ライブチャット(5月16日のライブ) [戻る]


ライブが始まる。

今日のカオリは流行のアニメの制服姿だ。チェックのプリーツスカートとちょっと特殊なデザインのセーラー。どう特殊かと言うと、普通と違いかなりバストが強調されるようにウエストが絞られているのと、肩がパフスリーブになっている点。可愛らしさとセクシーさも併せ持っているのだ。
左胸に付いた学校のワッペンが胸の形によって変形しているのが分かる。

カオリは可愛らしく手を振ると、早速キーボードに向かう。
キーボードに向かうカオリはかなり画面にアップになる。なにしろメインのカメラにかなり近い位置でキーを叩くからだ。

アップになったカオリを眺めているが、やはり彼女の顔につなぎ目や隙間は見えない。口元にスリットぐらいはあってもいいと考える人が多いが、それはあり得ない。
なにしろ彼女の身体は間違いなく、噂されるDollClubと言う店の着ぐるみのはずである。つまり、それが事実なら彼女の中と外のアクセスは唯一股間にあるスリットのみなのだ。
ライブチャットに参加している人たちの殆どがその事実を知っている為、今更顔の隙間探しはしないのだが、探さないまでも気になってしまうのは事実である。

今この瞬間も、この世界の何処かでカオリの中に入り、人知れず彼女の股間を通して呼吸をしながら、俺たちとのチャットを楽しんでいる人物がいるのだから。

カオリ「こんばんわー」
A坊「こんばんわー」
タコ組「おーー、まってました。」
車屋「きたきたー」
千葉ちゃん「ちーーーっす」
小菅JC「今日も可愛いねー」
カオリ「ありがとー、そう言ってくれると嬉しいなー」
タコ組「投げキッス投げキッスーー」

タコ組さんの言葉にすぐさま投げキッスするカオリ。わざと顔と身体をカメラに近づける為に、座ったまま前のめりになっている。
はっきり言って可愛い。
と同時に下半身側を写しているライブカメラの画像にも目がいく。
そんな状態でも足はピッタリ閉じたまま椅子から腰を浮かせる事もない。本当にあのスカートの中の空気を吸っているのだろうか?と疑問に思うぐらい自然に可愛いのである。

こうして、チャットとポージングの要求が交互に20分ぐらい続き、やがていつものようにお着替えタイムである。

カオリ「じゃあみんなのリクエストに応えてコスプレしてあげるね!今日は何を着て欲しい?」
A坊「うーん、この前はOL風スーツだったしなぁ」
小菅JC「あれは良かったなー。腰回りのパツパツ感は超エロかった」
カオリ「嫌ねー。小菅さんのエッチー。ああいうピチピチしたタイトスカートって動きづらいから着てポーズ取るの大変なんだよ?」
小菅JC「そ・・そこがいいのでは?」
カオリ「えーー?私が動きづらいのに、それがいいの?」
タコ組「そりゃ、着ぐるみがさらに動きづらくなるのは、ある意味フェチ心をくすぐるしなー。」
千葉ちゃん「そそ。着ぐるみだからこそだよ。」
カオリ「もーーっ。みんなエッチねー。でもみんなが喜んでくれるならカオリは満足よ。」
車屋「いやー、俺はもっとフリフリの方がいいなぁ。ミニスカでフリフリな感じのが好きかも。」
A坊「確かにそう言うののほうがカオリちゃんが可愛くていいよね。」
カオリ「私も可愛いのが好きよー」

結局カオリは、みんなの話し合いによって、最近全然着ていなかった体操服を着る事になった。
と言ってもこの体操服は普通の体操服ではない。恋愛ゲームのヒロインが着るものなのだが、その構造がちょっと特別なのだ。
まずは赤い光沢のある素材のレオタード。そしてその上に同一素材で白のTシャツ。Tシャツも非常に薄い素材でピッタリとしたサイズ。ある意味レオタードよりもセクシーな程体型を露出する。最後がブルマなのだが、ブルマもレオタード素材を使っている。しかも薄く下のハイレグレオタードが透けて見えるシースルーなのだ。

