友達?彼女?それとも・・・(1章) [戻る]
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「じゃあ、今日、バイト終わったらお前ん家に行くからな。」
「OK。きっと対戦プレイはやみつきになると思うよ。」
「おー、期待しちゃうね。」

 金森真一。某大学の学生で趣味はゲーム。今日は友人が買った新型ゲーム機プレイBOX3で遊ぶ為に、バイトの後で遊びに行く約束をした。

 予定通りコンビニでのバイトを終え、夜9時頃、友人の家に行く。

 ピンポーン
 ・・・・ガチャッ

「あぁ。真一君か、待ってたよ。」
「お前ん家って、結構分かり辛いな。そこの路地が分からなくて迷ったよ。」
「ははは。仕方ないよ安いアパートだからさ。まぁ入ってよ。」
「おぅ」

 木村和志。彼がゲームを買った本人。和志は大学で知り合ったゲーム仲間だ。
 どちらかというと和志は気が弱く大人しいので友達もそれほど多くはなかったが、真一の積極的な性格によって一方的に真一が友達になったという感じだ。話してみると共通の趣味なども多く意外と話もあい、最近はいつも遊んでいた。
 今回は和志がゲームを買ったと言うことで、初めて和志の家に来ることになったのだ。

「へぇ。和志の家って3部屋もあるのか?」
「まぁ1部屋は小さい物置みたいな部屋だけど、使い勝手はいいんだよ。」
「俺のアパートは2部屋だぞ。3部屋かぁ。いいよなぁ。」
「ここは人気で、空きが出来てもすぐなくなっちゃうんだ。道は狭いけど部屋は広いから気に入ってるよ。」

 一通り話をしたら、いよいよ買ったばかりの最新ゲーム機で遊び始める。
 熱中して格闘ゲームやカーレースゲームを楽しむと、いつの間にか深夜0時を回り、疲れて少し休憩することになった。ゲームに熱中して気にならなかったが、落ち着くと和志の部屋を色々知りたくなり、目に付く物を弄っていた。

「おっ、こんな雑誌買ってんだ。」
「たま~にだけどね。」
    :
「おぉ。このステレオ、結構いいやつだよな。」
「これは1つ前の型だよ。でも、ハードディスク搭載でミュージックサーバになるんだよ。」
「高かったろ」
「うん。バイト代が飛んだよ。」
    :
「すげーーっ。いい時計もってんな。」
「これは入学祝いだよ。オメガのシーマスター。お気に入りだけど大学にはしていく勇気無いなぁ。」
「確かに、いつものお前の格好にこの時計は合わないよな。」
「ひっどいな~。」
「ははは。」
    :
 真一は、こんな風に部屋中の物に興味を示して行った。すると・・・
    :
「あれ?これは?」
「あ!だ・・だめだ!」
「これって女物の下着だよな?」
「だめだよ!返してって!」
「へっへっへ~。もしかして彼女の?」
「な・・なんでもいいでしょ!」
「まぁまぁ、隠すなって。今度紹介しろよ。な、な。」
「・・・」

 雑誌の積み上がった部屋の片隅に、一枚だけ真っ白な女性用の下着が隠れるように転がっていた。
 和志は否定するが、きっと彼女の物だろうと判断した真一は、和志をからかってみた。だが、この日は、和志は彼女の存在を認めることは無かった。あきらめた真一は再びゲームに興じた。

    :
    :

 後日

    :
    :

 あれから何度かゲームで遊びに和志の家に通った真一は、この日、ゲームの休憩タイムにトイレに行くと、物置として使っていると言う部屋のドアが半開きになっているのを見つける。
 ドアを閉めておこうと近づくと、暗い部屋の中が廊下の明かりで少しだけ照らされ、その中に意外な物を見つける。

「なんだ?」

 気になった真一はそっとドアを開ける。
 床に放置されたそれは、廊下から裾の部分だけが見えていたが、予想通りスカートだった。 部屋の中にはスカートとセットの女物の学生服が置かれている。無造作に置かれているから、誰かが脱いだ物なのだろう。さらによく見ると、部屋の奥には数着の女物の洋服らしい物がきれいに畳まれて置いてあった。

