やっぱりサポート係は苦手です(1話完結) [戻る]



※このお話は、過去の成田君のお話(「由佳里のバースデー」など)を読んでいる前提で話が進みます。着ぐるみの仕組み等は、新たな説明が無い限り、過去の仕組みを踏襲しているとお考え下さい。


今日デビューした新しい5人の着ぐるみ達。
このキャラクター達は、女の子達がいちゃいちゃとスキンシップすることが話題となった女子高生アニメの第2期放送を記念したプロモーションの為に作られました。
グリーティングでもステージでも、5人はいつもいちゃいちゃしています。
大胆に抱き合ってみたり、巨乳キャラの胸をみんなで弄んで見たり。
行為に、あまりいやらしさは無いのですが、それでもファンの男性達はそのたびにカメラのシャッターを切り、歓声を上げています。
グリーティングなんかでは、お客さんに抱きついたりもするぐらいに大胆なスキンシップも見られます。

そして、僕はこの着ぐるみ達のサポート役になってしまいました。
仕事ですから仕方ありませんが、僕にとっては色々と悔しい立場、と言えるんですよね。
なぜかって?
僕は着ぐるみに入る役者を目指して訓練を続けながら、こうしてサポートの仕事をしている立場なのです。
ちなみに、僕は成田行夫。万年サポートの悲しい立場です。
そして今回もこの着ぐるみ達の中には、友達で役者の北野が入ってます。
と、ここまでであれば、今までも何度も経験した状況なのですが、今回はさらに悔しい状況になっています。

なぜそうなったのか。
ちょっと思い出話をしましょうかね。
あれは今から半年ぐらい前の事でした。僕は新しく役者の訓練を受ける事になる新人に対して、最後の確認をする為の説明役をさせられる事になりました。
普通、こう言うのはマネージャクラスの人がやるのですが、僕はたまたま訓練生としては大ベテランで、しかもたまたまこの日はマネージャ達が忙しくて時間が取れず、僕が代役として説明する事になったんです。



僕「君が浅木君? なんとなく状況は分かる?」
浅木「あ・・はい。一応・・・」
僕「そう。じゃあ話は早い。実際に実物を見ながら必要な説明と意思確認をしようかと思う。ちょっと待っててくれ」

僕はそう言って、待機していた着ぐるみ2人を連れて来ます。

僕「この二人が今回の説明に立ち会ってもらうマナとカナだ。見ての通りスタイルは抜群だ。双子の姉妹で良く似てるだろうが、髪飾りのついてる方がマナで、ついてない方がカナだ」
浅木「はぁ・・」
僕「まずは彼女達。ホビー21としては、店内では実際にマナとカナという存在なんだけど、ここにいる君に対してはそうは言わない。分かっている通り、これは着ぐるみで、中には人が入る」
浅木「そ・・それはまぁ」
僕「で、君にはこう言う着ぐるみの中に入ってもらうための訓練を受けてもらう事になる」
浅木「それは分かるんですが・・・僕に入れるものなんでしょうか?」
僕「それは僕にも分からない。訓練の成績次第だからね。君の体質がこの中に入る事に適しているかどうかは、やってみなければわからないから」
浅木「そこなんですよ・・・なんとなく仕組みは想像してるんですけど、ホントにそう言う事になっているのであれば、耐えられるものなのか・・・と」
僕「まぁ彼女達を見てて分かる通り、二人は双子で仲良しで、特にマナがカナをスキンシップする事が好き、と言うキャラクター設定があるので、こうしててもマナはカナ相手にべたべたし、カナはそれを受け入れる」
浅木「ええ・・・」
僕「ちなみに、この着ぐるみの仕組みについて改めて説明した方がいいかな。この着ぐるみが二重構造だという事は分かっているか?」
浅木「なんとなく・・・実物は見たこと無いけど・・」

