お嬢様物語:核心(5話) [戻る]
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「スタート!」

 梶原の一言でいよいよゲームがスタートする。

『キャッ』
『ま・・マナちゃん!』
『くっ・・』
『・・こらっ』

 2人は絡み合うようにしてその場で互いをまさぐり合う。すると見ている着太郎ですら顔を真っ赤にして照れる程、次第に互いの服装が乱れていく。

「か・・かじポンさんは良く平気で見ていられますね・・」

 この光景を人ごとのように見ている梶原に感心する着太郎。

「え?ああ。私は既に何度も果ててるからなぁ。要するに精根尽き果てているって事かな。」

 笑いながら言う梶原。
 そう。梶原も、ほんのさっきまではマユの中で着太郎を弄び、自身ももの凄い状態に耐え続けていたのだ。
 そう考えれば、さすがの梶原もそんなに簡単に興奮しない状態と言うのも頷けた。

 着太郎が梶原の答えに納得している頃、2人の美少女の戦いは徐々にマナ優勢に傾きつつあった。
 冷静に考えれば当たり前なのだが、マナは、既にマナのみを着ている状態だが、実はマオは、自分自身の着ぐるみを着て、2重にマオを着込んでいる状態なのである。その為、身体の感度はマナより上であり、抵抗したくも身体が言う事を効いてくれないのである。
 その結果、マナが倒れ込んだマオの身体上に乗っかって、マナに優位な位置になったのだ。

『ま・・マオちゃん・・お願い許して。』
『だーめ。お嬢様のお願いでも。勝負ですから容赦しませーん。』

 マオの願いを無視し、マオの身体を弄ぶマナ。実はマナはこの時、マオのスクール水着の右胸のカップの隙間にハンカチがあることに気づいていた。
 しかも無防備にシャツがはだけているので、取る気になれば簡単にハンカチを奪うことも出来る状態だった。
 だが、マナはわざと、マオの違う場所を探して戦意を喪失させていく。
 マナが座り込んだ場所は、ちょうど真下に浅川の息子が固定されている位置である。そのことも分かっているマオは、わざと腰を動かして自らのお尻でマナの下腹部をこすりつけるように動く。

 その一部始終の行動は、梶原や着太郎にもしっかり見えているし、今は着太郎もほぼ全ての事情を理解している。
 その為、その行動が着太郎に与える興奮は、相当な物だった。

 そして何より、一番辛いのはマオの中にいて責められている浅川自身である。
 マオとしての行動を演じながら、今まで蓄積された責め苦と、マナからの責め苦を受け、必死だったのだ。

 結局この責めは5分程で決着が付く。

 マナがハンカチを取って勝負有りだ。

『とったよー』

 マナが高々と手に取ったハンカチを掲げる。

「はーい。ゲームオーバーね。じゃあ約束通り、マナちゃんはこれで出てきてもいいよ。」

『やったー。お嬢様、ごめんなさいね。』

 嬉しそうに言ったマナは、ハンカチを床に置き、さっさと隣の部屋に出て行ってしまう。

『私は・・やっぱり戻れないのよね?』

 マオが恐る恐る聞いてみる。

「苦しい?」

 梶原の質問に頷くマオ。

「どう苦しいの?外からじゃ分からないから教えてよ。」

 意地悪な梶原の質問。

『ど・・どうって言われても・・』

「蒸し暑いお人形さんの中で、長時間締め付けられながら、無理矢理快感を与え続けられ、呼吸が苦しくても入ってくる空気は股間のスリットから下着やスカートを通してやってくる蒸れた空気だけ。逃れたくても逃れられないこの空間が苦しいってこと?」

 恥ずかしそうに頷くマオ。

「でも、マオちゃんの中にいるあなたは、そう言う空間が好きだったんだよね?」

 再びゆっくり頷くマオ。

「じゃあ、やっぱりもうちょっと頑張ってよ。僕の予想だと、多分苦しいと言うより身体が疼いて仕方がないって言うのが本音なんだと思うし?」

『そ・・そんなぁ・・』

「男4人で話をするより、可愛いお嬢様が1人いる方が楽しいでしょ?」

 梶原の意地悪な提案に為す術がないマオ。

「さ。そんな事より、はだけた洋服を着替えようよ。お嬢様なんだから最後はやっぱりお嬢様のドレスでしょ。」

 梶原はそう言って席を立つと、クローゼットを開け、中からお嬢様用のドレスを取り出す。
 このドレスは、プロジェクトKの最初にマオが着た物である。
 光沢のある薄い黄色の素材がかなりピタリと身体を覆い、露出も少なめである。