「おぃ。和志。これ何?」
「え?」
「・・・」
「あ!だめだよ。人の部屋を勝手に覗いちゃ!」
「ドアが半開きだったから締めてやろうと思ったら、こいつが見えたんだって。覗いた訳じゃねーよ」
「え・・そ・・そうなんだ。」
「な~に動揺してんだよ。彼女が来てたのか??」
「違うよ!。」
「あ、まさかこの部屋に隠れてるんじゃねーの?」

 真一は、そう言うと部屋の明かりをつけて中に入っていった。

「ま・・まってよ。その部屋は何にもないから出て行ってよ!」
「まぁまぁ。ちょっと気になってたんだよね。この部屋。倉庫って言う割にはそんなに散らかってないし。」

 そう言いつつ真一は部屋の片隅にあったダンボール箱に近づく

「それはホントにだめだって!」

 和志が言うまもなく、真一は箱を開けてしまう。

「は??な・・なに?これ・・」

 箱の中には肌色のゴムで出来た物が入っていた。長い栗色の毛も付いている。

「そ・・・それは・・・」
「うんうん。それは??」
「・・お願いだから・・誰にも言わないでくれる?」
「おぅ。言わない言わない。」
「・・・・実は・・・」

 この後、和志は語り出した。
 実は和志はホビー21と言うホビーショップで着ぐるみのバイトをやっている事。着ぐるみのバイトは基本的に秘密厳守な事。このゴムスーツが実際の着ぐるみで、着ぐるみの中は苦しい上に快感にも耐える必要がある事。だから、たまに家で着てポーズの練習や、着ぐるみを着続けることに耐えるための練習をしている事。など、一通りの話をする。

「ま・・マジなの?その話?」
「うん・・僕が入っているのがこのキャラ。カレンて言う名前なの。」
「カレンか。で・・でもさ、そんなに秘密主義の着ぐるみが何でお前の家なんかに?」
「前は着ぐるみの持ち出しは厳禁だったんだ。でも、最近になって秘密厳守が出来るなら自宅での練習用に持っていくことも許可されたんだ。ただし紛失等の危険をなくすように、配送はホビー21の専門部隊がやってるんだ。週に1回の割合でクリーニングのために持っていくんだ。」
「なるほど。でも、なんで最近規則がゆるんだんだ?」
「最近キャラクターの数が増えてきて、一人一人の出番が減ってるんだ。実践できないと練習にならないから、練習用にってことだよ。」
「練習なら店でもできるじゃん。」
「たぶん、ショップもバイト代払いたくないって事だと思うよ。確かに着ぐるみスタッフはバイト代高いから。」
「え?マジ?バイト代いいんだ?」
「うん。時給で2400円」
「うげ!すげーいいじゃん。あんないいステレオ買えるわけだな。」

 一通りの話の後、話の流れから、実際に着てみて欲しいと言う事になった。
 和志は、最初は拒むが、一回だけ、試しに見てみたいと言う真一の話に、渋々OKする。

 着ぐるみを着たら口は聞けないからボディーランゲージと筆談になること、そして、着ぐるみを着ている間は、基本的にキャラクターを演じ続ける事を了承し、着替えは見せたくないからと言われ、部屋から出て待つことになった。

 15分ほどして、部屋の扉がそっと開く。中から手招きが見えた。
 真一は期待しながら部屋に入る。

「す・すげー」

 そこにはとても可愛い顔をした美少女が立っていた。これが先ほど言っていた着ぐるみ「カレン」なのだろう。アニメ顔とも実際に存在しそうな顔とも違う、微妙な顔だが、かなり可愛い。栗色の髪は胸までの長さで、ふわりとカールがかかっている。
 カレンは真っ赤でツヤツヤしたチャイナドレス姿で、身長こそ和志と変わらないが、スタイルはかなりいい。本当に和志が入っているのだとすれば、かなり手足やウエストを締め付けて、体型を作っている事になる。そして、ロングスカートに切り込まれた深いスリットが、かなりセクシーだ。