さすがのカオリもアンダーウェアだけは視界から消えた場所で履いてくるが、そこからはみんなの前で着る。
ベージュのレオタード用のアンダーウェアを身につけたカオリがカメラの前に戻ったのは5分後である。
そこからハイレグのレオタード履いていくが、その様子もまた可愛い。ブラはレオタードを着る直前に背中を向いて外してしまう。そしてそのままレオタードを着用する。長袖のレオタードなので袖を通しにくそうであるが、その仕草もまた見ている者を魅了している。
着ぐるみを着た状態での細かい作業が、いかに不自由かという事は、見ている側もある程度分かっているからだ。
視界が悪い上、彼女の動きやすいとは思えない身体はゴムのような素材で出来ている。指先だって、画像を見る限り細くてスッキリしているが、要するにゴム手袋をした状態なのだ。手術用の手袋のような薄い素材であっても、素手よりは作業性は落ちるはずであり、彼女の手はそれよりも厚手である事は明白であり、なにより女性として当たり前な爪が生えている点で、作業効率は著しく落ちそうである。

袖まで手を通し終わったカオリは、恥ずかしそうにしながら股間や腰回りの布をしっかりとフィットさせる。

姿見で自分の姿を見て確認するカオリ。そして軽くカメラにポーズをする。
ライブチャットでは彼女の姿にみんなが反応している。

カオリは軽くカメラに手を振ると白いTシャツを着始める。
小さいサイズのTシャツをモゾモゾと着込む。首がかなり通しにくそうなのは着ぐるみであるが故仕方がないのだろう。
ただ、それでもしっかりTシャツに首を通せると言うのは、カオリが小顔である事を見せつけている。
顔が小さいアニメ顔は、頭身がおかしくなりがちだが、彼女はそのバランスがギリギリで成立しているので、リアルな生々しさとアニメ顔の非現実性が彼女を魅力的に見せているのだ。

胸の辺りにTシャツをフィットさせる時には、室内の照明のせいもあり、陰影がやけにはっきり強調される。大きな胸に布が貼り付く感じは見ているだけでもかなりエッチに見える。
身体の素材を考えると非常に着づらそうではあるが、着てしまえば、カオリからしてみれば自分の身体に布を羽織っているだけであるから、少々窮屈感はあっても着てしまえば
自分をセクシーに魅せる為の衣装というだけなのだろう。
最後はブルマを穿くが、ブルマのウエストよりもレオタードのハイレグのVラインの方が腰の上まで伸びている為、ブルマからハイレグのウエストまで、一部に腰の地肌が見えているのがまたそそる。
再びカオリは姿見で自分の姿をチェックして、少し着崩れを直す。ブルマのフィット感に違和感があるのか、ウエストのゴムを少しズラすような仕草を見せると、ウンウンと納得したように頷いて、カメラに向いて可愛いポーズを取る。

カオリからすれば自分の着ている衣装がバッチリ決まって納得したという所なのだろうが、俺はついつい別の事も想像してしまう。
カオリの中にはカオリを動かして、カオリを演じている誰かがいる。
その人物は、自分の入っている着ぐるみの上から、さらに自分を拘束するようにまとわりつく衣装を着て、可愛らしく笑っているカオリを、カオリの何処かに存在する視界から見ている。
その鏡に映った自分の姿を見て、いったい中にいる人物はどんな気分なのだろう?そんな事をついつい考えてしまう。