その言葉に、僕は簡単な図を描いて説明しました。

僕「まずインナー。こう言うウエットスーツみたいな感じので全身を覆う。これは目にクリアパーツが使って合って、呼吸は股間からになっている」
浅木「そこなんですが・・ホントに股間から呼吸してるんですか?」
僕「あれ?君はここに来る前に、担当してる着ぐるみから呼吸してる場所、見せられてないのか?」
浅木「ええ・・・指で位置を示されただけです・・」
僕「そうか・・・じゃあ説明しよう。インナーはマスクから細い無数のチューブを使って股間の呼吸口までつながる呼吸経路がある。これは全身をチューブが這うようになっていて、吸気と排気の系統も分かれているんだ。そして、この上からアウターと呼ばれる皮を被る。アウターは着ぐるみの皮膚で、みんなが見る着ぐるみの肌そのもの。出入り口はお尻の割れ目で、ここは引っ張るとよく伸びる素材で作られているので、引っ張ってもぐりこむ」
浅木「そう・・なんですか・・」
僕「彼女達も全く同じ仕組みだ。アウターにも股間の呼吸口に布が張ってある部分があって、そこが呼吸のメインになる。見てわかる通り、彼女達はスカートを穿いているし、見えないが下にタイツとパンティーを身につけている。これらの布にさえぎられるので呼気は相当にこもって息苦しくなるが、アウター、インナー共に空気を通す素材で出来ているので、股間からの空気が必要量を下回ると皮膚からチューブに空気が取り込まれる為、最低限の呼吸は確保できる。簡単にいえば、酸欠で倒れる事はまずあり得ないが、ずっと苦しい」
浅木「ずっと・・・」

浅木のつぶやきにマナもカナもうんうん頷きます。
その頷きを見た浅木の表情が、何とも言えない羨ましそうな顔になりました。
僕はわざと彼を煽るような言葉を付け加えます。

僕「そう言えば、実際に入ると、パンティーやらタイツの香りがや、籠った汗や呼気の香りが伝わって独特の臭いになるそうだ」
浅木「そうなんですか・・・」

再びマナカナがうんうん頷いてます。

僕「それと、中に入るとスーツの細胞補正機能のおかげで、ほとんどの人間は性別に関係なくこのような美少女のスタイルになれる。だが、このスタイルに縮むには、中で頑張らなければいけない事がある。それは何か分かるか?」
浅木「快感・・・でしたっけ?」
僕「そう。着ぐるみの皮膚には色々な部分に特殊なセンサーが埋まり、身体の動きや衣類の締め付け、シワの動き、擦れ、を検知する。検知したものを電子的に内部に伝え、役者が装備するパッドを中心に、役者が興奮状態を維持するように刺激を伝えるんだ。身につけている衣類の動きや、素材感が伝わるので、倍部のような決まったリズムの振動と異なり刺激の予測が難しい分、非常に感じやすい。下着やタイツの締め付け感やシワ、シャツのシワなども外からはあんまり分からないが、中にはしっかり伝わるから、何気ない動作も猛烈に気持ちいい。」

予想通り、言葉を失う浅木。

僕「しかも、肝心なのは、イク寸前で快感が弱まる制御が入る事によって、着ぐるみに入ってる時間の7~8割の時間はイク寸前の一番感じる状態を維持させられると言っていい。役者の一番要求されるスキルは、この状態で、可愛い女の子であり続ける事になる」
浅木「そんなこと・・・僕に出来るんでしょうか・・」
僕「それは訓練次第だ。この着ぐるみなら、中でどれ程大きく膨らんで、どれ程いやらしく反応していても全て補正でスッキリ見せてくれる。軽く触れられた程度ではそこに硬い肉棒が存在している事など分からないはずだ。それに、表情は可愛くほほ笑む美少女のままだから、中でどれ程感じた表情を浮かべていても外にはバレ無い。つまり役者は中で、表情と肉棒以外の部分は決して快感に反応する事無く平静を装い続ける必要がある。もちろん今の二人もそういう状態のはずだ」
浅木「や・・やっぱり僕には・・・」
僕「君が訓練を受けたくないというのであれば、それは自由だ。だがせっかくなんだから受けてから決めてもいいんじゃないか?」
浅木「で・・でも・・」