「お・・お前、ホントに和志か?」

 カレンは少し考えて、可愛らしく首を振る。
 そして真一の手を取り、手のひらに指で「カレン」と書いてみせる。

「カ・レ・ン・・あ、そうか。今の名前か。」

 カレンはうんうんと頷く。

「でも・・中身は和志なんだよな?」

 今度は手のひらに「たぶん」と書いて見せた。

「そっか・・でも、ホントにすげーな。中がお前だって知らなかったら、ちょっとヤバイかもしれない。」

 カレンは満足したように頷くと、スカートのスリットから少し太股を覗かせ、髪をかき上げてセクシーなポーズを作る。
 真一は、その姿にドキドキしている自分に、ちょっとしたショックを覚えていた。

「・・・と・・取りあえずまた、ゲームしようぜ。」

 カレンは楽しそうに頷く。
 動揺を悟られたくない真一は、ゲームすれば集中できるから気が紛れると思ったのだ。

 再びテレビの前に2人で座り、対戦ゲームを始める。
 画面を見つめていれば視界に入り辛いから、実際に真一の動揺は収まるかに思えた。ところが、ゲームをしていてあることに気づく。
 弱いのだ。和志が相手だった時は、かなり互角のいい勝負をしていた。ところが、操作の癖などから、カレンの中が和志であることは間違いないのだが、今は明らかに弱くなっているのだ。

「お・・おい。お前、本気でやってるか?」

 カレンを見ると、カレンはうんうんと頷く。
 ふと目を落とすと、女の子座りした足が、スカートの深いスリットからはみ出てとてもセクシーである。またドレスを横から見ることになり、胸の膨らみや腰のくびれ、ヒップの丸みなどが、かなりハッキリと見て取れる。

「その割に弱くなってないか?お前、キャラクターに入ってるからってそこまで演技しなくてもいいんだって。ゲームは相手が強くなきゃ面白くないよ。」

 その言葉にカレンは困ってしまう。
 落ち込んだ仕草も可愛い。
 カレンは手近にあったノートとペンを手にして、さらさらと何かを書き、真一に手渡す。

「コントローラーを動かすときに胸が揺れて、そのせいで集中できないのよ・・・」

 こう書かれていた。たしかに、このゲームは結構激しくレバーやボタンを操作するため、コントローラの操作に指先だけではなく、割と大きな動きを必要とする。だが、それと集中できない事との意味は、真一には理解できない。

「なんで胸が揺れると集中できないんだ??」

 カレンは再びペンを走らせる。今度は少し時間がかかった。
 そうして手渡されたノートには、カレンの秘密が書かれていた。

 実は、息子はパッドによって上向きに固定され、かなり締めつけられている事。胸や股間にはセンサーが付いていて、胸が揺れたり、触れたり、衣類が擦れたりすれば反応して、自分の息子に伝わると言う事。
 さらに、上向きに固定された息子が下着のゴムとドレスに擦られ続け、とってももどかしい事。
 そのセンサーが中の人間を興奮させることで、スーツの特殊素材が酸素を通して皮膚呼吸する為、中の人が酸欠にならないようにするには、そのセンサーの刺激を受け続ける必要がある事。
 スーツの中が蒸れないようにある程度の通気機能も確保するため、そのセンサーは役立っている事。
 通常の呼吸は股間に付いている呼吸口からする事。
 そして、呼吸口は普段、衣装に覆われているので、かなり苦しい事。

 要するにカレンの中で起こっている事と、その必要性についてである。

「マジ?」

 カレンは頷く。

「じゃあ、ずっとそのフィットしたドレスが、お前を虐めてたってのか?そのスカートの中から息をしてるってのか??」

 再び頷く。

「でもさ・・そんなに気持ちいいのになんで前はふくらんでないんだ?お前のサイズは知らないけど、普通、それだけフィットした服なら、少しはふくらむんじゃぁ・・」

 その言葉への答えを、ノートに書く。

「かなりしっかり締め付けられてるの。腰から下はボリュームアップするために色々肉付けしてるからあんまり分からないでしょ?けどホントに締め付けはキツくて、これだけでもクラクラしてくるの。カレンは女の子だから何事もないようにみえるけど、ホントはとってもツライの。」

「・・そっか・・」

 しばらく沈黙が続く。
 真一はその間、ちらちらとカレンを見てしまう。カレンも気づいているようで、恥ずかしそうにモジモジと動く。それに合わせて、ドレスのムッチリと張った胸や、ウエストから下腹部付近、そして太股の付け根あたりに出来たシワがセクシーに動く。
 和志は、このシワを感じているのだろうか?もしそうなら、動くのをやめれば楽になるのに、カレンは、あくまで女性として恥ずかしそうに照れている。