『ホントにこれを着るの?』

 マオは梶原に尋ねる。

「もちろん。」

 無情な梶原の言葉に、渋々納得するマオ。もちろんマオの中にいる浅川は、ただでさえ苦しい今、この衣装を着込んでおすまし姿を演じる事を考えると、気が遠くなった。
 だがマオは制服を脱ぎ始める。
 別に覚悟を決めたというわけではない。実はこんな状態になっている浅川自身も、目の前に提示されたこの衣装を着込んでみたいと言う欲求があったのだ。

 制服を脱ぎ、体操服を脱ぐと、スクール水着一枚となる。発育のいいマオの身体にフィットしたスクール水着の怪しい姿が、かなり興奮を煽る。
 そのまま水着を脱ぎにかかろうとしたマオを梶原が止める。

「あ、ダメダメ。水着は着たまま。」
『え!?何故ですの?』
「ドレス用の下着が無いんだよ。だからそのまま着込んでよ。」
『そ・・そんなぁ・・』

 水着のままというのは、実は結構辛い。下着より遙かに厚い生地で作られているだけに通気性が悪いうえ、サイズが小さいのでピチピチしてて、これだけでも結構気持ちよくなってしまう物なのである。
 短期間であれば問題ないのだが、これだけ長時間となると、その水着を脱ぐことが出来ないと言うのは、見た目以上に結構辛いのだ。

 でもマオはウンウンと頷いてドレスを着ようとする。

「あ、その前にこのカラータイツね。」

 ドレスの色に合わせた薄い黄色のカラータイツを手渡す梶原。
 マオはタイツを受け取ると手慣れた手つきで穿く。一見するとそれだけの光景だが、マオの中で浅川はこのタイツのサポート力の強さをしっかりと感じ取っていた。
 ウエストまで引き上げた時の下腹部を締め付けるようなサポート力は、思わず目を瞑って耐えてしまった程気持ちよかった。

 さすがにそこまで事情をわかっていない着太郎は、その光景を何の不思議もなく眺めている。

 タイツを着たマオは、いよいよドレスを着る。背中のファスナーを梶原に閉めて貰うと、上半身がかなりピッタリとフィットして、光沢のあるドレスが嫌らしく身体の凹凸を演出している。
 一気に気持ちよさと蒸し暑さの増す浅川。
 だが、マオは平気な顔をしている。

『これでいいわね。』
「うん。上出来上出来。」

 梶原がOKを出すと、ちょうど着替えが終わった田端が部屋に戻ってきた。
 小脇にはマナの抜け殻をしっかり抱え込んでいる。

「ふう。お疲れ様。おっ、マオちゃんすっかりお嬢様に戻って。相変わらず美人だねー。」

 冷やかすように言う田端。
 外の世界に舞い戻り、解放された清々しい田端に内心ムッとしながらも、お嬢様で居続ける浅川。

「おー、戻ってきた戻ってきた。お疲れさん。」

 戻って田端をねぎらう梶原。

「こ・・こちらは?」

 マナの中身であると言うこと以外、彼が誰だかよく分かっていない着太郎。

「あ、紹介しましょう。マナの役をやってくれていた田端さんです。ホントは着太郎さんの事も知ってるはずなんでよね?」
「ええ。僕、一回イベントでお会いして挨拶したんですよ。それっきりだったんであんまり覚えてないでしょうけど。」
「え?ホントですか?いやぁ、全然覚えてないかも・・すみません・・」