カオリは椅子に座ると早速キーボードに向かう。

カオリ「どう?なかなかセクシーでしょ?」
小菅JC「くぅぅ。ムチムチな感じとかサイコー!!」
千葉ちゃん「ブルマとハイレグの重ね着はもはや芸術だね。」
A坊「そそ。レオタードがTシャツとブルマから透けてるのがいいよねー」
カオリ「もーっ。みんなエッチなんだからー。」
タコ組「胸の感じなんてスゲーエロエロっすー」
カオリ「胸の感じ?」
千葉ちゃん「そそ。それはエロイなぁ。」
カオリ「どうエロイの?男の人の感覚って私はよく分かんないなー」
千葉ちゃん「うーん、そのピッチリ感というか」
車屋「胸がシャツに潰されてる感じ?キューーーって突っ張ってる感じがいいんだよねー」
A坊「何言ってるんだよ、ウエストのくびれの辺りのシワがいいんだよ」
千葉ちゃん「あー、それもあるねー。シワってなんかエッチだよなぁ」
カオリ「ふふーん。つまり私の身体がレオタードとかTシャツに締め付けられてるのがいいんだ?」
千葉ちゃん「Yes!!」
小菅JC「正解!」
カオリ「そう言えばさー、男の人って息子さんを締め付けられると気持ちいいんでしょ?」
タコ組「ま、まぁ・・」
A坊「大胆な発言だ・・・」
タコ組「まぁカオリんの発言はいつもそんな感じだし(笑)」
小菅JC「そこがカオリんの魅力だね!」
カオリ「もしかして私の身体を締め付けている衣装を、自分の息子さんが締め付けられていように想像してない?」
A坊「また、大胆な発言だ・・・」
カオリ「このレオタードねー、ツルツルしてて凄く着心地いいのよ。こんなレオタードに包んで締め付けたら気持ち良さそうよね」
タコ組「い・・・いかん、、想像してしまった・・orz」
車屋「あー、いいねー、その言葉責めがまたカオリンだよ。」
カオリ「あはは。みんな私でエッチな妄想してるのねー。」

カオリはいつもこうやってチャット仲間達の反応を楽しむように書き込みを続けている。
ただ、書き込みは決して早い方ではない。だがそこがまた俺を興奮させる。
恐らくカオリの演者は着ぐるみの中からのキーボード操作が大変なんだろう。それは目が見えにくい為なのか、指が不自由だからなのかは分からない。だが、どう考えても普通の状態では無さそうな着ぐるみの中からのチャットである。
少々のレスポンスの遅さは仕方がない事なのだ。
そしてその悪戦苦闘している様子を想像すると、たまらなくなるのである。

DollClubと呼ばれる謎の風俗店の存在が噂になったのは今から約1年ほど前。最初は着ぐるみ愛好家達の間でも、そんなのはどこかの出来の悪い小説のネタではないかと笑われていた。
だが、時間が経つにつれ、DollClubと言う着ぐるみ風俗店が実在し、しかもそこで働く着ぐるみ達の妖艶な姿と着ぐるみ愛好家のフェチ心をくすぐるような演技、数々のマニア心をくすぐる衣装と状況設定、そしてその着ぐるみの構造から想像できるマゾヒスティックな演者の状態に、着ぐるみ愛好家のみならず、SM好きや、女性の着衣に対するフェティシズムを持った人たちを含め、かなりの人たちの興味を引き、店は常に混雑しているようである。
もちろん店の存在は公になっていないが、ネットから拾える断片的な情報が数々の人によりまとめ上げられ、瞬く間に口コミで広がって行った。その為、DollClubは半ば、公然の秘密とも言える店舗になっていた。

当然このチャットに参加している殆どはDollClubの存在を知り、実際に行って体験している人も半数はいると推測される。
だからこそ、目の前でライブをしているカオリがDollClubの着ぐるみと同様の構造を持つボディーである事が分かる。
ハイビジョンライブチャットのため、肌の質感まで非常にきめ細かく出る為、より自信を持ってDollClubの着ぐるみ構造だと言えるのである。
ただし、カオリはDollClubには在籍しないキャラクターである。
どういういきさつで、誰が、カオリを所有し、操演し、どういう目的で我々にこういったライブを提供しているのかは全くの謎である。
ただ、今、この瞬間も、地球上のネットの接続できるどこかで、我々を相手にカオリを纏い、フェティッシュなライブチャットを続けている人物がいる。その事実だけは間違いなく、DollClubとまでは行かなくても、彼女の姿を無料で楽しめると言う意味では我々にもとても嬉しいチャットなのである。