「辛いなら、あんまり動くなよ・・」

 その言葉に、カレンは首を振る。そして再びペンを走らせた。

「今はカレンなの。だから中が苦しくても演じなきゃならないの。これがキャラクターに入っている人の役目だし、演じ続けなきゃ練習にならないのよ。だから今はカレンでいさせて。」

 真一はそれを見て理解したように頷いた。

 カレンはほっと胸をなで下ろすような仕草の後、再び少女に戻る。
 再びゲームを始めると、またカレンの弱さに和志を想像してしまう。なるべく意識しないようにするにはゲームは良くないと思い、真一はテレビを見ようと提案する。

 カレンは少し考えてOKする。

 こうしてゲームは終了し、テレビを見始めた。
 真一はクイズビリオネアと言う番組を見たいと言ったのだが、カレンが腕を掴んでイヤイヤとせがむ。どうやらドラマが見たいようだった。
 ゲームを止めようと提案した手前、真一は仕方なくドラマを見る事にする。

 ドラマは流行のドラマであり、真一は毎週欠かさず見ていたのだが、だからこそカレンと一緒に見るのは気まずかった。
 なにしろベタなラブストーリーなのだ。

 横にちょこんと座って大人しくドラマを見ているカレンの事が気になって仕方ない。
 チラチラと横目でカレンを観察すると、時々もじもじとその場で動いていた。
 もちろん真一はこの行動の意味が何となく分かった。

 きっと気持ちいいのだ。和志はカレンの中で、カレンの身体と、その上から覆った衣装によって絶え間ない快感にさらされているはずだった。見るからにピタリと身体にフィットして窮屈そうなドレスは、カレンの身体を通し、和志に伝わっているのだ。
 しかも、興奮して息が荒くなったとしても、カレンの股間から息をしているのだとすれば、その呼吸は下着とドレスに覆われた空間に籠もってしまうはずだ。
 深いスリットの入ったセクシーなスカートの裏側にはどんな空気が充満しているのか。それは和志にしか分からない。
 カレンは表情が変わらず笑顔のままだが、その中にいるはずの和志は、今どんな表情なのだろう。
 本当は気持ちいいと言う胸や股間を弄りたくて仕方ないのかもしれない。あるいは自分にまとわりついて、快感を生み出すセクシーなドレスを脱ぎたいと思っているかもしれない。股間に充満した空気を換気するため、スカートをめくりあげたいかもしれない。
 だがカレンはそれをしない。
 ちょっともじもじ動くことはあるが、基本時にはじっとテレビを見ているように見えるのだ。
 一見するとテレビを見ているだけのカレンだが、カレンの裏側に隠された本当の姿を想像すると、真一は堪らない気持ちになった。

 柔らかそうなカレンの胸も、細くくびれたウエストも、セクシーな曲線を描くヒップも、そして、スカートに覆われた股間も。全ては真一の手が届く位置にある。中には和志が入っているはずだし、いつもの和志であれば、特に気兼ねなく身体に触れることだってある。
 だが、中身が和志だと分かっていても、これだけ見事な女性の身体を持つカレンに気軽に触れる事は、真一にとっても勇気のいる行為だった。
 作り物の身体のはずなのに、そして、中身は和志のはずなのに、触れてはいけない遠い存在に思えてしまったのだ。

 真一にとってはそんな特別な存在になってしまったカレンではあるが、中にいる和志にとっては、今や自分の身体の一部である。
 彼女の身体の全てを知り、彼女の身体を自由にコントロールできるのは、ただ一人、彼女の中に入り演じている和志だけだ。
 不覚にも、真一はそんな和志に嫉妬心すら覚えてしまう。

 その気持ちを悟られまいと、ドラマに集中しようとする真一。
 そんなときに限り、ドラマの方もクライマックスに近づき、恋人がいい雰囲気になっている。
 不意にカレンが真一の方に近づき、ピタリと寄り添ってきた。

