なるほど。筆談か」

仁美ちゃんはコンソールの設定入力画面にあるコメント欄に、筆談用の言葉を入力し始めました。

「今日はすっごく我慢したからまだ大丈夫。体験してみて分かったでしょ?制御がしっかりしてるから結構我慢できるのよ」

なるほど。確かに僕がいきなり1時間耐えられた訳ですから、彼女からしてみたら余裕と言うわけですね。
でもおかしいです。平均的には1時間に1度はイクと言われているのです。
つまり僕は最初から平均に届いている。確かに演技は全然だめだとは言え、イク事だけは耐えられている。
なんか矛盾している気がしました。

「でも、それはおかしいよ。まだ初級のコースですら30分程度で我慢できなくてイクのに、これは1時間も耐えられてる。いくら制御が凄くてもそんなに急に伸びるとは思えないんだよね。それに、僕が1時間耐えられていたのだとしたら、もっとベテランの人たちは、1時間平均でイクとも思えない。もっと長い時間我慢できるのが普通なんじゃないの?」

率直な疑問をぶつけたところ、仁美ちゃんは手招きしてモニター画面を見るように言いました。

「ん? これはさっきのシミュレーションの設定?」

頷く仁美ちゃん。

「レベル5。これってみんなの使ってる設定って事だよね?」

更に頷く仁美ちゃん。
そしてコンソールを操作して、初級の僕がテストしていたシミュレータの設定を開きます。

「レベル2。うん。自分で設定をそうしたから。2だね」

僕がそう言うと、仁美ちゃんは首を横に振り、更に設定の詳細を表示させます。

「倍率3.0」

倍率3.0と言う言葉にウンウン頷く仁美ちゃん。

「これ、どういう意味?」

僕の疑問に仁美ちゃんがキー入力で答えます。

「レベルに倍率を掛けた値が実際の感度。私がちょっとずつ内緒で増やしました」
「えっ・・・」
「だから、君はいつの間にか本番より感じやすい設定で初級を体験していたんだよ」
「そんな・・」

言われてみれば思い当たると言うか、いつまで経っても耐えきれないでイク事になり、自分の能力の無さに落ち込んだりもしました。
けれど、いつのまにか本番より感じやすい設定にされていたわけです。

「なんで・・・」
「紀平さんにお願いされて」
「何故・・紀平さんはそんな面倒なことを・・・」
「うーん、それは分かんない。でも、これからは本番設定のシミュレーションを遊べるようになるって事ですから」
「確かにそうだけど・・・」

まぁ確かに彼女の言う通り、相当悶えさせられたとはいえ、これからはもっと上級のシミュレーションを試せる事にはなります。
さっき体験したような維持の悪い攻めを体験できるようになったと言うのは割と興奮できることではありました。
そして実際股間は膨らんでしまっていました。
彼女が僕の股間を指さします。

「あ・・・・いや、まぁ」

恥ずかしそうにする仁美ちゃん。

「っ、、て言うか、その姿でそういう態度はずるいと思うよ・・」

そう。相手は仁美ちゃんに完全密封された状態。確実に今の僕より見事な興奮状態にある筈なのに、僕からは一切見せる事は無く、ただただ素敵な仁美ちゃんとして存在しているんです。
こうして素を晒し続ける僕からはその中身は全く見えないのに、中からは僕が丸々見えている。仁美ちゃんのリアクションは中に入っている堀川君のリアクション。それを思うその態度が羨ましいやら悔しいやら。

そんな僕に仁美ちゃんは頭をよしよししてくれます。
でも、その手を振り払う僕。

「いいって。もう」

少しだけシュンとする仁美ちゃん。

「って言うか何で仁美ちゃんがここにいて、僕のシミュレーションを変更したの? 僕にあの体験をさせて、仁美ちゃんの中身を疑似体験させた理由は何なの? もしかして、仁美ちゃんの中身をもっと想像しやすくして沢山嫉妬させる為なの?」

追い打ちをかけるようにちょっと嫌味を交えて仁美ちゃんを問い詰める僕。
少し考えるようなポーズをして、再び筆談を始めます。

「その事についてはこの後紀平さんから説明があるので、ちょっとだけ待っててほしいかな」
「紀平さんから説明? って事はつまり紀平さんが僕に意地悪するように仕向けたって事?」

僕の問い詰めるような言葉にプルプル首を横に振る仁美ちゃん。
そんな様子を見ていたかのように、絶妙なタイミングで部屋のドアが開き、紀平さんがシミュレーションルームに入ってきます。

「き・・紀平さん・・・」
「なんか外から君の声が聞こえたので入ってきたよ」
「仁美ちゃんから聞いたんですけど、僕のシミュレーション設定をわざわざ変えてたみたいですよね? 何故そんな事するんですか? せっかく長時間耐えられるようになって来たと思っても、設定がキツくなってくるから結局時間が伸びないままだったんですよ。時間内なら自分の設定で楽しませてくれると思っていたのに」
「あぁ。それについてはちょうど今日、説明するつもりだったんだ」
「説明?」
「そう。確かに君のシミュレータの設定を弄る指示をしたのは私だ。何故かと言うと、君には本番設定に耐えるレベルになって貰う必要があったからだ」
「本番レベル?」
「そうだ。簡単に言うと、今計画中で、次に予定されている仁美の演目には、仁美が2人必要になる」
「2人・・・」
「本来、ホビー21では1人のキャラクターに専任の演者が入る事になっているが、特別な事情があれば1人のキャラクターを何人かで演じる事はあり得る」
「なるほど」
「もちろんホビー21の役者の中でやりくり出来るものなら、特に問題は無いのだけれど、仁美はマジックを披露する」
「はぁ」
「マジックを披露すると言うのは、経験ない人には簡単には出来ないんだよ」
「ま、まぁそうですよね。結構地道に練習が必要でしょうから」
「そう。なので、もう1人、仁美の中に入れる人を探すことになった」
「なるほど」

僕が普通に相槌を売っている様子を見て、仁美が筆談で僕に言います。

「まだ気づかないの?」
「気づかないって・・何が?」

この言葉に少しだけヤレヤレと言う雰囲気の紀平さんと仁美。

「君は今、仁美のシミュレーションをしたんだよね?」
「そう言う設定にされちゃいましたから、結果的にそう言う事ですね」
「つまりシミュレーション上は、君は仁美に入れた訳だ」

僕は、ここまで言われてピンと来てしまいました。

「って、、まさか・・・」
「やっと察したか」

再びヤレヤレと言う顔をする紀平さん。

「そう。つまり君は今後仁美に入る訓練をしてもらい、しかるべきタイミングで、マジックコーナーで二人の仁美を使った大掛かりなマジックを披露してもらう事になる」
「もらう事になる・・って」
「拒否してもいいが、君はシミュレータを使いたいんだろ?」
「ま・・まぁ」
「じゃあ拒否は出来ないよね?」
「くっ・・・」

完全に仕組まれていました。


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