 着太郎は恐縮する。

「いやいや。そのおかげで着太郎さんからの電話を受けたり出来たので助かりましたよ。声でバレたらマズいですから。」

 笑いながら言う田端。
 こうして田端の紹介が軽く済んだ所で、本題に映る。

「えーと、では次のターゲットのミツルさんを取り込む作戦を考えましょう。」

 梶原のかけ声で、着太郎、田端、そしてマオが円を組むように座り、ミニ会議が始まる。
 会議自体は真面目に行われ、マオもマオとしての意見を求められるとしっかりと意見を述べていた。

 だが、それはもちろん演技である。座り込んでいるとスカートの中に籠もる呼気ももの凄く、しかも長時間マオに苛められ続けている浅川に取っては、かなり辛い状態であった。
 後で脱いだら3人をとっちめてやろうと思っているぐらい腹も立っていた。
 ただ、腹は立っていたのだが、不思議と自らみんなの許可もないまま脱いでしまおうとまでは思わなかった。
 まるで、心の奥底ではこの堪らない空間に身を置けている自分を楽しんでいるかのようである。

 そんな中、会議が一通り終わる。
 おおよそのスケジュールや作戦を決め、着太郎にも早くマミに慣れて貰う為に、自主練習もおこなって貰うことになっていた。
 ここでようやく解放されるのかと思った浅川だが、そう簡単には事が運ばない。

「さて、じゃあまあ、一通り決まったことだし、少し遊びますか?」

 梶原が切り出す。

「遊び?」

 田端が聞く。

「そう。トランプでもしようかなって。ババ抜きとかね。」
「ババ抜き?!」
「それってマオちゃんが有利じゃん。表情を読めないし。」
「まぁまぁ、そう焦らずに。」

 3人の会話を聞きながら、何故かトランプに参加させられることになっている自分に気づく浅川。まだ脱ぐなと言う事なのか。

「これこれ。」

 梶原が何か機械を取り出す。

「あ、これ、さっきの?」

 田端は気づく。

「そうそう。ローターのリモコン。マオちゃんはまだ水着着込んだままだから、ローターも付けっぱなしでしょ?これをONにしてローターの数を1台に設定すれば、マオちゃんのローターだけがONかOFFになる。しかもONの時は今まで通り3段階の強弱がある。」
「なるほど。これで悶えるマオちゃんを楽しみながらのトランプって事か。」

 梶原と田端の言葉を聞きながら悶々とする着太郎。

『そ・・それをONにするの?』

 だが、その横でもっと焦りを感じていたのはマオである。いや、マオの中にいる浅川という方が正しいか。

「うん。お人形さんは感じない物だし、お嬢様としてはあんまり嫌らしい事は出来ないよね?」
『そ・・そうね。』

 梶原の意地悪だと分かっていても、Noと言えないのは、お人形の宿命である。

「じゃあ、ONするから、あとはトランプ頑張りましょう。」

 こう言って梶原は無情にもスイッチを入れてしまう。
 この後、マオに何が起こっていたのかは浅川以外誰にも分からないが、1時間ぐらい普通にトランプで遊んでいた。
 上半身をピッタリしたドレスで覆われ、下半身はフワフワスカートに外気を遮られ、しかも気が遠くなる程気持ちのいいサポートタイツと水着の裏に仕込まれたローターに、1分毎に感度を変えられながら刺激されるのである。
 刺激から逃れたくても、発生源は着込んだ衣装の一番奥である。簡単に取り除ける場所ではない。
 自らの身体に密着したその刺激の発生源を取り除くことが出来ないまま、ババ抜きを1時間続ける事がどれだけ地獄なのか、周りにいる3人にも容易に想像が付いた。

 だが、確かにマオに指示を出したのは梶原であるが、マオが拒否することはいくらでも出来たのも事実である。
 所詮は仲間内であり、ホントに嫌なら本気で抵抗すれば、マオとしてではなく、浅川としてトランプに参加する事も可能だったのである。
 でも現実には、目の前に浅川の姿はなく、マオが平然とトランプを楽しんでいた。
 裏側で起きているあらゆる苦悩を包み隠して、マオお嬢様として、ゲームを楽しんでいた。