「お、おい。」

 真一はビックリしたように言うと、カレンは「お願い」というポーズをする。
 ここで断ると自分の同様が悟られると思い、渋々OKする真一。

 カレンが近づくと柔らかな風とともに、清々しいシャンプーの香りが漂い、真一の鼻孔をくすぐる。
 あ、女の子だ。
 真一はそう思ってしまった。

 自分の横にいるのは和志のはずなのに、全く別人のカレンという女性。しかもその女性は作り物なのだ。
 自分を惑わしているこの女性は、和志の演じる作り物なのだ。

 にも関わらず、その子を女性と認識している自分。そして、その女性に入っている和志を認識している自分。真一自身もよく分からない心理状態になっていた。

 だが確実に言えることがあった。

 真一はカレンに興奮しているのだ。

 悔しいが、この作り物の女性に、そして、それを演じる和志に興奮を覚えていた。
 和志に興奮を覚えるというのは正確では無いかもしれない。
 この女性の中で奮闘している和志の状態を想像して興奮してしまったと言う方が正確だろう。

 和志がカレンに入ってかれこれ2時間以上たつ。

 その間、説明の時だけ少し和志を見せてくれたが、その後はずっと目の前のカレンは和志を見せてはくれない。演技の練習とは言っていたが、2時間もゴムに密閉されれば、たとえ通気性を持つスーツとはいえ、カレンの中は相当に蒸れているように思う。
 そんな中で常に刺激を受けているとすれば、それは耐え難いほどの快感に思える。
 誰かにいたずらされて気持ちが良くなるとか、外部からの刺激で気持ちよくなるなら、その刺激を取り除くことも出来るだろうが、カレンが生み出す刺激では、和志が中にいる限り逃れることは出来ないらしい。
 衣装が快感を生むとしても、カレンである以上、むやみに衣装を脱ぐことすら出来ないのだろう。
 和志にとっては拷問のような状態を作り出す物は、全てカレンがカレンとして存在するためには必要な物であり、取り除くことなど出来ないのだ。

 そんな状態を、今まさに、自分の横で味わい続けている和志に興奮を覚えていたのだ。
 さらに、ピタリと寄り添ったことで、カレンの微妙な挙動が真一にも伝わってきた。ほとんど分からないようにではあるが、時々身体をこわばらせる。そして、肩で息こそしていないが、かなり呼吸も激しい。

 この状況が、真一の興奮を煽ってしまった。

 そしてついに真一の我慢が限界を超える。

「あ・・・」

 カレンも真一の変化に気づき、恥ずかしそうに両手で顔を覆い照れる。

「ち・・違うって・・お前が変な事するからだって・・」

 必死に弁解するが、真一の股間の前には何を言ってもいいわけだった。
 カレンは顔を覆った手のひらを少し開き、指の隙間から真一を覗く。

「し・・仕方ねぇだろ・・俺だって男だし・・その格好で寄り添われたら・・・」

 その言葉に喜んだのか、カレンはウンウンと頷くと、真一の腕をぐいっと掴んで腕を組んできた。。

「お・・おい・・」

 少したじろぐが腕を捕まれて逃げられなくなってる。
 カレンは横から体をひねって、真一の少し下から覗くように見る。真一にはひねった体のせいで強調された胸が気になってしまう。
 カレンの顔が真一に近づく。こんなに間近で見るとホントにドキドキする。この瞳の何処かから和志が真一を眺めているはずだが、外からは和志の目は全く見えない。まるで自分が和志に観察されているような気になっていた。
 カレンはそこから次第にエスカレートを始める。
 腕をしっかり組むとその腕を、ぐっと引き寄せ、自分の胸に真一の腕が当たるようにする。さらに大胆にも、もう一方の手で真一のズボンの膨らみに触れる。

「な・・なにすんだ・・」

 すっかり動揺している真一は逃げる気力も無く、言葉にも力がない。
 カレンはズボンの上からでも、巧みに真一を刺激し、真一の理性を奪っていく。

「くっ」

 ズボンが膨らんで、はち切れそうなほど真一が主張してくると、そのままカレンはズボンのファスナーを開き、パンツの中から真一の息子を取りだした。

 カレンは愛おしそうに真一の息子を弄り始める。
 その手さばきは本当に的確に真一を攻撃し、あっという間に限界に近づく。

「あ、も、、もうだめだ。。」

 真一がそういう寸前に、カレンは手を止めてしまう。

「あっ・・」

 真一は切なそうに足をモジモジさせる。
 その様子に満足したように頷くカレン。
 そして、カレンは真一の様子を観察するように見ながら、再び手を動かし始めた。
 今度はその手が止まることもなく、カレンに弄ばれ、最終的に果ててしまう。