そんなカオリのチャットは、開始から1時間ほど経ってもまだまだ続く。
その頃になってくるといつも気になるのは、机の下の部分。つまりカオリの下半身を狙ったカメラの映像である。
今日は布3枚が重なっている彼女の股間。ここには呼吸口が存在することは、もはや誰もが知っている常識である。
演者はカオリのここから呼吸を続けている。布3枚を重ねた場所であるから呼吸が楽だとは思えないが、もちろんカオリが笑顔を崩すことはない。そして楽しそうにチャットに興じている間の下半身についても、彼女が内股を崩すことはない。
スカートに覆われていれば多少手を抜けるのかもしれないが、こうしてブルマのようにしっかりと下半身が見える状態では手を抜くことも出来ないだろう。
ライブに映る彼女の下半身は、殆ど常に太ももがしっかり閉じられている。つまり彼女の呼吸口は自らの足により閉じられているのだ。
もちろん男性に比べ、女性は足の付け根が横に広がっている為、股間に若干の隙間がある。足をピタリと閉じても隙間は出来るはずだからその隙間からの空気は吸えるはずである。また、いくらピッタリ足を閉じているように見えても、少しは太ももの閉じ具合を調節して呼吸を楽にすることも出来るだろう。
それにしても楽な呼吸とはとても思えないが、彼女の態度は大きく変わらないのだ。

時折足をもじもじさせたり、腰をクイクイと動かして椅子に座り直すような素振りも見せるが、それも違和感があるという程大袈裟な者ではない。
その違和感のない動きを見ながらも、それがホントに何事もない普通の出来事としての動きなのか、実はいろいろの苦悩を隠した動きなのかは全く分からない。
だが、分からないからこそそう言う想像をさせてしまうのである。

カオリ「そうだ。せっかくこういう衣装だし、今日はちょっと運動なんかしてみましょうか?」
千葉ちゃん「え?運動って??」
小菅JC「部屋の中じゃスポーツなんて出来ないだろ?」
タコ組「あーでもそれはちょっと見てみたいかも」
A坊「カオリんのやることなら俺も見たいかも。」
カオリ「へっへー。実は最近私、ダンスの練習してるのよ。」
千葉ちゃん「ダンス?」
カオリ「うん。不思議の国のアイス」
タコ組「な・・なにそれ?」
車屋「お前知らないのか?今アキバ方面じゃ大流行らしいぞ。」
タコ組「アリスじゃなくて?」
車屋「そう。アイス。ようは不思議の国で不思議な味のアイスを求めて大冒険するアリスっていう女の子とその仲間の物語」
タコ組「ふーん。そんなのがあるのか。それはいいけど、ダンスってのは何?」
A坊「そのエンディングテーマと共にキャラクターが踊るんだよ。その振り付けを覚えて踊るのが流行ってるらしいよ。」
カオリ「そうなの。すっごく可愛い踊りだから、覚えたいなぁと思って。」
小菅JC「で・・でも、カオリんは踊るの大変なんじゃないのか?(汗」
カオリ「なんで?」
小菅JC「だって・・ほら・・」
タコ組「そうそう。カオリんの身体で動き回るってきつく無い?」
カオリ「私は平気よ?運動神経はないけど頑張るわ。もう結構上手に踊れるのよ」

 カオリはそう言って、実際に部屋の空いたスペースに移動する。先ほど着替えをしていた場所だ。そしてこのスペースを映すカメラにライブを切り替えると、明るくにこやかに手を振っている。
 確かに不思議のダンスはそれほど激しい物ではない。軽快なステップと手振りが出来れば、割と誰にでも真似が出来て、しかも周りと揃うと見栄えがいいので、コスプレダンパなどでも人気があると言う。
 だが、それは生身の人間が踊った場合の話だ。
 カオリは、全身をラバーのような素材で覆い尽くした着ぐるみなのだ。呼吸も口から非常に遠くに設置された穴からの呼吸であり、普通に活動をしているだけでも楽ではないはずだ。