 これこそがまさに美少女着ぐるみの醍醐味だ。

 この場にいる、浅川を含めた4人は、皆がそう感じていた。

 裏側の苦悩を全て隠し、見た目の美しさ、可愛らしさのみを追求する。
 この美しくも嫌らしい着ぐるみは、その裏側に存在するはずの男性を全て包み隠して、あくまでも美女・美少女として存在しようとする。
 彼女は、間違いなくその裏側にいる人物に対して、考えられない程濃厚な奉仕を続けている。彼女が彼女として存在する限り、裏側にいる人物への奉仕はずっと続くのだ。
 万が一彼女が、周りの人間に対して濃厚な奉仕をしたとしても、それは実は彼女の奉仕ではない。
 それは彼女の裏側にいる人物が彼女のフリをして奉仕してくれているだけなのである。
 彼女の容姿の全てを自由に使って、周りの人間を翻弄し、気持ちよくしてあげることも、嫉妬させることも、裏側の人間の気持ち次第なのである。しかもその間、裏側の人物には常に彼女自身からの濃厚な奉仕が続き、それは決して表に知らされる事はない。

 この怪しい着ぐるみの持つ裏の魅力に魅せられた4人だからこそ、彼らは今後も、こんなも苦しげな着ぐるみに喜んで入り、ターゲットとなる人物を弄びながら虜にし、やがて仲間に加えていく行為を続けていく。

 次のターゲットのミツルも、その1ヶ月後には4人怪しい着ぐるみの毒牙にかかって行く事になる。
 こうして、怪しい着ぐるみ達の長期テストという名の活動が繰り返されていくのである。

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 着太郎がマミになってからおよそ2年後、都内には超大型ホビーショップ「ホビー21」が華々しく開店し、そこには怪しくもリアルな着ぐるみ達が存在する事で一躍話題になった。
 残念ながらコストの関係で初期の着ぐるみ達には「細胞補正」と呼ばれる機能は登載されず、小柄な体格の男性のみが配役として選ばれていたが、やがてコストに見合うようになると、体力に勝る大柄な男性が美少女に入る事が多くなって行った。

 一方で、梶原達も、例外的に元々登載されていた細胞補正機能付きの着ぐるみをそのまま持ち込んで、ホビー21での着ぐるみの仕事も始めていた。
 会話機能はキャンセルされていたのは、言葉を話さない着ぐるみの方が客に対する怪しさが増すと言う理由と、他の着ぐるみ達との兼ね合いだった。
 もちろん本職を持つ梶原達はアルバイトとして働いていたが、プロトタイプのテストから参加していた特権もあり、かなり苦しい配役に回されることが多かった。
 5時間を超す長時間操演や、衣装を何重にも重ね着してダンスを踊りながら早着替えを行うショー等、他の役者が耐えられないような事も、平然とこなしていった。
 もちろん浅川も梶原と同様である。

 そして、この日も浅川は、ホビー21の特設ステージで、着太郎と共に、マオ/マミのダンスデュオとしてビートの効いたリズムに合わせて素敵なダンスを披露した。ピッチピチのショートパンツに呼気を籠もらせながら、そして、激しい刺激にも耐えながら。。
 ダンスの度に激しい快感の中で果てながらの仕事だったのは客達には内緒の話である。

[お嬢様物語:完]

追記:

 梶原達が着太郎に全てを打ち明けた日。
 その後にババ抜きを1時間続けたマオは、最後に3人の前で着ぐるみを脱ぎ、着太郎に正体を明かす。
 あまりの展開に着太郎は驚いて言葉を失うが、そう言えば着太郎がこの着ぐるみに積極的になるに従って、浅川のトーンが引き気味になっていた事を思い出し、なるほどと納得する。
 だが、やはり長期間着太郎に内緒にしていたと言う事を理由に、だましていた慰謝料としてマオの姿で1日着太郎の遊び相手になる事を約束させられる。
 正体も分かり状況も把握出来るようになっているので、この場合圧倒的に素でいる着太郎が優位なのは言うまでもない。そして、後日着太郎は、この約束を実践し、容赦なく浅川を責めてあげた。
 その時の道具は全て梶原に借りた特注品ばかりだったが、どんな道具だったのかは、ここでは語る事は出来ない。

[ほんとにおしまい]


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