 しばらくの沈黙があり、カレンは席を立つと、奥の部屋へと消えた。

 やがて、部屋の奥から和志が戻ってくる。

「ご・・ごめん・」

 和志はいきなり謝って来た。

「・・・・・・」

 真一は放心状態で何も言えずにいる。

「ずっと中で興奮してて、押さえきれなくなっちゃって・・・真一君の興奮した姿見て、カレンの姿なら許されると思って・・・」
「・・・・・俺・・・男とする趣味はないんだぜ・・・」

 真一の言葉に、もの凄く申し訳なさそうに和志が言う。

「分かってるよ・・誓って言うけど僕だってそんな趣味はないんだ。ただ、カレンに入っていると、僕の行為はカレンの行為になるから、何となく出来ちゃうんだよ・・」
「・・・まぁ確かに俺が興奮しちまったのが悪いんだけど・・・ちょっとショックだったよ・・」
「ホントにごめん。」
「いや、まぁいいよ。気持ちよかったのは事実だし。」

 真一は、和志の謝りに、少し態度を軟化させる。

「僕も、興奮しちゃって・・中でイッてたんだ・・・」
「・・カレンの中で?」
「うん。」
「そんな風には見えなかったけど・・」
「それは・・バレ無いように演じるのも練習のうちなんだ。ホントに常に刺激されているから演技する事が大変なんだよ。」
「ずっと・・・そんな状態だったのか・・・でも最後はイッてたんだろ?」
「真一君の腕を胸に押し当てて、その刺激でイッたんだ・・」

 そんな事を言われ、真一はその場面を思い出していた。

「そんな簡単にイッてたのか?」
「そこまでずっと焦らされてたから、トドメには十分だよ。胸とか股間を自分で弄ったり出来れば簡単なんだけど、理由無く弄るのはカレンとして変だから。真一君が興奮したのを見て、これに便乗すれば僕も楽になれると思って・・つい・・」
「そこまで徹底して演技するのか・・ここは自宅なんだし、少しは自分本位でもいいんじゃないのか?」
「いや・・確かにそうなんだけど・・僕自身、ちょっと変だと思うんだけど・・カレンの中で自分を押し殺して焦らされているのも、結構興奮したりして・・」
「てことは、お前自身、カレンに入るのはマンザラでも無いってこと?」
「・・最初はお金のためだったけど・・・今は、正直言えば、あの中でカレンに焦らされながら演じる事を気に入ってるかも・・・」
「・・・あのさ、一つ聞いていいか?」
「ん?うん。」
「ホントにあの着ぐるみ着てホビーショップでバイトしてるのか?」
「そりゃ、そのための着ぐるみだからね。」
「バイト中もずっと気持ちいい状態なのか?」
「バイト中はもっとキツイ事が多いよ。動き回らなきゃならないし、いろんな衣装を着なきゃいけないし、なにより自分と同じようなキャラクター達が店内にいるからそれを見ていると中を想像しちゃって興奮しちゃうんだよ。」
「他のキャラクター?」
「うん。みんな中はカレンと似たような物だから、衣装とか動きを見ていると中が想像できちゃうんだ。あの何気ない仕草は、実はもの凄く感じちゃう、とか、あの衣装はじっとしてても苦しいんだよね、とか。」
「そういうこと考えちゃうのか?」
「だって、ホントにあの中に入っちゃうと、刺激とかの影響もあって変な事しか思いつかなくなって来ちゃうんだもん。」
「なんだか凄いバイトだな。」
「だからお金がいいんだよ。体力勝負な所もあるし。」
「そっか。」
「・・・・・・・・・・・・・」

 その後しばらく沈黙してしまう。
 真一も和志も、今日起こった事をいろいろ考えていた。
 真一は和志にイカされた事もショックだったが、何故かそれ以上にカレンのセクシーな容姿とテクニックに、再び軽い興奮を覚える事の方がショックだった。

 結局この日は真一も、和志も、少し口数も少なく、お開きになった。

 こうして真一の激動の一日が終わった。


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