浅木は、僕の説明によって少し弱気になっている様子。確かに気持ちいいのを我慢しながら、美少女になるのは相当に苦しいのです。
でも、出来る人に言わせると、握手をしながら、あるいはかわいらしくポーズを決めて写真に収まりながらイク興奮は一度経験すると抜けだせなくなるらしいです。
役者達は、如何に普通の状況で、人知れずイクか、が遣り甲斐になっていると言う話も聞きますから。

僕「例えば、君が役者になれば、彼女達のようにいちゃいちゃする役に選ばれるかもしれない」

浅木は改めてマナとカナを見ます。
相変わらず、マナがカナをソフトにソフトにボディータッチししていちゃつく様子。
時々大胆にマナがカナにギュッと抱きついたりもするんです。
カナは嫌がるでもなく、マナの頭をよしよししてあげたりしています。

僕「例えば、君が役者に選ばれた場合、こういう事がお客さん達の前で出来るようになる」
浅木「はぁ・・」
僕「ホビー21の役者は、増えたとはいえ女性はまだ2割ちょっと。男性が8割弱。そういう比率になっている。つまり、ほとんどの場合、こう言う役は男性同士でやる事になる。ただし、場合によっては女性も入る。確率は低いが女性同士でこう言った演技をする可能性もある。もちろん、男性と女性、という可能性もある。それぞれ、相当に倒錯的な世界ではあるが、ここにいる君なら、そういう世界に興味はあるはずだよな?」
浅木「まぁ・・・確かに」
僕「想像してみて欲しい。例えばナマもカナも男性だとしたら。こんなかわいい姿になりながらスキンシップと称して、実は結果的に男性のシンボルを弄り合う役なんだ。もちろんみんなからはそんな事は分からないし、実際この姿を見て男性のシンボルを弄んでる様子は見えない。だが、マナがカナに抱きつく時など、結果的に自らのシンボルを相手に押しあててる事になる。柔らかい胸を通して伝わる締め付け感は、実際にシンボルを押し付け合うより何倍も気持ちがいいという話なので、可愛いスキンシップに見えて実はものすごく苦しい行為なのかもしれないんだ」

浅木は黙って聞いています。

僕「あるいは、片方が女性だった場合を想像してみてくれ。もしもカナが女性なら、マナに入る男性は、役柄としてカナの中にいる女性を性的に弄ぶ事になる。もちろん役だから誰にも文句は言われない。どれだけスキンシップをしても、カナは優しく受け入れる。だが、実際にはその中で、女性がイク寸前の快楽と戦っている可能性がある訳だ」

浅木は言葉なく頷きます。

僕「あるいは、逆にマナが女性でカナが男性であれば、男性は常に女性の入るカナによってスキンシップと称する快楽を与えられ続け、それを受け入れながらカナに優しく接する必要がある。そんな快楽の中で可愛いカナで居続けるのは相当に苦しいはずだ。女性からすれば、男性を弄ぶとともに、自身も快楽を得られる訳だから、それはそれは中の快楽は凄いはずだ。もちろん、女性同士であってもそうだ。お互い可愛い態度の中で快楽の地獄と戦う事になるのだから」

一通り説明が終わると、浅木の表情が、ホントに複雑になります。
羨ましい、自分もそうなりたい、でも自分に出来るのだろうか、と言う複雑な感じです。

僕「ついでに教えておくと、この中は片方が男性、片方が女性だ。つまりこんなに仲良しだが、実は相当に倒錯的な状況にある。君もこうなって見たいと思わないか?」
浅木「僕は・・・なりたいです・・・けど・・・成田さんはどうなんですか・・・淡々と説明してますが・・・全然そう言うのに興味が無いんですか?」