 実はDollClubの人形はかなりマニアの間では話題で、完璧に同じ物ではなくてもシステム的に同じ呼吸システムを取り入れて着ぐるみをしてみると言う人物は既に何人もいる。
 呼吸チューブの配管を利用して上手くワンウェイのバルブを使って吸気と排気を分離できると大分呼吸しやすくなるようだが、それでもその場で女の子を演じる程度の状況で、頑張っても1時間が限界だという。
 ウエットスーツ系のボディーを持ったヒーローのショーをやっている人物も挑戦した事があるようだが、彼曰く、ヒーローのFRPマスクのスリットからの呼吸はホントに苦しいが、それはアクションをやっているからであり、握手会程度なら1時間以上着続けても耐えられる。だが、股間からの呼吸を続けると、ただじっとしていても1時間持たないうちにギブアップしてしまう、と言う。
 そもそも初期の頃はワンウェイのバルブ等という発想がなかった為、息を吸ったチューブにそのまま排気を戻していた。
これではチューブ内に自分の吐いた呼気が溜まり、新鮮な酸素は殆ど入ってこなくなるため、30分すら持たない。
 そこで鼻と口で別系統のチューブを使い鼻で吸い口で吐くと言う方法である程度長時間我慢できるシステムを使った人物がいた。だがそれでも興奮してリズムを間違えてしまい口で吸ったり鼻で吐いたりすると、とたんに苦しくなる。
 こういう事を避けるため、吸う時と吐く時の空気の流れる向きによってバルブの開き方が変わるワンウェイバルブが利用されるようになる。たまたま誰かが西急ハンズで見つけた小型のバルブを使ってチューブシステムを作る方法をウェブ掲載したのがきっかけで、何人かがこの方法を試して改良していったのだ。
 そうやって、似たような呼吸システムを体験することで、彼女達の置かれた状況を疑似体験し、その苦しさをある程度理解しているファン達にとって、カオリがこれからやろうとするダンスが、どれほど苦しい物なのかがなんとなく想像できてしまうのだ。

 我々の心配をよそに、カオリは部屋の片隅に設置したスピーカーに音楽プレーヤーを繋ぎ、音楽をながし始める。
 どうやらここからは部屋の音声を聞かせているようだ。
 ライブを通して聞くと若干籠もった音になるがノリノリの音楽がかけられている。

 それに合わせてカオリのダンスが始まる。
 身振り手振り、足のステップ。どれもが上手く纏まっていて、見栄えがいい。プロのダンサーというレベルにはほど遠いが、十分にダンスとして成立しているのがよく分かる。

 約4分半のダンス。長いと言えば長い。踊り始めてから1分ぐらい経過した辺りから、俺も少し呼吸を減らして彼女の中を疑似体験しながら見ていたが、結局自分で自分に対して行う制限など、苦しくなったらやめてしまうと言う実に楽な物である。
ところが彼女は。いや、彼女の中にいる人物は、と言うべきなのだが、少なくとも自分の意思ではコントロール出来ない呼吸の制限の中にあるはずなのだ。
 後半になるに従い、彼女の中の空気はどんどん足りなくなり、彼女の身体の持つ拘束性が演者の動きを制限してくるはずなのに、カオリはもちろん笑顔を崩すことはなく、ダンスも実に楽しそうである。

 こうしてこのまま4分半のダンスを終わったとしよう。
 だとすると、カオリの中の人物にとっては、ダンスの4分半以外にも、そこからしばらく続くであろう、ライブ観戦者には見せてくれる事の無い、カオリの内部で起きているはずの、呼吸が整うまでの苦しい時間が確実に存在するはずだ。

 だが、それ以上に気になるのは、ここまで見事なダンスを踊り切るとしたら、カオリはそのダンスをどこかで人知れず練習していたことになる。
 演者が着ぐるみを着ずに練習していたとしても、恐らく実際にカオリを纏った後で踊ったら、全く間隔は異なるであろう。
 とすれば、少なくとも何度かは、カオリは、カオリとして練習を繰り返した事になる。
 その時のカオリは、今の画面に映るカオリのように、楽しそうなダンスを続けていたとはとても思えない。
 誰も見ていない場所でそう言う演技をしながら踊るメリットなど無いのだ。

 踊りながら苦しさに耐えかねて、どん欲に空気を吸うための呼吸をしたりするシーンがあったかも知れない。
 身体の自由を奪うようにまとわりつくカオリの身体によって、踊りのミスを連発していたかも知れない。

 そんな想像をしているうちに、やがてダンスが終わる。
 カオリはその場で可愛らしくポーズを決めて見ている人たちにアピールをする。
 そして何事もなかったかのように椅子に戻って来る。

 俺は椅子に座ったカオリの様子に釘付けだった。
 可愛らしくチャットを再開しているが、下半身、特にお腹辺りの動きは、身体にフィットした衣装である為、誤魔化すのが難しいのだろう。上半身のカメラが写す映像からは楽しそうな様子しか見て取れないし、なによりカオリ自身が手を振ったり投げキスをしたりと、楽しいチャットを演出している。
 だが下半身を写すカメラはさすがに誤魔化せない。
 お腹がゆっくりと深く動いているのだ。衣装の光沢がその動きをより一層ハッキリと見せている。
 足も少しだけであるがさっきよりも開いている。余程苦しいのか、切なそうに太ももを動かしている様子まで映る。

 たったこれだけの動作ではあるが、裏側を想像できてしまう俺には、今すぐしたい衝動に駆られる程の十分なオカズだ。
 だが目を離すのは勿体ないし、なによりこのライブは全てキャプチャーソフトによって録画している。
 後で何度も見返せるのだから今は全てを見ていようと思った。勿論息子は既に早く処理してくれと主張しているのだが。

タコ組「カオリん。お腹の動きが凄いよ?」
A坊「ホントだ。マジで苦しそう。大丈夫?」
カオリ「平気よー。ほら。こんなに可愛く笑ってるのに苦しいわけ無いでしょ?」

 カオリはそう言って元気の良さそうなガッツポーズをする。
 だが、カオリの中の人は、苦しそうな自分の様子を心配するコメントに、どんな気持ちでキーをたたき、ガッツポーズをしたのだろう。みんなが彼女の様子を見て興奮している事は想像できるはずである。じゃなければわざわざこんなライブをするとは考えられないのだから。
 だとすると、彼女にとっては、チャット参加者が、自分の態度と、それでは隠せない中の苦しそうな姿とのギャップを見てあれこれ想像することを想定しているのだ。
 想定しているからこそ、こうして平気な素振りを見せながら、一方では苦しそうな動きも見せるのだ。

 と、考えると、苦しそうな様子は実は演技なのか?と言う疑問も沸いて来る。
 全てを計算しているのであれば、もしかすると苦しいというのは間違いで、実は本当に余裕なのかもしれない。苦しそうな演技を見せて、見ている人間がいろいろと想像している様子を楽しんでいる可能性があるのだ。
 だが、普通に考えてみて、彼女の中が余裕であるという説は非常に説明しにくい。着ぐるみの構造を本当に分かっている訳ではないため、どこかにトリックがあり、実は呼吸も動きも楽なのかも知れないが、想像の範囲を大きく超えた物では無いのであれば、実はホントに苦しい可能性の方が高い。
 演技なのか、事実なのか?この疑問を抱かせてしまうだけでも彼女の存在は罪である。
 まさに人の心を弄んでいると言える。
 だが、どんなに悔しくとも、真実は絶対に見せてはくれないだろう。こうしてライブチャットを見せて貰い、見た目から想像する事しか出来無いのだ。

 カオリのお腹はその後20分ぐらいをかけて徐々に通常の動きに戻っていった。20分である。もし本当に苦しかったのだとしたら、さぞや長い20分だったはずだ。しかもその間、ずっと可愛らしいカオリを演じ続けているのだ。
 もちろんカオリとの楽しいチャットも続いている。