痛いところを突いて来ました。
僕は役者を目指しているのに、まだ辿り着けない落ちこぼれですから。

僕「いや、もちろん僕だってそうなりたい。実を言うと今、僕も訓練をしているところなんだ」

僕は正直に言いました。

浅木「でもこうして説明する側なんですよね?」
僕「ああ。僕はまだ、快感を隠して演技を続ける事はせいぜい30分ぐらいしか出来ないんだ。どうしても体が反応してします。だから僕もこうして見せつけられると羨ましくて仕方が無くなる」
浅木「そうなんだ・・・」
僕「しかも、この中に入ってる男性は僕の友達だ。正直に言うが、仲はいいがいつも僕はサポートをする立場で、彼は中で演じる立場。今だって中が女性の着ぐるみといちゃいちゃしている友達にものすごく嫉妬しているが、残念ながら中に入ってる間は友達ではなくキャラクターとして接するルールがあるので、僕はその羨ましい光景を見ている事しかできないんだ」
浅木「そ・・そんな・・」
僕「だから訓練を頑張って、早く役者になるしかないんだ。僕はもう何年もこの立場だから、いい加減疲れたけどな。ちなみにな。僕は女性側も知ってる。相当に美人だ。正直言えば僕は憧れている。と言うより、僕の彼女なんだ」
浅木「そ・・そうなんだ・・・彼女と友達が着ぐるみに入っていちゃいちゃ・・・それを見てるだけなんて・・・」
僕「むごいと思うだろ?だけどそれが現実だ。僕が頑張って早く役者にならないと、いつまでもこのままの立場だ。彼女からは早く役者になれと良く怒られるんだけどな」

そう。実はこの二人は、僕の友達の北野と、最近出来た彼女の麻里。麻里は訓練センターで一緒に訓練をしてて友達になり、やがて彼女になった人です。
もちろん北野も僕の彼女は知ってます。この役をやるに当たって、彼女も北野も、猛烈に僕に謝っていましたが、僕は仕方ないとあきらめています。
だって仕事ですから。普段、役は選べるのですが、たまたま他に演じれる役者の割り当てが足りず、やむなくそうなったらしいです。
どっちが北野でどっちが麻里なのかは僕も知らないのですが、それは、余計な事を知ってしまうと余計に嫉妬するから、と気を使って教えてくれていないみたいです。

ですが、僕からすれば友達と彼女の状況を見せつけられながら、どちらがどちらかすらも分からず、ただただ想像させられるというのは何とも悔しいのです。

浅木「分かりました。僕に出来る事なのかわかりませんが・・・頑張って役者を目指して見たいと思います・・・」

こうして浅木は僕の説明を聞き終え、訓練センターに通う事になりました。
僕の後輩ですし、最初のうちは僕もいろいろ教えていたのですが、やがて抜かれて、彼は訓練開始4ヶ月でデビューし、ついには冒頭のキャラクター達の中身として抜擢されたのでした。

あの時羨ましそうな目で見ていた浅木は、今やあんなに可愛い身体の中に密閉され、あんなに可愛い制服を纏っていちゃいちゃしてるのに、僕はそんなキャラクターを外からサポートする事しか出来ないのです。
こんなに悔しい思いは久しぶりですよね。
しかも、浅木君が入ってるキャラクターが5人のうちどのキャラクターなのか、僕は知らされていないのです。
僕が羨ましそうに見ている表情とかも、彼からは丸見えなのに、僕にとっては彼がどこにいるのかすらわからない。
こんな状態での仕事は余りにも辛すぎて逃げ出したい気持ちでいっぱいなのですが、僕も役者になりたいと言う夢はあるので、頑張るしかないのです。
それと、彼女がとても僕に協力的で、いろいろ助けてくれるので頑張って訓練したいと思うようになりました。
実はね。彼女も、北野といちゃいちゃする役をやったのが凄く申し訳ないと思っていたらしく、ホントは僕とやりたいらしいんですよね。
後から聞いたら、あの時はマナに入って攻める側だったから、彼女が言うには自分は北野にはイカされていない、だそうで、早く僕が中身をやれるようになって、僕ともっといちゃいちゃする役とかやりたいって言ってくれるんですよね。
それは嬉しい事ですし、僕もそうなったら今まで溜まっていた悔しい思いも晴れると思うんで頑張りたいです。

ただ、今の僕では彼女の相手役なんて夢のまた夢。
どうしても快感と息苦しさに耐えきれない癖は抜けないんですよね。
さて、こんな状況では、この先僕は本当に役者になれるんでしょうかね?そればっかりは誰にもわかりません。
彼女に愛想尽かされ無いように頑張らないと、と思うんですけどね。

と言う事で、今日の報告はこんなところですかね。ではまた何かありましたら、お話してみますね。


-おしまい-



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