 結局この日は約2時間のライブチャットが続いた。
 その間、カオリは常にカオリのままであった。一瞬カメラの視界からカオリ画姿を消す場面はあっても、中の人物がカオリを脱いで息を整えるなどという行為が出来るような時間ではない。通常の着ぐるみのように顔がすっぽりと脱げる構造ならまだあり得るが、DollClubの着ぐるみ構造を持ったカオリに限って言えば、それは不可能なのだ。
 俺もチャットを楽しんではいたのだが、この2時間、カオリとチャットで会話しながらも、常に、カオリの中の人の様子が気になり続けていた。
 カオリが画面に打つ文字は、全てカオリの中の人が打ち込んだ文字だ。カオリの動きは全てカオリの中の人の動きでもある。
 カオリを通して中の様子を垣間見たいという願いから、必死にカオリがカオリではなくなっている部分を探すのだが、カオリの演技に破綻はなく、外から見ている俺に、カオリの中の本音を理解できることなど皆無だった。
 隠されれば真実を知りたくなると言う心理に加え、俺自身が着ぐるみの中と外とのギャップに興奮を覚えるフェチである為、カオリの態度は非常に気になってしまうのである。

 どんな人物がカオリに入っているのか。どんな状態でカオリを演じているのか。
 知りたいことは山ほどある。
 だが、それを教えてはくれないもどかしさから、こうしてライブチャットに毎度参加し続けているのだ。

 ライブが終わると静寂が訪れる。
 チャットルーム自体はまだ稼働している為、参加者はみなライブの感想を言い合っている。概ね、皆の注目点はダンスと衣装に終始していた。あの衣装のピチピチ感は、ゴム製の身体を通しても中の人間に伝わりそうな程だという所や、3枚の布に覆われた呼吸口からの呼吸はどれほど苦しい物なのかと言う話も出ていた。
 実際に手元に自分の着ぐるみの衣装用にサテン系のレオタードを持っている人間が、3枚重ねて自分の口と鼻に当てて呼吸してみたりもした。その感想はかなり苦しそうだと言うことと、ナイロンの独特の香りがマスク内に溜まっていそうだと言う事だった。
 そして最も話題となったダンス。
 早速今日から練習して、自分も着ぐるみを着てダンスを踊ってみるという人物も現れた。
 そのぐらい興奮する光景だったのだ。

 だが、俺はもう一つ気になっていた事がある。いつもライブが終わった後、ずっと考えているのが、ライブ後の彼女の事なのである。
 今はもう画面にも映っていないしチャットにも参加していない。
 恐らくカオリの中の人物は2時間のライブチャットを終えて、蒸し風呂のようなカオリの中から出てきている最中なのだろう。
 自分を苦しめていた可愛らしい拘束着からようやく出てこられる開放感を味わっている時間なのだ。

 でもホントにそうなのだろうか?
 もし自分だったら、恐らく、これからホントに楽しむ時間にしたい気がする。
 2時間もカオリのような着ぐるみに密閉され続けた上、ライブチャット参加者達の要求に応えて可愛らしいカオリ話演じ続けていたのだ。
 もしその行為が彼女の中の演者にとって、単なる義務や作業であるなら、ライブが終わればさっさとカオリから出て来るとしても不思議ではない。
 だが、このライブチャットは無償であり、しかも彼女自身のサイトがある日突然存在していたのである。
 それこそDollClubとは何の関係性も見出せない、宣伝等とはとても思えないサイトである。
 とすれば、演者は自主的にこういうチャットを開催することを楽しんでいる気がする。

 単に着ぐるみのショートして楽しませるライブチャットであれば、それでもまだライブが終わった後はさっさとカオリから出てくる演者を想像出来る。
 だがこのチャットはそうではない。
 明らかに、着ぐるみフェチな参加者達が、カオリをどんな目で見ているのかを、カオリ自身が良く理解している。
 その上でわざと見ている者が興奮するような行為を、興奮するような演技で続けている。
 つまり中の人物はこういう分野の着ぐるみフェチ(着ぐるみフェチにも色々あるのだろうが、俺にとってのフェチと着ぐるみの持つ拘束性と裏表のギャップ、そしてその裏側を隠してしまう隠蔽性にあると思っているのだ)についてある程度り理解があり、ある意味ではそう言う趣味を持った参加者を弄んでいるフシすらある。
と考えると、もしかすると中にいる演者自身がかなりのフェチである可能性も否定出来ないと思えた。
 そして、もしその推理が正しいのであれば、この2時間は周りを興奮させて楽しませるという名目を利用して、自分自身も興奮しているかもしれない。周りの反応を見て自分も密かに興奮するという事は、こういう分野の着ぐるみフェチに取っては普通の事なのだから。
 そう考えると、今もこの世界のどこかで、カオリは、興奮した自分の中にいる誰かを癒すために、とても嫌らしいカオリになっている最中かも知れないのだ。
 カオリの体型から想像するに、中が男性である確率は限りなくゼロだ。少なくとも俺はそう思っている。
 いや、仮に何らかの方法で中に男性が入っているとしたら、それは堪らなく羨ましく、激しい嫉妬を覚える事であり、悔しくてライブを見るのが辛くなるので、出来れば女性が中にいて欲しいという願望ですらあるかもしれない。
 だが、実際にはこういった分野の着ぐるみフェチは、圧倒的多数が男性なのも事実だ。
 そう考えると、たまたまいるフェチな女性がたまたまカオリに入っていると言う確率はかなり低い気がする。
 いや、むしろ逆であるかもしれない。
 確率の低いフェチだからこそカオリのようなフェティッシュな着ぐるみの演者になれるチャンスがあったのかも知れない。
 どうやってカオリを入手したのかは分からないが、あの着ぐるみがDollClubの着ぐるみと同一の構造であるなら、きっと日本のどこかにひっそりとああいう着ぐるみを作る場所があるのだ。それがDollClubの制作部門なのか、外部の専門工場なのかは分からないが、日本全国のフェチ仲間が、手を尽くして調べても何処で入手できる物なのかが分からない着ぐるみを、現実に手に入れているのだから。
 実に羨ましい話だが、実際にああいう着ぐるみを手にしていつでも楽しめるという人物が存在するのだから、きっと俺やチャットの参加者同様の属性を持っているに違いない。
 だからこそ、ライブが終わった後こそがホントの意味で彼女の中の人物が楽しめる時間なのかもしれない。
 今まで2時間もかけて散々我慢に我慢を繰り返してきた感情をカオリの中で人知れず爆発させているはずである。

 そう思うとまた、堪らない気持ちになってしまうのだ。

 こうして今日の夜も更ける。次のライブがいつになるのかは明日以降のホームページで掲載されるはずだ。
 不定期であり、何処ともリンクしていない上に、掲示板等でURLが出てしまうとすぐにURLを変えてしまうのだ。
 その後、登録しているユーザには新URLを知らせるメールが入るのだが、ユーザ毎にちょっとずつ違うURLを知らせているらしく、掲示板でURLを出すと誰が出したかが分かってしまい次からはもうライブに参加できなくなるのだ。
 だから殆どこのチャットが表に知られることはない。口コミで同類の仲間達のみが集まる謎のライブなのである。

 パソコンの電源を落とした俺は、ベッドの中で今日あった事と、その後に世界のどこかで起こったであろう事を想像して自分の処理をした。実際に体験しているわけではない為、妄想の世界を出ることは出来ないが、それでも十分に興奮できた。
 だが、もし実際にカオリの中に自分がいたとしたら、きっとその興奮は今の何倍にもなっていただろうなと重うと、少し悲しくも、むなしくもなってしまった。。。

 こうしてまた次のライブを心待ちにしながら日々を過ごすのである。

 おしまい。


[戻る]